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坂口安吾と中上健次
サカグチアンゴトナカガミケンジ

闘う知性が読み解く、事件としての安吾と中上ーー日本の怠惰な知性の伝統の中で、「事件」として登場した坂口安吾と中上健次。二人は、近代文学の根源へ遡行しつつ、「自然主義」と「物語」の止揚を目指す。安吾は、自らを突き放すような他者性に文学の「ふるさと」を見出し、中上は、構造に還元することなく、歴史の現在性としての「路地」と格闘する。闘う知性としての安吾と中上を論じた、74年から95年までの批評を集成した、伊藤整文学賞受賞作。
◎「文学」とは、どんな秩序にも属さず、たえず枠組を破ってしまう荒ぶる魂であった。文学をやっている人がすべてそうなのではない。むしろその反対である。文学という枠組を吹き飛ばすようなもの、それが「文学」だった。私と中上は文壇において暴風雨のような存在であった。そして、われわれがともに敬愛していたのが坂口安吾である。(中略)私は安吾を高く評価していた。しかし、小説家としてではない。私にとって、彼の作品は、哲学であり、歴史学であり、心理学あり……、それらすべてをふくむ何か、要するに、「文学」であった。<「著者から読者へ」より>
ⒸKojin Karatani
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書誌情報
紙版
発売日
2006年09月09日
ISBN
9784061984523
判型
A6
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
416ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
電子版
発売日
2020年11月20日
JDCN
06A0000000000131173T
初出
太田出版刊『坂口安吾と中上健次』(’96年2月)を底本とする。
収録作品
-
作品名初出
-
作品名
『日本文化私観』論
初出
初出『文藝』’75年5・7月号、『坂口安吾の世界』’76年
-
作品名
安吾、理性の狂気
初出
初出『國文學』79年12月号
-
作品名
安吾はわれわれの「ふるさと」である
初出
初出:『坂口安吾選集』パンフ’81年9月
-
作品名
堕落について
初出
初出:『新潮』’88年12月号
-
作品名
安吾その可能性の中心
初出
初出:近代日本文学会’88年、『言葉と悲劇』’93年
-
作品名
懐かしい安吾
初出
初出:筑摩書房版『坂口安吾全集』パンフレット’89年
-
作品名
安吾の「ふるさと」にて
初出
初出:新潟安吾の会’90年、『文學界』同年8月号
-
作品名
やめる理由ー日本文芸家協会退会の弁
初出
初出:『すばる』’90年7月号
-
作品名
「十九歳の地図」書評
初出
初出:『東京新聞』夕刊’74年9月16日
-
作品名
中上健次論抄1 方法をめぐって
初出
初出:『東京新聞』’77年3月
-
作品名
中上健次論抄2 同一性と差異性について
初出
初出:『東京新聞』’77年4月
-
作品名
中上健次論抄3 老いについて
初出
初出:『東京新聞』’77年12月
-
作品名
中上健次への手紙
初出
初出:『韓国文芸』’81年、『隠喩としての建築』’89年
-
作品名
今ここへ
初出
初出:『國文學』’85年3月号、『批評とポスト・モダン』’89年
-
作品名
物語のエイズ
初出
初出:『群像』’83年9月号、『批評とポスト・モダン』’89年
-
作品名
小説という闘争
初出
初出:『群像』’89年6月号、『終焉をめぐって』’90年
-
作品名
物語と歴史ー『貴種と転生』四方田犬彦
初出
初出:『新潮』’87年10月号
-
作品名
追悼・中上健次
初出
初出:『文學界』’92年10月号
-
作品名
巨大な謎
初出
初出:熊野大学主催中上健次追悼シンポジウムに寄せて’93年7月
-
作品名
差異の産物
初出
初出:『新潮』’93年10月
-
作品名
被差別部落の「起源」
初出
初出:『批評空間』I-12’93年
-
作品名
中上的世界の創出
初出
初出:『中上健次全集』パンフレット集英社’94年12月
-
作品名
三十歳、枯木灘へ
初出
初出:『中上健次全集』第三巻解説 集英社’95年
-
作品名
フォークナー・中上健次・大橋健三郎
初出
初出『フォークナー全集』二七巻解説’95年
-
作品名
中上健次とフェミニズム
初出
初出:『すばる』’95年7月号
-
作品名
安吾の可能性
初出
初出:『国文学 解釈と鑑賞』’93年2月号
-
作品名
闘争する知性と文学
初出
初出:『国文学 解釈と鑑賞』別冊’93年9月
著者紹介
解説: 井口 時男(イグチ トキオ)
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