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新旧論 三つの「新しさ」と「古さ」の共存
シンキュウロンミッツノアタラシサトフルサノキョウゾン
- 著: 加藤 典洋

昭和初期に鮮やかに出現し、いまなお文学に関心を抱く者がどこかで出会う、小林秀雄、梶井基次郎、中原中也――
彼らの文芸評論、小説、詩はどこが新しく、どこが古かったのか?
著者は通念にとらわれず、すべてをゼロから読み解くことで、この三人の文学者の表現を徹底的に検討し、思いの外自らに近いところに三人の存在があるという理解に至る。
「早稲田文学」1981年11月号に発表されたものを徹底的に加筆訂正し、1987年7月に刊行された二番目の評論集『批評へ』に収録された長篇文芸評論が37年を経て再刊される。
文芸評論家としての加藤典洋の出発点に再び光が当てられる。
ⒸAtsuko Kato
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目次
はじめに
1 小林秀雄の世代の「新しさ」――「社会化した私」と「社会化されえない私」
1 「故郷を失つた文学」
2 「私小説論」
2 小林秀雄――ランボーと志賀直哉の共存
1 再び「私小説論」
2 「私小説」という制度
3 梶井基次郎――玩物喪志の道
1 「白樺派流」の意味
2 モノへの自由
3 トルソーについて
4 「檸檬」の記号学
5 キッチュ
4 中原中也――言葉にならないもの
1 「うた」の古さ
2 モノの否定
3 「古さ」の選択
4 「下手」さへ
5 小林と中原――社会化と社会性
6 「惑い」の場所――終りに
註記
魂の露天掘り――小林秀雄の死に寄せて
参考資料 単行本『批評へ』あとがき
年譜
著書目録
書誌情報
紙版
発売日
2024年12月12日
ISBN
9784065376614
判型
A6
価格
定価:2,530円(本体2,300円)
ページ数
336ページ
シリーズ
講談社文芸文庫
電子版
発売日
2024年12月11日
JDCN
06A0000000000849580T
初出
本書は『批評へ』(弓立社、1987年7月)を底本としました。
著者紹介
加藤典洋(1948・4・1~2019・5・16)文芸評論家。山形県生まれ。 1972年、東京大学文学部仏文科卒。国立国会図書館勤務、明治学院大学教授、早稲田大学教授を経て、2014年、同大学名誉教授。 1985年、最初の評論集『アメリカの影』刊行。97年、『言語表現法講義』で新潮学芸賞、98年、『敗戦後論』で伊藤整文学賞、2004年、『テクストから遠く離れて』『小説の未来』で桑原武夫学芸賞を受賞。ほかに『日本風景論』『日本という身体――「大・新・高」の精神史』『戦後的思考』『日本人の自画像』『僕が批評家になったわけ』『太宰と井伏 ふたつの戦後』『村上春樹の短編を英語で読む 1979~2011』『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』『9条入門』『大きな字で書くこと』『オレの東大物語 1966~1972』『9条の戦後史』などの著書がある。 2019年の没後も、著作の刊行が多数なされた。
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