
セキュリティの共和国 戦略文化とアメリカ文学
セキュリティノキョウワコク センリャクブンカトアメリカブンガク
- 著: 新田 啓子

「心配のない」状態を指した「セキュリティ」は、有事に備え、安全を確保するための言葉に変わってしまった。
「理念の国」米国で死、暴力、軍事はいかに正当化されるのか。米国の戦略文化の行方を考える上での必読文献。ーー宇野重規(政治学者)
建国からトランプ再選まで、歴史を貫く暴力=軍事への問い。
戦争、独裁、内戦、テロ……
危機に対峙するアメリカの想像力を探る「虚構のレッスン」
エドガー・アラン・ポー、マーク・トウェイン、ハーマン・メルヴィル、ヘンリー・ジェイムズ……「セキュリティ」と「戦略文化」から読むアメリカの姿
「合衆国が他国に対して、よくても複雑、批判的な言葉でいうなら欺瞞的に見える時、その原因のかなりの部分は、同国の行動を規定している「セキュリティ」、日本語でいえば「安全」という観念が、実際の文化的な創作物、ないしは表象・物語を含んだテクストに、いかなる形で表れているかを調べることで、考証可能と考えている。このような前提に本企画は立脚しており、アメリカ文学作品を、その国の安全という価値に連なる文化的な建て付けを知る設計図、あるいは文化の個別的な局面と呼応した図案のように読み解こうという試みである。」(本文より)
はじめに 誰から身を守るのか、誰のための安全なのか
序章 戦略文化とアメリカ文学
◇第一部 武相の論理
第1章 人間性の荒野
第2章 閾下の戦場
第3章 民主国家の安全保障
第4章 アメリカ的問題の露出 ※47枚
第5章 アメリカの明暗法(キアロスクーロ)
◇第二部 贖罪の暴力
第6章 アメリカの庶子たち
第7章 重なりあう新世界と旧世界
第8章 人間の安全保障と文学のメランコリー
第9章 陰謀論の生まれる土壌
◇第三部 復讐の精神
第10章 内乱の予感
第11章 奴隷の時間へ
第12章 社会契約と人種契約
◇第四部 徴募の技術
第13章 恐怖のテクスチュアリティ
第14章 美とテロル
第15章 民主主義のコスト削減
第16章 秘められた爆発物
終章 破壊的衝動のゆくえ
あとがき
参考文献
- 前巻
- 次巻
オンライン書店で購入する
書誌情報
紙版
発売日
2025年08月28日
ISBN
9784065404324
判型
四六変型
価格
定価:3,300円(本体3,000円)
ページ数
416ページ
著者紹介
1967年東京生まれ。立教大学教授。ウィスコンシン大学マディソン校大学院博士課程修了(Ph.D)専攻はアメリカ文学、文化理論。著書に『アメリカ文学のカルトグラフィ――批評による認知地図の試み』『アメリカの黒い傷痕――生態【ルビ・エコロジー】としての人種と文学の潜勢力』、共著書に『ジェンダー研究のフロンティア5 欲望・暴力のレジーム』『クリティカル・ワード 文学理論』ほか。訳書にトリーシャ・ローズ『ブラック・ノイズ』。
オンライン書店一覧
関連シリーズ
-
文学を探せ
-
文学ノート*大江健三郎
-
系譜なき難解さ 小説家と批評家の対話
-
ほんとうのカフカ
-
新旧論
-
チャンドラー講義
-
『別れる理由』が気になって
-
ドグラ・マグラの世界/夢野久作 迷宮の住人
-
文学のエコロジー
-
二つの東京物語
-
事務に踊る人々
-
柄谷行人の初期思想
-
春秋の花
-
小説の未来
-
藍色の福音
-
羊のレストラン
-
一冊に名著一〇〇冊がギュッと詰まった凄い本
-
薄れゆく境界線
-
ウェブ小説30年史 日本の文芸の「半分」
-
大江健三郎の「義」
-
日本探偵作家論
-
今日よりもマシな明日 文学芸能論
-
大江健三郎と「晩年の仕事」
-
クヌギ林の妖怪たち 童話作家・富安陽子の世界
-
慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り
-
新古今の惑星群
-
それを小説と呼ぶ
-
人間とは何か 偏愛的フランス文学作家論
-
村上春樹の世界
-
私の『マクベス』
-
詩とは何か
-
石坂洋次郎の逆襲
-
生きつづけるキキ ひとつの『魔女の宅急便』論
-
異邦の香り ネルヴァル『東方紀行』論
-
花づとめ
-
與謝蕪村
-
山本健吉 柿本人麻呂
-
事実と創作
-
わがスタンダール
-
イロニアの大和
-
変身放火論
-
小林秀雄の悲哀
-
この百年の小説 人生と文学と
-
物語批判序説
-
スカトロジア(糞尿譚)
-
志賀直哉私論
-
芥川龍之介と太宰治
-
立原道造の世界
-
作家は行動する
-
日本人の自伝
-
自伝の世紀
-
日本の文学論
-
読書の極意と掟
-
新美南吉の世界
-
現代詩人論
-
大衆文学論
-
大江健三郎柄谷行人全対話
-
「文学の言葉」を恢復させる
-
歴史小説の懐
-
小林秀雄と中原中也
-
筒井康隆入門
-
新しい小説のために
-
文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか
-
乱歩と正史
-
現代詩試論/詩人の設計図
-
写生の物語
-
柄谷行人インタヴューズ
-
成熟と喪失 “母”の崩壊
-
世界の読者に伝えるということ
-
神々の闘争 折口信夫論
-
光の曼陀羅 日本文学論
-
テクストから遠く離れて
-
「私小説」を読む
-
恋と日本文学と本居宣長・女の救はれ
-
堀辰雄覚書・サド伝
-
柄谷行人蓮實重彦全対話
-
柄谷行人中上健次全対話
-
文学人生案内
-
文学概論
-
文学の楽しみ
-
文学のプログラム
-
風俗小説論
-
反文学論
-
俳人蕪村
-
日本浪曼派批判序説
-
二葉亭四迷伝
-
内部の人間の犯罪 秋山駿評論集
-
東西文学論・日本の現代文学
-
転々私小説論
-
中原中也
-
対談・文学と人生
-
対談 文学の戦後
-
折口信夫文芸論集
-
正宗白鳥 その底にあるもの
-
常識的文学論
-
小林秀雄全文芸時評集
-
江藤淳 小林秀雄
-
女の子を殺さないために解読濃縮還元100パーセントの恋愛小説
-
書物の解体学
-
坂口安吾と中上健次
-
斎藤茂吉ノート
-
近代日本の批評
-
畏怖する人間
-
意味という病
-
われもまた おくのほそ道
-
マス・イメージ論
-
ハイスクール・ブッキッシュライフ
-
アレゴリーの織物
-
1946・文学的考察
-
日本近代文学の起源