文芸(単行本)作品一覧

エウレカの確率 経済学捜査員とナッシュ均衡の殺人
エウレカの確率 経済学捜査員とナッシュ均衡の殺人
著:石川 智健
文芸(単行本)
製薬会社の研究員、三浦陽介の死体が自宅で発見された。警察は当初、事件性も疑って捜査した。なぜなら、「研究所の人間が人体実験をしている」と告発する怪文書が研究所内で発見されていたからだ。だが、1ヵ月経っても三浦と怪文書は結び付かず、アレルギー発作によるショック死と断定、事件性はないと判断された。その2週間後、経済学捜査員・伏見真守が向山製薬を訪れた。伏見は三浦の死に他殺の可能性があることを示唆した! 大手製薬会社・向山製薬の研究員、三浦陽介の死体が自宅で発見された。警察は当初、事件性も疑って捜査した。なぜなら、「研究所の人間が人体実験をしている」と告発する怪文書が研究所内で発見されていたからだ。だが、1ヵ月経っても三浦と怪文書は結び付かず、アレルギー発作によるショック死と断定、事件性はないと判断された。その2週間後、経済学捜査員・伏見真守が向山製薬を訪れた。伏見は警察の見解を覆すように、三浦の死に他殺の可能性があることを示唆した。そして、三浦が所属していた「希少疾病第二部門」の研究員に向かって、全員を容疑者として扱うと宣言したのだった……。
絵本「旅猫リポート」
絵本「旅猫リポート」
著:有川 浩,その他:村上 勉
文芸(単行本)
当代きってのストリーテラー・有川浩が、「コロボックル」シリーズの画家・村上勉の絵とともに届ける、初めての絵本。心優しい青年とかぎしっぽの猫は、二人で最後の旅に出る。家族で楽しみ、語り継ぎたい物語を、112ページの上製本(ハードカバー)に閉じ込めました。総ふりがな付き、読み聞かせにも! 当代きってのストリーテラー・有川浩が、「コロボックル」シリーズの画家・村上勉の絵とともに届ける、初めての絵本。 心優しい青年とかぎしっぽの猫は、二人で最後の旅に出る。
天国マイレージ
天国マイレージ
著:樋口 卓治
文芸(単行本)
ガンにより命を落とした三村修治は、生前に笑った回数が多いことで、天国に行けることに。そのことを知った修治は悩んだ。妻の彩子はいつも明るく、よく笑う。だが息子の陽一郎はどうか? 腹を抱えて笑っている姿をみた記憶がない。かくして修治は、天国に行くためのマイルを使用し、この世に6日間だけ戻ることを決意する。設定は、陽一郎のクラスにやってきた転校生。涙の嵐を巻き起こした『ボク妻』、まさかの、奇跡の続編! ガンにより命を落とした三村修治は、この世とあの世の狭間にいた。ここは「天国」「普通のあの世」「地獄」、にそれぞれ向かう場所だと伝えられる。天国行きに必要なマイルは3万マイルだという。 マイルは生前に積んだ善行で貯まるが、笑うことでも0.1マイルが加算される。そして修治は、生前35万回以上も笑っていた! そのことを知った修治は悩んだ。妻の彩子は笑うことが多く、いつも明るくしている。だが息子の陽一郎はどうか? 腹を抱えて笑っている姿をみた記憶があまりない。 かくして修治は、天国に行けるすべてのマイルを使用し、この世に一週間だけ戻ることを決意する。設定は、陽一郎のクラスにやってきた転校生。果たして修治は、陽一郎にいつでも笑顔でいられるコツを伝え、今度こそ成仏することができるのか――? 涙の嵐を巻き起こした『ボク妻』、まさかの、奇跡の続編!
旅猫リポート
旅猫リポート
著:有川 浩
文芸(単行本)
秘密を抱いた青年と一匹の相棒は“最後の旅”に出た。現代最強のストーリーテラーによる、青年と猫のロードノベル。あたたかな光溢れるラストまでどのページにも忘れ難い風景が広がる傑作。――さあ、行こう。これは僕らの最後の旅だ。 さあ、行こう。これは僕らの最後の旅だ。一人と一匹が見る美しい景色、出会う懐かしい人々。心にしみるロードノベル。
千日のマリア
千日のマリア
著:小池 真理子
文芸(単行本)
男は抗い、女はたゆたう。「生まれてから死ぬまでの『時間』。死に向かって生き続けるための哲学。この10年間、私はそればかりを考えて書いてきました」(著者)義母の葬式で、男が思い浮かべた“女”の姿は――。生と死、愛と性、男と女を見つめ続けた珠玉の8篇。小池真理子の新たな到達点。9年越しの最新作品集。 男は抗い、女はたゆたう。 「生まれてから死ぬまでの『時間』。死に向かって生き続けるための哲学。この10年間、私はそればかりを考えて書いてきました」(著者) 義母の葬式で、男が思い浮かべた“女”の姿は――。 生と死、愛と性、男と女を見つめ続けた珠玉の8篇。 小池真理子の新たな到達点。9年越しの最新作品集。
皇后考
皇后考
著:原 武史
文芸(単行本)
毎日出版文化賞を受賞した『大正天皇』と司馬遼太郎賞を受賞した『昭和天皇』の著者が、新たなる地平を切り開いたのは【皇后】という視点であった。日本の歴史のなかで、皇后の存在を初めて世に問う書物がここに誕生した。歴代皇后のなかでも大正天皇の妃で、後の貞明皇后が激動の大正、昭和の時代にどのような影響を与えたのかを明らかにした、今一番気になる本である。 毎日出版文化賞を受賞した『大正天皇』と司馬遼太郎賞を受賞した『昭和天皇』の著者が、新たなる地平を切り開いたのは【皇后】という視点であった。 悠久なる日本の歴史のなかで、皇后の果たした役目とは何だったのか。皇后の存在を初めて世に問う書物がここに誕生した。 歴代皇后のなかでも大正天皇の妃で、後の貞明皇后が激動の大正、昭和の時代にどのような影響を与えたのかを、豊富な資料と取材、そして「昭和天皇実録」から明らかにした、今一番読まなくてはいけない本である。 さて、その目次を紐解いてみると、 1 序──ある詔書をめぐって 2 神功皇后と神武天皇(1) 3 神功皇后と神武天皇(2) 4 皇后美子・神功皇后・日蓮宗(1) 5 皇后美子・神功皇后・日蓮宗(2) 6 皇太子妃節子の孤独(1) 7 皇太子妃節子の孤独(2) 8 団欒と大病と(1) 9 団欒と大病と(2) 10 大正天皇の発病 11 もうひとつの大礼 12 皇太子裕仁の訪欧と英国王室 13 九州へ(1) 14 九州へ(2) 15 関東大震災 16 大正の終焉 17 必ズ神罰アルベシ 18 元女官長の乱心 19 戦争と皇太后・皇后 20 戦争と皇太后・皇后 21 天皇の退位問題と皇太后 22 皇太后の急逝 23 よみがえる光明皇后 日本における「皇后」という新しい研究分野の堂々たる内容である。
図書館の魔女 烏の伝言
図書館の魔女 烏の伝言
著:高田 大介
文芸(単行本)
霧深いなか、道案内の剛力たちに守られながら、ニザマの地方官僚の姫君ユシャッバとその近衛兵の一行が尾根を渡っていた。陰謀渦巻く当地で追われた一行は、山を下った先にある港町を目指していた。剛力集団の中には、鳥飼のエゴンがいた。顔に大きな傷を持つエゴンは言葉をうまく使えないが、鳥たちとは、障害なく意思疎通がとれているようだ。そんな彼の様子を興味深く見ていたのは、他ならぬユシャッバだった――。 霧深いなか、道案内の剛力たちに守られながら、ニザマの地方官僚の姫君ユシャッバとその近衛兵の一行が尾根を渡っていた。陰謀渦巻く当地で追われた一行は、山を下った先にある港町を目指していた。 剛力集団の中には、鳥飼のエゴンがいた。顔に大きな傷を持つエゴンは言葉をうまく使えないが、鳥たちとは、障害なく意思疎通がとれているようだ。そんな彼の様子を興味深く見ていたのは、他ならぬユシャッバだった――。
TOEIC(R)テスト300点から990点へ、「7つの壁」を突破するブレイクスルー英語勉強法
TOEIC(R)テスト300点から990点へ、「7つの壁」を突破するブレイクスルー英語勉強法
著:清涼院 流水
文芸(単行本)
英語力ゼロから「TOEIC(R)テスト満点」を達成し、スコア300点レベルの社会人集団を平均900点台へと導いた著者が、30代からスタートした自らの英語学習経験と指導実績をふまえ、英語初心者からTOEICテスト990点まで各レベルで直面する「英語の壁」の正体を徹底解明、その最強攻略法を授する。TOEIC受験者、英語学習者、そして英語の「壁」を超えたい全ビジネスパーソン必読の書! 「英語力ゼロ」から「TOEIC満点」を達成し、多くの社会人集団を平均スコア300点台から900点台へと導いた著者が明かす、最強のスコアアップ法とは?! 学生時代、「英語劣等生」だったミステリー作家・清涼院流水氏は30代から英語に開眼。独学で学習を始め、TOEIC(R)テストを継続受験する中で独自の英語力強化メソッドを開発し、2014年5月、ついにTOEIC(R)テスト990点満点を達成。同時に社会人仲間と共にTOEIC(R)テストのスコアアップを目指す「英語部」を発足、メンバーを平均900点台へ導くなど、英語指導の領域でも活躍している。本書では、著者自らのTOEIC(R)テスト受験体験と英語部での指導実績をふまえ、「英語力ゼロ」の段階から「990点満点」までの各段階【=600点、730点、800点、860点、900点、950点、990点】ごとに直面する「英語の壁」の正体を徹底的に解明し、その攻略法をつぶさに伝授する。前著『社会人英語部の衝撃』でも注目を集めた著者が自分自身の勉強法の極意を明かす、TOEIC(R)テスト受験者および英語学習者、そして「英語の壁」を超えたい全ビジネスパーソン必読の書!
電子あり
贅沢のススメ
贅沢のススメ
著:本城 雅人
文芸(単行本)
高級品を扱う店を次々と買収する藤浪と、その下で働く若者・古武士。ラグジュアリーファンドの二人組は店に乗り込み、藤浪が帳簿を確認し、古武士がその店で実際に働く。かつて贅沢だったイタリアンが贅沢でなくなった理由、高級シャツ店に隠された女性たちの人間関係、倒産に瀕したアンティークウォッチ店の目利き店主の企み、一脚数十万を超える木製椅子のデザイナーと職人の絆――至高の品には、誰も知らないドラマが宿る。 高級品を扱う店を次々と買収するボス・藤浪と、その下で働く若者・古武士(こぶし)。ラグジュアリーファンドの二人組はまず店に乗り込み、藤浪が帳簿を確認し、古武士がその店で実際に働く。 かつて贅沢だったイタリアンが贅沢でなくなった理由、オーダーメイドの高級シャツ店に隠された女性たちの人間関係、倒産の危機に瀕するアンティークウォッチ店の目利き店主の企み、一脚数十万を超える木製椅子のデザイナーと職人の絆――至高の品には、誰も見たことのないドラマが宿る。目から鱗の買収エンタテインメント! 贅沢を見分けるために欠かせないものとは?
恋路ヶ島サービスエリアとその夜の獣たち
恋路ヶ島サービスエリアとその夜の獣たち
著:森 晶麿
文芸(単行本)
「静かな夜には口笛を吹きたくなる奴がいるものです。口笛が聴こえる夜は、もうすでにいつもの夜とは違いますからね」 四国と淡路島の境目にある〈恋路ヶ島サービスエリア〉の売り子になると、一年以内にプロポーズされるという伝説がある。その伝説を信じるでもなく信じている理代子は、ある夜事件に巻き込まれていく。人生の小休止=サービスエリアに集まった“獣”たちが繰り広げるポップでちょっとシリアスな長編ミステリ。 「静かな夜には口笛を吹きたくなる奴がいるものです。口笛が聴こえる夜は、もうすでにいつもの夜とは違いますからね」  四国と淡路島の境目にある〈恋路ヶ島サービスエリア〉。このサービスエリアの売り子になると、一年以内に恋人からプロポーズされるという伝説がある。そんな伝説を信じるでもなく信じている恋路ヶ島出身の理代子は、自宅アパートとバイト先のサービスエリアを往復する平凡な日常を送っていた。ある夜、謎の新入り清掃士マキノの「静かな夜です。気をつけて」という一言から、理代子は事件に巻き込まれていく。 死体を運ぶ兄弟、有名司会者と愛人、人類嫌悪団体〈ノア〉……。人生の小休止=サービスエリアに、その夜集まった“獣”たちが繰り広げるポップでちょっとシリアスな、長編ミステリ。
叛徒
叛徒
著:下村 敦史
文芸(単行本)
新宿署の通訳捜査官・七崎隆一は、歌舞伎町で起きた殺人事件の第一発見者の取り調べの通訳を担当する。数日前から家に帰らない息子の部屋で、逃走中の犯人が着ていたと思われる血まみれのジャンパーを発見した七崎は、息子が犯人である可能性に戦慄し、“通訳”を武器に孤独な捜査を始めるが――。家族を巡る贖罪の警察小説は衝撃の結末を迎える。江戸川乱歩賞受賞作『闇に香る嘘』がミステリー界を揺るがせた新鋭の待望の第2作! 新宿署の通訳捜査官・七崎隆一は、正義感から義父の罪を告発したが自殺に追い込んでしまい、職場でも家庭でも居場所がない。歌舞伎町で殺人事件が起きた直後、息子の部屋で血まみれのジャンパーを発見した七崎は、息子が犯人である可能性に戦慄し、孤独な捜査を始めるが――。 家族を巡る贖罪の警察小説は、衝撃の結末を迎える。 『闇に香る嘘』がミステリー界を揺るがせた新乱歩賞作家、早くも第2作!
悪足掻きの跡始末 厄介弥三郎
悪足掻きの跡始末 厄介弥三郎
著:佐藤 雅美
文芸(単行本)
兄、都築孝蔵は六百五十石取りだが、親重代の借金があってゆとりはない。弟の弥三郎には、婿養子の口がかかったことはなく、永遠に兄や、兄が死ねば甥の世話になって生きるしかない。幕府役人は公用語に無頓着でかつ無神経だった。俗語をそのまま公用語に使用した。役所の書類に肩書が付されるとき、弥三郎ならたとえば「都築孝蔵厄介」とされた。それに、むっとした弥三郎は、自らの意志で人生を拓きはじめる。 厄介は死ぬまで厄介 たった一人の女さえままにならず 屋敷の片隅で老いさらばえなければなりません 江戸時代、兄もしくは甥の世話になっている者を厄介と呼んだ 旗本都築孝蔵厄介、弥三郎の自由を求めた壮絶なる人生の記 「用心棒の仕事がある。手伝え」 「やばい仕事なのですか」 「やばくはない」 「いただきましょう、その仕事」 兄、都築孝蔵は六百五十石取りだが、親重代の借金があってゆとりはない。弟の弥三郎には、婿養子の口がかかったことはなく、永遠に兄や、兄が死ねば甥の世話になって生きるしかない。幕府役人は公用語に無頓着でかつ無神経だった。俗語をそのまま公用語に使用した。役所の書類に肩書が付されるとき、弥三郎ならたとえば「都築孝蔵厄介」とされた。それに、むっとした。弥三郎は、自らの意志で人生を拓きはじめる。
愛と人生
愛と人生
著:滝口 悠生
文芸(単行本)
「男はつらいよ」シリーズの子役だった「私」が27年の歳月を経て、当時の話を伊豆の温泉宿で「美保純」とする。「文章の緩急を使い分ける力量」と「非常に面白い戦略」─中条省平氏、「ご褒美のような幸福感のラスト」─長野まゆみ氏「大衆的な紋切り型を文学的技法として使った懐かしい雰囲気」─沼野光義氏、など絶賛され山田洋次監督も共感した、独創的"寅さん小説"。表題作の他、「かまち」「泥棒」の3作を収録。 「男はつらいよ」シリーズの子役、秀吉だった「私」は寅次郎と一緒に行方不明になった母を探す旅に出た……27年の歳月を経て、そんな昔話を伊豆の温泉宿で「美保純」と懐かしくする「私」。 映画の登場人物とそれを演じる俳優の人生が渾然一体となって語られ、それぞれの時間が複雑に流れては戻る。 「文章の緩急を使い分ける力量」と「非常に面白い戦略」─中条省平氏、「ご褒美のような幸福感のラスト」─長野まゆみ氏 「大衆的な紋切り型を文学的技法として使った懐かしい雰囲気」─沼野光義氏、など絶賛され山田洋次監督も共感した、斬新で独創的な"寅さん小説"、表題作の「愛と人生」の他、大澤信亮氏に「あまりにも素晴らしい小説」と評された短編「かまち」とその続編「泥棒」の3作を収録。
あの子が欲しい
あの子が欲しい
著:朝比奈 あすか
文芸(単行本)
採用者サイドから就職戦線をリアルに描いた新しい「就活」小説。新進IT企業「クレイズ・ドットコム」の来年度採用プロジェクト・リーダーに抜擢された。優秀な学生を獲得するためネット戦略を練り、裏工作や心理戦を駆使して成果を上げていく志帆子。一方、私生活では元部下の小説家志望の男と同居しながら「猫カフェ」に通い、満たされない心を癒す日々。苛烈な採用戦線の果てに、彼女が得たものは――? 情報戦を制し、新人採用プロジェクトを完遂せよ!採用者側から就職戦線をリアルに描いた新しい「就活」小説。 主人公の川俣志帆子は、新進IT企業「クレイズ・ドットコム」の来年度採用プロジェクト・リーダーに抜擢された。優秀な学生を獲得するため、ネット戦略を練り、裏工作や心理戦を駆使して成果を上げていく志帆子。一方、私生活では元部下の小説家志望の男と同居しながら「猫カフェ」に通い、満たされない心を愛猫ザビーとのふれあいで癒す日々。苛烈な採用戦線の果てに、彼女が得たものは――?
パノララ
パノララ
著:柴崎 友香
文芸(単行本)
二八歳の田中真紀子は、友人のイチローから誘われ、彼の家に間借りすることになった。その家は建て増しに建て増しをを重ねた奇妙な家で、真紀子はガレージの上にある赤い小屋に住むことに。イチロー父は全裸で現れるし、女優の母、無職の姉、モテ系女子の妹も一癖ある人ばかり。そんなある日、イチローは、自分はおなじ一日が二回繰り返されることがあると真紀子に打ち明けるのだった。 二八歳の「わたし」(田中真紀子)は、友人のイチローから誘われ、彼の家に間借りすることにした。その家は変な家で、コンクリート三階建て(本館)、黄色い木造二階建て、鉄骨ガレージの三棟が無理やり接合され、私の部屋はガレージのうえにある赤い小屋。イチロー父の将春は全裸で現れるし、母で女優のみすず、姉の文、妹の絵波と、家族も一癖ある人ばかり。そんなある日、イチローは、自分はおなじ一日が2回繰り返されることがたまにある、と私に打ち明けるのであった。
小旋風の夢絃
小旋風の夢絃
著:小島 環
文芸(単行本)
春秋末期の衛国。小柄な十五歳の少年・小旋風(しょうせんぷう)は、盗掘を生業とする養父に育てられた。あるとき彼は、墳墓の棺の中から華麗な琴を発見するが、養父は落盤事故で死んでしまう。小旋風は琴を売ることで貧困から脱し、のし上がろうと考える。彼の野心はやがて、衛国全体を巻き込んでいく。小旋風は自分の唯一の武器である言葉だけを使って、大金を手に入れることができるのか――。第9回小説現代長編新人賞受賞作。 春秋末期の衛国。小柄な十五歳の少年・小旋風(しょうせんぷう)は、盗掘を生業とする養父に育てられた。あるとき彼は、墳墓の棺の中から華麗な琴を発見する。しかし直後、養父は落盤事故で死んでしまう。小旋風は琴を売ることで貧困から脱し、のし上がろうと考える。彼の野心はやがて、衛国全体を巻き込んでいく。小旋風は自分の唯一の武器である言葉だけを使って琴を売り、大金を手に入れることができるのか――。第9回小説現代長編新人賞受賞作。
電子あり
サバーイ・サバーイ 小説 在チェンマイ日本国総領事館
サバーイ・サバーイ 小説 在チェンマイ日本国総領事館
著:岡崎 大五
文芸(単行本)
タイ・チェンマイの日本国総領事館員・吉岡和喜。在留邦人5千人以上と言われ、観光客も多いこの街で邦人保護係の彼の元には相談がひっきりなし。「お金を貸して」「就職先を紹介しろ」と日本人に詰め寄られ、わがままロングステイヤーのトラブルで緊急出動し、上司からはパワハラも。さらに家庭では「あなたとはやっていけない」と妻が涙。公私ともに悪戦苦闘の毎日だ。それでも吉岡は奔走する、日本人に笑顔をもたらすために! 海外で暮らすって 簡単? 難しい?  危ない? 楽しい? 世界で悩む日本人を サバーイ・サバーイ(超気持ちいい)な 笑顔にするために領事館員が奔走! 笑いと涙のお仕事小説 『添乗員騒動記』シリーズ著者の最新作 タイ・チェンマイの日本国総領事館員・吉岡和喜(40歳)。在留邦人5000人以上と言われ、観光客も多いこの街で邦人保護係の彼の元には相談がひっきりなし。「お金を貸して」「就職先を紹介しろ」と日本人に詰め寄られ、わがままロングステイヤーのトラブルで緊急出動し、キャリア官僚の上司からはパワハラも。さらに家庭では「あなたとはやっていけない」と妻が涙。公私ともに悪戦苦闘の毎日だ。それでも吉岡は奔走する、日本人に笑顔をもたらすために! ところが「日本領事館にまつわる黒い噂」に首を突っ込んだばかりに人生最大のピンチが!? 海外生活豊富な作家が 世界で暮らす日本人を描く ハートフルお仕事小説
電子あり
あなたは、誰かの大切な人
あなたは、誰かの大切な人
著:原田 マハ
文芸(単行本)
 咲子が訪れたのは、メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガンの邸。かつてのビジネスパートナー、青柳君が見たがっていた建物。咲子が大手都市開発企業に勤めていたころ、彼は設計士だった。その後二人とも独立し、久しぶりに会った彼の視力は失われようとしていた。青柳君の視力があるうちに、けど彼の代わりに、咲子はバラガン邸の中に足を踏み入れた。──『皿の上の孤独』を含む、六つの小さな幸福を描いた短編集。  咲子が訪れたのは、メキシコを代表する建築家、ルイス・バラガンの邸。かつてのビジネスパートナー、青柳君が見たがっていた建物。いっしょにいるつもりになって、一人でやって来たのだ。咲子が大手都市開発企業に勤めていたころ、とあるプロジェクトで、設計士の彼と出会った。その後二人とも独立して、都市開発建築事務所を共同で立ち上げたが、5年前に彼は鹿児島へ引っ越していった。彼はそのちょっと前に目を患っていた。久しぶりに会った彼の視力は失われようとしていた。青柳君の視力があるうちに、けど彼の代わりに、咲子はバラガン邸の中に足を踏み入れた。──『皿の上の孤独』を含む、六つの小さな幸福を描いた短編集。
秘恋 日野富子異聞
秘恋 日野富子異聞
著:鳥越 碧
文芸(単行本)
 老人は峠に立つ墓標に語りかけた。「──真実は、その時代の権力者の思うがままに捏造されてしまいます。後の世の人々は、あたかもそれを事実と信じてしまい、まことに悔しい限りです。御台さまのことも希代の悪女と申す不心得者が出る始末で、何とも腹立たしくてなりませぬ」老人の名は喬之介。日野富子の幼なじみにして、信念に向かってまっすぐに歩んだ彼女の生涯を最後まで見守り続けた侍者だった──。  老人は峠に立つ墓標に語りかけた。 「──真実は、その時代の権力者の思うがままに捏造されてしまいます。後の世の人々は、あたかもそれを事実と信じてしまい、まことに悔しい限りです。御台さまのことも希代の悪女と申す不心得者が出る始末で、何とも腹立たしくてなりませぬ」  老人の名は喬之介。日野富子の幼なじみにして、信念に向かってまっすぐに歩んだ彼女の生涯を最後まで見守り続けた侍者だった。喬之介は、ひとりの女人を秘かに愛し抜いたことを誇りに思っていた。  まだ伊作と呼ばれていた少年のころの、富子といっしょにいた日野の里での日々に、喬之介は思いを馳せた。「秘恋」の物語が始まった──。
電子あり
九年前の祈り
九年前の祈り
著:小野 正嗣
文芸(単行本)
「握っていなければならぬ貴重な手がふと離れてしまうとき、あたりにたちこめるとりとめのない時間は、甘美な苛酷さへとまがまがしく変容する。その一瞬に立ちあった者の心の乱れは、容易にはおさまるまい。『九年前の祈り』は傑作である。」─蓮實重彦氏絶賛!!幼い息子をつれて海辺の小さな集落に戻ってきたシングルマザーのさなえ。痛みと優しさが胸を衝く〈母と子〉の物語。第152回芥川賞受賞作! 「握っていなければならぬ貴重な手がふと離れてしまうとき、あたりにたちこめるとりとめのない時間は、甘美な苛酷さへとまがまがしく変容する。その一瞬に立ちあった者の心の乱れは、容易にはおさまるまい。『九年前の祈り』は傑作である。」─蓮實重彦氏 「彼女が水辺で、異次元に生きているかのようにも思われる息子と、突然に手をつなぐ。その電撃的な清冽さによって、この小説は尊い。」──朝日新聞・片山杜秀氏 「『現代』と『神話』の同居しているところに作品の愉悦がある」──毎日新聞・田中和生氏 「最も力のある作品」「悲しみに折れない人間の手応えが伝わってくる」──東京新聞・沼野充義氏 「すべてのものを飲み込んでしまうおおらかなたゆたいの中で、小さな粒を、一つのメルヘンとも呼べる澄んだ真珠に育て上げた。」──読売新聞・待田晋哉氏 など、各紙文芸時評で絶賛された傑作! 三十五になるさなえは、幼い息子の希敏をつれてこの海辺の小さな集落に戻ってきた。希敏の父、カナダ人のフレデリックは希敏が一歳になる頃、美しい顔立ちだけを息子に残し、母子の前から姿を消してしまったのだ。何かのスイッチが入ると引きちぎられたミミズのようにのたうちまわり大騒ぎする息子を持て余しながら、さなえが懐かしく思い出したのは、九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった──。 九年の時を経て重なり合う二人の女性の思い。痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語。