
マイページに作品情報をお届け!
小林秀雄全文芸時評集 上
コバヤシヒデオゼンブンゲイジヒョウシュウジョウ
- 著: 小林 秀雄

知性のドラマを批評へとたかめ近代を拓いた新しい文芸時評
懸賞評論「様々なる意匠」二席入選の翌年(昭和五年)、「アシルと亀の子」で、文芸時評家として文壇に登場した小林秀雄。当時隆盛を極めたマルクス主義文学の観念性を衝き、また心理小説、私小説、行動主義等、あらゆる文学潮流にも与することなく、孤高を持し、本質的で独創的な論を展開。そこには個々の作品を論じつつも、批評という行為それ自体を問う、<近代批評>誕生のドラマがあった。
小林秀雄
文学という形はその影をもっている。瞬時も同じ格好をしていない人間の心という影をもっている。作品という死物に、命を与える人間の心は、社会の鏡でもなければ、又、社会は人間の心の鏡でもないのである。文学に関する困難は、ただこの影の世界を覗くにある。――<本書収録「文学と風潮」より>
※本集は、掲載紙誌において「文芸時評」「文芸月評」と銘打たれた作品を集成したものです。底本は、新潮社刊『小林秀雄全作品』1~5(二〇〇二年十月~二〇〇三年二月)としました。
書誌情報
紙版
発売日
2011年07月10日
ISBN
9784062901291
判型
A6
価格
定価:1,760円(本体1,600円)
ページ数
352ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
初出
掲載紙誌において「文芸時評」「文芸月評」と銘打たれた作品を集成した物。底本は、新潮社刊「小林秀雄全作品」1~5(2002年10月~2003年2月)とし、振り仮名は適宜調整した。
収録作品
-
作品名初出
-
作品名
アシルと亀の子 1
初出
『文藝春秋』1930年4月
-
作品名
アシルと亀の子 2
初出
『文藝春秋』1930年5月
-
作品名
アシルと亀の子 3
初出
『文藝春秋』1930年6月
-
作品名
アシルと亀の子 4
初出
『文藝春秋』1930年7月
-
作品名
アシルと亀の子 5
初出
『文藝春秋』1930年8月
-
作品名
文学とは絵空ごとか
初出
『文藝春秋』1930年9月
-
作品名
文学と風潮
初出
『文藝春秋』1930年10月
-
作品名
横光利一
初出
『文藝春秋』1930年11月
-
作品名
物質への情熱
初出
『文藝春秋』1930年12月
-
作品名
マルクスの悟達
初出
『文藝春秋』1931年1月
-
作品名
文芸時評
初出
『文藝春秋』1931年2月
-
作品名
心理小説
初出
『文藝春秋』1931年3月
-
作品名
室生犀星
初出
『改造』1931年4月
-
作品名
再び心理小説について
初出
『改造』1931年5月
-
作品名
「安城家の兄弟」
初出
『改造』1931年6月
-
作品名
文芸月評 1
初出
『東京日日新聞』1931年7月
-
作品名
梶井基次郎と嘉村礒多
初出
『中央公論』1932年2月
-
作品名
現代文学の不安
初出
『改造』1932年6月
-
作品名
故郷を失った文学
初出
『文藝春秋』1933年5月
-
作品名
文芸月評 2
初出
『報知新聞』1933年5月
-
作品名
批評について
初出
『改造』1933年8月
-
作品名
文芸時評
初出
『経済往来』1933年9月
-
作品名
文芸月評 3
初出
『東京日日新聞』1933年9月
-
作品名
文学界の混乱
初出
『文藝春秋』1934年1月
-
作品名
新年号創作読後感
初出
『文藝春秋』1934年2月
-
作品名
文芸時評
初出
『文藝春秋』1934年3月
-
作品名
レオ・シェストフの「悲劇の哲学」
初出
『文藝春秋』1934年4月
-
作品名
林房雄の「青年」
初出
『文藝春秋』1934年6月
著者紹介
既刊・関連作品一覧
関連シリーズ
-
文学ノート*大江健三郎
-
系譜なき難解さ 小説家と批評家の対話
-
ほんとうのカフカ
-
新旧論
-
チャンドラー講義
-
『別れる理由』が気になって
-
ドグラ・マグラの世界/夢野久作 迷宮の住人
-
文学のエコロジー
-
二つの東京物語
-
事務に踊る人々
-
柄谷行人の初期思想
-
春秋の花
-
小説の未来
-
藍色の福音
-
羊のレストラン
-
一冊に名著一〇〇冊がギュッと詰まった凄い本
-
薄れゆく境界線
-
ウェブ小説30年史 日本の文芸の「半分」
-
大江健三郎の「義」
-
日本探偵作家論
-
今日よりもマシな明日 文学芸能論
-
大江健三郎と「晩年の仕事」
-
クヌギ林の妖怪たち 童話作家・富安陽子の世界
-
慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り
-
新古今の惑星群
-
それを小説と呼ぶ
-
人間とは何か 偏愛的フランス文学作家論
-
村上春樹の世界
-
私の『マクベス』
-
詩とは何か
-
石坂洋次郎の逆襲
-
生きつづけるキキ ひとつの『魔女の宅急便』論
-
異邦の香り ネルヴァル『東方紀行』論
-
花づとめ
-
與謝蕪村
-
山本健吉 柿本人麻呂
-
事実と創作
-
わがスタンダール
-
イロニアの大和
-
変身放火論
-
小林秀雄の悲哀
-
この百年の小説 人生と文学と
-
物語批判序説
-
スカトロジア(糞尿譚)
-
志賀直哉私論
-
芥川龍之介と太宰治
-
立原道造の世界
-
作家は行動する
-
日本人の自伝
-
自伝の世紀
-
日本の文学論
-
読書の極意と掟
-
新美南吉の世界
-
現代詩人論
-
大衆文学論
-
大江健三郎柄谷行人全対話
-
「文学の言葉」を恢復させる
-
歴史小説の懐
-
小林秀雄と中原中也
-
筒井康隆入門
-
新しい小説のために
-
文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか
-
乱歩と正史
-
現代詩試論/詩人の設計図
-
写生の物語
-
柄谷行人インタヴューズ
-
成熟と喪失 “母”の崩壊
-
世界の読者に伝えるということ
-
神々の闘争 折口信夫論
-
光の曼陀羅 日本文学論
-
テクストから遠く離れて
-
「私小説」を読む
-
恋と日本文学と本居宣長・女の救はれ
-
堀辰雄覚書・サド伝
-
柄谷行人蓮實重彦全対話
-
柄谷行人中上健次全対話
-
文学人生案内
-
文学概論
-
文学の楽しみ
-
文学のプログラム
-
風俗小説論
-
反文学論
-
俳人蕪村
-
日本浪曼派批判序説
-
二葉亭四迷伝
-
内部の人間の犯罪 秋山駿評論集
-
東西文学論・日本の現代文学
-
転々私小説論
-
中原中也
-
対談・文学と人生
-
対談 文学の戦後
-
折口信夫文芸論集
-
正宗白鳥 その底にあるもの
-
常識的文学論
-
江藤淳 小林秀雄
-
女の子を殺さないために解読濃縮還元100パーセントの恋愛小説
-
書物の解体学
-
坂口安吾と中上健次
-
斎藤茂吉ノート
-
近代日本の批評
-
畏怖する人間
-
意味という病
-
われもまた おくのほそ道
-
マス・イメージ論
-
ハイスクール・ブッキッシュライフ
-
アレゴリーの織物
-
1946・文学的考察
-
日本近代文学の起源