講談社文庫作品一覧

追懐のコヨーテ The cream of the notes 10
講談社文庫
平凡な毎日も、すべてが一生に一度のことである。
静かな生活と確かな観察。
生き方を整える大人気エッセィ!
文庫書下ろし
「仕事」というのは、つまり罰ゲームである/
オリンピックをやるかやらないかの議論は、十年遅い/
「中途半端」というのは、それほど悪い状態ではない ほか
「全力を尽くすな」が親父の教えの一つだった――という人気作家が、世の中の不思議な「空気」を正面から考察。庭の芝生について語り、コロナ禍の都会の弱点を衝き、火星を飛ぶヘリコプタに驚く。自由な視点から綴られた100編のエッセィ。冷静な言葉が見えない未来を照らし出す人気シリーズ第10巻!

悪の公式
講談社文庫
赤石定造は、香港で人を買った。定価1円。彼はその男に500ポンドの保険をかけ、阿片を吸わせ女を抱かせることによって彼の精力を涸らし、1週間めに殺すことに成功した。保険金で定造は教会を建て、カトリック信者を装いながら、教会を阿片と売春の巣窟に作りあげた。こうして手始めの「銭」を掴んだ定造は、貿易商社を設立して帰朝し、KK赤石を造りあげ、悪の公式、つまり殺人・脱税・不正輸出などなどによって、あくなき「銭」への欲望を果していく。しかし「悪の公式」は、やはり万能の公式ではない……。「銭」を得るために手段を選ばぬ資本主義の公式を鋭くあばく、長編悪漢小説。

密航
講談社文庫
川口と有賀は、予科練上りの米軍通訳という経歴も同じだったし、年齢・性格も似かよっていた。粗暴な米軍人に対する共通した反感が惹き起したある事件を契機に芽生えた友情は、お互いの体内に欝積していく若さと可能性の残滓を確認しあうことで、さらに強固なものとなっていった。二人の若者にとって、未知の可能性はアメリカにしかないもののようであった。綿密な計画がたてられ豪華船に忍び込んだ二人は、満月のハワイ沖で、デッキから相次いで海中に身を躍らせた……。既成社会のモラルの中で、なお若者のエネルギーの純粋性を主張する、著者の野心作5篇を収録。

海の地図
講談社文庫
晶子は、啓介と、若く物憂い逸楽の夏を、海浜で過していた。ある夕方、残照の中を、喪の半旗を掲げたヨットが、入江に入った。渚へおりた晶子は、初老の船長・外村に出会い、なぜか全身に戦慄を感じた。やがて晶子は、父と外村が、今は亡き母をそれぞれ愛し、叔母もまた外村を愛していた、という隠された過去を知る。ある日、ヨットで沖へ出た啓介と晶子は、突然の嵐で遭難し、偶然、外村のヨットに救われる。外村は、かつて愛した女の遺児との邂逅に運命の手を感じ、晶子もますます、外村に魅かれていった。二人はかたく唇を交すのだが・・・・・・。長編ロマン小説。

汚れた夜
講談社文庫
雨の井ノ頭公園の池に車が落ち、その中で女が死んでいた。残された男もののライターから、婚約者の秋月という男が浮かびあがったが、彼にはアリバイがあった。罠のにおいがした。そのにおいを頼りに、ひとりの刑事が動き始めた。すると、秋月のシロを証明した女が殺され、つづいてその女の部屋で、もうひとり中年の男の屍体が発見された。行方をくらました秋月は、いったい被害者なのか、加害者なのか? ……手さぐりで事件の核心に迫ろうとする刑事の行動の軌跡によって、戦争の傷痕と政治の腐臭とを、生き生きと描き出した、本格的な社会推理小説である。

買占め
講談社文庫
山協証券営業部長の美川道三は、熱海の旅館業者・大林、山県たちと組んで、北千住に工場をもつ東部ゴムの株の買い集めに狂奔した――。減配をうわさされるような業績のふるわない不良会社の株を、なぜ、美川たち一派は買いまくっていったのであろうか……。地下鉄工事にからむ工場買収で、33億円という大金が手に入るという情報をひそかににぎった大林たちが、東部ゴム乗っ取りのための株集めの先鋒として、美川をもひきこんだのであったが……。資本主義の裏側に仕組まれた巨大企業の利潤追求のカラクリに敢然と挑戦する、一匹狼の物語を巧みに描く野心的長編。

時生 新装版
講談社文庫
「あんた、逃げられて当然。
一緒に彼女を追いかけよう!」
あの日共に旅した謎の青年は
未来の息子だった
東野圭吾による切なすぎる奇跡の物語
ーーー
難病の息子を看取る直前、宮本拓実は不意に思い出した。
俺は昔こいつに出会っている――。
どうしようもない若者だった
拓実の前に現れた謎の青年・トキオ。
突然失踪した恋人を彼と共に追ううち、
彼女が巻き込まれた陰謀、
そして拓実を捨てざるを得なかった母や
顔も知らない父の秘密が明らかになっていく。

福の神 大江戸閻魔帳(六)
講談社文庫
困った人は放ってはおけない。
閻魔堂に倒れていた爺さん、麟太郎の貧乏神か、福の神か。
心もあたたかくなる人情始末帳。
元浜町の閻魔長屋に住み、戯作者閻魔堂赤鬼の顔も持つ、南町奉行所も頼りにする青山麟太郎のもとに舞い込む四つの事件。
第一話 御贔屓
麟太郎の筆名に似せた閻魔堂青鬼という者が旗本屋敷の御家騒動を実名で描いた絵草紙を出し、騒動に。作者と疑われた麟太郎は、青鬼の正体をつきとめようとするが。
第二話 権兵衛
閻魔長屋の大工の女房おゆきが必死に閻魔堂に願をかけている。昔の悪い仲間に脅されているのか、もう五日も旦那が帰ってないという。おゆきを影のように護る謎の浪人、権兵衛とは。
第三話 福の神
閻魔堂の中で熱を出し倒れていた老人彦六を助けて以来、麟太郎は金が次々と舞い込み、ツキに恵まれた。いかにも貧乏神のような彦六は、麟太郎にとって福の神に思えたが。
第四話 御隠居
絵草紙が書けない麟太郎に、呉服屋の御隠居のお守りの仕事が。御隠居は老女で、片平祐馬という名の、二十年前、御家取り潰しに遭った御家人の倅の行方を捜していた。

作家ごはん
講談社文庫
「先生、原稿ください!」
新米編集者が隠居同然の作家とたべるおとりよせ飯。
ドラマ化でも人気の『侠飯』著者による、エンタテインメント・グルメ小説!
ドラマ化やコミカライズでも人気を博したシリーズ作品『侠飯(おとこめし)』の著者が、自身愛食の絶品お取り寄せグルメ食材と作家としての極意やうんちくを全開に綴る、異色エンタテイメント・グルメ小説。
入社ほやほやの文芸編集者・山野内和真が担当するのは「書かずのチクリン」の異名をとる竹林賢一郎。
東京のはじっこ・高尾山の麓にある瓦葺の一軒家に一人住まいで隠居同然の竹林は、もう何年も新作を出していない。
のらりくらりの竹林は和真が訪ねるたび、お取り寄せ料理を食卓に並べるばかり。そして、いつも物故作家たちの伝説的エピソードを和真に講釈する。
ご飯が美味しいのはいいけれど、いったい和真は竹林から原稿をもぎ取ることができるのか?
かわいらしい作家志望女子も登場し事態はさらにややこしくなって……。(講談社文庫創刊50周年文庫書下ろし)

妖し火 公家武者信平ことはじめ(六)
講談社文庫
江戸に大火あり。
災いに理由あり。
解き明かすは
京より来たりし公家武者なり。
☆☆☆
累計130万部突破!
大人気時代小説シリーズ
☆☆☆
江戸城天守閣、焼失。
信平は赤坂御門内に拝領したばかりの屋敷を失い、
妻・松姫は城下の惨状に心を痛めて寝込んでしまう。
荒れる城下を鎮めるため、将軍家綱に金千両を与えられた信平は、
その金子を焼け出された民に使うよう伝える(「妖し火」)。
実在した公家武者の爽快無比な立身譚、始まりの物語第六弾!

恵比寿屋喜兵衛手控え 新装版
講談社文庫
争いごとは世の常、人の常。江戸の世でその争いの相談を受けるのが恵比寿屋のような公事宿だ。
今日も、恵比寿屋に自分の兄が見知らぬ男に金を返せと訴えられていると、若い男が相談に来た。
その訴えを聞いた、主の喜兵衛は怪しいにおいを感じとる。事件の真相は如何に?
江戸の街に生きる市井の人々を、愛情込めて描く長編時代小説。第110回直木賞受賞作。

戦百景 桶狭間の戦い
講談社文庫
有名な合戦を深掘りする、書下ろし歴史小説。シリーズ第2弾は、歴史の流れを変えた「日本三大奇襲」の一つ。なぜ奇跡は起きたのか!
事の起こりは今川義元敗死の6年前に遡る。天文23年(1554年)、「甲相駿三国同盟」が成立すると、甲斐の武田信玄は北の信濃に向かい、相模の北条氏康は東の関東支配を進め、駿河の今川は西の尾張に狙いを定めることが可能になった。義元はそのときすでに「天下」を見つめていた。
他方、尾張の織田信長。父・信秀の急逝によって18歳で家督を継ぐものの、領国内での勢力争いに明け暮れ、ついには弟・信行を謀殺し領主の地位を築く大きな一歩を踏み出した。義元との決戦の3年前のことだった。
永禄3年(1560年)、三国同盟によって後顧の憂いのなくなった義元は、駿河・遠江・三河、三国の兵4万5千を催して西進を開始する。尾張をめざして。対して、一国を治めきっていない信長が結集できる兵数は2千と少し。まともに太刀打ちできそうもない兵力差に、信長はどんな手を打つのか。歴史に名を刻むことになる世紀の奇襲戦が刻々と迫っていた……。

歪んだ波紋
講談社文庫
ニュースという名の「悪意」――。
累計75万部突破『罪の声』の著者、真骨頂の報道小説!
地方紙記者の沢村は、調査報道チームのデスクから一枚の写真を見せられる。
同僚記者が、ひき逃げ事件の犯行車両とスクープしたものだ。
「この車、遺族宅にあるらしい」。
沢村は取材へ急行する。
犯人は家族なのか――(「黒い依頼」)。
「誤報」を通じて現代社会の虚と実に迫る、著者会心の傑作。
NHKドラマ原作
吉川英治文学新人賞受賞作
解説 武田砂鉄(ライター)

落語魅捨理全集 坊主の愉しみ
講談社文庫
名作古典落語をベースに当代一の謎(リドル)マスター山口雅也が描く、愉快痛快奇天烈な江戸噺七編。
「猫の皿」「品川心中」「時そば」「あたま山」「花見の仇討」などお馴染みの演目に密室が!?
骨董と博打に目がないにせ坊主・無門道絡と巡る江戸自由自在。
傑作『生ける屍の死』の著者が描く語りの妙味溢れる新機軸意欲作。

陰陽少女 妖刀村正殺人事件
講談社文庫
老舗温泉旅館で行われる競技かるた歌龍戦。
高校生名人・水里あかねは、一勝一敗の後、対戦相手を含む三人殺しの容疑で緊急逮捕される。
実予県警の外田警部の粘着捜査と、美少女陰陽師・小諸るいかの論理が
あかねの嫌疑を晴らすとき、犯人はこの世ならぬ姿を現す。
オカルト×ミステリーの最終兵器ふたたび!

破蕾
講談社文庫
まさか、官能小説で泣くなんて!!!
現世の業に囚われた女たちを待ち受ける、淫靡で切なすぎる運命――。
山科理絵氏の豪華挿絵入りでおくる、禁断の「時代×官能」絵巻!!
旗本の屋敷に差し入れを届けたお咲。不相応な歓待に戸惑う中、ある女に科せられた「市中引廻し」の身代わりになれと命じられる。驚く間もなく緊縛された彼女を待ち受けていたのは、想像もしなかった淫靡な運命だった――。
「咲乱れ引廻しの花道」
「さぁ、もっと……わたくしをお聞き下さって」
夫の殺害未遂で囚われた芳乃(よしの)。その身体からは得も言われぬ薫香が漂い――。
「香華灯明、地獄の道連れ」
「どうせなら、こちらに来ませんか」
道場の娘・景(けい)が目にしたのは、睦(むつ)み合う二人の兄弟子の姿だった。
「別式女、追腹始末」
業に囚われた女たちの切なく儚い性を描いた傑作官能連作集!

イーハトーブの幽霊
講談社文庫
「犯人は幽霊なのでしょう?」
宮沢賢治ゆかりの地で起きた連続殺人に浅見光彦が挑む!
人気ミステリーシリーズ登場!
宮沢賢治が「イギリス海岸」と名付けた岩手県花巻の北上川の岸辺に男性の殴殺死体が漂着。
被害者は事件直前に「幽霊を見た」と怯えていたという。
続けて賢治作品の舞台「さいかち淵」でも毒殺された男性が見つかり……。
天才作家をにおわせる殺人が意味するものとは? 幽霊の正体は?
浅見光彦が真相に迫る。

霊獣紀 獲麟の書(上)
講談社文庫
大ヒット作「金椛国春秋」シリーズに続く気鋭のファンタジー作家の注目作。「三国志」の時代から続く戦乱の中国、五胡十六国時代。人界に囚われた霊獣・一角麒と奴隷から盗賊に身を転じたベイラの、冒険と戦いの物語。壮大なスケールで中国の戦乱の世を描き、そこに育まれる二人の友情愛を感動的に描く本格的中華ファンタジー、第一弾『獲麟(かくりん)の書』、二ヵ月連続堂々刊行。(講談社文庫50周年記念特別書下ろし作品)

天空の鏡 警視庁殺人分析班
講談社文庫
左目を奪い去る猟奇殺人犯を追え!
過去の未解決事件との不可解な共通点。
塔子を待ち構える衝撃&切なすぎる真相とは――?
大人気「警視庁殺人分析班」シリーズ最新作!!
★★★★★
麻見和史がおくる2大シリーズ、3ヵ月連続刊行!!
11月 『天空の鏡』(「警視庁殺人分析班」シリーズ)
12月 『邪神の天秤』(「警視庁公安分析班」シリーズ第一作!)
1月 『偽神の審判』(「警視庁公安分析班」シリーズ第二作!)
そして――
「警視庁公安分析班」シリーズが2022年初頭、WOWOWにてドラマ化!!
WOWOW 連続ドラマW 「邪神の天秤 公安分析班」
★★★★★
『天空の鏡』あらすじ
解体予定のビルで、左目を抉りとられた変死体がみつかった。遺体の状況が十年前の未解決事件と酷似していると知った如月塔子ら殺人分析班。アヌビスと名乗る当時の犯人が再び動き始めたのか? 手がかりをつかめず焦る塔子らをしりめに、次なる左目のない遺体が見つかってしまう……。

もう生まれたくない
講談社文庫
マンモス大学の診療室に勤める春菜、シングルマザーの美里、二人の謎めいた友人の神子。震災の年の夏、「偶然の訃報」でつながった彼女たちの運命が動き始める――。
新聞に載る死。テレビで騒がれる死。どこかでひっそり終わった死。有名人の死。身近な人の死。名も知らぬ遠い国の誰かの死。
そのどれもが身近で、私たちの人生と隣り合わせにある。死を描くことで今を生きることの意味を見出す、著者新境地。