文芸(単行本)作品一覧

メビウス・レタ-
メビウス・レタ-
著:北森 鴻
文芸(単行本)
注目の新人が放つ書き下ろし叙述ミステリ これこそ《あっ》と言わせるミステリである 連続する放火と殺人の謎!過去からの手紙が高校生殺人事件の封印を解き放った。 前作『狐罠』で真保裕一の“取材力”に挑戦した作者が、今度は折原一の“驚愕”に挑戦してみせた。前作がそうであったように、第一人者の塁を摩す試みは、見事に成功したと言っていい。メビウスの輪の中に仕掛けられた巧妙な罠と大どんでん返し――この打っちゃりに感嘆の声を上げない読者は、まずいないはずだ。これこそ《あっ》と言わせるミステリである。北森鴻の確かな、そして豊かな才能に、最大級の拍手を贈りたい。――文芸評論家 茶木則雄
草の巣
草の巣
著:角田 光代
文芸(単行本)
新鋭女性作家が描くドライビング・ホーム。 きまぐれで始まった男と女の奇妙な旅に明るい時代の孤独を映す。野間文芸新人賞作家・話題の力作! 家を作ってんだ、男は言った。「連れてってやるよ」──ふとした気まぐれで無口な中年男の車に乗り込んだ「私」が、あてどないドライブの果てにたどり着いた場所は……?「今」の空気を映して話題のロード・ノベル「草の巣」と「夜かかる虹」の2篇を収録。
藤沢周平論
藤沢周平論
著:中島 誠
文芸(単行本)
清冽な優しさ。群を抜く、藤沢周平論!女が、本当に悲しいときを描ける作家は、そうざらにはいない。藤沢は、それを適確に書く!平凡なことを、非凡に描く才能こそ最高である。 私は、藤沢周平の、いわば土性骨に迫って触わりたいと念じて本書をつくってみた。彼は、小説のなかで時々、東北の村には必ず1人や2人、ど不敵なやつがいると書き、そんな人間を描くことに熱中したという。私は、彼の作品の群れのなかで、何度もこのど不敵なやつの土性骨に触れた。それは、何ともいえず爽かで気分の良い心地であった。静寂のなかの光速の眩さを私は彼の作品に見た。──中島誠
死もまた愉し
死もまた愉し
著:結城 昌治
文芸(単行本)
作家は、死とどう向かいあったか。 孤高の文士が死の直前に語った“人生最後の志”生の真実を詠む珠玉の句集「歳月」「余色」を併録。 余生だから、とにかくあくせくしない。5年先、10年先まで考えて計画を立てたりすると、どうしても張りきりすぎちゃう。とりあえずは1年だけ考える。あと1年だと思えば、その間の人生を目いっぱい生きることができる。1年が無事に過ぎたら、よし、もう1年生きよう、と……。新しい目標を定めてもいいし、前のつづきをやってもいい。また1年たったら、つぎの1年を考える。こうすれば、1年ごとに新鮮な人生をくり返すことができる。これはうぬぼれをなくすコツでもあるし、人生最後の志として大事なことではないかと思うんです。──本文より
異界飛行
異界飛行
著:村田 喜代子
文芸(単行本)
おかしくて不思議 心のままに遊泳する日常の異空間、のびやかな感性で見つめるこの世 人はどうか知らないが、私にとって今のこの時間、この現在の時間ほど希薄な感じのするものはない。なぜだろうと不思議に思う。1番夢心地の嘘っぽい時間が、現在ただ今のこのひとときだ。 そして流れる川の水みたいに、そのひとときがむこうへ押しやられて行ったとき、つまり比較的近い過去になったとき、ようやく遅ればせに実感が生まれる。今日は夢、明日は半夢で明後日に現実感をとりもどすという順序。頭の中の事実確認かなにかの経路が、どこか伸びきっているのではないかと思う。――「明後日の覚醒」より
真・天狼星ゾディアック(1)
真・天狼星ゾディアック(1)
著:栗本 薫
文芸(単行本)
シリアル・キラーの猟奇に魔人シリウスの影が。伊集院大介が戦慄する!ほんとうの闘いが今、始まった! 東京、北海道、沖縄……各地で起こる奇怪な連続殺人。血を抜き取られた死体は、バラバラにされ、あついは皮をむかれていた!そして、少女たちの間でひそかに流行する「ゾディアック・カード」とは?世紀末の都会の闇に、〈魔物〉がひそむ――。
ふたりの信康とふたりの徳姫
ふたりの信康とふたりの徳姫
著:南條 範夫
文芸(単行本)
同じ日、違う場所で2度殺された男。 室町御所で誅殺された一色信康と丹後国竹野川畔で惨殺された一色信康は同一人物か?歴史の闇に潜む謎を解き明かす書き下ろし長編問題作。 室町幕府第5代将軍足利義量(よしかず)の時代に幕府首脳部の一員として重きをなした一色満範が没すると、一色家は2つに分れた。丹後を領する喜多一色家を嗣いだ一色信康の死については多くの異説が伝わっている。信康は、同じ日、永享9年5月14日に、別々の場所で殺されたというのだ!?
残り火
残り火
著:諸井 薫
文芸(単行本)
束の間の輝きと哀感。珠玉の作品集 人生が通りすぎてしまう前に……。男は最後の恋に身をゆだねる。 「もういいんです。しかし、私は嬉しかった。あなたのような素晴らしいお嬢さんと秘密を持てたんだから。 これはね、幸せ過ぎた罰なんですよ、きっと」――本文より
へらへらぼっちゃん
へらへらぼっちゃん
著:町田 康
文芸(単行本)
町田康の手にかかれば、日本語はこんなにも魅力的だ!注目の作家、待望のエッセイ集。 音楽も文学も、ただ分類の問題ではありませんか。なにがなにを支配するということではなく、ひとつの命や魂のなかで沸騰しているものは同じものなんですよ。わたしはそのような沸騰、或いは振動による力や意味をできるだけ多くのひとと共有したいと思っています。共感したいと思っています。共鳴したいと思っています。だからわたしが歌い、演じ、書くことはみんな同じなんです。みなわたしにとっては音楽なんです。――本文より
公子風狂
公子風狂
著:藤 水名子
文芸(単行本)
曹操の底知れぬ魅力! 曹操とその女たち、息子たちの風狂・風韻を鮮やかに描く「青青子衿」「曹操の死」等傑作6篇。 ──黄巾の乱の終結より、12年の歳月が過ぎた。数多くの興亡があった。董卓が興り、董卓が亡んだ。何度も命からがらの敗戦を経験しながら、曹操はしぶとく、生き延びた。人は彼を、人傑だと言う。梟雄(ぎょうゆう)と、呼ぶ。 (だけど、愛しいひとだった) 果てしない望みを懐いた男の風狂につきあって、あたら一生を無駄に過ごしたとは思いたくない。涙を拭い、手のひらの汗を拭い、再び織機に手をかけながら、せん媛はいつしか薄く微笑していた。──本文から
泣きの銀次
泣きの銀次
著:宇江佐 真理
文芸(単行本)
注目の新進女流時代小説作家、初の書下ろし長編。 妹殺害の真犯人を追って10年、色男・銀次の岡っ引き稼業と恋の道行き。 銀次は走らせたら飛脚にも負けない足を持っている。身体は小柄だから、身軽にどんな場所でも入り込んでいける。剣は馬庭念流だ。銀次がなぜ泣くのか……。え?死人が怖いからではないのだぞ。あいつは命がいたましいのよ……だから泣ける。
珍妃の井戸
珍妃の井戸
著:浅田 次郎
文芸(単行本)
『蒼穹の昴』に続く清朝宮廷ミステリー・ロマン! 誰が珍妃(ちんぴ)を殺したか?愛が大地を被い、慟哭が天を揺るがす──荒れ果てた東洋の都で、王権の未来を賭けた謎ときが始まる。 列強の軍隊に制圧され、荒廃した北京。ひとりの美しい妃が紫禁城内で命を落とした。4年前の戊戌(ぼじゅつ)の政変に破れ、幽閉された皇帝・光緒帝の愛妃、珍妃。事件の調査に乗り出した英・独・日・露の4人の貴族たちを待っていた「美しい罠」とは?降りしきる黄砂のなかで明らかになる、強く、悲しい愛の結末。
みんなの秘密
みんなの秘密
著:林 真理子
文芸(単行本)
ひそかな喜びと切なさを描く待望の最新連作集!妻も、夫も、あの人も……みんなが何かを隠している。 13の少女より、34の人妻の方が、キスに対してはるかにおぼこな時があるが、涼子がそうであった。それはもちろんキスの次に用意されていることに畏(おそ)れおののくからである。──「爪を塗る女」より
十時半睡事件帖 おんな舟
十時半睡事件帖 おんな舟
著:白石 一郎
文芸(単行本)
十時半睡(とときはんすい)、江戸の事件をさばく。 半分眠ってくらす気儘(きまま)勤め。福岡藩江戸総目付、ご存じ十時半睡、次から次へと起こる難事件を解決する老練の手さばき。 《人気シリーズ待望の最新刊》
ひとたびはポプラに臥す(1)
ひとたびはポプラに臥す(1)
著:宮本 輝
文芸(単行本)
熱砂の大地に生命の輝きをみつめ、永遠の風を感じる深くゆたかな時間……長篇紀行エッセイ・スタート! 宮本輝がシルクロードを往く。 約1600年前、シルクロードの小さな王国に、仏教伝播の使命を秘めたひとりの少年が生まれた。その名は鳩摩羅什(くまらじゅう)。彼が歩いた道を、いつの日か自分もまた歩いてみせる──。20年来の夢を賭け、中国・西安からパキスタンのイスラマバードまで、6700キロの酷暑と砂漠の旅が始まった。広大な荒野に永遠の時間が流れる地、文明と民族の十字路シルクロードで、著者は何を見て、何を感じ、何を考えたのか。──豊富な写真とともに辿る「宮本輝のシルクロード」
わが愛する伝記作家たち
わが愛する伝記作家たち
著:佐伯 彰一
文芸(単行本)
伝記の世界はおもしろい。 たとえばフロイトの書簡をめぐる謎、あるいはシルヴィア・プラスは何を悩んで自殺したのか……。伝記作家の仕事ぶりを、豊富かつ興味深いエピソードで紹介、魅力溢れる伝記の世界へご招待。
空から光が降りてくる(下)
空から光が降りてくる(下)
著:ジェイ・マキナニ-,訳:駒沢 敏器
文芸(単行本)
栄光と挫折、大いなる野望と失意の果ての静寂に、人はいったい何を見るのか? 友情と裏切り、愛と憎しみ。 会社買収王バーニー・メルマン、M&A専門の美人銀行家トリーナ・コックスと組んだラッセルの自社買収は成功した。経営に奔走するラッセルと孤独の色を深める妻コリーン。出張先でのラッセルの不倫をきっかけにするかのように、事態は思わぬ方向へと進展する。人生の絶頂から手中のすべてを失ったラッセルを待ちうけるものは?……マキナニーが渾身の力を込めて描く若きカップルの喪失と再生。
空から光が降りてくる(上)
空から光が降りてくる(上)
著:ジェイ・マキナニ-,訳:駒沢 敏器
文芸(単行本)
マキナニー、『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』で見せた、あの輝きを越える本格長編。 最高のN.Y.ノヴェル N.Y.の有名出版社の若き編集者ラッセル・キャロウェイは、大学時代の親友ジェフ・ピアースをスター作家に押し上げ、自身も脚光を浴びはじめる。しかし、彗星のごとき名声の上昇が、社の重鎮ハロルド・ストーンの不評を買ってしまう。社での立場に危うさを感じたラッセルは、社主の妹と謀って自社買収へと動き出す……同時代アメリカ小説の頂点を極める最高傑作。
失楽園 愛蔵版
失楽園 愛蔵版
著:渡辺 淳一
文芸(単行本)
絶体愛の讃歌、記念碑的名作! 究極の愛のかたちを希求する男女の潔さを描き、大反響をまき起こした恋愛文学の金字塔! 『失楽園』の連載を書き終えて、正直な感想は「疲れた」の一語に尽きる。わたしは今回の小説を書きながら恋をしていたが、それは現実と夢と交錯しながらのもので、くわえて過去の恋や、その折々にきいて感じた音楽や情景なども思い起こし、いわゆる圧倒的な恋愛状態に浸って、書き続けるように努めてきた。そのことはまた、毎日の構想を練り、原稿を書く段階になるたびに、自らが久木と凛子になりきることで、これほど深く、主人公にのり移って書いたことはなかった。ともかくいま、わたしは小説が頭や知識でなく、全身で書く格闘技であることを改めて知った。――渡辺淳一
人間になりかけたライオン
人間になりかけたライオン
著:シェル・シルヴァスタイン,訳:倉橋 由美子
文芸(単行本)
ぼくって誰? 自分を見失ってしまった人、新しい出発を目指す人に。 「ぼくを探しに」の著者が贈る、自分探しの旅。 さあ、シェルビーおじさんがとびきり変なライオンのお話をしてあげよう。何しろこんな変なライオンはおじさんも見たことがない……えーと、あれは12月17日の金曜日、シカゴでのことだった。よく覚えている。何しろ、その日は雪がぬかるみはじめて……いや、やはりもっと前から話を始めよう。このライオンがまだ小さかった頃からだ。いいね。