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小雪―続・絶唱
1976.03.04発売
小雪―続・絶唱
著:大江 賢次,装丁:原 弘,装画:山下 昌也
講談社文庫
最愛の妻・小雪を失って、孤独感と追憶の感情にとらわれている園田順吉だったが、皮肉なことに、彼の小説が映画化され、まわりは華やいだ。小雪の父親・正造は、そんな順吉をみて、もう小雪の残像を捨てて、早く後妻をめとってくれ、と頼む。事実、後妻を彼に、という周囲の努力があったし、娘たちから順吉に接近するというケースもあった。しかし、小雪への思慕は、はるかに大きくて強いのだ。そんな折、順吉は、ユキという女性に出会った。容貌も、そして名もそっくりではないか。順吉はときめく。亡妻・小雪との愛の残光をふり払うため、順吉は、ユキとの新しい愛に生きようとする。小雪に瓜二つのユキだったが、彼女のなかには、小雪と対照的な「女」があった。話題の名作「絶唱」の姉妹篇にあたる書き下ろし長編小説。
電子あり
かぶき大名
1976.03.04発売
かぶき大名
著:海音寺 潮五郎,装丁:原 弘,装画:中 一弥
講談社文庫
天正7年、家康に属して16歳の初陣、武田勝頼軍と戦うを手始めに、小牧長久手に秀吉軍を迎えて大功を樹てながら、父・忠重との不和から退転した三州刈屋3万石の息、豪勇無双の水野藤十郎勝成。持って生れた狂熱の血がさせるのか、秀吉に随身後も喧嘩と女出入りの明け暮れに、佐々、小西、加藤、黒田と主をかえては乱世を押し渡る。秀吉歿し、やがて天下分け目の風雲に際し、家康に帰参がかなった勝成は、父の跡をついだ後、関ケ原、大坂冬夏両陣を歴戦、大和6万石から備後福山11万石の身代に。75歳にしてなお島原ノ乱に出陣した、強悍にして奇矯な戦国男・水野勝成一代記。
電子あり
ぐうたら人間学 狐狸庵閑話
1976.02.25発売
ぐうたら人間学 狐狸庵閑話
著:遠藤 周作
講談社文庫
ぐうたら人生の味を開陳する狐狸庵山人の珍妙なる人間学。秀吉の夫婦喧嘩を仲裁する信長に英雄偉人の尻尾を覗き、酒癖のあれこれに人情風俗の妙を知る。権威や独善には背を向け、劣等生的人間に豊かさを見、親愛感を覚える。愛すべきはマヌケ人間、語るべきは気弱人間。人生の味をいかんなく示すエッセイ。
電子あり
ポイヤウンベ物語
1976.02.24発売
ポイヤウンベ物語
著:安藤 美紀夫,その他:宮田 雅之
講談社文庫
星の天のおおかみの神の血をひくポイヤウンベは、りりしい若者。ある日、里人を悩ます赤い輪を捕えにいき、オヤルルの里の長の美しい妹オヤルル姫と恋におちる……。アイヌの叙事詩「ユーカラ」に取材して、アイヌ民族の悲しみと喜びを描いた英雄物語。サンケイ児童出版文化賞・国際アンデルセン賞国内賞受賞作。
電子あり
北京悠々館
1976.02.24発売
北京悠々館
著:陳 舜臣,その他:川田 幹
講談社文庫
時は清末、日露の風雲急を告げる明治36年、初秋の北京に、ある任務を帯びて下り立つ美術商・土井策太郎。露清撤兵協約の再締結! 批准? 対露開戦の大義名分を失うのを恐れる日本は、巨額の金で清朝要人の買収を工作、舞台は「悠々館」。だがパイプ役は、完全密室で殺害、同時に金も消失し……。腐敗と無策を孕む国家の末期症状で、事件は謎を深める。本格推理と歴史小説が見事に結合結晶した会心の作。
電子あり
赤の組曲
1976.02.24発売
赤の組曲
著:土屋 隆夫,その他:斎藤 和雄
講談社文庫
学生時代の知己・坂口秋男が、千草検事の許を訪れ、妻・美世の失跡を告げた。預金30万円が引き出され、伝言板に3つのゼロが記されてあった。一方、長野県・別所温泉の旅館に、赤いネグリジェを遺して消えた挙動不審の女は、美世らしい。失跡の謎に加え、美世の周辺の人間が、殺人者の手にかかり、事件は意外な展開をみせる。
電子あり
「物」の思想「人間」の思想
1976.02.24発売
「物」の思想「人間」の思想
著:小田 実,その他:舟橋 菊男,装丁:亀倉 雄策
講談社文庫
たくましい精神と行動力で、「蒼ざめた」現代文学に衝撃を与え、「ベ平連」のリーダーとして、戦後の反体制運動に新しい方向を打ち出した、〈行動する思想家〉小田実が、激動する歴史と現実の渦中から、あらゆる非人間的なものを拒否し、状況の変革をめざす人びとにおくる、新編評論集の1巻目。65年から70年にかけての代表的評論とルポルタージュ13編を精選。
電子あり
魚たちと眠れ
1976.02.09発売
魚たちと眠れ
著:結城 昌治,装丁:原 弘,装画:山下 昌也
講談社文庫
週刊誌記者の矢島が、ファニ―化粧品主催の洋上大学の取材をひきうけたのは、ハワイへ行ける楽しみより、生徒として参加する平均22歳半という100人の美女たちに惹かれた、といったほうがいい。4月中旬、豪華船セントルイス号は、5人の講師、カメラマンなどを加えた114人を乗せて横浜を出航した。しかし、生徒中1、2を争う美女・水島陽子の突然の失踪が、船内の華やいだ空気を一変させることになる。つづいて、講師のファッション・デザイナー及川弥生の変死……。華やかな雰囲気の陰の醜い愛憎の葛藤と意外な真相を、巧妙緻密な推理で解き明かしていく長篇推理小説。
電子あり
兵児一代記
1976.02.09発売
兵児一代記
著:海音寺 潮五郎,装丁:原 弘,装画:中 一弥
講談社文庫
椎原真平は、薩摩のボッケモン(勇敢者)である。年少の頃から気に奔った奇行で知られた。薩英戦争では、素ッ裸に赤ふんどし姿で伝令を務め、唯ひとり砲台に居残って、届かぬ弾丸を英艦に射ち続けた。ーー「チェスト!」真平には万事が気合いである。鳥羽伏見の戦では、緊張の対陣のなかで、ノコノコ敵陣に煙草の火を借りに行く。「見事やりとげたら、宮川町の女郎をおごいやんせ」。真平は、中村半次郎と賭けをしていたのであった。ーーやがて、時代は明治維新に転換する。彼は、酒と女に溺れていた。風雲は、西南戦争に向って妖しく流れてゆくのに……。木強かぎりない薩摩っぽを描く「兵児一代記」ほか。
電子あり
忠直卿行状記
1976.02.09発売
忠直卿行状記
著:海音寺 潮五郎,装丁:原 弘,装画:中 一弥
講談社文庫
越前宰相・忠直には、沸々たる不満がたぎる。二代将軍・秀忠の兄・秀康の長子に生まれ、大坂の陣にも東軍随一の戦功をたてながら、恩賞は薄かった。「血統から言えば、わしが将軍となって当然の身分ぞ!」忿懣は忠直を酒色に走らせて、やがては狂乱の殺戮をほしいままにする。愛妾の一国とともに罪人の処刑を見物し、鮮血のなかに盃を傾け、果ては罪なき家臣に無理難題をつきつけて成敗する。残虐の裡に無上の快楽を求めていた。忠直の妻は、秀忠の娘・勝姫である。狂気の中に身を滅亡の淵に追い込もうとする夫の行動を、彼女は江戸に告げた。独自の新解釈による「忠直卿行状記」ほか9篇を収録。
電子あり
姦の毒 傑作短編集(二)
1976.01.28発売
姦の毒 傑作短編集(二)
著:森村 誠一,装画:南 正雄
講談社文庫
悪徳理事の裏口入学に便宜を図るという甘い誘惑にのった人妻の軽挙が招く、一家崩壊の過程を活写する表題作「姦の毒」、企業合併派の手段を択ばぬ恐るべき陰謀と謀略を衝く「黒い合併」、OLの作り話からエリート課長の殺害事件に発展する「情熱の断罪」、銀行の暗黒部を抉る「殺意の逆流」のほか、「暗合殺人事件」「ステレオ殺人事件」といった、秀作6篇収録の強力選集。
電子あり
秋の終りの旅
1976.01.27発売
秋の終りの旅
著:渡辺 淳一
講談社文庫
ガンに冒され、あと半年の生命とも知らずに旅に出た助教授に対して、同僚の外科医と新聞記者は、終始いたわりの目差しをもって接した。旅先でホステスに熱中する助教授を見ても、残光現象として黙認した。が、「死」は助教授をさしおき、突如として他者を襲った。人生の皮肉を鮮烈に描いた表題作ほか4編。
神話
1976.01.27発売
神話
著:三浦 朱門,その他:市川 泰
講談社文庫
子供たちにとって、母親はかつて美しい娘であり、父親は雄々しい若者であった、という神話が断じて必要だ――核家族を象徴する団地を舞台に、現代の親子の関係を描いた「神話」。妻の影響を受けて変わる夫という面から結婚生活を追求した「偕老同穴」。大学の教師と学生の奇妙な共感を描いた「師弟」。ほか3篇を収録。
電子あり
ヤン
1976.01.26発売
ヤン
著:前川 康男,その他:風間 完
講談社文庫
揚子江の川べりで生まれ育った13歳の少年ヤン――目のかわいい、いたずらっ子ヤンが、どのようにして抗日戦線の一員となっていったのか……。戦火の母国をさまよう一少年の姿を通して、きびしく戦争の本質に迫り、国家と人間の問題をさぐろうとする著者の代表作。厚生大臣賞・サンケイ児童出版文化賞W受賞作。
電子あり
針の誘い
1976.01.26発売
針の誘い
著:土屋 隆夫,その他:上原 徹
講談社文庫
P国公使館の角を曲った千草検事の前に、いきなり飛びだしてきた若い女性は、幼児が誘拐された、とつげる。500万円の身代金を要求する脅迫状も、発見される。身代金は、刑事の監視の中で手渡されるが、持参した母親が、殺害されてしまった。家族をも巻き込む熾烈な企業競争を背景に、綿密に仕組まれた犯罪を追求する、本格ミステリー。
電子あり
英和科学用語辞典
1976.01.09発売
英和科学用語辞典
監:崎川 範行,編:芦ケ原 伸之,編:増山 信司,装丁:中井 幸一
ブルーバックス
本書の特色―― ●各科学分野の基本的な用語に、新聞、雑誌等の科学記事に頻出する用語あわせて約16000語を収録。 ●英語による項目をアルファベット順に並べ、日本語訳と簡略な説明をつけ、ハンディーな科学用語辞典とした。 ●巻末に和文索引を設け、和英両方から引けるように工夫。 ●複雑な凡例をなくし、簡略で見やすいように配慮。なお普通の辞書で引けるごく一般的な用語は除いた。
人斬り新兵衛
1976.01.08発売
人斬り新兵衛
著:海音寺 潮五郎,装丁:原 弘,装画:中 一弥
講談社文庫
田中新兵衛は、鹿児島城下の船頭だった。彼を薩摩勤王党に推挙したのも、商人から武士になった森山新蔵である。尊王討幕の気運がみなぎる京にあって、新兵衛は、孤独な末輩でしかなかった。やがて、彼が心から頼った森山新蔵は、寺田屋の変に連座し、あえなく切腹して果てる。佗しく郷愁に身を焦がしていた新兵衛にも、ここで転機が訪れた。酔って中座同心を斬ったのをきっかけに、九条家の諸太夫・島田左近を斬殺、首を三条河原に梟した。旋風のように、人斬り新兵衛の名は、京洛に鳴り響いてゆくのだった。そして、姉小路卿の暗殺……。幕末転変の人生を描いた佳篇「人斬り新兵衛」はじめ、全12篇。
電子あり
小次郎と武蔵の間
1976.01.08発売
小次郎と武蔵の間
著:海音寺 潮五郎,装丁:原 弘,装画:中 一弥
講談社文庫
佐々木小次郎が宮本武蔵に敗死した後、豊前細川家では長い間、兵法者を召し抱えていない。藩主・忠利が、小次郎の死を哀惜したからに外ならぬ。10数年後に、その忠利が見出したのは、二階堂流の松山主水であった。知行800石で召し抱えられた主水は、軽捷無類、魔法としか思えぬ剣の妙手であった。忠利は、小次郎と流祖を同じくする主水を寵愛した。肥後に国替えになった細川家で、やがて忠利と父・忠興の間に、新旧の相剋が起こる。忠興の家来が主水に辱しめられた事件は、火に油をそそぐ結果となり、「主水、討つべし」と忠興は激昂するのである。武芸者の意気地を描く「小次郎と武蔵の間」ほか8篇。
電子あり
影の告発
1975.12.19発売
影の告発
著:土屋 隆夫,その他:山野辺 進
講談社文庫
デパートの満員のエレベーターの中で、殺人事件が発生。被害者は、私立高の校長・城崎達也と判明。白昼、しかも衆人環視の中での大胆不敵な犯行の手がかりは、名刺と母娘の古い写真しかない。偶然、事件現場に居合わせた千草検事が、捜査の指揮をとることになった……。本格派の第一人者の代表作。日本推理作家協会賞受賞作品。
電子あり
背徳のメス
1975.12.19発売
背徳のメス
著:黒岩 重吾,その他:永田 力
講談社文庫
大阪の施療院で、殺害未遂事件が起こった。被害者は、憑かれたように女をあさる、背徳産婦人科医だった。彼を憎み、うらむ者は多い。犯人追及の過程で浮び上がる、彼や容疑者たちの暗い過去……。戦争で青春を失い、宿命ともいえる業を背負って、吹き溜りにうごめく、人間の生きざまを描いた、社会派ミステリー。直木賞受賞作。
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