
マイページに作品情報をお届け!
常識的文学論
ジョウシキテキブンガクロン
- 著: 大岡 昇平

歴史小説、推理小説は「文学」に値するのか? ーー大衆文化の隆盛とともに、文学の世界においても、大衆小説や中間小説が文壇の主流へと登場しつつあった1960年代初頭。こうした流れを、純文学にとってかわるものとして擁護する批評家の言も含め、歴史小説や推理小説の実体を根底的に批判した、ポレミックな文学論。<『蒼き狼』論争>となった井上靖への批判、深沢七郎の『風流夢譚』批判、松本清張批判など、スリリングな文芸時評16篇。
「昨年中から大衆文学、中間小説の文壇主流進出を認容する論調があった。現象自体は現代の大衆文化進展の一環であり、別に不思議もないが、われわれの伝統や世界文学史に基いた文学の理念をこわしてまでこれを擁護しようとする批評家が一部にあった。(略)私はそれらに対して、文学の原理を争うのではなく、諸君の礼拝している淫祠邪教の実体はこれなのだ、と摘発する方法によった。」(「序」より)
ⒸTeiichi Ooka/Tomoe Osada
- 前巻
- 次巻
オンライン書店で購入する
書誌情報
紙版
発売日
2010年06月12日
ISBN
9784062900881
判型
A6
価格
定価:1,650円(本体1,500円)
ページ数
320ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
電子版
発売日
2020年09月04日
JDCN
06A0000000000099949B
初出
筑摩書房刊「大岡昇平全集」第15巻(1996年4月)、第18巻(1995年)1月、第23巻(2003年8月)を底本とし、作品の配列は、講談社刊「常識的文学論」(1962年1月)に拠った。
収録作品
-
作品名初出
-
作品名
『蒼き狼』は歴史小説か
初出
『群像』1961年1月号
-
作品名
病んでいるのは誰か
初出
『群像』1961年2月号
-
作品名
成吉思汗の秘密
初出
『群像』1961年3月号
-
作品名
『蒼き狼』は叙事詩か
初出
『読売新聞』1961年1月24日夕刊
-
作品名
国語問題のために
初出
『読売新聞』1961年2月6日夕刊
-
作品名
国語も小説もやさしくない
初出
『群像』1961年4月号
-
作品名
昭和十年前後
初出
『群像』1961年5月号
-
作品名
文学は変質したか
初出
『群像』1961年6月号
-
作品名
大衆文学批判
初出
『群像』1961年7月号
-
作品名
再び大衆文学について
初出
『群像』1961年8月号
-
作品名
推理小説論
初出
『群像』1961年9月号
-
作品名
私小説ABC
初出
『群像』1961年10月号
-
作品名
佐藤春夫の日本人の心情
初出
『群像』1961年11月号
-
作品名
文士梅毒説批判
初出
『新潮』1961年11月号
-
作品名
松本清張批判
初出
『群像』1961年12月号
-
作品名
文学的発言法
初出
『群像』1961年12月号
著者紹介
オンライン書店一覧
関連シリーズ
-
文学ノート*大江健三郎
-
系譜なき難解さ 小説家と批評家の対話
-
ほんとうのカフカ
-
新旧論
-
チャンドラー講義
-
『別れる理由』が気になって
-
ドグラ・マグラの世界/夢野久作 迷宮の住人
-
文学のエコロジー
-
二つの東京物語
-
事務に踊る人々
-
柄谷行人の初期思想
-
春秋の花
-
小説の未来
-
藍色の福音
-
羊のレストラン
-
一冊に名著一〇〇冊がギュッと詰まった凄い本
-
薄れゆく境界線
-
ウェブ小説30年史 日本の文芸の「半分」
-
大江健三郎の「義」
-
日本探偵作家論
-
今日よりもマシな明日 文学芸能論
-
大江健三郎と「晩年の仕事」
-
クヌギ林の妖怪たち 童話作家・富安陽子の世界
-
慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り
-
新古今の惑星群
-
それを小説と呼ぶ
-
人間とは何か 偏愛的フランス文学作家論
-
村上春樹の世界
-
私の『マクベス』
-
詩とは何か
-
石坂洋次郎の逆襲
-
生きつづけるキキ ひとつの『魔女の宅急便』論
-
異邦の香り ネルヴァル『東方紀行』論
-
花づとめ
-
與謝蕪村
-
山本健吉 柿本人麻呂
-
事実と創作
-
わがスタンダール
-
イロニアの大和
-
変身放火論
-
小林秀雄の悲哀
-
この百年の小説 人生と文学と
-
物語批判序説
-
スカトロジア(糞尿譚)
-
志賀直哉私論
-
芥川龍之介と太宰治
-
立原道造の世界
-
作家は行動する
-
日本人の自伝
-
自伝の世紀
-
日本の文学論
-
読書の極意と掟
-
新美南吉の世界
-
現代詩人論
-
大衆文学論
-
大江健三郎柄谷行人全対話
-
「文学の言葉」を恢復させる
-
歴史小説の懐
-
小林秀雄と中原中也
-
筒井康隆入門
-
新しい小説のために
-
文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか
-
乱歩と正史
-
現代詩試論/詩人の設計図
-
写生の物語
-
柄谷行人インタヴューズ
-
成熟と喪失 “母”の崩壊
-
世界の読者に伝えるということ
-
神々の闘争 折口信夫論
-
光の曼陀羅 日本文学論
-
テクストから遠く離れて
-
「私小説」を読む
-
恋と日本文学と本居宣長・女の救はれ
-
堀辰雄覚書・サド伝
-
柄谷行人蓮實重彦全対話
-
柄谷行人中上健次全対話
-
文学人生案内
-
文学概論
-
文学の楽しみ
-
文学のプログラム
-
風俗小説論
-
反文学論
-
俳人蕪村
-
日本浪曼派批判序説
-
二葉亭四迷伝
-
内部の人間の犯罪 秋山駿評論集
-
東西文学論・日本の現代文学
-
転々私小説論
-
中原中也
-
対談・文学と人生
-
対談 文学の戦後
-
折口信夫文芸論集
-
正宗白鳥 その底にあるもの
-
小林秀雄全文芸時評集
-
江藤淳 小林秀雄
-
女の子を殺さないために解読濃縮還元100パーセントの恋愛小説
-
書物の解体学
-
坂口安吾と中上健次
-
斎藤茂吉ノート
-
近代日本の批評
-
畏怖する人間
-
意味という病
-
われもまた おくのほそ道
-
マス・イメージ論
-
ハイスクール・ブッキッシュライフ
-
アレゴリーの織物
-
1946・文学的考察
-
日本近代文学の起源