新刊書籍
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1976.08.09発売
万葉秀歌(三)
講談社学術文庫
本書は、生涯『万葉集』を愛しつづけた久松博士が、最期まで情熱を傾注してその解釈と鑑賞を行った、万葉の秀歌900首の集大成であり、著者の絶筆である。選びぬかれた秀れた歌、人口に膾炙した歌の1つ1つに加えられた、わかりやすく、ゆきとどいた注釈と、深い理解にみちた鑑賞とがあいまって、『万葉集』の心を伝え、現代人に一層親しみやすいものとなっている。本巻には、『万葉集』巻第5・6・7の歌から140首を収録する。
1976.08.06発売
狼のブルース
講談社文庫
一匹狼の事件屋黒澤竜介のもとへ「KHKの大晦日の東西歌合戦をつぶしてくれ」と保守党議員南郷義明から依頼があった……。マンモス・ネットワーク体制に挑む竜介の野心と怒りを追って展開する狂詩曲。

1976.07.29発売
蟻の木の下で
講談社文庫
井之頭公園内にある羆(ひぐま)の檻の前で、羆の爪痕を遺す男の死体が発見された。死体の傍には、新興宗教・正聖会のバッジが落ちていた。死者の戦友だった町工場の社長・池見は、週刊誌記者・鹿子の協力を得て、事件の核心に迫る。が、事件は第二、第三の殺人事件へと発展、謎は深まる。本格謎解きに、戦争犯罪を絡ませた異色ミステリー。江戸川乱歩賞受賞作。

1976.07.26発売
風の中の瞳
講談社文庫
中学校は、高校の予備校か!――現代中学生にも共通する、進学・恋愛・友情の悩み、喜び……。東京郊外の、まだ武蔵野のおもかげを残す飛塚中学の生徒たちと、新任の先生との1年間の物語。新制中学3年生が直面した問題を、作者が作者自身の子供という身近な題材をえて鋭く描いた、感動の名品。

1976.07.26発売
風を見た人(二)
講談社文庫
愛する男の子供を産んだが、入籍を拒まれ、悲嘆に暮れた真崎ちよを救ったのは、料理屋の女将・榎本みつ。が、愛する男は戦死。やがて終戦を迎える。ちよは芸妓になり、たちまち売れっ子になるが、しょせんは鵜匠の鵜に過ぎない。その頃、著名な劇作家に見染められたちよは、幼い弥千枝を捨て、東京に走る。冷酷な運命に抗し、つかの間の愛に燃える、第2巻。〈全5巻〉

1976.07.23発売
出雲神話
講談社現代新書
国引き、八岐大蛇、国譲りなど日本神話のなかで出雲の果たす役割はなぜか大きい。大和朝廷にとって幽界の地出雲とは、どのような意味を持っていたのか。本書は、記紀、風土記、神賀詞などの文献資料と歴史学、神話学の蓄積を縦横に駆使しながら、巫覡祭祀説によって出雲神話の実像を明らかにする。スサノオ、オオクニヌシ、スクナヒコナなどなじみぶかい神々の世界をとおして日本神話に新たな視点と生命を与えた。
2つの出雲神話の食い違い――『出雲国風土記』の多くの伝承の中で、記紀に共通もしくは近似の伝承があるかというと、ほとんど見出せない。また逆の場合もそうである。また記紀と共通して登場する神格にも、同じ物語は、ひとつも見あたらない。これは不思議なことである。簸の川の上流のできごととされるスサノオの有名な八岐大蛇の話も、『風土記』の大原郡斐伊郷の条を見ても、触れられていない。『古事記』のオオナムチの生い立ちの話にある、八十神によるさまざまな迫害や、根の国での試練の話も、『風土記』にはない。神々の神統譜も、どうやら記紀のそれとはかなり異なったかたちで考えられていたらしい。――本書より

1976.07.23発売
新書日本史(6)改革と維新
講談社現代新書
石高制と身分制に象徴される幕藩体制は18世紀中頃から、その堅固さを次第に失っていった。吉宗の「享保改革」をはじめとする三大改革は、封建社会を維持しようとする対応策であった。本書は、黒船という外圧だけでなく、内側においても近代への準備が着々と進んでいたことを明らかにし、江戸から維新への激動期を描きだす。同時に、凶荒と一揆のなかでしたたかに生きた農民の姿といまも生きる庶民芸術を歴史のなかに位置づけた意欲作。
商品経済――近世の幕藩体制は一定の段階での商品貨幣経済の展開の上に成立しえたのであって、もともと自給自足的な自然経済状態とは縁の遠いものであった。武士階級が専門的武士団として城下町に集住したのは、兵農分離の完成すなわち農民から武力を奪い取り、家臣団を掌握する軍事的、政治的必要から生じたものである。近世初頭に大名がきそって城下町を建設したのはこのためであり、その場合、商工業者を都市に集中させたのは、ひとつには、支配する在地の農村から離れて消費者集団となった武士に物資を補給させるのと、農村における商工業的、流通的要素を都市にプールして農村における自然経済状況を維持しようとする意図があったわけである。城下町はもともと商品経済がなくては存立しえぬものであった。――本書より

1976.07.09発売
万葉秀歌(二)
講談社学術文庫
本書は、生涯『万葉集』を愛しつづけた久松博士が、最期まで情熱を傾注してその解釈と鑑賞を行った、万葉の秀歌900首の集大成であり、著者の絶筆である。選びぬかれた秀れた歌、人口に膾炙した歌の1つ1つに加えられた、わかりやすく、ゆきとどいた注釈と、深い理解にみちた鑑賞とがあいまって、『万葉集』の心を伝え、現代人に一層親しみやすいものとなっている。本巻には、『万葉集』巻第3・巻第4の歌から180首を収録する。

1976.07.09発売
限りなく透明に近いブルー
文芸(単行本)
麻薬とセックスに明け暮れるスキャンダラスな青春を題材に、陶酔と幻覚の裏の孤独を描く詩的情感と清潔な感受性。24歳のきらめく才質が創る衝撃の“青春文学”。芥川賞受賞作
村上龍『限りなく透明に近いブルー』はひとつの「出現」であるといわねばならない。この作品が《ロックとファックの時代》を鮮烈に代表する1つの透視画ふうな立方体としてはじめて現われた作品であることは疑いをいれない。この作者の発想が鮮明で、しかもつぎつぎととぎれもなく奔出してくるその持続性と、なんらのいや味も誇張もなくセックスを描く平静性は、恐らく、生得の資質であると思われるけれども、また、この作品の全体の構成が十分に考え抜かれたものであることを思いあわすとき、この若さですでにこの作者に冷静な反省力も構成力も備えられていることを知らされる。これは感覚と思索が或る根元的な場で緊密につながっていることにほかならぬのであって、まさに「驚き」である。──埴谷雄高

1976.07.08発売
日本人とは何か
講談社学術文庫
日本人とは何か。われわれは一体何を望み、何でありたいのか。長い西欧体験にみがきぬかれた知性が、鋭い洞察力を駆使して日本人のありように迫り、将来のあるべき方向を模索した日本人論八編を収録。十数年前に書かれたこれら諸論文は、その歳月を忘れさせる先見の明に貫ぬかれていて、今日の私たちが直面している諸問題をあざやかに浮彫りにしており、日本人と日本文化について思索するすべての人に知的興奮を与えずにはおかない。

1976.06.28発売
ゆき
講談社文庫
雪ん子のゆきは、天と地をまっ白な雪で清める、雪のじんじい・ばんばあの一人娘。ある日、じんじいのいいつけで下界に降りたゆきは、百姓の味方になって、野盗や地主・侍軍と戦い、最後に百姓たちの心の中に生きる魔神に挑戦する……。戦国時代の東北の農村を舞台に、立ち上がる農民を力強く描いた、幻想味豊かな力作

1976.06.28発売
ヒロシマの歌ほか
講談社文庫
名作「肥後の石工」の著者今西祐行の短編集。広島で原爆にあい母を奪われた幼児と、その子を救った水兵との交流を通して、戦争の悲しみと平和への願いを描いた「ヒロシマの歌」ほか、「ゆみ子とつばめのお墓」「一つの花」「鐘」「ハコちゃん」「ポールさんの犬」「なたね地ぞう」「聖エレーナの島」など10編収録。

1976.06.25発売
孤独なアスファルト
講談社文庫
玉川上水で、日東グラスウールの常務・郷司が殺害された。転職のことが原因で郷司と対立していた、東北出身の田代少年が疑われる。田代は内気で言葉の訛をからかわれるのがいやで、職場でも孤立している青年だった。後日発見された凶器の紙バンドも田代の工場の物とわかり、彼への容疑は深まる。寄る辺ない青年の孤独を描く傑作推理。第9回江戸川乱歩賞受賞作。

1976.06.25発売
風を見た人(一)
講談社文庫
強い季節風の吹き下す、新潟県の石曾根で生れた真崎ちよは、幼い頃に父を失い、貧しい娘時代を過す。しかし、不幸な青春の中にあって恋を知り、やがて妊娠する。だが、愛する男は軍隊におり、男の両親はその責任から逃れようとする。「別れ」の人生を送ってきたちよが、誰にも恥じない陽の下道を選んで生きようとする、哀切きわまりない長篇ロマン。<全5巻>

1976.06.25発売
柴錬捕物帖 岡っ引どぶ
講談社文庫
どぶは飲む、打つ、買うの3拍子揃ったとんでもない岡っ引。そのどぶの度胸と推理力と行動力を買ったのは、盲目の与力、町小路左門。本郷の怨霊屋敷で名刀が消えた「名刀因果」、将軍の娘にまつわる猟奇事件「白骨御殿」、怨恨の女ミイラ事件「大凶祈願」と、江戸に続出する奇怪な事件を描く柴錬捕物帖。

1976.06.25発売
京まんだら(下)
講談社文庫
できれば僧衣をまとい、頭をすがすがしくした自分の、ちんまりした晩年の姿をそこに思い描いてみたりもする……。女は北嵯峨に住みつこうとしている。“「京まんだら」が瀬戸内さんの「源氏」だといっても誤りではなく、そして、これもまた男には書けない小説”(戸板康二氏)といわれる本篇は、祇園「竹乃家」30周年の秋に華麗に幕が下ろされる。
1976.06.24発売
狐狸庵VSマンボウ
講談社文庫

1976.06.24発売
バーバパパのがっこう
講談社の絵本
こんな学校あったらいいね、バーバパパ!
子どもたちは勉強ぎらいで、学校も好きじゃありません。そこでバーバパパがゆかいな学校をつくり、楽しい授業をはじめます。おかげで、みんな学校が大好きになります。

1976.06.24発売
現代ペン習字事典
講談社の実用書
ボールペンもとり入れた誰でも上手になれるペン字の書き方事典
独習にビジネスの文書実務に最適
●基本書法
【楷書、行書、草書】
●実用用語
【日常用語、手紙用語】
●手紙、はがき
【年賀状から暑中見舞、転居通知まで】
●一般書式
【履歴書、身上書など】

1976.06.23発売
俳句のたのしさ
講談社現代新書
日本人にとって、俳句は親しく固有な文学表現である。どこほど多くの人が、めぐりくる四季の気配や、日々の歓び・哀しみを、この五七五のしらべに托してきたことか。俳句のたのしさは、まず、自分で作るたのしさにある。句眼の据え方にはじまり、手垢のつかないことばの創造、一句の完成にいたる、凝視と単純化のプロセスをくわしく手ほどきし、〈真相〉〈象徴〉〈しらべ〉〈破調と定型〉〈字余り〉〈季感〉〈写生〉などの句作の要点を、200に及ぶ秀句から解き明かした、魅力あふれる“読む俳句教室”。
句の姿の完成――高嶺星蚕飼の村は寝しづまり 水原秋櫻子 人の多い平地や都会よりも高いところに、養蚕にいそしむ村があります。村人は夜更けまで働き、それが終わってやっと静かになったというのでしょう。この句は上五の「高嶺星」ということばで完成したと思います。たとえば“星の下”であっては、村の位置が分かりません。「高嶺星」といったために、村が周囲を山にかこまれた盆地であることがあきらかになりました。茫漠としてさえぎるもののない平野の星であれば、むしろ騒がしいような活気が感じられましょう。が、見上げる天頂だけに星があり、あとは山々だけという情景が「高嶺星」で、この語が地形を暗示するばかりか、人里を遠く離れた奥深い、静かな山国であることを感じさせます。けっきょく、この作品は「寝しづまり」の静寂をいおうとしているわけで、それが「高嶺星」の一語を選んだことでみごとに完成されたのです。――本文より