講談社文庫作品一覧

墨痕 奥右筆秘帳
墨痕 奥右筆秘帳
著:上田 秀人
講談社文庫
鷹狩りで将軍を護った柊衛吾は、念願の立花家婿入りが決定的に。両家は加増に浴すも、併右衛門はこのまま奥右筆でいられるのか。復権に執念を燃やす松平定信は幕府転覆を狙う京からの刺客と手を結ぶ。異例ずくめの大奥での法要が実現し、招かれ読経する闇の僧たちが、無防備な将軍の前で牙を剥いた! 最高潮圧巻の第十巻!<文庫書下ろし> (2012年6月、講談社文庫として刊行) 幕府転覆を謀る勢力と、ついに手を結んでしまった松平定信。奥右筆の併右衛門らを頭越しに進められた異例ずくめの大奥での法要。大奥深くに、闇の僧兵や忍が入り込む--。 「この文庫書き下ろし時代小説がすごい!」(宝島社刊)第一位。 大人気第一位シリーズ圧巻の第十巻、息を呑む大展開!
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時計館の殺人<新装改訂版>(下)
時計館の殺人<新装改訂版>(下)
著:綾辻 行人
講談社文庫
館に閉じ込められた江南(かわみなみ)たちを襲う、仮面の殺人者の恐怖。館内で惨劇が続く一方、館外では推理作家・鹿谷門実(ししやかどみ)が、時計館主人の遺した「沈黙の女神」の詩の謎を追う。悪夢の三日間の後、生き残るのは誰か? 凄絶な連続殺人の果てに待ち受ける、驚愕と感動の最終章! 第45回日本推理作家協会賞に輝く名作。 本格ミステリならではの驚きと感動、必読の名作!
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時計館の殺人<新装改訂版>(上)
時計館の殺人<新装改訂版>(上)
著:綾辻 行人
講談社文庫
鎌倉の外れに建つ謎の館、時計館。角島(つのじま)・十角館の惨劇を知る江南孝明(かわみなみたかあき)は、オカルト雑誌の“取材班”の一員としてこの館を訪れる。館に棲むという少女の亡霊と接触した交霊会の夜、忽然と姿を消す美貌の霊能者。閉ざされた館内ではそして、恐るべき殺人劇の幕が上がる! 不朽の名作、満を持しての新装改訂版。 「針のない時計塔」は何を語る? 百八個の時計が恐怖を刻むシリーズ代表作!
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ともしびマーケット
ともしびマーケット
著:朝倉 かすみ
講談社文庫
誰もが名も無き日常を諦めと期待の中で生きている――ともしびスーパーマーケット鳥居前店の買い物客も従業員も、彼らの帰宅を待つ家族も、遠くで想う恋人も。そして退屈は前触れもなく破られ、ドラマは否応なしに始まる。割り切れない感情の波を選び抜かれた言葉で描いた、静かな高揚感に包まれた物語。 (2012年6月、講談社文庫として刊行) 退屈は、何の前触れもなく破られる。 誰もが名も無き日常を、諦めと期待の中で生きている――ともしびスーパーマーケット鳥居前店の買い物客も従業員も、彼らの帰宅を待つ家族も、遠くから想う恋人も。そして退屈は前触れもなく破られ、ドラマは否応なしに始まる。割り切れない感情の波を選び抜かれた言葉で描いた、静かな高揚感に包まれた物語。
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ロンバルディア遠景
ロンバルディア遠景
著:諏訪 哲史
講談社文庫
芥川賞受賞作『アサッテの人』の地平を凌駕する遠大な長編 グロテスクなまでに美しい「生」の極致! 「世界の果てをこの眼で見る」と言い残してイタリアへと旅立った若き詩人・月原篤(つくはらあつし)。詩誌の編輯者・井崎修一は、読者に奇妙な後味を与える詩と、野鄙(やひ)で粗暴ながらも吸い込まれるように美しい容姿を持つ篤に惚れ込み、消息を絶つまで書き綴られた詩稿と書簡から、その異様な思索の軌跡を描き出そうと試みる――。 諏訪哲史の文学が、日本語の文学界でどのように持続し変化していくのか、とても興味がわくのだ。私たちの文学界とは、彼のような本質的体質的モチーフを持続しようとすれば窒息してしまう世界であるかもしれない。しかし希薄な空気を吸いながら、その乏しさから異様に強度な表現を生み出した世界の文学者たちが、彼の味方である。――(宇野邦一「解説」より)
にぎやかな天地(下)
にぎやかな天地(下)
著:宮本 輝
講談社文庫
聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が……。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、命の根源に迫る長編小説。(2012年6月、講談社文庫として刊行) 日本の伝統食はこんなに奥が深い。 熟鮓(なれずし)、醤油、鰹節……発酵という営みから「命」の根源を照らし出す傑作長編 聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した、「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が……。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、「命」の根源に迫る長編小説。 ※本書は、2008年4月に中公文庫より刊行されたものです。
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にぎやかな天地(上)
にぎやかな天地(上)
著:宮本 輝
講談社文庫
熟鮓、醤油、鰹節といった日本の伝統的な発酵食品を後世に残す豪華限定本を作ってほしい――。謎の老人松葉伊志郎から依頼を受けた船木聖司は、早速祖母の死とともに消えていた糠床を蘇らせる。その後、料理研究家の丸山澄男の協力で日本各地の職人を訪ねるうちに、微生物の精妙な営みに心惹かれていく。(2012年6月、講談社文庫として刊行) この宇宙に死はひとつもない。 祖母の死について考え抜かれた言葉と、微生物の人知を超えた営みが織りなす壮大な物語 熟鮓(なれずし)、醤油、鰹節といった日本の伝統的な発酵食品を後世に残す豪華限定本を作ってほしい――。謎の老人松葉伊志郎から依頼を受けた船木聖司は、早速祖母の死とともに消えていた糠床を蘇らせる。その後、料理研究家の丸山澄男の協力で日本各地の職人を訪ねるうちに、微生物の精妙な営みに心惹かれていく。 この地球上にいる肉眼では見えない微生物の数は、人間どもの数億倍、いや数兆倍、いや、もう数を示す単位では表現できない個数にのぼるであろう。 そのなかには、人間に害を為し、死に至らしめるやつらも厖大に混じり合っている。 人間の肉眼で見ることができないのは、なにも遠くの宇宙の星々や星雲だけではないのだ。星も星雲そのものも、人間の持つ言葉を超えた巨大さで生死を繰り返し、微生物たちも、いまこの俺の掌のなかで、この部屋の空気のなかで、階段の手すりで、ドアのノブで、鼻の穴や口のなかや食道や肺のあちこちで、生死を繰り返しつづけている……。――<本文より>
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誰の上にも青空はある
誰の上にも青空はある
著:HABU
講談社文庫
「頑張るんじゃない。楽しむんだ」……35万部の人気写真家HABUが贈る、新たな自分と出会うための写真と言葉ーー単調で平凡な毎日に埋もれ、夢やみずみずしい気持ちをおろそかにするのではなく、そこに自分なりの幸せを見つけるためには、どうしたらいいのだろう。美しい空の写真に、明日へのヒントとなる短い文章を添えた、ずっと大切にしたい1冊。25年にわたって「空」を撮り続けてきた写真家が贈る、心に響く写真詩集。
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十津川警部 長良川に犯人を追う
十津川警部 長良川に犯人を追う
著:西村 京太郎
講談社文庫
上野公園でホームレスの段ボールハウスが炎上、十六人が焼死した。放火の疑いを抱いた新聞記者・白木は、被害者と接点のある岐阜へ向かうも、志半ばで射殺される。そして、亀井と共に乗り込んだ十津川も、岐阜県警に捜査を妨害される。巨大な力が真相を闇に葬ろうとしているのだ。十津川、孤立無援の闘い! (2012年6月、講談社文庫として刊行) 上野公園のホームレス、集団焼死事件。真相を闇に葬らんとする巨大な力に、十津川警部が敢然と挑む! 上野公園でホームレスの段ボールハウスが炎上、十六人が焼死した。放火の疑いを抱いた新聞記者・白木は、被害者と接点のある岐阜へ向かうも、志半ばで射殺される。そして、亀井と共に乗り込んだ十津川も、岐阜県警に捜査を妨害される。巨大な力が真相を闇に葬ろうとしているのだ。十津川、孤立無援の闘い! ※本書は、2000年8月にカッパ・ノベルスとして、2003年11月に光文社文庫として刊行されました。
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フェンネル大陸 偽王伝7 終焉の詩
フェンネル大陸 偽王伝7 終焉の詩
著:高里 椎奈
講談社文庫
強大な国力を背景に覇権を握り、今また、ソルド王国に進軍を開始した宗教国家シスタス。しかし一方で、皇王を中心とした治世は繁栄を誇り、民から信頼を集めていた。矛盾を内包した神の国。フェンは、小国に残る友を救うため、シスタス皇王のいる地へと向かう。「フェンネル大陸 偽王伝」シリーズ完結編! (2012年6月、講談社文庫として刊行) シリーズ、完結! 私は知りたい。皇王の考えを……この世界の全てを。 少女フェンの旅立ちの記、完結! 強大な国力を背景に覇権を握り、今また、ソルド王国に進軍を開始した宗教国家シスタス。しかし一方で、皇王を中心とした治世は繁栄を誇り、民から信頼を集めていた。矛盾を内包した神の国。フェンは、小国に残る友を救うため、シスタス皇王のいる地へと向かう。「フェンネル大陸 偽王伝」シリーズ完結編!
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新装版 父 吉川英治
新装版 父 吉川英治
著:吉川 英明
講談社文庫
没後50年 長男だからわかる素顔の作家 『宮本武蔵』『新・平家物語』など数多くの名作を残した故吉川英治の長男である著者が、70歳で逝った父の十三回忌を機に、青梅の吉野村に疎開した昭和19年からの想い出をまとめた一冊を復刻。厳しい作家の側面と、良き家庭人としての素顔を、著者以外の誰もが知り得ない多数のエピソードと共に綴った貴重な追慕の書。(2012年6月、講談社文庫として刊行) 没後50年 長男だからわかる素顔の作家 『宮本武蔵』『新・平家物語』など数多くの名作を残した故吉川英治の長男である著者が、70歳で逝った父の十三回忌を機に、青梅の吉野村に疎開した昭和19年からの想い出をまとめた一冊を復刻。厳しい作家の側面と、良き家庭人としての素顔を、著者以外の誰もが知り得ない多数のエピソードと共に綴った貴重な追慕の書。 とりわけ、楽しかったのは、一時、我が家の毎晩の行事のようになった父の“お話”だった。父が毎晩、私達のために時間を割けたのだから、それは、終戦直後、まったく仕事を断わっていたころの事だと思う。夕食後、書斎の隣の部屋に私達を呼び集め、頼朝、義経から、信長、秀吉、武蔵などの話を連続ドラマのように話してくれた。――<本文より> ※本書は1978年3月に講談社文庫より刊行されたものを加筆・訂正し、巻末に吉川英治自筆年譜を収録しました。
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影法師
影法師
著:百田 尚樹
講談社文庫
「どんなことがあっても貴女(おまえ)を護る」 友はなぜ不遇の死を遂げたのか。涙が止まらない、二人の絆、そして友情。 頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。下級武士から筆頭家老にまで上り詰めた勘一(かんいち)は竹馬の友、彦四郎(ひこしろう)の行方を追っていた。二人の運命を変えた二十年前の事件。確かな腕を持つ彼が「卑怯傷」を負った理由とは。その真相が男の生き様を映し出す。『永遠の0(ゼロ)』に連なる代表作。 「泣くな」父が討たれた日、初めて出会った少年は言った。「まことの侍の子が泣くな」 勉学でも剣の腕でも敵わない。誰よりも優れていたはずの彼が迎えた最期は、予想もしないものだった。 単行本未収録、幻の「もう一つの結末」が巻末袋とじで登場!
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10分間の官能小説集
10分間の官能小説集
編:小説現代,著:石田 衣良,著:睦月 影郎,著:小手鞠 るい,著:南 綾子,著:阿部 牧郎,著:あさの あつこ,著:三田 完,著:岩井 志麻子,著:前川 麻子,著:勝目 梓
講談社文庫
夢中になれる長さです。豪華作家の競宴、「10分で読める」短篇官能小説集。 四ヵ月の別居を経た夫婦が、極限まで妄想を膨らませてたどりついた夜を描いた「ひとつになるまでの時間」(石田衣良)。見目麗しい道場仲間が女だと疑った男が劣情を抑えきれず本人を問い詰めてしまう「刀と鞘」(睦月影郎)。小説現代に好評掲載された名手10人の手になる「10分で読める」短篇官能小説集。 石田衣良「ひとつになるまでの時間」 睦月影郎「刀と鞘」 小手鞠るい「シンプルな関係」 南綾子「シーラカンスの条件」 阿部牧郎「最後の夜」 あさのあつこ「てんにょどうらく」 三田完「鼈(すっぽん)」 岩井志麻子「隣家の女の窓が開いている」 前川麻子「ルヘリデの夜」 勝目梓「トゥエンティー・ミニッツ」
枝付き干し葡萄とワイングラス
枝付き干し葡萄とワイングラス
著:椰月 美智子
講談社文庫
夫に突然離婚を切り出された妻の悲嘆が消えた瞬間。第2子を身ごもった女が目にした、産婦人科での光景。浮気相手の妊娠を妻に告げた夜。人生の豊饒の時、「結婚後」の男女の点景を通して、あたりまえの生活をいとなむ、そのすぐそばに潜んでいる奇異なものたちを見逃さずに描き出した、傑作短編小説集。(2012年6月、講談社文庫として刊行) だってぜんぜん平気なのだ。夫と口をきかなくたって。 自分はこんなにも非情だったのか。 夫に突然離婚を切り出された妻の悲嘆が消えた瞬間。第2子を身ごもった女が目にした、産婦人科での光景。浮気相手の妊娠を妻に告げた夜。人生の豊饒(ほうじょう)の時、「結婚後」の男女の点景を通して、あたりまえの生活をいとなむ、そのすぐそばに潜んでいる奇異なものたちを見逃さずに描き出した、傑作短編小説集。 ●城址公園にて ●風邪 ●夜のドライブ ●たんぽぽ産科婦人科クリニック ●プールサイド小景 ●七夕の夜 ●枝付き干し葡萄とワイングラス ●甘えび ●おしぼり ●どじょう ※本書は2008年10月に小社より単行本『超短編を含む短編集 枝付き干し葡萄とワイングラス』として刊行されました。
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みきわめ検定
みきわめ検定
著:椰月 美智子
講談社文庫
この男とキスのその先をするかどうかの、慎重なみきわめ。電車待ちのホームで突然わき起こる、見ず知らずの冴えない男に抱かれたい衝動。恋人に別れを告げられた女の一日。人生の花の盛り、「結婚前」の男女の点景を通して、日常に突如おとずれる取り返しのつかない瞬間を鋭敏に描き出した、傑作短編小説集。(2012年6月、講談社文庫として刊行) しでかした失敗は取り返しがつかない。道はいくつかあったのに。 人生の花の盛り「結婚前」の男女の点景。 この男とキスのその先をするかどうかの、慎重なみきわめ。電車待ちのホームで突然わき起こる、見ず知らずの冴えない男に抱かれたい衝動。恋人に別れを告げられた女の一日。人生の花の盛り、「結婚前」の男女の点景を通して、日常に突如おとずれる取り返しのつかない瞬間を鋭敏に描き出した、傑作短編小説集。 ●みきわめ検定 ●死 ●沢渡のお兄さん ●六番ホーム ●夏 ●と、言った。 ●川 ●西瓜 ●きのこ ●クーリーズで ●彼女をとりまく風景 ※本書は2008年10月に小社より単行本『超短編を含む短編集 みきわめ検定』として刊行されました。
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新装版 呑々草子
新装版 呑々草子
著:杉浦 日向子
講談社文庫
日本男児の理想の臀部を求めて三大裸祭りへ! 高速夜行バスで東京―鹿児島往復40時間0泊3日の旅! 酉年に鶏を食いに鳥取へ! 意味なし意義なし目的なし、起承なければ転結もなし。日本全国を呑々経巡(へめぐ)る愚行三昧の阿呆旅。34歳にして隠居宣言した著者の爆笑珍体験イラストエッセイ三部作、第2弾。 連続復刻第2弾! 酒豪。イエ滅相もない。呑んで呑んでにあらじ、のんびり呑気に、の、呑々で。(ヒナコ) 日本男児の理想の臀部を求めて三大裸祭りへ! 高速夜行バスで東京―鹿児島往復40時間0泊3日の旅! 酉年に鶏を食いに鳥取へ! 意味なし意義なし目的なし、起承なければ転結もなし。日本全国を呑々経巡(へめぐ)る愚行三昧の阿呆旅。34歳にして隠居宣言した著者の爆笑珍体験イラストエッセイ三部作、第2弾。
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儒教と負け犬
儒教と負け犬
著:酒井 順子
講談社文庫
どんなに美人でも仕事ができても30代以上、未婚、子ナシは負け犬! 大ベストセラー『負け犬の遠吠え』から6年。「なぜ我々は負け犬になったのか?」そのさらなる答えを求めて、著者は韓国、中国に飛んだ! かの地で出会った同胞=負け犬たちの生き方を通して浮き彫りになった、我ら“負け犬”真の敗因とは? (2012年6月、講談社文庫として刊行) 東京・ソウル・上海、負け犬三都物語! 東京の負け犬は、上海では「余女」、ソウルでは「老処女」と呼ばれていた! 儒教の影響が残る三国の負け犬たちの比較で、結婚できない事情がいっそう明らかに。 内容(「BOOK」データベースより) 負け犬(日本)、老処女(韓国)、余女(中国)。何故、この三国で晩婚化が進むのか?負け犬の敗因が浮き彫りに…。
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英国太平記
英国太平記
著:小林 正典
講談社文庫
「栄光のためでなく、富のためでなく、名誉のためでもない。ただ自由のためにのみ我々は戦う」。のちにアメリカ独立、フランス革命の礎となったその宣言は、隣の強国イングランドに迫害されながらも粘り強く戦いぬいたスコットランドの名もなき人々の魂の叫びだった。中世英国を描ききった一大歴史叙事詩。(2012年6月、講談社文庫として刊行) 英国統一、フランス征服の野望に燃える中世イングランド 反撃を繰り返すスコットランド 30年の死闘。 「栄光のためでなく、富のためでなく、名誉のためでもない。ただ自由のためにのみ我々は戦う」。のちにアメリカ独立、フランス革命の礎となったその宣言は、隣の強国イングランドに迫害されながらも粘り強く戦いぬいたスコットランドの名もなき人々の魂の叫びだった。中世英国を描ききった一大歴史叙事詩。 「逃走、忍耐、反撃、戦闘という迫力満点のドラマがたたみかけるように続いていく。いやあ、面白い。」――北上次郎(解説より) ※本書は2009年5月、早川書房より単行本『英国太平記 セントアンドリューズの歌』として刊行されました。
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ゼロの王国(下)
ゼロの王国(下)
著:鹿島田 真希
講談社文庫
愚かなまでに清い吉田青年の純粋さに憧れる人々は、彼を中心にしたサークル活動を開始。平等な社会の実現を目指し、誰もが憎しみや貧困から逃れられるという「繰り返しの作業」に没頭する。一方、不幸せな結婚に向かうユキに惹かれる吉田青年は心を襲う初めての感情に戸惑う。“聖なる愚か者”の恋のゆくえは。芥川賞・三島賞・野間文芸新人賞受賞作家の最高傑作。(2012年6月、講談社文庫として刊行) 愚かなまでに心の清い青年への憧れから、人々は彼を中心としたサークル活動を始める。 ある者は名前を書き続け、ある者は椅子を磨き続ける。 過酷な「繰り返しの作業」の果てに、平等な社会(ユートピア)は生まれるか。 世にも滑稽な“聖なる愚か者”吉田青年の、恋のゆくえは。 愚かなまでに清い吉田青年の純粋さに憧れる人々は、彼を中心にしたサークル活動を開始。平等な社会の実現を目指し、誰もが憎しみや貧困から逃れられるという「繰り返しの作業」に没頭する。一方、不幸せな結婚に向かうユキに惹かれる吉田青年は心を襲う初めての感情に戸惑う。“聖なる愚か者”の恋のゆくえは。 「単純な繰り返し作業ならなんでもいいんです。君は神学生なのですから、教会の椅子の掃除などはどうですか? 一つ一つ、椅子に座っている信者さんの顔を思い浮かべながら、椅子を磨くんです。最初は退屈で過酷な労働かもしれませんが、やがて、僕のように甘美な気持ちに包まれることでしょう。だけど、この作業には一つだけきまりがあるんです。それは、この作業をしていることを秘密にするということなんです。僕の宛名書きの作業は、人に見られてしまいますが、心の中を甘美な気持ちで満たす、その作業の実践をしていることは、同僚には秘密です」(本文より)
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ゼロの王国(上)
ゼロの王国(上)
著:鹿島田 真希
講談社文庫
宛名書きのアルバイトで生計を立てる吉田青年は、滑稽なまでに心が清く純粋だ。ある日彼は、人々から軽蔑されたいと願う美少女・佐藤ユキに出会う。ユキは不幸になるため、美しく穏やかな青年医師・小森谷からのプロポーズを受けるのだと吉田青年に話す。ひとつの恋のすれ違いが生む、めくるめく会話劇。芥川賞・三島賞・野間文芸新人賞受賞作家の最高傑作。(2012年6月、講談社文庫として刊行) 滑稽なまでに心の清い青年。 不幸になりたいと結婚に踏み切る女性。 富豪から贈られた一億円を燃やす美女。 無意識に愚図な女性を好む青年医師。 すれ違うひとつの恋が、人々の心をあばいてゆく。 いま最も芥川賞に近い作家の最高傑作。 宛名書きのアルバイトで生計を立てる吉田青年は、滑稽なまでに心が清く純粋だ。ある日彼は、人々から軽蔑されたいと願う美少女・佐藤ユキに出会う。ユキは不幸になるため、美しく穏やかな青年医師・小森谷からのプロポーズを受けるのだと吉田青年に話す。ひとつの恋のすれ違いが生む、めくるめく会話劇。 「私はこの結婚で自分が不幸になることを知っているの。だけどいいのよ。私は誰かに利用されて、めちゃくちゃにされたいのだわ。御覧なさい。私は、狂気でも死でもない道を選ぶことになるでしょうよ。私は、自分を軽蔑してくれる人なら誰でもいいの。あなたじゃなくてもいいの。私を軽蔑する男はたくさんいるわ。いろんな理由でみんな私を軽蔑するわ。すぐに性交させるからとか、あるいはただ女だからという理由で私を軽蔑する男もいるわ。でもいいの私は軽蔑されたいの、そのことを素敵だと思っているわ。これは罰とは違うものよ。一種のへりくだりなのよ」(本文より)
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