講談社文庫作品一覧

あほうの星
講談社文庫
班長からあほう扱いされるうちに自信をなくしてしまった「八つぁん」、「ハエ」1匹のために命を落した男、あほうの振りをして生き抜こうとした男……。明日も知れぬ戦場での、無力な人間の生き方を活写した「あほうの星」に、姉妹編「ばかばやし」を収録――戦争の中でせいいっぱい生きる庶民の姿を描き続ける、長崎文学の原点というべき代表作。

院内刑事 フェイク・レセプト
講談社文庫
<公安警察OBが大病院を守る人気シリーズの第三弾>
著者自身が元公安で、現在は危機管理コンサルタントも務めているからこそ書けるリアルな描写は必読!
女性初の総理候補の出産、引きこもり青年の入院、チンピラの医療費未払い――大病院の危機管理を一手に担う公安警察OB・廣瀬知剛の元に、県警から新しい仲間が加わり、チーム院内交番が本格始動。
レセプト(医療報酬明細書)のビッグデータから、極左とヤクザが絡む大がかりな不正をあぶり出す!

鷹の砦 警視庁殺人分析班
講談社文庫
東京西部の山中で立てこもり事件が発生。人質を取り興奮した様子の男は、殺人事件の被疑者として如月塔子らが追っている危険人物だった。男の要求通り塔子と人質の身柄を交換すると、塔子はまんまと車で連れ去られた……白骨遺体が眠る真っ暗な壕に。犯人の真意が暴かれる時、思いもよらぬ過去が呼び起こされる!

銀行狐
講談社文庫
「正義? ある程度までいくと、政治力でねじ曲がるやつのことか?」
金と人情にまつわる傑作人間ドラマ五編。2004年講談社文庫刊『銀行狐』の新装版。
銀行には金と秘密と謎がある。いや時には、「狐」から頭取宛てに恐ろしい脅迫状が届いたり、金庫室から老婆の頭部が見つかることも――怨みを買うことは日常茶飯事、となれば犯人像もまた多岐にわたる。動機は金の怨みか、憎しみか、悲しみか。日常に亀裂が走り、平凡な人間に魔が差すときを描いたミステリー短編集全五編。

西鹿児島駅殺人事件
講談社文庫
西鹿児島駅行の寝台特急「明星51号」の車中で殺された男のポケットには、不思議なラブレターがあった。
同じ内容の手紙を謎の女から受け取った帰省中の田中刑事も刺殺された。台風の接近、降り注ぐ桜島の火山灰、殺人の刑期を終えて復讐をちかう男を迎えて、緊迫する西鹿児島駅。
部下の無念を晴らすため、鹿児島入りした十津川警部の奮闘を描く、旅情と息づまるサスペンスの傑作長編推理。

レイトショー(下)
講談社文庫
レネイは、ロス市警のエリート部門である本部強盗殺人課の殺人事件特捜班で殺人事件担当刑事として五年余り勤めていたが、二年まえ、班長に着任したロバート・オリヴァスにセクハラをされ、それを告発したものの、セクハラ現場に居合わせたパートナーのケン・チャステイン(『エンジェルズ・フライト』の最後に暴徒に襲われて死亡したロス市警内務監査課刑事ジョン・チャステインの息子)が保身のため、レネイの告発を裏付ける証言をしなかったせいで、告発は不問に終わり、レネイはハリウッド分署に飛ばされ、分署長がオリヴァスと警察学校の同期だったことから、”深夜番組(レイトショー)"と呼ばれる夜勤担当にさせられた。以来二年、深夜番組をパートナーのジョン・ジェンキンズとともに粛々と勤めているが、事件の本格的捜査は、昼勤担当刑事がおこなうため、やりがいを覚えずにいた。
そんなある夜、受け持ち地域で、三件の事件が起こり、レネイたちは、処理に追われる。
一件は、自宅に空き巣が入り、財布が盗まれ、クレジットカードが不正使用されたというひとり暮らしの老婦人の対応。
二件目は、暴行事件。女性がひどい暴行を受けた状態で駐車場に放置されていたのが見つかり、レネイたちが運ばれたERに赴いたところ、被害者ラモナ・ラモネ(女装男性)は、「さかさまの家」という謎の言葉を残して、昏睡状態に陥る。
病院にいたレネイたちに、三件目の緊急連絡が入る。ハリウッドのクラブ「ダンサーズ」で、発砲事件が起こり、四人が即死、ひとりがレネイたちのいる病院に緊急搬送されているところだという。レネイは、緊急搬送されている被害者を病院に残って担当し、ジェンキンズは、現場の応援に来いとのことだった。
病院に運ばれた被害者の女性シンシア・ハデルは、到着時死亡で助からなかった。彼女は、クラブのウェイトレスで、発砲事件に巻き込まれたのだった。
クラブのブースに座っていた四人組のうちひとりが、他の三人を撃ち殺し、逃げる途中で、立ちはだかった用心棒を撃ち、その巻き添えでシンシアも撃たれてしまったのだった。逃げた犯人の行方は杳として知れなかった。
シンシアの死亡を確認し、クラブの事件現場に向かったレネイは、捜査の指揮を取っているのが、かつての上司オリヴァス率いるチームであることを知る。パートナーだったチャステインもいた。オリヴァスは、シンシアの情報を受け取ると、レネイに事件現場から立ち去るよう強く命じた。

エウレカの確率 経済学捜査と殺人の効用
講談社文庫
建設会社社員・飯田功の死体が、自宅近くの崖下で発見された。現場に遺書が残されていたことから警察は自殺と判断して捜査を終える。だが、海外出張から戻って二日後、2歳の幼子と妻を残して自殺したことに、経済学の理論で事件を解決してきた異色の捜査員・伏見真守は疑問を覚える。行動経済学の「効用」に当てはまらないのだ。人事交流で来日した中国公安部エリート捜査官・王花琳とともに再調査に乗り出す伏見。談合疑惑、建築偽装、裏金問題と、事態は思わぬ方向へ!

五郎丸の生涯
講談社文庫
動物は、常に優しく人間に寄り添う。ただ、彼らの一生は本当に幸せだったのだろうかーー。
秋田犬・五郎丸は、いく人かの飼い主を得ることになった。その生涯は幸せだったのか。
乱歩賞作家が動物を通して人間を描いた連作短篇集。
第一話 納屋の犬
第二話 フォックスファイア
第三話 救世主
第四話 捨てられし者
第五話 相談者
第六話 むくの犬
最終話 朝焼けの光

お京危うし 鶴亀横丁の風来坊
講談社文庫
彦十郎を助けてきた紅屋のお京が行方不明に。浅草寺の広小路で八百屋の娘と攫われたらしい。
真相を探ると色気で売る料理茶屋を営む親分一家の影が浮かんだ。
口封じで仲間殺しも厭わぬ極悪非道の一味には、腕の立つ牢人も。
剣の勢いに押され、大川に逃れた彦十郎らに反撃の秘策は見つかるか?
〈書下ろし〉

帝の刀匠 公家武者 信平(七)
講談社文庫
どこからでも読める、エンタメ度満点の大人気時代小説「公家武者シリーズ」第7弾。
戦国時代の名刀・露斬りの出物が同時に二本現れた。本物は大名が買った二千両の刀か、二百両の与力の刀か? 信平は切れ味比べに立ち会うが、贋作は本物に勝るほどの最上品だった。なぜか刀を鍛えぬ謎の鍛冶職人が何者かに拉致され、信平が向かうは愛息・信政の修行先、京。黒幕はどこにいる?
【実在の「公家武者」松平信平】
1636年、公家としては最高の家格の鷹司家に生まれる。15歳で江戸へ下り、徳川家光から歓迎され武士となる。徳川家綱の計らいで紀州徳川家の娘・松姫と契りを交わし、それから松平家を称した。

世界の混沌を歩く ダークツーリスト
講談社文庫
危険地帯ジャーナリスト・丸山ゴンザレスが見た世界のうねり。麻薬戦争、マリファナ合法化、難民、貧困、ブラックビジネス、スラム街、大都市の陰影。世界中にあふれる様々な「闇」と、そこに生きる人々を追いかけ問い続けた、クレイジーな旅の記録。その後のストーリーと、作家・佐藤究との対談を新たに収録。
これだけ危険地帯に行っているゴンさんの座右の銘のひとつが、
”right time, right place”で、
つまり「正しいときに、正しい場所にいる」こと。
――佐藤 究(巻末対談より)

歴史劇画 大宰相 第四巻 池田勇人と佐藤栄作の激突
講談社文庫
安保の争乱は岸信介を退陣へ追い込んだ。
総理の椅子についた池田勇人の下、日本は高度経済成長と所得倍増政策で経済大国への道を歩みはじめる。一方、河野一郎は池田に急接近し、岸信介・佐藤栄作兄弟は「反池田」にまわる。
ともに「吉田学校」の俊英といわれたかつての盟友・池田と佐藤はついに激突する。しかし、その池田も病には勝てず、東京オリンピックを花道に辞職。佐藤政権が誕生した。
ここから5年半に及ぶ長期政権が始まるが、水面下では、田中角栄と福田赳夫の「角福戦争」が始まっていた。戦後日本の政治史を活写した傑作劇画、第4弾!
文庫版解説:池上彰

ニャンニャンにゃんそろじー
講談社文庫
猫のいない人生なんて! 良いときも悪いときも、富めるときも貧しいときも、健やかなるときも病めるときも、いつでも猫にいてほしい。猫を愛してやまない9人の作家・漫画家が贈る、猫好きのためのアンソロジー。愛されるより愛したい。その猫愛を存分に満たす、バラエティに富んだ作品たちが、1冊に。
〈猫小説〉
有川ひろ 『猫の島』
町田康 『諧和会議』
真梨幸子 『まりも日記』
小松エメル 『黒猫』
蛭田亜紗子 『ファントム・ペインのしっぽ』
〈猫マンガ〉
深谷かほる 『夜廻り猫』
ねこまき(ミューズワーク)『猫の島の郵便屋さん』
北道正幸『ネコ・ラ・イフ』
ちっぴ『ヅカねこ』

雨あがる 映画化作品集
講談社文庫
安宿で妻と暮らす浪人の伊兵衛は、学問から武芸まで器用にこなす。
だが、優しすぎる性分ゆえ、仕官が決まりかけては立ち消えになる日々が続いていた。
ある日、喧嘩の仲裁で見せた刀の腕前が藩の老職の目に留まるも――。(雨あがる)
本作では、黒澤明に「赤ひげ」として映画化された「狂女の話」をはじめ、「深川安楽亭」「雨あがる」など名作六篇を収録。
名監督も惹かれた世界をご堪能ください。

ビギナーズ・ラボ
講談社文庫
文系で創薬素人が、まだこの世にない治療薬を創る!?
製薬会社で働く恵輔は、祖父が入所する老人ホームで千夏に出会い、恋に落ちる。
しかし、彼女は治療薬が存在しない致死性の難病”ラルフ病”に冒されていた。
彼女を救いたい一心から恵輔は、文系で創薬素人でありながら、自らの手で彼女のために治療薬を開発するという無謀な挑戦を始めるが――。
シリーズ累計57万部突破の「化学探偵Mr.キュリー」の著者が贈る感動作!
※本書は、小社より2017年に刊行された『ビギナーズ・ドラッグ』を文庫化にあたり、改題したものです。

神の時空 京の天命
講談社文庫
松島、天橋立、宮島。日本三景と呼ばれる名勝が次々と倒壊炎上し、籠神社で神職が惨殺される。高村皇らの最大の仕掛けの始まりだった。神々を鎮めるため、辻曲兄妹と関わりのある女性たちが全国の神社に散る。摩季が亡くなり六日目、「死反術」を執り行う期限も迫る。八年前、天橋立で辻曲夫妻を巻き込んだ大事故の真相とは? これまで日本の怨霊を揺り起こしてきた高村皇の真意が明かされる。

伴走者
講談社文庫
「お前は伴走者だ。俺の目だ」
伴走者とは、視覚障害者と共に走るランナーである。「速いが勝てない」と言われ続けた淡島は、サッカーのスター選手として活躍しながら事故で視力を失った内田の伴走者として、パラリンピック出場を賭け国際大会で金メダルを狙う。アルペンスキーのガイドレーサーを描く「冬・スキー編」も収録。解説・川越宗一。

凜
講談社文庫
開拓期の北海道。
命が軽んじられる場所で、生き抜こうとする者たちがいた。
騙されてタコ部屋に送られ、過酷な労働を強いられる男。
貧困にあえぎ、子のため身を売る女――。
旅でこの地を訪れた現代の就活生・上原沙矢は、
彼らの人生に触れ、己の道しるべを見いだす。
時代を超え、生きる意味を問う傑作!

量子人間からの手紙 捕まえたもん勝ち!
講談社文庫
元アイドルの捜査一課刑事・七夕菊乃と、天才にして壊滅的な変人・アンコウこと深海安公。
二人が挑むのは、密閉された倉庫や監視カメラの密林をすりぬけて殺人を犯す「量子人間」と……、警察官僚の権力争い!?
FBIもお手上げの連続不可能殺人を阻止し、犯人を捕まえろ!
『Q.E.D. iff -証明終了-』『C.M.B. 森羅博物館の事件目録』の著者入魂の、長編ミステリ第二弾!

レイトショー(上)
講談社文庫
主人公レネイ・バラードは、ハワイ出身(ポリネシアとコーカソイドの混血)の三十代のロス市警女性刑事、独身、ボクサー犬ミックスの大型雌犬をコンパニオン・アニマルにしているなど、従来のコナリー作品には登場してこなかったキャラクター。ただし、警察官としての有能さと使命感は、ボッシュ刑事と共通している。
レネイは、ロス市警のエリート部門である本部強盗殺人課の殺人事件特捜班で殺人事件担当刑事として五年余り勤めていたが、二年まえ、班長に着任したロバート・オリバスにセクハラをされ、それを告発したものの、セクハラ現場に居合わせたパートナーのケン・チャステイン(『エンジェルズ・フライト』の最後に暴徒に襲われて死亡したロス市警内務監査課刑事ジョン・チャステインの息子)が保身のため、レネイの告発を裏付ける証言をしなかったせいで、告発は不問に終わり、レネイはハリウッド分署に飛ばされ、分署長がオリヴァスと警察学校の同期だったことから、”深夜番組(レイトショー)"と呼ばれる夜勤担当にさせられた。以来二年、深夜番組をパートナーのジョン・ジェンキンズとともに粛々と勤めているが、事件の本格的捜査は、昼勤担当刑事がおこなうため、やりがいを覚えずにいた。