講談社学術文庫作品一覧

みだれ髪の系譜
みだれ髪の系譜
著:芳賀 徹,装丁:蟹江 征治,解説:加納 孝代
講談社学術文庫
みどりの黒髪から読み解く詩歌の比較文化史新古今から与謝野晶子に至る日本的官能の系譜を基軸に据え、西欧世紀末芸術との妖艶なからみ合いを考察した表題論文ほか、独自の浮世絵論、荷風論などを収録した
無為について
無為について
著:上田 三四二,解説:生野 幸吉,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
上田文学の原点をなす優れた人生論の試み。短歌、小説、評論と多彩な文学活動を展開してきた著者の初期の作品。老年、壮年、無為、愛と死など二十余篇から成る人生論の中に充実した生の実感を満喫させる。
古代日本と朝鮮・中国
古代日本と朝鮮・中国
著:直木 孝次郎,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
近年、東アジア世界の古代日本と朝鮮・中国の関係が論ぜられるようになって久しい。本書は、古代史専攻の著者が成した数多くの論文の中から、特に三国関係のものを選んで収録した。「朝鮮からの渡来人」をはじめ、「神功皇后伝説の成立」や「朝鮮の間諜の活躍」、また日中文化交流に欠かせない「舶載鏡の話」など、和歌をたしなむ著者ならではの繊細にして温雅、しかもわずかの妥協も許さぬ厳しい歴史家の目が随所に光る好著といえよう。
数学の歴史
数学の歴史
著:森 毅
講談社学術文庫
数学は勝れて抽象的な学問である。しかし、だからといって数学が社会や世俗の人間活動から孤立して発展してきたわけでなはい。また数学者が、その人間的関心の全てを二六時中数学に集中し続けているわけでもない。それが証拠に、確率論は賭博と縁が深い。という次第で、著者は、〈数学〉を主人公にしながらも〈社会〉を断念しない数学史の記述という難題に挑んだ。あふれる機知と興味深い逸話の数々。比類のない人間臭い数学史の成立。
私の見た東京裁判(下)
私の見た東京裁判(下)
著:冨士 信夫
講談社学術文庫
読者は先づ目次にも眼を通して頂きたい。通例の書物の目次に対するのとは少しく違つた、然るべき注意を以てそれを読み、東京裁判なるものの全体の枠組と経過とを先づ把握し、その上で、その各段階でどの様な事が起り、論ぜられ、判断され、認識されたのかといふ次第を虚心に追求してみて頂きたい。……そして、読者自身がそれぞれに、誰に吹きこまれたのでもない、自前の東京裁判観を持てる様になることが大事である。(「解説」より)
私の見た東京裁判(上)
私の見た東京裁判(上)
著:冨士 信夫
講談社学術文庫
東京裁判とは、いったい何だったのだろうか。著者は元海軍少佐。終戦後、第二復員省の戦争裁判関係の事務を処理する大臣官房臨時調査部の法廷係として、東京裁判を傍聴し、概要を調査部に伝える任務をあたえられた。東京裁判の開廷から立証、論告、判決にいたる全審理を傍聴人席から冷静な眼で見守り続けた著者は、当時の克明な観察記録と法廷速記録の引用をもとに、ここに見事にその姿を再現した。東京裁判の真実を明かす必読の書。
俳句・風土・人生
俳句・風土・人生
著:飯田 龍太,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
飯田龍太は、甲州・境川村の家郷を拠点に、俳誌「雲母」の主宰のかたわら、現俳壇をリードする健筆家として、随想や評論を主とした多彩な作家活動をつづけている。自句自解、山麓の四季、俳句の風土、俳句の秘密、俳句交遊の5つで構成した本書は、自然の風光のなかでつづられた滋味溢れる俳句の世界を現出している。句作においては詩的な飛躍、散文では大地を這うような龍太作品の魅力をあますところなく収めた実作者必携の好著。
甘えと反抗の心理
甘えと反抗の心理
著:福島 章,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
人間の体は時がたてば自然に成長するが、心はひとりでに成熟するわけではない。おとなしいよい子が、ある日突然家庭内暴力少年に変身することもあれば、社会を不安に陥れる凶行の陰に意外な甘え欲求が隠れていることもある。青年が成熟し自立することはいつの時代でも難しい。まして、引延ばされた青春期を送る現代日本の若者には、特に。〈甘え〉と〈反抗〉という相反する心の力学に注目し、人間の健康な自立への方途を探る有用の書。
日本書紀(下)全現代語訳
日本書紀(下)全現代語訳
訳:宇治谷 孟
講談社学術文庫
本巻では、巻19の欽明天皇から巻30の持統天皇までの、大和朝廷が中央集権的な律令国家を完成してゆく波乱にみちた時代を描く。聖徳太子の17条憲法や大化改新、白村江の戦い、壬申の乱など歴史上よく知られている出来事が、「古事記」と並んで古代史資料の原典ともいうべき本書「日本書紀」に記録性豊かにいきいきと叙述されている。国造りにかけた古代日本人の姿を、明解な現代語訳で鮮やかに蘇らせた古代史研究の必携書。 本巻では、巻19の欽明天皇から巻30の持統天皇までの、大和朝廷が中央集権的な律令国家を完成してゆく波乱にみちた時代を描く。聖徳太子の17条憲法や大化改新、白村江の戦い、壬申の乱など歴史上よく知られている出来事が、「古事記」と並んで古代史資料の原典ともいうべき本書「日本書紀」に記録性豊かにいきいきと叙述されている。国造りにかけた古代日本人の姿を、明解な現代語訳で鮮やかに蘇らせた古代史研究の必携書である。
ナショナリズムの文学
ナショナリズムの文学
著:亀井 俊介,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
明治日本のナショナリズムを文学にたどる。国家の運命を担う気持に駆られていた明治日本の指導者や文学者たちのナショナリズムが、国の内外の多圧の中で、どう対応し、どう文学表現をなしたかを跡づける。
日本宗教事典
日本宗教事典
著:村上 重良
講談社学術文庫
宗教は、日本文化を構成しているきわめて重要な領域であり、日本文化をその最深部において性格づけているといっても過言ではないが、その全体像を客観的・実証的に通観する仕事の大半は遺されてきた。本書は、日本の主要な宗教、宗教史上の重要な事件と運動、代表的な信仰および宗教観念などを大項目で体系化し、各項目を年代順に配列した。日本宗教についての読む事典であるとともに、日本宗教史上の通史であり、宗教論でもある。
身辺の日本文化
身辺の日本文化
著:多田 道太郎,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
本書は、私たちの日常生活のなかに日本人のものの見方と美意識を探った表題作ほか、「盛り場のなかの美」「日本語の人間学」を収録。箸と茶碗、軒端と縁側、のれんと敷居、縁日とみこしなど、ふだんあまり意識されない事物のなかに、日本文化の本来のすがたを見ようとする。皮相なものこそもっと深刻であり、身近なものこそもっと迂遠(うえん)である、神というものがもしあるなら、それは身辺の些事(さじ)に宿ると説く著者ならではの日本文化論。
生きている日本語
生きている日本語
著:柴田 武,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
私達が生まれ育った母なる方言の楽しい探索方言は消えて行くように見えるが目立たない語や話し口調の中に根強く生き続ける。著者は元東大言語学科主任教授。最近『知ってるようで知らない日本語』がヒット
日本書紀(上)全現代語訳
日本書紀(上)全現代語訳
訳:宇治谷 孟
講談社学術文庫
「古事記」とともに古代史上の必読の文献といわれている「日本書記」は、天武天皇の発意により舎人親王のもとで養老4年に完成した完撰の歴史書であるが、30巻にも及ぶ尨大な量と漢文体の難解さの故に、これまで一般には馴染みにくいものとされてきた。本書は、その「日本書紀」を初めて全現代語訳した画期的な労作である。古代遺跡の発掘が相継ぎ、古代史への関心が高まる今日、本書は歴史への興味を倍加させずにはおかない。 「古事記」とともに古代史上の必読の文献といわれている「日本書記」は、天武天皇の発意により舎人親王(とねりしんのう)のもとで養老4年に完成した完撰の歴史書であるが、30巻にも及ぶ尨大な量と漢文体の難解さの故に、これまで一般には馴染みにくいものとされてきた。本書は、その「日本書紀」を初めて全現代語訳した画期的な労作である。古代遺跡の発掘が相継ぎ、古代史への関心が高まる今日、本書は歴史への興味を倍加させずにはおかないであろう。
文明の誕生
文明の誕生
著:伊東 俊太郎,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
グローバルに捉えた都市文明の誕生と発展。人類が初めて生みだした階級や文字、また国家組織や商業の発達などの都市革命の原点を、西アジア、エジプトなど五つの地域において比較考察した画期的な文明論。
シェイクスピア講演
シェイクスピア講演
著:福原 麟太郎,装丁:蟹江 征治,解説:外山 滋比古
講談社学術文庫
千万の心を持つ男が創造した人間世界へ案内活力に満ちたエリザベス朝の人生肯定的な風潮を背景に、元気な改作の天才シェイクスピア描くさまざまな人間像を、生き生きとユーモラスに語る。解説、外山滋比古
ミルの世界
ミルの世界
著:小泉 仰,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
ミルの生涯と思想に迫る画期的書き下ろし。自由主義の代表的思想家ジョン・スチュアート・ミルの生いたちとその思想の形成過程を辿りながら、彼の功利原理に立脚した自由主義の思想構造を鮮やかに解明する
古典の発見
古典の発見
著:梅原 猛,装丁:蟹江 征治
講談社学術文庫
哲学者がとらえた日本の古典の新しい読み方美しきもの、真なるものを求め続ける著者が、その梅原学ともいうべき独自の方法論で万葉集から芭蕉までの古典を考察し,古典の持つ魅力の数々を再認識させる好著
「日本らしさ」の再発見
「日本らしさ」の再発見
著:浜口 恵俊,装丁:蟹江 征治,解説:公文 俊平
講談社学術文庫
「日本らしさ」とはなにか。「恥」「甘え」「「タテ社会」「自我不確実感」などのキー概念を用いたこれまでの日本人論は、欧米人とは正反対の、主体性がなく、集団に埋没し、上下の関係にうるさく、それでいてまわりの人の評判を気にしすぎる、という行動特性を挙げるにとどまった。本書は、日本人自らの立場から考え出された「間人(かんじん)」という概念によって、従来の「個人」中心の人間モデルによる分析の不備をつき、新しい主体的日本人像を描く。
華厳の思想
華厳の思想
著:鎌田 茂雄
講談社学術文庫
奈良東大寺の大仏に象徴される華厳の思想的理念は、日本文化のなかに今もなお、広く深く生きつづけている。茶の湯において、小さな茶室でおこなわれる喫茶の行為のなかに無限の宇宙の広がりを見るのが茶道の生命であり、一輪の切り花のなかに永遠の相を見るのが華道の精神である。限りあるもの、小さなもののなかに、無限なるもの、大いなるものを見ようとする考え方こそ華厳思想の本質であり、その再発見を試みたのが本書である。