文芸(単行本)作品一覧

呼人
文芸(単行本)
乱歩賞作家が現代の恐怖を描く、書下ろしエンターテインメント!
1985年・2010年12歳。
テロリズムの嵐が吹き荒れる世界で少年は永遠の命に閉じこめられた。
その日、少年は心も身体も成長を止めた。殺戮、紛争、血と暴力、そして愛と友情…。純粋な子どものまま生きていくことは、幸せなのか?
1985年、呼人は12歳だった。友人たちとともに未来は光り輝いていた。ところが呼人だけ身体も心も12歳のまま、決して成長しなかった。
「大人になるって、どういうことなんだろう?」
呼人は自分自身を見つけるため、赤ん坊のときに別れた母親探しの旅に出た。

タナトス・ゲーム
文芸(単行本)
ヤオイの国の住人たちが次々に失踪。現代の怪事件に名探偵がハマった!
アトムくんとのラブシーンを描いた“ヤオイ本”が大介の元に届いた。大介はヤオイに走る若者たちへの理解を深めていたが、同じHPに集うヤオラーたちの連続失踪事件が発生!シリーズ最大の怪事件に名探偵の推理が冴える。

風の姿
文芸(単行本)
わさび田の風に癒されて傷ついた魂の再生の物語
真富士山をのぞむ安倍奥山中のわさび田に不思議な縁でひきよせられた娘と生きるのに不器用な男女たち──あたたかな眼差しが感動を呼ぶ最新長篇小説
京子は風にあたろうとするかのように、わさび田のほうへ顔を向けて、目を閉じた。暖かいやわらかな風がゆるやかにわさび小屋へ吹いていた。わさび田には水が溢れている。澄みきった水、澄みきった大気、そしてこの静けさ。それは生きている静けさだ。草も木も虫も鳥も育ってゆける静けさ。とくにわさびはこのなかでしか生きてゆけない。京子も限られたところでしか生きてゆけないのかもしれない。路子はふとそう思った。雑草のように逞しくあってもらいたいが、それができる人とできない人がいる。──本文より

アニの夢 私のイノチ
文芸(単行本)
文学はどこに行くのか。待望のエッセイ集。
中上健次がいなくなって、やっぱりどうにもさびしい。89年は昭和の終わった年でもあった。中国では天安門事件が起こり、それからの3年間をたまたま、中上健次とヨーロッパ、アメリカでともに過ごしていたのだった。そうした緊張と不安のなかで、中上健次はアジアを抱え、そして私も遅ればせながらアイヌを日本の一文学者の責任としてすでに抱えていることを自覚せざるを得なくなったのだった。それは、私にとってひとつの希望のよりどころでもあった、と言えそうな気がする。

第一級殺人弁護
文芸(単行本)
自白をした被疑者がなぜ無罪に。
法は人を救えない。若い弁護士の武器は、金と勇気だけだった。
社会犯罪に挑むリーガル・サスペンス作品集
●「不法在留」……スネークヘッドに送り込まれた中国人密航者の最後の要求。
●「措置入院」……精神医療をむしばむ最先端病院の犠牲者は。
●「鑑定証拠」……DNA鑑定技師は、エラーの陥穽に迷い込んだ。
●「民事暴力」……銀行の不良債権は、巧妙なからくりから生じていた。
●「犯罪被害」……異常殺人。救済されるべき被害者に、法は何ができるのか。

外道の女
文芸(単行本)
全編これぞ団文学
失われつつある「羞恥」の感情を描く筆の冴え!
自分の妻が、不倫の最中にみせる狂態を想像して、被虐の喜びを見出す男。初心だった「私」を緊縛の性愛の世界に導いたうえ、他の男のもとに去っていった芸者。淫乱症の女性を2人掛かりで羞恥責めする精神科医。SM芝居の劇団を作り、主演することで自らの性的妄想を満足させる女。――日常から離れようとして、結局、離れきることはできない人間の弱さと、一線を超えた人間の精神の強さを、淫靡な中にも品格と諧謔味を持った筆致で、今は失われた懐かしさのある世界の中に描き出す珠玉の短編集。

霊感の泉 新ホフマン物語
文芸(単行本)
めくるめく美女達の誘いは甘美な死への序曲
美を追求する詩人と呪いをかけられた貴族。2人の男を次々怪事件が襲う。死のワルツを踊る美女、謎の財宝に憑かれた美少女、悪魔的才能の歌手。これぞ幻想綺譚!
今夜は迎えの馬車に乗ってパリの舞踏会に出かけよう
愛らしい令嬢とワルツに時を忘れ新しいプリマドンナのアリアに喝采しよう
疲れたら一杯のシャンパンか甘いソルベで喉を潤して
でもいつまでも足を止めてはいられない夜は始まったばかり
恋と冒険の迷宮がきらめきながら君を誘っている
踊り続けよう踊り続けよう
詩人の霊感と碧の眼の女神に導かれ
いま幕を開けた華麗なオペレッタの中で──篠田真由美

聖ヨゼフ脱獄の夜
文芸(単行本)
悪党どものサバイバル
世界初の探偵にして「レ・ミゼラブル」のモデルとなった伝説的悪漢ヴィドック。歴史の裏側を駆け抜けた男の活躍を描く傑作長篇サスペンス!

夏草ヶ原
文芸(単行本)
深い感動を呼ぶ秀作!
草原の野に消えた少女を捜す馬上の老武士。名作『百枚の定家』の作者が描く侍の悲愁!ほかに信長と鷹の高貴を描く「伊吹」等、傑作4篇。
「なんとしても……見つけなければならぬ。……なんとしても」(今村庄右衛は)てぬぐいを顔に押しつけたまま、その場に立ちつくした。暑い。噎せかえるような草いきれで、呼吸が苦しい。ようやく、肩で荒い息をつきながら首筋の汗を拭うと、編笠の縁を持ち上げてせわしなく四方を見まわした。見渡すばかりの原である。遮るものは何もない。ところどころに芋畑がそこだけ凪いだように平たく、異質な緑の面を見せている。草むしりをする百姓もいないのか、人影ひとつない。――いつの間にか草の原も空も、黄褐色一色に染まっている。すべての生きものが死に絶えたような、不気味な静寂があたりを満たしている。――(本文から)

イツロベ
文芸(単行本)
脳が酩酊し、暴走する。これは読むドラッグだ。
隠蔽された物語(ストーリー)を、あなたはいくつ読み解くことができるか?藤木稟が預言する、恐るべき「21世紀の奇書」!
アフリカの小国にボランティアとして派遣された産婦人科医・間野祥一は、現地の悠久たる時の流れと不可思議な部族風習の中で次第に自分を見失っていく。
やがて帰国した間野の身辺で次々と起こる奇怪な出来事──。
これは現実か、それとも妄想なのか?
世界で爆発的に流行するインターネットゲーム「ゴスペル」がパンドラの箱を開け、巨大な脳(ビッグ・ブレイン)へと人類を導いていく。

パパという大きな木
文芸(単行本)
『葉っぱのフレディ』の著者が教えるもうひとつの智慧
生きる勇気と愛。ページをめくるたび、温かな気持に包まれる極上の1冊。
「人はみんな死ぬんだ」それはパパの生き方を支えてきた人生観によるものだった。人生で大切なことはみんなパパから教わった──温かい気持ちになれるパパの想い出
パパが教えてくれた人生の智慧
●高名な教育学者の教えは、パパがずっとやってきたことと同じだった。
●パパにとって、人にプレゼントすることは生活の一部だった。
●「植物を育てる庭を必ず持つんだぞ」
●親切と愛に金はかからない
●「悲しそうな顔はするな。お前のおかげで、いい人生が送れたよ」
●「人はみんな死ぬんだ」
●大いに踊り、歌い、笑おう
●誕生と死は生命の環の一部に過ぎない。あなたで始まり、あなたで終わるというわけではないのだ。

別ればなし
文芸(単行本)
あるOLが経験した、ドラマチックな恋の物語
恋人がいるのに、結婚しているのに、べつに好きな人ができてしまったら……
突然閑職に異動した花形営業マンの杉岡。淡々としている彼に興味を抱くOL千奈。偶然をよそおって杉岡に近づいた千奈の胸の内には、いつしか後戻りできない感情が芽生えはじめていた。惹かれ合う女と男。しかし千奈には恋人が、杉岡には妻がいた。別ればなしの果ての結末とは……。あなただったら、パートナーにどう切り出しますか?

ヴィトゲンシュタインの箒
文芸(単行本)
創意工夫に満ちたストーリー・テリング アメリカ文学の新しい声
「次はどうなるのだろう」思わずページを繰る興奮。小説はここまで面白くなった。
「この作家の才能には柳瀬尚紀氏が早くから注目されていた。ジョイスのような言葉遊びと、時に何ページも続く一文、ナボコフのような美しくも偏執的モノローグ、ピンチョンを思わせる多重構造、ヴォネガットのシュールレアリズム、そして不意打ちギャグにあふれたポップな会話。この文章を24歳で作りだしたのである」──「訳者あとがき」より

ホメるが勝ち!
文芸(単行本)
人類最高の凶器ホメによる完全武装マニュアル!
悪いヤツほどよくホメる。
ソリの合わない姑、使えない部下、ウットーしいお局、気難しい取引先、目障りなライバル、マズいレストラン、エッチのヘタな恋人……みんなまとめてホメ殺し!

さかさ吊りの穴―「世界」十二篇
文芸(単行本)
文学者・小田実の「世界とのつきあい」を「書き砕く」画期的小説連作集。
それから、私は同じ口調で、武器を使うには、武器に自分が動かされない強さがいる、それがないと、欠けていると、武器は往々にして自分より強い側でなく、弱い側にむけられるとつづけた。──(「武器よ、さらば」より)

永遠のジブラルタル
文芸(単行本)
そして、夏がきた。知のネットワークに躍動する魂の漂泊者たち。生の十字路を凝視して豊饒に展開する、青野文学の秀作。
妻と別れ、勤めを辞めた大日向陽太郎の前に突然現われた男・呉竹良房。かつて一緒にスペインを放浪したこの男は、連れてきた少女を、大日向の娘だという。

恋は決断力
文芸(単行本)
自分らしく、しなやかに、前向きに、
鈴木真砂女/北林谷栄/飯田深雪/岡本宮染/吉行あぐり/小澤さくら/丸木俊/櫛田ふき/坂倉登喜子/長岡輝子/斎藤史/観世寿弥/加藤シヅエ
恋のみならず、仕事、芸術、社会、子ども、対象はさまざまでも、恋愛にも似た打ち込むべきものを持ち、それを貫くために、潔い決断をする。いまよりはるかに、女性が学び、仕事を持ち、世に出ることが困難だった時代、ただ努力だけでは足りない。体力、気力、決断力、そして魅力を備えるために彼女たちはどうしたか、そこをこそ学びたいと思った。――あとがきより

波斯の末裔
文芸(単行本)
真田、豊臣ら戦国大名に非武装・非服従で立ち向かう渡来人工匠一族の決断とは?
ペルシャ伝来の築城技術と門外不出の日本地図を権力者たちは狙った。乱世の悲劇を鮮烈に描く書下ろし歴史ロマン。
最先端の技術、知識をもってペルシャから日本に渡来した工匠の末裔・司堂家。おだやかに暮らしていた彼らの築城技術と驚異的な正確さで完成していた日本全図に、乱世を統べんとする戦国武将たちが目をつけたことから悲劇が始まった。著者自らの祖先をモデルに描く歴史ロマン。

神の心音
文芸(単行本)
社会派ミステリー第一人者の最新エッセイ集
勝負のとき、岐路に立つとき心に祀(まつ)る神の声が聞こえる。
男の生きにくさ、平均寿命の高齢化、ストレスフルな日常──自分らしさを取り戻すための、63の処方箋。
神というものは確実に自分の中に存在する。信じようと信じまいと、神はいる、ただ、聞く耳を持たなければ、神の声が聞こえないだけである。私は自分の神の心音を聞くようになってから、他の人の神の心音も聞こえるようになった。時には同調できない心音もあるが、謙虚に耳を傾ける姿勢が人間を信ずるに値する存在にしてくれるであろう。──(まえがきより)

イベリアの雷鳴
文芸(単行本)
構想10年、新たなる代表作ここに誕生!
総統を暗殺せよ──秘密指令にスパイたちは蒼ざめた。
第2次世界大戦の最重要地点・英領ジブラルタルをめぐり日独英の謀報戦は熾烈を極め、イベリア半島は熱く煮えたぎる。徹底した取材をもとに描く、愛と闘いのサスペンス巨編。
1940年。内戦の痛手いまだ癒えぬマドリードに、日系ペルー人の男が現れた。名は北都昭平、職業は宝石商。彼をめぐる人々はやがて、激動する歴史の渦へと巻き込まれていく──。謀報戦という側面から抉る、知られざる第2次世界大戦!