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投げ縄 秀
1973.11.15発売
投げ縄 秀
著:川口 松太郎,装丁:原 弘,装画:川田 幹
講談社文庫
清元の師匠・お駒の妾の子として、父親の愛情を知らずに育った秀之助は、幼い頃から「縄」をおもちゃ代りに親しみ、「投げ縄秀」と異名をとるほどの名人となった。母親譲りの美声と男前な風貌で、清元の芸人としても人気者となり、お駒の一番弟子のお光と新世帯を持ち、幸せな日々を送るようになる。やがて、江戸の町に次々と起こる怪事件を、得意の早縄で解決した功により、一介の町人が武士に取りたてられ、生活が一変してゆく。江戸末期から維新の動乱期を経て、明治大正昭和の三代を、きびしい芸道の世界に身をおきながら、「縄」を心の支えに生きた芸人の、心情と波瀾の人生を描いた、傑作長編小説。
電子あり
聖女
1973.10.31発売
聖女
著:戸川 昌子,装丁:原 弘,装画:朝倉 摂
講談社文庫
デウス天理教団の海外伝道尼僧・風間登代が、サンフランシスコS街の路上で、黒人に襲われた。登代は薄れゆく意識の中で、黒い腕にかわって白く輝く球体のようなものを認めた。〈ああ……聖なるお方が、わたしの前にあらわれている……〉登代はこの事件で妊娠してしまった。「私は大司教の御子を身籠った」と口走り、今夜も私のもとにいらっしゃると言う。登代を訪れる謎の男とは何者なのか? ……という女の業を描く表題作の他に、「黄色い吸血鬼」「蟻の声」「V定期便」「赤い的」「猫パーティ」「最後の一切れ」「蜘蛛の糸」の7編を収録。
電子あり
えろぐろ軟扇子
1973.10.27発売
えろぐろ軟扇子
著:梶山 季之,装画:山下 昌也
講談社文庫
子供のころ、女体のグロテスクなことにびっくりしたあたいは、女よりも男が好きになっちゃった。学徒出陣をしているとき、ホモっ気のある中隊長につかまったのが、ゲイ道に入るきっかけよ。中隊長は権力であたいの処女性を奪ったの。戦後はGI相手に稼いだりした。外国人の囲われ者になったこともあるわ。そのうち、日本人の素敵なパトロンにめぐり合った。彼のおかげでいまあたいはゲイバーのマダムだけど……。と、その奇妙な人生を味のある独白調で語る標題作の他に、「やったぜベイビー」「あとの二人が損をする」「密造酒」など、全5編を収録する短編小説集。
電子あり
絶対王政の時代 新書西洋史(5)
1973.10.17発売
絶対王政の時代 新書西洋史(5)
著:前川 貞次郎,その他:杉浦 康平,装丁:辻 修平
講談社現代新書
太陽王ルイ14世が、はなばなしく活躍した時代は、近代社会へと、歴史が転換する激動の時代であった。僧侶・貴族から、その権力を奪い、絶対的統治権を手にした国王は、16-18世紀の300年間に、内に外にと勢力を膨張させ、植民地を通しての東西貿易によって、近代国家への発展の基礎をつくりあげた。また、哲学、文学、美術、音楽、自然科学などの分野で文化の花が開いた。この躍動する時代を、“ヨーロッパとは何か”という視点で把らえ、「転換期の歴史」の鼓動をつかむ。 統一と分裂の中のヨーロッパ――ヨーロッパの歴史は、政治的にみれば統一と分裂の2つの対極のあいだを揺れ動いているともいえる。ここに述べる絶対王政の展開は、まさにそのようなヨーロッパ的分裂化の端的な表現である。諸国家は自国の独自性と独立主権を強く主張し、すべてを自国の利害において計算し行動する。他国の富と繁栄は、自国の貧と衰退と考える。このような極端なヨーロッパの政治的分裂化にもかかわらず、実は、その内部では、絶対王政という政治形態をとって、1国の優位に対して、他国家が同盟して、その専横を阻止するという勢力均衡の原則が働いていた。――本書より
明治人物夜話
1973.10.15発売
明治人物夜話
著:森 銑三,装画:K・B・K,装丁:亀倉 雄策
講談社文庫
明治天皇の御逸事、大西郷の一言、海舟邸の玄関、大隈侯の碁、広瀬中佐余聞、天下の記者山田一郎、尾崎紅葉雑記、荷風の思い出、狩野亨吉先生、三遊亭円朝など、日本の黎明期といわれる明治に輩出した、政治家・文人など50余人の、知られざる逸事・言行を、著者多年の研究資料により、その真実を描く。伝記に定評ある著者による、「近世人物夜話」に続く名著。
電子あり
どぼらや人生
1973.10.15発売
どぼらや人生
著:黒岩 重吾,装画:永田 力
講談社文庫
儲けた株の大暴落と小児麻痺罹病で陥った、どん底生活。釜ケ崎での、その日暮し。占い商売でみた客の、数奇な人生。キャバレー勤めで見聞した、ホステスの哀歓――社会の底辺にいて、その生存を脅かされる人々と生活をともにしながら、小説家をめざす強固な意志と執念で、苦境を脱出した著者の、苦難時代の体験記である。
電子あり
ゲームの理論入門
1973.09.30発売
ゲームの理論入門
著:モートン.D・デービス,訳:桐谷 維,訳:森 克美
ブルーバックス
人間社会の“かけひき”を分析する 《軍事作戦》勝利を最大にするには、兵力をどう配置すべきか? 《選挙戦》左翼や右翼など両極を狙うか、中間層を狙うか? 《マーケティング》どのテレビ時間帯を買うのが一番有利か? 《夫婦間の争い》夫はボクシング、妻はバレエに行きたい。とうすればよい? 《労働争議》早期解決のためには、闘うべきか、妥協すべきか? 《囚人のジレンマ》黙秘を続けるべきか、共犯証言をすべきか?
わたしのなかのかれへ(上)
1973.09.27発売
わたしのなかのかれへ(上)
著:倉橋 由美子,装画:栃折 久美子
講談社文庫
阿片戦争(下) 天涯編
1973.09.27発売
阿片戦争(下) 天涯編
著:陳 舜臣
講談社文庫
勇将関天培の壮烈な死、軍機大臣王鼎の“屍諫”、官兵の軟弱に蹶起する山中の民。だが敗戦また敗戦……迫りくる植民地化への危険に慟哭の想いを噛みしめつつも、崩壊後に来る近代への確実な目覚めを感じて林則徐は野に下る。時代は変る、いや変えなければ――阿片に内憂外患の清朝末期を鮮烈に描く完結編。
古典落語(続々)
1973.09.27発売
古典落語(続々)
編:興津 要,装画:原田 維夫
講談社文庫
明治・大正・昭和の三代にわたる落語家の速記本を基に、国民文芸としての落語の集大成を完全テキスト版で試みる画期的編集。本巻収録作品総数32編、東京篇、「子ほめ」「浮世床」「藪入り」「お神酒徳利」「味噌蔵」「田能久」「小言念仏」など25編、上方篇、「佐々木裁き」「あわび貝」「へっつい盗人」など7編。 明治・大正・昭和の三代にわたる落語家の速記本を基に、国民文芸としての落語の集大成を完全テキスト版で試みる画期的編集。本巻収録作品総数32編、東京篇、「子ほめ」「浮世床」「藪入り」「お神酒徳利」「味噌蔵」「田能久」「小言念仏」など25編、上方篇、「佐々木裁き」「あわび貝」「へっつい盗人」など7編。
電子あり
虚構の彷徨 ダス・ゲマイネ
1973.09.26発売
虚構の彷徨 ダス・ゲマイネ
著:太宰 治,装画:司 修
講談社文庫
左翼運動への裏切りと鎌倉海岸での心中未遂、縊死未遂の告白を軸に、小市民的モラルを否定しながらも惨落と自負の意識に痛ましく引き裂かれていく青春の日々、その絶望の乱舞を、道化の言葉でつづった、「道化の華」「狂言の神」「虚構の春」という、いわゆる『虚構の彷徨』三部作。他に、芥川賞落選で精神的に追い込まれた同時期に書いた「ダス・ゲマイネ」も併録。
電子あり
わたしのなかのかれへ(下)
1973.09.26発売
わたしのなかのかれへ(下)
著:倉橋 由美子,装画:栃折 久美子
講談社文庫
須弥山と極楽 -仏教の宇宙観-
1973.09.26発売
須弥山と極楽 -仏教の宇宙観-
著:定方 晟
講談社現代新書
須弥山とは高さ56万キロ、33人の天神が住む想像上の高峰である。紀元5世紀、インドで集大成された『倶舎論』は、この須弥山にはじまり、人間が宇宙をどう把えていたかを、詳細に描写している。本書は、この『倶舎論』を基礎に、仏教の宇宙観の変遷をさぐり、輪廻と解脱の2つの思想の誕生・発展の経緯を明らかにし、その現代的意味を説く。 輪廻と解脱の思想――仏教にはさまざまな経典や言葉があるけれど、結局は輪廻と解脱の2つの思想に帰するといえよう。仏教者はこうした輪廻的宇宙と解脱への道との両方を、それぞれ吟味し、研究し、やがてそれらを1つの壮大な体系にしたてあげた。そのような体系を示す書物の1つに、インド5世紀の仏僧ヴァスバンドゥの『倶舎論』がある。この中に須弥山説と呼ばれる仏教宇宙観が示されている。これが、後に“地獄と極楽”にまつわるさまざまな考え、描写へと発展し、日本にも大きな影響をあたえた。一見、過去のもの、われわれとは無縁のものと思われる仏教宇宙観も、実は、いまや新しい世界観を樹立する上で、重要な役割をになおうとしている。――本書より
青春の門 放浪篇(上)
1973.09.24発売
青春の門 放浪篇(上)
著:五木 寛之
異常の構造
1973.09.20発売
異常の構造
著:木村 敏
講談社現代新書
精神異常の世界では、「正常」な人間が、ごくあたりまえに思っていることが、特別な意味を帯びて立ち現われてくる。そこには、安易なヒューマニズムに基づく「治療」などは寄せつけぬ人間精神の複雑さがある。著者は、道元や西田幾多郎の人間観を行きづまった西洋流の精神医学に導入し、異常の世界を真に理解する道を探ってきた。本書は現代人の素朴な合理信仰や常識が、いかに脆い仮構の上に成り立っているかを解明し、生きるということのほんとうの意味を根源から問い直している。 「全」と「一」の弁証法――赤ん坊が徐々に母親を自己ならざる他人として識別し、いろいろな人物や事物を認知し、それにともなって自分自身をも1個の存在として自覚するようになるにつれて、赤ん坊は「全」としての存在から「一」としての存在に移るようになる。幼児における社会性の発達は、「全」と「一」との弁証法的展開として、とらえてもよいのではないかと私は考えている。分裂病とよばれる精神の異常が、このような「一」の不成立、自己が自己であることの不成立にもとづいているのだとすれば、私たちはこのような「異常」な事態がどのようにして生じてきたのかを考えてみなくてはならない。――本書より
考える技術・書く技術
1973.08.31発売
考える技術・書く技術
著:板坂 元
講談社現代新書
「情報過多の時代だから情報処理の技術を心得ておかないと翻弄されることになる」とは、 1973年刊行の本書に書かれていること。 さらに情報に振り回される現代こそ、本書の価値は高まっています。 学生・新社会人も必読! 「頭がいいとか悪いとか、ふだんよく使われる表現だが、もともとどういう意味があるのだろうか? (中略)  わたくしも教師生活を二十年近くは経験しているけれども、九十五点の学生と八十三点の学生の間に、 頭のよしあしの差があると思ったことは、いちどもない。 試験とはせいぜい、怠けているかどうかを知るのと、勉強をはげます程度にしか役立たないように思う。 学校の成績や入学試験にいたっては、競馬の勝ち負けより少しましだといったくらいのものだ。 とにかく信じられているほどには頭のよしあしとは関係がなさそうだ」 「独創とか創造とかについて、わたくしは日米あわせて五十冊くらいは参考書を読んだが、 (中略)すべてに共通することは、型にはまった考え方から離脱するために心身を訓練することであった。(中略)わたくしは、この態度をバンカラと呼んでいる」(本文より) ○脳は刺激を与えないと悪くなる ○「いつも」「みんな」という言葉は使うな ○朝は新聞を読むな ○ときどき、ふだん自分が興味のないジャンルを含め、あらゆる雑誌をまとめて眺め通すと、 頭のしこりがほぐれる(ブレーン・ストーミング読書)。 ○精読するときは、黄色のダーマト鉛筆を使って気になる部分に線を引く ○読み返しのときは、しばらく時間をおく ○日本語はピラミッド型、英語は逆ピラミッド型。だから英語を聞き取るためには、文の 最初に注目する。 ○自分に必要な情報を保存するとき、見出しをつけるときは「名詞」ではなく「動詞」を 使う ○保存する引用、要約に自分の見解を加えるときは、色を変えて書く ○アイデアを妨げるのは、「自分にはできない」という否定的な自己暗示 ○相手に理解し、同調してもらうためには、「仲間意識」をつくりあげる ○読み手を味方にするには、私小説的アプローチを入れる ○数量化は大切 ○自分の説と他人の説の区別は重要
阿片戦争(上) 滄海編
1973.08.29発売
阿片戦争(上) 滄海編
著:陳 舜臣
講談社文庫
内に人心荒廃し、外に中華思想を振りかざす清朝末期。産業革命後の英国新興資本は、市場を求める中国進出を企ていた。“阿片を認めるか否か”――暴利と保身に詭計をめぐらす特権商人、官僚達の渦中に、国を憂う清廉潔白な実力官吏林則徐と豪商連維材がいた。近代中国黎明のうねりを活写する大河小説。
阿片戦争(中) 風雷編
1973.08.28発売
阿片戦争(中) 風雷編
著:陳 舜臣
講談社文庫
阿片鬼と化す人々に亡国の明日をみた林則徐の阿片厳禁論は、動揺する道光帝の心を掴む。一地方官吏から欽差大臣へ、積弊根絶に英国と対決すべく広東に乗りこむ彼の周囲に内外の敵。民族の誇りと将来のために“みごとに戦う”――武力行使に移る英国艦隊の面前で、その威力を知りつつ林は阿片を焼き捨てる。
豆つぶほどの小さな犬・井戸のある谷間 他二編
1973.08.28発売
豆つぶほどの小さな犬・井戸のある谷間 他二編
著:佐藤 さとる,絵:村上 勉
小山にすむ小人の一族、コロボックルたちは、むかし豆つぶほどの小さないぬを飼っていました。ところが、死にたえたといわれていたそのマメイヌが、いまでも生きのこっているというではありませんか。──(「豆つぶほどの小さないぬ」)
だれも知らない小さな国・そこなし森の話 他二編
1973.08.28発売
だれも知らない小さな国・そこなし森の話 他二編
著:佐藤 さとる,絵:村上 勉
小学校3年生の夏休み、もちの木をさがしにいったぼくは、こんもりした小山や杉林にかこまれた三角形の平地で、小指ほどしかない小さな人たちをみつけます。それが、コロボックルとのはじめての出会いでした。──(「だれも知らない小さな国」)