講談社学術文庫作品一覧

国際シンポジウム東京裁判」を問う
講談社学術文庫
勝者は敗者を裁けるのか?東京裁判をこのまま風化させていいのか?あまりにも大きな問題をふくみ、すぐれて今日的な意義を有している東京裁判の再検討は、我々日本人には勿論、世界的な行動としてなされねばならない歴史的な課題である。国の内外の識者が一堂に会して、東京裁判の本質を国際法や歴史、平和の視点から多角的に検討を加え、今日的意義を明らかにした画期的な国際シンポジウム。
三千里(上)
講談社学術文庫
明治俳句界に異彩を放つ碧梧桐の不朽の名著行動する俳人として知られた碧梧桐の,全国行脚の旅日記.初め一日一信と題して「日本」に,後に「日本及日本人」に連載され,俳句の世界に大きな影響を与えた書

密教の哲学
講談社学術文庫
人の心の深淵に眼をひらき、そこで成就される個と全との神秘的な合一に、初めて確かな洞察を向け、それを全身的に把握する実践と儀礼の体系をつくり上げた密教――。本書は、空海が体系化した教学を中心に、密教のもつ世界観・認識論・実践哲学・仏陀論などの基本的な構造を明らかにした。2000年に及ぶインド仏教の歴史全体の結実であり、また、仏教伝播の総決算ともいわれるその神秘思想に迫る。

魚の博物事典
講談社学術文庫
古来、魚は日本人の生活と切っても切れない関係にある。本書は「魚博士」として知られた筆者が、日本人に特に親しい魚134種について、その生態から釣漁法まであらゆる情報をまとめた末広魚談義の集大成である。正確な生物学的知識にとどまらず、食生活・民俗・文学等人間生活の全般にわたって興味深い魚の話が展開する。人間通で博大な教養人だった著者ならではの絶妙の文章で綴る楽しい魚類百科。
唯物史観と国家論
講談社学術文庫
マルクス主義国家理論の再構築に挑む力篇。物象化論でマルクス研究に新地平を拓き、今日の思想界を牽引する著者による唯一の国家論集。『ドイツ・イデオロギー』論等廣松理論の原像を示す貴重な論攷を厳選
日本警語史
講談社学術文庫
日本の歴史に現れた金言,警句を大胆に語る警語とは何ぞや….神代から明治・大正に到るまで,その時代の人々の心を捉え,歴史を動かしてきた名言,名句を自由闊達に論じ,日本人固有の考え方を説く好著.
トロイア幻想
講談社学術文庫
日本美の源泉を求めつづけた古代史憧憬の旅東西の美術に精通する著者が、遥か西方の彼方に馳せた若き日の想いを胸に、アテネ、トロイア、敦煌、大和を辿りつつ、古代の遺蹟や美術との触れ合いの喜びを綴る
近世人物夜話
講談社学術文庫
秀吉から新門辰五郎まで興味津々の人物伝記幅広い史料の蒐集・博捜の中から自ずと浮かび上がった歴史上の人物たちの秘話、意外な人物像。秀吉・後藤又兵衛・西鶴・源内らの個性溢れる生き方が魅力の好読物

コペルニクス革命
講談社学術文庫
コペルニクスの「革命」とは何だったのだろうか。地動説の提唱は、単に天文分野における革新たるにとどまらなかった。古代以来、人々の生活に根付いた宇宙観の転換であり、西洋思想の枠組を揺り動かす動乱であった。本書は、「パラダイム」概念をもって世界の学問的方法論に大きな衝撃を与えた科学史家クーンの、記念すべき処女作である。精緻かつ野心的な本書の叙述は、科学のダイナミックス理解への確かな水先案内人となろう。

マホメット
講談社学術文庫
イスラームとは何か。マホメットとは誰か? 根源的な謎に答えるため著者はマホメット出現以前のアラビアの異教的文化状況から説き起す。沙漠を吹暴する烈風、蒼天に縺(もつ)れて光る星屑、厳しくも美しい自然に生きる剽悍不覊(ひょうかんふき)の男たちの人生観と世界像。魅力つきせぬこの前イスラーム的文化パラダイムに解体を迫る激烈な意志としてマホメットは出現する。今なお世界史を揺がし続ける沙漠の宗教の誕生を、詩情豊かに描ききる名著の中の名著。
海藻学入門
講談社学術文庫
データを駆使して平易に説く最新海藻学入門人間と海藻との出会いの歴史から、海藻の成分分析、バイオによる医療や工業分野への新しい応用、食品としての利用など、いま話題の海藻のすべてを紹介する好著。

道教百話
講談社学術文庫
神仙思想を中心とする道教は、昔から中国民衆の生活に密着し、中国の宗教の主流をなしてきた。本書は、道教の内容を教学、方術、医術、および倫理の各面から検討して、その真の姿を平易な百話にまとめた。同時に、道教の宗派と信仰の現状を概観し、また日本への伝来と影響については、たとえば5月に飾る武者人形の鍾馗(しょうき)や庚申待(こうしんまち)の行事、貝原益軒の「養生訓」など、古くから日本の民間習俗と深くかかわっていることを興味深く語る。

社会分業論(下)
講談社学術文庫
社会が大きくなり、密度を高めるのに正比例して、分業は必然的に発展する。分業の進歩は、一方で激しい生存競争を引き起こし、また一方では競争者たちに共存の可能性を与えるであろう。本書で、デュルケムは分業の原因を仔細に検討し、さらに分業の病理学的形態の分析を通して、社会的連帯の正しい発展方向を展望する。道徳的秩序の確立、個人的人格の開花、闘争なき人類社会の創造……デュルケム社会学の実践的主題は、大きく深い。

社会分業論(上)
講談社学術文庫
19世紀末、急激な資本主義化がもたらした無規制状態(アノミー)への危機感のなかで、デュルケムは「分業」の機能に着目し、社会変動のしくみを解明しようとした。本書第1編においては、有名な「機械的連帯から有機的連帯へ」という仮説が展開される。分業の発達に由来する連帯は、あたかも有機体のように、人間個人の個性を増大させながら社会全体を発展させるのである。フランス社会学を代表し、現代思想の源流をかたちづくった古典的名著。
雑談の夜明け
講談社学術文庫
詩・文学をめぐる早起き鳥たちの楽しい雑談日本の現代詩の最高峰、西脇順三郎。この大詩人が折にふれ感興のおもむくままに綴った随筆・エッセイ・詩論の最も面白いものだけを集録。芳醇かつ香気溢れる名著

禅と浄土教
講談社学術文庫
禅と浄土教について人々の関心は極めて高い。しかし、それら両者はそれぞれの宗派の伝統のうちに閉じこもり互いの交流はほとんど見られていない。そうした中にあって、浄土宗の寺院に生まれ、禅にも興味を持ち、両者を学問的にのみならず実践的にもその内奥を究めた著者は、仏教を真に自己のものとするためには、一方に偏することなく、禅と浄土教の二つを双修すべきだという禅浄双修論を展開する。日本仏教の展望を開く刮目の書。
素朴と文明
講談社学術文庫
人類の歴史をグローバルに語る文明論の好著素朴から文明にいたる人類文化発展の軌跡を辿り、その視座から日本がいかにして誕生したかを説く。さらに現代の学問や文明の壁をこえるための基本的方法を提示。
日本人の発想
講談社学術文庫
現代社会を形づくる日本人の発想と論理とは日本人の体験や行動様式,歴史や事象をとりあげ,その底を流れる共通の考え方や思想を闡明し,あらためて日本型社会の特殊な構造を浮きぼりにした期待の評論集.

基本季語五〇〇選
講談社学術文庫
本書は、五十余年にわたる著者の俳句研究の最も美しい結晶であり、早くも名誉の世評が高い。500の基本季語が俳句の最高権威の手によって選定された意義は大きく、以後この500語の熟読玩味こそが、俳句上達の絶好の手引きまた俳句鑑賞の優れた指針となるだろう。各季語の解説・考証は精緻をきわめ、読み物としてもこの上なく興味深い。また例句は、古句から新作まで広く収録されており、現在望みうる最高の基本歳時記といえる。

霊魂観の系譜
講談社学術文庫
日本ではタマシイのことを玉(たま)ともいう。人が死ぬと人玉は体外へ脱出し、時には暴れ回って人に憑(つ)いたり祟(たた)ったりする。こうして畏怖される人玉は、やがてシャーマンの呪術によって鎮(しず)められる。日本人のこのような霊魂観を、本書は、古代シャーマニズムと民間信仰および中世の死霊観にみられる怨霊(おんりょう)思想などに探り、更に折口信夫の巫女(ふじょ)観や柳田國男の祖霊観の見直しの必要性を説く。歴史民俗学の視点から日本人の霊魂観を考察した労作。