文芸(単行本)作品一覧

恋愛映画館
文芸(単行本)
著者が厳選した73の映画 男と女 73通りの恋のゆくえ
映画という至福
――だから私は、“映画の夜”を自ら作る。カーテンを閉じた居間の中、照明を落とし、電話を留守番電話にセットする。時に窓を叩く木枯らしの音や雨の音が少し混じる。遠い雷鳴を聞くこともある。だが、映像に没入していくに従って、それも耳に届かなくなってくる。時がたつのも忘れていく。……これが人生の至福でなくて、何であろう。――(「あとがきにかえて」より)

いつか、ふたりは二匹
文芸(単行本)
菅野智己は母が再婚した4年生の頃、突然、眠りに就くことで猫の身体に乗り移れるという不思議な能力を持った。身体を借りている猫にジェニイという名前をつけ、巨大なセントバーナード犬のピーターと友達になった智己が6年生のとき、クラスメイトを含め3人の女子児童が襲撃されるという事件が発生し、1人が重態に。昨年秋に、同じく町内で起きた女子児童誘拐未遂事件の犯人と同一人物の仕業のようだ。被害者の共通点は、智己の義理の姉久美子さんが家庭教師だということ! 智己はジェニイになって、ピーターとともに事件を調べることにした。

牛乳の未来
文芸(単行本)
井上ひさし氏激賞
自然と生きる、笑って生きる。北の大地の酪農家たちからもらった21世紀の指針。新手法の渾身ノンフィクション。
いい堆肥を作って、いい土を作って、で草をとる。でその草、化学肥料を多くやらないから健全だから。牛も健全。で、牛はおっぱいたくさん出さないけども健康だから事故が少ない。耐用年数が長くなる。そうすると生まれた育成牛は個体販売で売れていく。いわゆる、自分の農業の中の「農的循環」が良くなる。うん。これ農的循環、農業の進歩なの。もっと言えば「太陽エネルギーを最終的にミルクに変える効率が良くなっていく」の。工業的な循環でなくて。――<本文より>

あやまち
文芸(単行本)
男と女、とり返しのつかない瞬間!
プレ「引きこもり」の女性が恋した男には秘密が。ファンタジー大賞受賞者初の書下ろし恋愛小説。
本物の恋はきっと、言葉を交わす前に始まるのだ。相手が近くに立ったとき、顔も見ることなく、気配だけで、もうとらわれているのだ。頭が理解するのは、ずっと後だとしても。――(本文より)

あっぷあっぷ
文芸(単行本)
かきおろしコラボレーションブック
福永信の小説と村瀬恭子のドローイングが合わせ鏡のように映し出す世界
2人の少女が夢の中で出会う少女・ルルリの正体とは……?

うさたまの暗夜行路対談
文芸(単行本)
「女の路(みち)は暗くてオカシイ。さらば志賀直哉、これが平成の『暗夜行路』だ」
小倉千加子氏推薦!
ブランド→ホスト→整形と、女の欲望道を突き進む作家・中村うさぎと、だめ男歴を誇る漫画家・くらたま、こと倉田真由美。そんな2人が心機一転「いい女」を目指す大胆かつ無謀な(!?)挑戦。はたして行く手に光は見えるのか?

私は好奇心の強いゴッドファーザー
文芸(単行本)
ああ、上映のベルが鳴る。ホラー映画は観る前にタマげ、「18禁」上映館には入れずじまい。「エレファント・マン」の素っ気なさに残尿感。寄り道満載抱腹エッセイ!
やがて上映のベルが鳴り、場内が暗くなると、父は立て続けに大きな咳をした。同時に「もう」と母が呟き、肘で父を突っつく気配がした。暗がりの中で、私は笑いたいような泣きたいような、何とも言えない気持に満たされていた。映画が始まる前に、私たち親子3人は、それぞれに「至福のとき」を味わっていた。――(本文より)

作家の条件
文芸(単行本)
330冊を超える著書を持つ小説界のトップランナーが明かす「作家になるための条件」とは?
●作家になる3つの方法
●短編と長編の組み立て方の違い
●トリックを思いつく訓練
●ベストセラーは結果にすぎない
●小説家を目指す人へのメッセージ
――<本文「小説を書くということ」より>

乱歩賞作家 赤の謎
文芸(単行本)
ゼッタイ面白い!
・長坂秀佳 『「密室」作ります』
“喪服婦人”からメールで届いたキイワード。「密室」でそのキイワードどおりの事件が……。
・真保裕一 『黒部の羆』
冬型の気圧配置が強まっていた。山の事故――25年前の馬鹿な男の姿が胸をよぎった。
・川田弥一郎 『ライフ・サポート』
末期癌患者の最後の願いは「娘探し」――同行したプライベイト・ドクターは命を救えるのか?
・新野剛志 『家路』
師走の街で通り魔に刺された男は、被害者ではなく加害者だったのか。
・高野和明 『二つの銃口』
迷い込んだ大量殺戮者と、巻き込まれた青年。極限の恐怖と、精神の深淵を描く緊迫スリラー。

ブラフマンの埋葬
文芸(単行本)
「夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。」
あたたかくて、せつなくて、いとおしい。極上の文学世界をご堪能ください。
朝日はまだ弱々しく、オリーブ林の向こうの空には沈みきらない月が残っているような時刻で、僕以外に目を覚ました者は誰もいなかった。ブラフマンは裏庭のゴミバケツの脇に潜み、脚を縮め、勝手口の扉に鼻先をこすりつけていた。――(本文より)

天路(TENRO)
文芸(単行本)
人を殺した少年はどうすれば罪を贖(あがな)えるのか!
犯した「罪」の重さに値する「罰」とは何か。いま、その答えを問う。
凶悪な犯罪を犯した少年たちが、いかに更生し社会復帰を果たせるか
(人を殺した)主人公の幸雄という少年に、罪を真正面から見据えさせ、自分をごまかすことなく、命を賭けてデスロードを歩かせた。ここまでやるには並外れた勇気と悔い改めの想いが必要だった。彼を再生させるにはそうする以外なかったからである。同時にここまでしなければ、被害者の家族の痛恨さを癒すことはできないということを多くの少年たちに知ってもらいたかった。―――(「あとがき」より)

高く遠く空へ歌ううた
文芸(単行本)
ぼく、また死体を見つけてしまったんです。これで10人目なんです。
高くて広い空に囲まれた街で起きる不思議な事件。少年・ギーガンは知らず知らずのうちに事件に巻き込まれていく。第29回メフィスト賞受賞作家が放つ会心作!
「どうして俺たちみたいな人間が存在するのか、俺たちにもわからないんだ。俺たちさえいなけりゃこんなことも起こらないのに」「そこにもう一人のぼくがいるような気がするんです。見えない闇の世界にいるもう一人のぼく」
大人の世界には君たちの知らないことがたくさんある。

人生を3つの単語で表すとしたら
文芸(単行本)
この本を読んだきもちは、誰かを好きになるきもちに似ている。
ただひとつ、私の胸には違って響いたスピーチがある。友人の恩師の、ごく短いものだった。好きだった理由を思い出せるということ。と彼は言った。
どんなに好きだったかを憶えているということ。恋愛したそのことを思い出せる夫婦が、幸せなのだと思います。――(本文「好きだった理由」より)

灰色の瞳
文芸(単行本)
注目の新鋭が挑む、本格ロマンの復権! 父親譲りの灰色の瞳と英語力を武器に、通訳として自立をめざす美貌の女性・黒井礼子は、政治思想史の若き学究・千明広と出会い、恋に落ちる。正反対の境遇と性質ゆえに深く惹かれ合う二人だったが、兄夫婦の急死により礼子に遺された幼い兄妹の養育、千明の将来を左右する教授夫人との確執、さらに戦後政治思想史のカリスマをめぐる謀略が絡み、波瀾のドラマが展開する……。

ぼくのボールが 君に届けば
文芸(単行本)
少年は青空に抱いてほしかった。彼女はその人を見つめて生きてきた。大切な人に届けたい9つの短編。
あの時、どうしてあんなにときめいたのだろう。見上げたボールの先は、どうして青空だったのだろう。いとしい人とひとつのものを見つめた、あの思いがよみがえる、9つの物語。

アンチ漱石 固有名批判
文芸(単行本)
「議論勃発」
日本文学を「漱石による拘束」から解放する。
漱石崇拝者はみな漱石神話の批判者である。漱石の責任を免除したまま漱石神話を批判することは、ラジカルであればあるほど保守的効果を生む。柄谷に限らず、漱石の名において小宮豊隆的漱石神話を批判する江藤淳から小森陽一まで反復されて来た身振りは、常に漱石神話をより強化し、新しい教養主義=官僚主義の形成を促すことに寄与して来た。漱石と漱石神話は分離し難く癒着しているのであり、漱石神話を批判するためには漱石そのものを批判しなくてはならない。――<本文より>

猫舌男爵
文芸(単行本)
爆笑。幻惑。そして戦慄。
小説の無限の可能性を示す、瞠目すべき5つの作品世界
棘のある舌を持った残虐冷酷な男爵が清純な乙女を苛む物語………?

名将がいて、愚者がいた
文芸(単行本)
真に歴史を動かすのは、賢者か愚者か。
上杉謙信×織田信長 大野治長×真田幸村 福島正則×石谷貞清
本多正純/徳川家光/加藤清正/加藤嘉明/鳥居元忠/松平信綱/保科正之/水野忠邦/徳川綱吉/酒井忠清/堀田正俊/田沼意知/矢部定謙/鳥居耀蔵/小笠原長行/近藤 勇/永倉新八/太田道灌/蒲生氏郷/直江兼続/徳川家康/徳川秀忠/徳川家茂/坂本竜馬/孝明天皇/スネル兄弟/徳川慶喜/郡長 正/芹沢 鴨/土方歳三/斎藤 一/島田 魁……

猿曳遁兵衛 重蔵始末(三)
文芸(単行本)
猿遣い名人、お高祖頭巾の大年増。鍵言葉に突っ転がし。江戸の火盗改、近藤重蔵の痛快無比な活躍を描く。
大評判の本格時代小説!
「近藤どの。信濃屋から、目を離さなかったおぬしの眼力は、ほめてやってもよい。だが、その大きな体でおれの剣を避けるのは、至難のわざだぞ」
権八郎がうそぶくと、重蔵は小ばかにしたような笑いを浮かべた。
「食い詰め浪人が、大きな口を叩くな。女の色香に迷って、盗賊の一味に加わるような腰抜け侍に、直参旗本を斬れるものか」――<本文より>

食いものの恨み
文芸(単行本)
人は食っても食わなくても、また食われても死ぬ。
超豪華な料理屋から学食、立ち食い鰻。インド、韓国、ロシア他世界各地の食に、自作レシピまで。若き作家の舌の冒険!
私の願いはよりよく食うことである。よく食うには2つの意味があって、1つは大食いであること、今1つはもっとましな食い方をすることである。上手に食ったり、おいしく食ったり、安く食ったり、太らないように食ったり、病気にならないよう食ったり、考えながら食ったりと食事には様々な流儀があるが、それらを全てひっくるめて、よく食いたい。――<本文より>