タテ社会の力学

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タテ社会の力学

タテシャカイノリキガク

講談社現代新書

日本社会では法的規制はきわめて弱い。人々の行動を律するのは法ではなく、個人あるいは集団間にはたらく力学的規制なのである。無原則のまま外界の変化に柔軟に対応する日本社会は、《軟体動物的構造》をもっている。本来の意味での権力が存在せず、小集団におけるリーダーの力が弱いのも、この特殊な社会構造によるのである。本書は、タテ社会内部にはたらくダイナミズム・動的法則を、《全人格的参加》《無差別平等主義》《儀礼的序列》《とりまきの構造》など、興味深い事例を引きながらあざやかに分析し、現代人1人1人をとりまくネットワークを明示する。『タテ社会の人間関係』と対をなす必読の名著。

法規制でなく社会的規制――私たちの社会生活に規制が働き、全体の治安が維持されているのは、個々人が小集団的規制に常に従い、全体が力学的にバランスをとろうとする動きをもっているからといえよう。こうした社会に育まれた私たち日本人は、法規制にてらして行動するなどということはなく、まわりの人々にてらして、あるいはあわせて行動することに慣習づけられている。いいかえれば、規制というものを肌で感じながら行動しているといえよう。日本社会においては、社会的規制が法規制の機能まで包含していると解釈できる。こうした世界になれていると、法のきびしさを忘れがちである。否、知らないで過すことも可能である。――本書より


目次

●個体認識について
●小集団所属
●類別集団における個人と集団
●ネットワークと個人
●小集団における特色ある人間関係
●小集団的思考と行動様式
●軟体動物的構造
●権力でなく圧力
●エスカレートする隣接集団間の動き
●性能のよい連続体

書誌情報

紙版

発売日

1978年03月16日

ISBN

9784061455009

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

500

ページ数

192ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介

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