講談社学術文庫作品一覧

隠喩としての建築
隠喩としての建築
著:柄谷 行人,解説:岩井 克人,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
80年代初期の柄谷行人の移動の軌跡を読む現代の知的状況の中を、柄谷行人はたえず移動する。本書は建築家を隠喩として用い、哲学を知の建築とみなすことから始める表題論文の他、形式化の諸問題等を収録
ロシア文学史
ロシア文学史
著:大泉 黒石,解説・その他:川端 香男里,その他:蟹江 征治,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
ロシア文学の流れを縦横に論じた先駆的名著大正八年文壇に登場した数奇の偉才大泉黒石が,父の祖国ロシアの文学を,中世の伝説俗謡の時代からプ-シキン,ゴ-ゴリに代表されるロマン主義の時代までを解説
羊毛文化物語
羊毛文化物語
著:山根 章弘,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
旧約時代から産業革命まで羊と人間の世界史人間の傍にはいつも羊がいた.時には人間の罪をあがない,時にはヴィ-ナスの裳裾や王侯の居室を飾るじゅうたんとなって.羊毛文化こそ人間の歴史そのものだった
カミと神
カミと神
著:岩田 慶治,解説:山折 哲雄,その他:蟹江 征治,装丁:加藤 光太郎
講談社学術文庫
カミと神と、どちらを選ぶべきかということではない。人類が長い歴史の間に信仰しつづけてきた神の姿を尊いと思い、しかし同時に山河大地、草木虫魚としてわれわれをとりまき、その中から突然、カミとしての姿を現すアニミズムのカミ。そのカミをたずね、カミと出逢うためには、自然に対する原始の感情をもちつづけること、宇宙に開かれたカミの窓をもつことではなかろうか、と著者は説く。原初のカミを探求する独創的な人類文化論。
傳記文學 初雁
傳記文學 初雁
著:森 銑三,解説:小出 昌洋,その他:蟹江 征治,装丁:島田 拓史
講談社学術文庫
歴史の波間に姿を消した人々を鎮魂する名編碩学が,過去に生きた日本人の律義で健気な生の軌跡を哀れみ後世に伝える.何人も涙なくしては読めない「新島ものがたり」初め懐かしさが心に沁み入る珠玉の名著
日本博物学史
日本博物学史
著:上野 益三,その他:蟹江 征治,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
博物学の生生発展を一望する比類ない通史。本草学から博物学へ。近世における実証的研究の開花を中心に、日本の科学思想の流れをダイナミックに叙述。斯学第一人者による渾身の大著、待望の文庫版で登場。
芭蕉
芭蕉
著:保田 與重郎,その他:蟹江 征治,装丁:島田 拓史
講談社学術文庫
隠遁詩人の志に生きた芭蕉の慟哭の旅を描く昭和文学に特異の位置を占めた著者の生涯は、たえず芭蕉とともにあった。後鳥羽院の継承者、民族詩の変革者としての芭蕉の闘いを論じた戦中期発表の代表的著作。
フロイト
フロイト
著:小此木 啓吾
講談社学術文庫
19世紀の科学的知性を心の世界に向け変え、20世紀の思想・芸術に衝撃的な影響を及ぼしたフロイト。その独創になる精神分析は、人間の潜在意識の領域に挑んで性欲動(エロス)と自己破壊(タナトス)にかられる無意識界を直視させた。本書は、膨大な全集から精選した著作と論文を通して、彼個人の夢や失錯行為の自己分析および臨床経験など、身近で具体的なフロイトの精神分析を理解できるような配慮した。フロイトの思想体系を総合的にとらえた研究書。
言語と人間
言語と人間
著:沢田 允茂,その他:蟹江 征治,装丁:菊地 薫
講談社学術文庫
現代文明の混迷を切拓く思想的拠点を示す。資源有限・環境汚染の危機的状況にありながら更に臓器移植・遺伝子操作へと盲進する科学文明。人間の言語と理性を再点検しつつ調和ある歩行を志す根源的思索の書
世界に於ける日本美術の位置
世界に於ける日本美術の位置
著:矢代 幸雄
講談社学術文庫
応挙の絵は写実的か。法隆寺壁画の特徴は雄渾美か。日本の名品を世界美術の視野に置いて見れば、際立つものは、むしろ優美艶麗な装飾美にほかならない。美術史家として国際的に活躍した著者は、日本美術鑑賞の「常識」を本書で敢然と覆す。芸術に対する公正な愛情を貫いた記念碑的な名講演(1934年)に、美の再興への思いほとばしる終戦直後の一論を加え、真の文化交流への道を提言。その語りは清新、芳烈の気を放ち、心を打つ。
余暇と祝祭
余暇と祝祭
著:ヨゼフ・ピ-パ-,訳・解説:稲垣 良典,その他:T.S・エリオット,その他:蟹江 征治,装丁:三輪 忠夫
講談社学術文庫
余暇とは、労働に従事している人間に労働以外の有意義な活動の場を与えること、真実の余暇を持つ可能性を開いてやることである。本当の余暇は無為でなく、まさしく活動である。どのような行為で余暇をみたすべきか、それこそが中心問題である。本当の意味での余暇の実現とは、余暇の本質である祭りをいわい、礼拝することにある。つまり、祝祭を可能にするものがそのまま真実の余暇を可能にすると説く、余暇論に地平をひらく好著。
万葉の伝統
万葉の伝統
著:小田切 秀雄,解説:久保田 淳,その他:蟹江 征治,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
万葉集の美とその意義を問い直す古典的名著日本詩歌の流れの中に、万葉の精神はいかに生かされたか。実朝や良寛をはじめ、晶子・左千夫・光太郎・茂吉らの業績を通して、万葉への憧憬と復興への情熱を探る
動物という文化
動物という文化
著:日高 敏隆,解説:阿部 謹也,その他:蟹江 征治,装丁:阿部 肇
講談社学術文庫
霊長類は一等進化した動物だという。それならサルはトカゲより優れているのか。そのトカゲだが背骨のあるぶんミミズよりはマシか。ヒトを頂点とし以下最下等の原生動物まで優劣の基準で序列化する近代主義の動物観に著者は疑いをもつ。「下等」動物たちがなぜ淘汰されずに何万年も悠々と生きているか。動物たちの体の仕組みの多様さと環境適応の巧妙さを例示しながら、科学的にかつ興味ぶかく動物界の全体像をえがく最良の入門書。
東西両京の大学
東西両京の大学
著:斬馬 剣禅,装丁:蟹江 征治,解説:潮木 守一
講談社学術文庫
東京と京都の二つの帝国大学を比較論評する東西の両雄,東京帝国大学と京都帝国大学を,理想に燃える明治の新聞人が,縦横無尽に斬りまくる.当時の読書界を震撼させた,今なお新しい画期的な大学改革論.
平生の心がけ
平生の心がけ
著:小泉 信三
講談社学術文庫
経済学者として優れた業績を残した著者は、昭和8年から同22年にかけて慶応義塾の塾長を務め、誰からも敬愛された大教育者であった。本書はその小泉が「平常心づいていること」を、平明にして力強い文体で記した球玉の人生論である。晴雨を問わぬ誠実と勇気を説く各篇は、英国流の爽快なスポーツマン精神に根ざし、読む者の品格と気骨を陶冶する。他に、良い文章の書き方や病気見舞の心得など実際有用の助言に富む。(解説・阿川弘之)
精神分析
精神分析
著:土居 健郎
講談社学術文庫
本書は、「甘え」理論で国際的に知られる著者が、精神分析の理論と実際を体系的に概説した書である。それまでの研究成果を初めて一気に書き下ろした処女作である点で重要なばかりでなく、精神分析の全体像をふつうの日本語の表現を手がかりに展開している点が局めて独創的である。しまりや・すまない・こだわる・とりいる等の日常語を分析しながら独自の世界を形成し、やがてその延長上に豊饒な「甘え」理論を開花させることになる。
朝日の中の黒い鳥
朝日の中の黒い鳥
著:ポ-ル・クロ-デル,訳・解説:内藤 高,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
1920年代「長年に亘って彼自身の視野から離れることがなかった」日出づる国日本で、外交官として過ごしたポール・クローデル。彼は本務の傍ら、日本各地への旅行、美術や演劇に対する旺盛な好奇心、様々な人々との出会いなどを通して、日本の風土と文化への理解を深めた。「素朴な驚きに満ちた目を見知らぬ国に向ける一人の訪問者」として、大正時代の日本をフランスの詩人がやさしく語る珠玉のエッセイ。
現代物理学の世界
現代物理学の世界
著:中村 誠太郎,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
現代の物理学はいま、どこまで到達したか。物理学をリードしたアインシュタインや湯川秀樹らの業績をたどり、また素粒子論の現状とかかえる課題、及び放射能の恐ろしさなど、直面する物理学の最前線を説く
名前の禁忌習俗
名前の禁忌習俗
著:豊田 国夫,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
日本人の名前・文字遣いに現れた禁忌習俗。日本には名前に対する禁忌の習俗があり、オクリナ・イミナ・継承名・醜名などのほか、幸運・繁栄などの願望命名が見られる。本書はそれらの諸相を平易に解説する
荘子物語
荘子物語
著:諸橋 轍次
講談社学術文庫
荘子は、孔子に遅れること百余年、紀元前4世紀に活躍した中国古代の大思想家である。孔孟の教えが五倫五常を重んじ秩序・身分を固定化するのに対して、荘子の哲学は自由・無差別・無為自然を基本とする。2300年後の今日なお、社会の各分野で荘子が益々注目される所以がそこある。変幻龍のごとしと称されるその天下の奇文を、昭和の大儒諸橋博士が縦横に説いて余すところがない。難しい内容を易しく、これぞまことの名著であろう。