文芸(単行本)作品一覧

食いものの恨み
文芸(単行本)
人は食っても食わなくても、また食われても死ぬ。
超豪華な料理屋から学食、立ち食い鰻。インド、韓国、ロシア他世界各地の食に、自作レシピまで。若き作家の舌の冒険!
私の願いはよりよく食うことである。よく食うには2つの意味があって、1つは大食いであること、今1つはもっとましな食い方をすることである。上手に食ったり、おいしく食ったり、安く食ったり、太らないように食ったり、病気にならないよう食ったり、考えながら食ったりと食事には様々な流儀があるが、それらを全てひっくるめて、よく食いたい。――<本文より>

あたしの夜
文芸(単行本)
ソープ嬢の純情
清張賞作家が若き日の中央公論新人賞受賞作を基に長篇完成。蜜柑山から都会に出てきた女の勁く生きる姿。
父にも母にも、あたしが何を考えているのか想像もつくまい。銀色の極端に細い踵のピンヒールを履いて帰って来るのはどんな種類の女か、コンビニから毎月振り込みをしてやれる収入にありつけるのはどんな仕事か。――(本文より)

戦場へ行こう!!
文芸(単行本)
「世界」と思いきりセックスしたい! 希薄な現実感を超えるために、厳戒態勢のイラクへ、北朝鮮へ。そして宗教へ、自傷へ。ホンモノの戦場から見た、「今、ここ」というぬるい戦場で生きること。ぬるい戦場であがくすべての人々に捧ぐ、「時代の肉感」を伝える渾身のエッセイ集。
<登場人物、団体>朝鮮労働党/イラク・バース党(アラブ・バース社会主義党)/ウダイ・フセイン氏/警視庁公安三課の皆様/よど号グループ/インドネシア反体制派の皆様/パナウェーブ研究所/世界各国のリストカッターの皆様/元赤軍派議長/日本の生きづらい若者たち/その他、雨宮処凛の愉快な仲間たちが多数登場!

エロチカ〔eRotica〕
文芸(単行本)
人気作家たちのエロスへの挑戦
人は一生かかっておのれのエロスの何たるかを知る。あるいは、知らずに死ぬ。――桐野夏生「序文」より
<収録作品(掲載順)>
●淫魔季/津原泰水
忘れ物を届けに来た少年に支配された女
●愛の嵐(ポルノ・ポリティカ)/山田正紀
収容所での性体験に呪縛されて……
●大首 妖怪小説百鬼夜行第拾弐夜/京極夏彦
情愛と官能が乖離してしまった男
●愛ランド/桐野夏生
旅先で3人の女性が「一番良かったセックス」を告白
●思慕/貫井徳郎
ウェイトレスに惚れた青年のアプローチ
●柘榴/皆川博子
女学生の禁忌の性
●あの穴/北野勇作
性蜜計算機関で働く男の背中には……
●危険な遊び/我孫子武丸
恋人同士がレイプごっこした おそるべき結末

唐衣
文芸(単行本)
美しい国際化の時代
飛鳥から奈良、わずか100年余。激動の世に火花を燃やす人々!
<収録作品>
日輪薨したまひぬ
迦楼羅のくちばし
上官婉児
羽人(うじん)
朝靄(あさもや)
しゑやさらさら
龍になった皇女

団塊者
文芸(単行本)
開高健賞受賞作家による傑作長篇
団塊の世代の善き魂
弱小商社員の見事な挑戦。メコン河と相渉る躍動する生命感が夢見たものは?

富士山大噴火
文芸(単行本)
日本壊滅!?
予兆は揃った
山体の膨張、低周波地震の増加、二酸化硫黄濃度の上昇、動物の異常行動、地下マグマの活性化……。
富士山の直近の噴火は宝永4(1707)年。それから300年近くが経ち、富士山は今、300年分のエネルギーを蓄えている。

ヤスマくん、立ってなさい!
文芸(単行本)
教室の外こそ学校だ。
お父さん、お母さん、自分の子ども時代を思い出しなさい。
身近な小さな自然でいい、とにかく外へ出ることだ。暴れたり、虫や花をとることがあっても、自然はそんなことではびくともしない。自然とは力があって、すごい包容力を持っているものなのだ。
いたずらっ子ヤスマくんが過ごした’50年代小学生の日々。
1年生、虫を捕りながら、山原川を遡った。たっぷり2時間かかった。
2年生、机に穴を空けて鉄玉をホールインさせる。授業中に専念するべき「仕事」だ。
3年生、ズガニを捕った。指をはさまれ痛かった。
4年生、日本平から眺めた清水の夜景は、たとえようもないほど美しかった。
5年生、ゴキブリだけは汚らしくて、つかめなかった。
6年生、片っ端から本を読んだ。授業中、隠しながら読むのに苦労した。

アベラシオン
文芸(単行本)
天使の名を持つ一族が正五角形の迷宮に住んでいた……
豪奢にして残酷! 皆川博子氏絶賛
構想10年、戦慄の最終章は誰にも見通せない。
冬のヴェネツィア、華やかなパーティのさなかに起きた奇妙な殺人事件。偶然目撃者となってしまった日本人留学生藍川芹は、やがて事件の関係者からの招待状を受け取る。北イタリア山中の巌上にそびえる<聖天使宮(パラッツォ・サンタンジェロ)>。未公開の美術品に満たされた巨大な正五角形の宮殿を所有するのは、謎めいた伝説に包まれた美しい一族の末裔だった。心ならずもそこに滞在することとなった芹の前に、勃発する凄惨な連続殺人。一族の過去に揺曳するナチズムの影。車椅子の少年に導かれて、絢爛たる地獄を巡る女主人公(ヒロイン)が最後に見たものは――。
建築探偵シリーズともリンクする著者渾身の力作!!

黄昏の百合の骨
文芸(単行本)
「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」
亡き祖母の奇妙な遺言に従い、「魔女の館」と噂される洋館に、理瀬は、やってきた………。

清談佛々堂先生
文芸(単行本)
書画、骨董、現代美術、果ては木っ端や石くれまで、先生の眼鏡にかかれば、真の価値が見えてくる。
平成随一の目利きが美にまつわる難事をさばく。
稀代の蒐集家(コレクター)か、美に操られる「使いっ走り」か。
「気に入る花がないから、描けない」
椿絵作家として出世した関屋は、「百椿図(ひゃくちんず)」完成を前に行き詰まっていた。我楽多(がらくた)満載のワンボックス・カーで駆けつけた佛々堂先生が仕掛けた「お節介」とは?――平成の魯山人の活躍を描く全4篇

北国の雁
文芸(単行本)
大儒者清原宣賢(のぶかた)の妻の生涯!
みずみずしい室町ことば、自然と共振れする室町ごころ。高貴なる女人翠子を描く秀作。
はかなき此の世を過ぐすとて
海山かせぐとせし程に
万の仏に疎まれて
後生我が身をいかにせん
生涯で何一つ、うしろめたいことのない者はいない。それを懺悔する歌をうたうことで、同じ思いで冥界に旅立った人を救うことができる。それを信じるからこそ、念仏とともに歌いつづけるのである。翠子の腰からも、カラコロリンと鈴の音が唱和していた。雪の冷たさも、夜の冷えこみも翠子には感じられない。去りゆく貞信たちの跡をしたい、一度だけ「さらば」を言うために山道をたどっている気がする。――(本文から)

あやめ 鰈 ひかがみ
文芸(単行本)
3匹の蛇のように絡み合う3つの物語
生と死、現実と虚構、光と影。その境界に、揺らぎ、彷徨う魂たち。血だまりに浮かぶ、鮮烈な幻影の世界。
もしあんたの顔見て、あんたが俺だったら、俺はどうしたらいい。
冥府の淵に咲く花<あやめ>。その甘い馥りが妖しく誘う。腐敗していく<鰈(かれい)>の重さ。酩酊と覚醒のレールを地下鉄は走る。白い肉の深部の<ひかがみ>。その魔がすべてを食らい尽くす。生と死の間に存在する恍惚のエロス。その果てのない闇に迷いこみ、帰途を絶たれた3人の男。

四季
文芸(単行本)
森ミステリィの金字塔 作家 森博嗣の8年間のすべてがここにある。
天才科学者、真賀田四季の謎が解かれる!?幼くして世界を把握していた四季は、14歳で事件を起こし、29歳で失跡する。天才の孤独はいやされるときがくるのか?犀川創平は四季に近づくことができるのか。

ジャンヌ・ダルク またはロメ
文芸(単行本)
直木賞受賞の大才!初の歴史短篇秀作集
知的興奮と人間味横溢のユーモア。
ジャンヌ・ダルクの大成功に嫉妬する宮廷の実力者ジョルジュ。ジャンヌの追落しをめざして、ジャンヌ探しがはじまる。表題作等、計5篇を収録した歴史短篇の秀作。

帰ってきたアルバイト探偵
文芸(単行本)
「新宿鮫」「佐久間公」とならぶ大人気シリーズ、完全復活!
白骨死体で発見された武器商人・モーリス。その「恐怖の土産」を目当てに、危ないテロ集団が続々やってきた!高校生探偵・リュウと不良中年オヤジは、美女と東京を救えるか?
ノリも正義感も、女好きもそのままに、「あの親子」が帰ってきた!

そして、警官は奔る
文芸(単行本)
ほかのどのヒーローでもなく、私は「武本」を相棒に選ぶだろう。
――横山秀夫
武本・潮崎シリーズ第2弾。熱い警察小説!
蒲田署刑事課に勤務する武本は、不法滞在外国人の子どもが売買される事件を追っていた。潮崎は、武本の力になりたいと思い、独自で事件を調査しはじめるが……?

h
文芸(単行本)
遠くから眺めているだけでは君の心に触れられないんだ…
身体をひらきあって、始まる愛がある。ひたむきに求め合う男と女。その情愛を描く。
美佳が愉悦に浸っているのは、自分がいるからだ。(略)美佳が自分に夢中になったように、彼女以外の女性でも、愉悦に浸らせられるのではないか。(略)美佳が自信をつけさせてくれたのは間違いない。男としての魅力があるということに気づかせてくれたのも彼女なのだ。愛情とは別の、感謝したい気持も湧き上がった。――<本文より>

最後のアジアパー伝
文芸(単行本)
戦場が僕を変えた。
銃火の街サラエボへ届けたクリスマスプレゼント…報道カメラマン見習いの若く無鉄砲な日々から 酒びたり人生が始まった。コンビ最後の鎮魂譜。

招待
文芸(単行本)
三木 卓氏激賞! 絶筆、此の世の明るみ。
老医師は毎日、往診に出かけるが…
倉本四郎は、人懐っこく元気のいい天草男だった。よく学び多彩に才を発揮した。が、本命は小説だった。特異な歴史文化をもつ天草をどう日本に位置づけるか。前作『往生日和』は、その方法をつかんだ注目作で、ぼくは「とうとうやった!」と快哉を叫んだ。だがその時もうかれには、かの地からくる使者がいたのだ。予感に追われつつ息遣いも荒く、全力を込めて描いた天草色の夢幻――『招待』。今かれは、ワタシドンガホウで家族と陽気な酒宴を開いている。
――三木 卓