文芸(単行本)作品一覧

わたしの芭蕉
わたしの芭蕉
著:加賀 乙彦
文芸(単行本)
「芭蕉は美しい日本語の世界に遊ぶ楽しみを私に教えてくれた」。 そう語る加賀乙彦氏は、作家として日本語の表現を、いかに豊かに、簡潔に、美しく磨いてゆくかに砕心してきた。長編作家・加賀乙彦氏が魅了された日本語の美を体現しているのが、十七文字という短い表現法の芭蕉であることが興味深い。 芭蕉の句の、散文の美しさはどのようにしてもたらされたのか。それを三部からなる構成で、具体的にたどってゆく。 第一部では、決定句に至るまでの推敲の跡をたどることで、美しい日本語の探求として俳句の世界を豊かにした事実を示す。 第二部では、推敲よりも、深い愛着の心で自然や人事と交わる芭蕉の姿を見る。 第三部では、芭蕉の人生行路に注目しつつ、俳句をちりばめた紀行や、豊かな俳味を持つ俳文の世界を味わう。 本書は世間に数多ある芭蕉の研究書とは趣旨を異にするものである。加賀乙彦氏が夢中になって読んだ芭蕉の自然を愛でる感性と、美しく奥深い日本語の使い方、その感動を伝え分かち合いたいという気持ちから書かれたものである。
石坂洋次郎の逆襲
石坂洋次郎の逆襲
著:三浦 雅士
文芸(単行本)
【「はじめに」より抜萃』 石坂洋次郎ほど時代とともに忘れられたと思わせる作家は少ない。/映画『青い山脈』は1949(昭和24)年に封切られたが、大ヒットし、その主題歌とともにほとんど戦後民主主義の代名詞と見なされた。以後、石坂原作の映画が封切られない年は、1960年代末にいたるまでなかった。1950年代から60年代にかけて、石坂ほど映画化された小説家はいなかっただろう。旧作はもちろん、新作にしても小説が刊行されると同時に映画も封切られるといった状態にまでなっていた。典型的な流行作家だったのだ。だが、70年代に入るやいなや、その流行はあっという間に衰えた。これほど急激に語られなくなった作家はいなかったのではないかと思われるほどだ。(中略)/石坂には、事実、明朗健全以上に重要な特徴があるのだ。それは「女を主体として描く」という特徴である。主人公と言わずに主体と言うのは、女は主人公であるのみならず、必ず、主体的に男を選び主体的に行動する存在として描かれているからである。女は見られ選ばれる客体である以上に、自ら進んで男を選び、男に結婚を促し、自分自身の事業を展開する主体なのだ。明朗健全な爽やかさはこの主体的な女性が結果的に醸し出すのであって、逆ではない。(中略)/石坂が70年代において急激に読まれなくなったのは、その作品の本質を知ることなく、たんに明朗健全なだけの深みのない作品として退ける風が文壇に広まっていたからだろうと、私は思う。だが、それがいかに浅薄な見方であったか、いまや思い知るべき時が来たのだと私は考えている。(中略)/主題は近親相姦、それも、形容矛盾のように響くだろうが、いわば明朗健全な近親相姦ーー戸籍上は近親相姦になるが生物学的にはそうではないーーである。当然のごとく映画化もされなかった。いわば明朗健全が極限に達し、読者をして、個人とは何か、家族とは何か、社会とは何かという、人間社会の根底を揺さぶる問いに直面させるからである。(中略)/……石坂には、どこか人類学者に近いところがある。石坂もミードも、人類学者の視線を社会が要請するようになったまさにその場所に登場したのだ。石坂文学はつまりひとつの社会現象でもあったのである。しかも石坂文学を必要とした社会の状態はいまも少しも終わってはいない。忘れられていたあいだに、むしろ強まっているのだ。/石坂を知るには、フェミニストとして著名なリーアン・アイスラーの『聖杯と剣』や、それへの批判を含むシンシア・エラーの『紳士とアマゾン』を参照するのがいい。なかでも歴史人口学者エマニュエル・トッドの『家族システムの起源』は必読の文献といっていい。石坂が過激な小説家であり、家族システムが全世界的に過渡期にあるいまこそ、その過激さが必要とされていることを思い知らせてくれるからである。
電子あり
空貝 村上水軍の神姫
空貝 村上水軍の神姫
著:赤神 諒
文芸(単行本)
1541年6月、西の大国・大内氏の水軍が大三島(おおみしま)に大挙襲来する。迎え撃つ三島村上水軍の奇襲作戦は失敗し、総司令官である陣代の大祝(おおほうり)安房が戦死。実はそれは、安房の若き軍師・越智安成による大祝家への復讐の始まりだった。大祝鶴姫は平和な今治で巫女として神事に専念していたが、最愛の兄・安房戦死の報に接し、「大内を打倒し仇を討つまでは女を捨て、男として生きる」と宣言する。陣代となった鶴姫は安成と激しく衝突しながらもその献策を採用。鶴姫の天賦の軍才と安成の奇策によって勝利を収める。安成はなおも鶴姫謀殺と三島水軍の壊滅を企むが、鶴姫から危地に陥った己の命を逆に救われるのだった……。
御社のチャラ男
御社のチャラ男
著:絲山 秋子
文芸(単行本)
チャラ男って本当に どこにでもいるんです。 一定の確率で必ず。 すべての働くひとに贈る、 新世紀最高“会社員”小説 社内でひそかにチャラ男と呼ばれる三芳部長。 彼のまわりの人びとが彼を語ることで見えてくる、 この世界と私たちの「現実(いま)」。 チャラ男は、なぜ、 ――あまねく存在するのか? ――憎らしく、愛おしいのか?
森心地の日々
森心地の日々
著:森 博嗣
文芸(単行本)
小説家・森博嗣は日々何を思い、考えているのか? 2019年1月1日から半年間の毎日の仕事、遊び、思考の詳細。森博嗣堂浮遊書店ブログ「店主の雑駁」から4冊目の書籍化。 ◎現実に、密室殺人事件というものはまずありえません。密室にするメリットが皆無ですからね。 ◎夢は語らないほうが良い、というのは僕の持論です。 ◎「心が弱い」や「意志が弱い」などと言ったりしますが、その「心」も「意志」も頭の中にあるものですから、「頭が弱い」といった方が、より的確だと思います。 ◎「終活」なんかにエネルギィを使うのも、なにか諦めきれない欲望のように、僕には見えます。野垂れ死にでけっこう、と諦めたらすっきりしませんか? ◎税制に必要なことは、例外を減らすこと。減税とか特例を設けないこと。そうすれば、政治もクリアになります。
電子あり
希望と殺意はレールに乗って  アメかぶ探偵の事件簿
希望と殺意はレールに乗って  アメかぶ探偵の事件簿
著:山本 巧次
文芸(単行本)
アメリカかぶれの探偵×旧華族のお嬢様 異色のコンビが南信州の鉄道計画を巡る 不可解殺人の真相を追う! 鉄道会社の現役社員で ドラマ化された『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』、 大阪ほんま本大賞受賞作『阪堺電車177号の追憶』の 著者が描く鉄道ミステリー 鉄道建設の陳情で長野の山あいの村から上京中の村会議員が殺害され、裏金が奪われた。 目撃談も証拠も得られず警察が頼ったのは、 人気推理小説家でアメリカかぶれの探偵・城之内和樹と 助手で旧華族のお嬢様・奥平真優。 村へ向かった二人を待ち受けていたのは、鉄道計画を巡り対立する村民、 開発に群がる人々、そして新たな事件だった。 型にはまらない二人の大胆行動と推理で、村に潜む闇に迫る! 謎に次ぐ謎、鮮やかな推理、あふれる旅情。 注目作家・山本巧次の一気読みミステリー!
電子あり
最高の任務
最高の任務
著:乗代 雄介
文芸(単行本)
第162回芥川賞候補作の表題作と、傑作中篇「生き方の問題」を収録。 「手紙」と「日記」を通して、「書く」という行為の意味を問う――。 野間文芸新人賞受賞の気鋭による青春小説集!  「最高の任務」 大学の卒業式を前にした私は、あるきっかけで、亡き叔母にもらって書き始めた、小学生の頃の日記帳をひもとく。日記を通して語られていく、叔母との記憶……。 「生き方の問題」 僕は、2歳年上の従姉に長い手紙を書き送る。幼い頃からの思慕と、一年前の久しぶりの再会について……。
ママ
ママ
著:神津 凛子
文芸(単行本)
ぜんぶ、ぜーんぶ「ママ」のせい。 「わたし」は、42歳のシングルマザー。事故で彼を失った直後に妊娠していたことを知り、女手一つで娘のひかりを育ててきた。娘を保育園に預け、スーパーで総菜作りを続ける日々。身寄りも、貯金もない。生活はちっとも楽にはならない。けれど、わたしは幸せだった。ひかりの成長、ひかりの笑顔、ひかりの温もり。わたしたちは、たった二人で精いっぱい生きていた。 あの忌まわしき瞬間までは。 突如壊される平穏。謎めいた男による拉致、監禁。 恐怖と苦痛の果てに告げられる、信じがたい絶望――。     出版界を戦慄させたデビュー作『スイート・マイホーム』から一年。 世にもおぞましいミステリー、「オゾミス」最新作!
家族パズル
家族パズル
著:黒田 研二
文芸(単行本)
伏線が美しく、泣ける。 これぞ「余韻まで美味しい」小説です。 ――森沢明夫 優しく、静かで、トリッキー。 そして最後は、涙がほろり。 『青鬼』ノベライズの著者が紡ぐ家族ミステリー! 悲しみの裏側にそっと隠された深い「家族愛」5つの物語。 「はだしの親父」父は亡くなる直前、雨降る病院の庭をなぜ靴を脱ぎ歩いたのか? 「神様の思惑」 自殺志願の少年の命を救った優しいホームレスは殺人者だった!? 「タトウの伝言」借金を背負った青年は母を騙して、父の形見である絵画を狙うが。 「我が家の序列」リストラ中年と迷い犬の新生活は、奇妙な出来事ばかりの日々で。 「言霊の亡霊」 25年も男を苦しめた母の一言。しかし記憶を辿るとある違和感が。 家族同士だって、分からないことはたくさんある。ぶつかり合いだってある。 それでもいろんな出来事をパズルのようにうめていくと、家族の本当の姿が見えてくる。 この謎解き、この感動……きっとあなたは家族に会いたくなる。
瓦礫の死角
瓦礫の死角
著:西村 賢太
文芸(単行本)
比類なき “私小説(賢太文学)” 犯罪 加害者家族の 背負う 罪なき罰 父の性犯罪により解体した“家族” その記憶の瓦礫の下から、影が動く。 七年の月日を経て、服役を終えようとする 「あの人」の影が―― 怪作「崩折れるにはまだ早い」 併録 その逮捕を機に瓦解した家族。 刑期を終えようとする父。 出所後の夫の復讐に怯える母。 家出し、消息不明となった姉。 十七歳、無職の北町貫多は、如何なる行動に出るのか―― 犯罪加害者家族の十字架を描く表題作と、 その表裏をなすも“不”連作である「病院裏に埋める」の両篇に加え、 快作「四冊目の『根津権現裏』」に、 怪作「崩折れるにはまだ早い」(「乃東枯」改題)の四篇を収録。 比類なき文学。
地獄の楽しみ方 17歳の特別教室
地獄の楽しみ方 17歳の特別教室
著:京極 夏彦
文芸(単行本)
「今の十代の皆さんは、私が十代だった頃に比べても、はるかに優秀です。 しかし、大人になった皆さんを待ち受けているのは地獄のような現実です。それはいつの時代も変わりありません。 地獄を楽しむためのヒントを、もう地獄に堕ちている先輩が、少しだけお教えします」(京極夏彦) 「あなたの世界」は、言葉ひとつで変わってしまいます。 SNS炎上、対人トラブル――すべては「言葉」の行き違い。 語彙を増やして使いこなすわざを身につければ、楽しい人生を送ることができます。 地獄のようなこの世を生き抜くための「言葉」徹底講座。 大人前夜のきみたちへ。学校では教えてくれない本物の知恵を伝える白熱授業。 「17歳の特別教室」シリーズ第5弾。
コゴロシムラ
コゴロシムラ
著:木原 音瀬,イラスト:中村 明日美子
文芸(単行本)
かつて産婆が赤子を何人も殺した村で、尋常ならざる夜が始まったーー。祟りと因縁が渦巻く、新境地ホラーミステリー。 カメラマンの仁科は、雑誌の取材のため、ライターの原田と山深い神社を訪れた。が、雨が降りそぼる夕暮れ、携帯が繋がらない山道で迷い、おまけに原田は足を捻挫してしまう。ようやく古い民家に辿り着き、老婆の好意で泊めてもらうことになったが……。仁科は、コゴロシムラと呼ばれるその村で、出口のない恐怖に晒される。 人間同士の切なさもどかしさを描いて並ぶ者なし、の名手がホラーミステリーに挑む!
ミッドナイツ  《狂騒の八〇年代》作品集成
ミッドナイツ  《狂騒の八〇年代》作品集成
著:山口 雅也
文芸(単行本)
山口雅也作家生活35周年記念。デラックス・エディションによる大著降臨! 一九八九年に『生ける屍の死』で鮮烈な長編デビューを飾ったミステリ作家・山口雅也。だが一九八四年からすでに多種多彩な媒体で作品を発表していた。その内訳はミステリ、SF、冒険小説、音楽小説、青春小説、ホラー、実話推理、ファンタジー、実験小説、ジャズエッセイ、戯曲など幅広い。画家やアーティスト、写真家、ミュージシャン、果てはテーマパークとコラボした若き山口雅也の迸る才気は圧巻! 文化の爛熟期だった一九八〇年代の豊麗な果実42編を単行本に初収録。当時を詳細に振り返る書き下ろし自作解説が付いたファン必携の一冊、ここに誕生。
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出雲神話論
出雲神話論
著:三浦 佑之
文芸(単行本)
【担当編集ノート】 三浦佑之さんといえば、大ベストセラー『口語訳 古事記』の著者にして現代古事記研究を牽引する人です。お嬢さんの三浦しをんさん曰く「コジオタ(古事記オタク)」。その三浦さんの主張の核心こそ「『記紀』の呪縛からの解放」です。簡単にいえば「多くの人は『古事記』と『日本書紀』を似たようなものと考えがちだが、それは大きなまちがい。ふたつの書物はまったく別の意図をもって編纂されたと考えるべきで、その証拠が出雲神話とよばれるものである」ということ。 古事記は、上・中・下の3巻から成り、神々のことは上巻において大河小説のように語られます。そのなかで、出雲神話と呼ばれる部分はおおむね以下の部分です。 1)アマテラスの弟スサノヲが高天の原を追放され、出雲の国の肥の河の上流にやってきて、コシノヤマタノヲロチを退治し、生贄になって喰われるはずのクシナダヒメ(櫛名田比売)を助けて結婚し、子孫が繁栄する話。 2)スサノヲから数えると7代目にあたる子孫オホナムヂが傷ついたウサギを助けたり、命を狙う兄たちから逃れて根の堅州国に行くなどの試練と成長を語る冒険物語。 3)オホナムヂがなぜかスサノヲの娘スセリビメと結ばれ、スサノヲからのさまざまな試練を克服し、最後には、スサノヲのもつ呪宝を奪いスセリビメを連れて地上にもどる話。 4)逃げるオホナムヂに向かってスサノヲが「大国主」となって地上を支配しろと祝福し、オホナムヂは地上にもどって兄たちを追い払う。スサノヲのことば通りにオホクニヌシとなって地上の主として君臨する話。 5)地上の王となったオホクニヌシと女たちをめぐる物語、および国作りを助ける神の話。オホクニヌシとその子孫たちの栄華。 じつはこのほとんどが『古事記』のみにある記述であり、『日本書紀』の正伝(書紀の編者が、正統な伝えとして採用した本文)には存在しないのです。 なぜ『古事記』にだけ出雲神話があるのか、またそれに続く、俗に「国譲り神話」と称される出雲の滅びの物語にはなにが隠されているのか? ここに徹底的に焦点を絞りながら『古事記』神話、ひいては古代における日本列島の姿を考えてみたいというのが、三浦さんのもくろみです。 本書は三浦さんの古事記研究生活50年余の総決算ともいうべき一書です。広く江湖の諸子に問うしだいです。
電子あり
Cocoon2 蠱惑の焔
Cocoon2 蠱惑の焔
著:夏原 エヰジ
文芸(単行本)
「Cocoon」シリーズ2作目! 最高級遊女・花魁でありながら、夜になれば鬼退治に奔走する瑠璃。人ならざる彼女の孤独を唯一理解してくれていた朋輩・津笠が鬼になり、瑠璃に斬られてから1年が経った。時間は流れたが、瑠璃の心の傷は癒えない。そんな中、五人衆の一人・錠吉が不自然に瑠璃を避け始め……。
大天使はミモザの香り
大天使はミモザの香り
著:高野 史緒
文芸(単行本)
時価2億のヴァイオリンが消えた。 二重に警備されたパーティ会場、特殊電子錠つきのケースから、ヴァイオリンの名器《ミモザ》が消失! パトロンのマダム、実直なヴァイオリン職人、ヨーロッパ貴族、才媛の秘書嬢、イケメンコーディネーター……誰にも不可能で、誰もが怪しい。……えっ、私も!? アラフォー地味美人×天才(?)高校生コンビに このトリックは解けるのか!? 装画に『坂道のアポロン』の小玉ユキ。 『カラマーゾフの妹』の江戸川乱歩賞作家が満を持して贈る、 オーケストラ・ミステリー! *** 音羽光子 42歳独身彼氏なし。 ヴァイオリン歴30年のベテランながら、自他ともに認める、いまひとつ華がない演奏者。 小林拓人 クラシック知らずの高校一年生だが、ヴァイオリンに関しては無自覚に天才的。 突然アマチュア・オーケストラにスカウトされ……。
沃野の刑事
沃野の刑事
著:堂場 瞬一
文芸(単行本)
富む日本、惑う警察。 この国は、守る価値があるのか――。 1970年。大阪万博を控え、高度経済成長で沸き立つ日本。捜査一課と公安一課を対立させたある事件以降、袂を分かった刑事の高峰と公安の海老沢は、それぞれ理事官に出世し、国と市民を守ってきた。だが、かつてふたりの親友だった週刊誌編集長の息子の自殺をきっかけに、再び互いの線が交わっていく。単なる自殺と思われたが、独自に調べを進めるうち、日本全土を揺るがすスキャンダルの存在が、徐々に明るみに出る。尊重すべきは国家なのか、それとも名もなき個人なのか。「警察の正義」を巡り、苦悩してきた高峰と海老沢の答えは――。 戦後警察の光と闇を炙り出す一大叙事詩、待望の第三幕!
檸檬の棘
檸檬の棘
著:黒木 渚
文芸(単行本)
孤高のミュージシャン、そして小説家。 魂の最新長編書き下ろし。 「十四歳。私は父を殺すことに決めた」 孤独と怒りを抱えた少女が、崩壊寸前の家族を捨て、 全寮制の中学校へ行くのは圧倒的なひらめきだった。 家を出て行った父と、それを受け止めた母、静かに悲しむ弟。 四人家族の輪から最初に抜けたのは、私。 それでも私は「父親」という存在にいつまでも囚われている。 許せない、苦しい、わかってほしい。 私は「特別な子ども」になりたかったーー。 「この話を書かずに、のうのうと作家人生を送れたら良かったのにーー黒木渚」 4年ぶりフルアルバム「檸檬の棘」同名小説、ついに刊行!
哲学人生問答 17歳の特別教室
哲学人生問答 17歳の特別教室
著:岸見 一郎
文芸(単行本)
「いじってくる相手との距離の取り方がわかりません」 「給料とやりがい、どちらで仕事を選べば幸福になれますか」 「ありのままの自分を受け入れられません」 「嫌いな人との付き合いが避けられない時、どうしたらいいでしょうか」 「自殺しようとしている人を止めるのは善でしょうか、悪でしょうか」 現役高校生と哲学者が熱くたたかわせた、本気の人生問答。 「生きていくこと」「幸福になること」についての高校生からの人生相談に、哲学者の岸見一郎さんが先人の知恵を生かして真摯に答えます。 大人前夜のきみたちへ。学校では教えてくれない本物の知恵を伝える白熱授業。 「17歳の特別教室」シリーズ第4弾。
うそつき光秀
うそつき光秀
著:赤堀 さとる
文芸(単行本)
「この世から上下を無くす」大志を抱いた天涯孤独の青年・十兵衛は、出自を偽り、武家と宮中の礼法に通じた「明智光秀」という武士として振る舞う道を選ぶ。己の夢を叶えるために。塗り固められたうそは「真実」へと変わるのか。――そこに信長の目が光る。 2020年大河ドラマで最注目! 戦国武将・明智光秀! エンタメ界の風雲児が、全身全霊を込めて書き上げた初の歴史小説! カバーイラストは大ヒット漫画『ベルセルク』の三浦建太郎!! 「世の中の上下なんかくそくらえだ! すべてぶっ壊してやる!」 熱い思いを抱いて諸国を放浪した天涯孤独の青年・十兵衛は、比叡山の僧兵に殺されかけたところを伊勢兵庫頭貞良という男に救われる。十兵衛の才を買った貞良は「明智光秀」という名を与え、名門伊勢家が確立した武家の礼法を伝授し、十兵衛を武士として仕立てる。室町幕府末期の混乱の中で頭角を現した光秀は、やがて信長と出会う・・・・・・! 出自を偽り、名前を騙り、武士の振りまでして求めた「上下無き世」という夢。 明智光秀の知られざる顔を描ききる、著者渾身の歴史小説!
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