講談社ノベルス作品一覧

QED 六歌仙の暗号
講談社ノベルス
魔術(うた)を忘れた我々に隠されていた真実が、容赦のない論理で暴かれる──有栖川有栖
「明邦大学・七福神の呪い」──大学関係者を怯えさせる連続怪死事件は、歴史の闇に隠されていた「呪い」を暴こうとする報いか!?ご存じ、桑原崇が膨大な知識を駆使し、誰も辿り着けなかった「七福神」と「六歌仙」の謎を解き明かす。そして浮かび上がった事件の真相とは?前作『百人一首の呪』に続く驚異のミステリ!
「やまと歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。世の中にある人、ことわざ繁きものなれば、心に思ふことを、見るもの聞くものにつけて、言ひ出せるなり。花に鳴く鶯、水に住む蛙の声を聞けば、生きとし生けるもの、いづれか歌を詠まざりける。」
【QED】
quod erat demonstrandum
証明終わり

桜闇 建築探偵桜井京介の事件簿
講談社ノベルス
影に閉ざされた館の露台で、老いた男は毒を盛られた。唯一の容疑者は彼の美しい妻、しかし物証はない。目前で引き起こされた事件の真相を、解明したと信じた京介だったが……。いまなお忘れ得ぬ16歳の日の記憶を語る表題作。眩暈を誘う「二重螺旋」4部作を含む10の謎を経て、時は現在(いま)、新たな旅立ちへ――
大幅改訂を加えた全短編7本に書き下ろし3本を加え、シリーズ初の短編集をお届けします。94年の開幕以来作品内でも時は流れ、今年蒼はW大一文に無事入学を果たしました。京介と深春はついに三十路です(苦笑)。『建築探偵桜井京介』はまだまだ続きます。それが今後どういう軌跡を描くことになるのか。もっとも楽しみにしているのは、全能の作者ならぬ物語を綴る不器用な1本のペンでしかない、私自身なのかもしれません。――著者のことば

伊豆の朝凪 米沢着15時27分の死者
講談社ノベルス
「山手夫人」を巡って壮絶な諍(いさか)いを起こした2人の男。一方の本橋が殺され、凶器のナイフには、相手の藤木と、謎の指紋が残されていた。藤木は、死者への憎しみを露(あら)わにするが、鉄壁のアリバイを主張する。ルポライター・浦上伸介と前野美保は、事件の発端と思われる、正体不明の「山手夫人」に迫る。真犯人は誰?

北への殺人ル-ト
講談社ノベルス
疾走するバスを止め、被害者を呼び出して殺した大胆な暗殺者。男はポルシェを駆り、トカレフで連続殺人を犯していく。被害者たちに接点はなく、理由も不明な得体の知れない犯罪に、十津川警部たちの必死の捜査が続く。そして浮かび上がった、犯罪組織の影。凶悪な事件の裏で進行していた、驚くべき陰謀とは!?
北の稚内から、南は、沖縄の与那国島まで、旅行している。トラベルミステリィを書くようになってから、取材のための旅行が多いが、旅そのものは、昔から好きだった。戦争が終った時が14歳、初めて、旅行らしい旅行をしたのは、18歳で、出かけたのは、東北の十和田湖だった。金も無かったから、夜行列車の固い座席にゆられて行ったのだが、雪が降っていて、やたらに寒かったのを覚えている。そのせいか、旅といって、反射的に、北をイメージするようになってしまった。――著者のことば

頭蓋骨の中の楽園
講談社ノベルス
予告された被害者
犯人は、あなただ
死者からの手紙
推理小説の未来は、この男にしか語れない!
美人女子大生が続々と首のない死体に!最初の被害者の名は、人気推理小説の中で予言されていた!?「表情が死んでしまった男」安藤が語る、驚愕の真相とは!?

完全犯罪のエチュ-ド
講談社ノベルス
死体の横に残された一編の詩は、死者のメッセージか――。定年の自由を得た男が謀る完全犯罪――。拾った一葉の写真が、新たな殺人事件を生む――。犯罪者の心の闇に肉薄して6つの殺人事件に挑む、牛尾たち新宿署の刑事の執念。人間と社会の愛憎渦巻く不条理ドラマを描く、森村ミステリー・ワールドの傑作集!
新宿は人間のごった煮のような街である。西口超高層ビル街のパワーエリートから地下道の浮浪者まで、そこへ根を下すのは難しいが、だれでも居ることはできる。新宿に集まって来た人間の愛憎が紡いだ完全犯罪、そこに現代の縮図を描いたつもりである。きらびやかなイルミネーションをまとった新宿の闇の部位に隠されたミステリーも新宿の重要なエッセンスである。――著者のことば

カ-ニバル 人類最後の事件
講談社ノベルス
大人気JDC(日本探偵倶楽部)シリーズ最新最大最高傑作!
人類最後の事件、「犯罪オリンピック」現象は遂に佳境に。九十九十九、龍宮城之介らJDCの名探偵は世界滅亡の危機を救えるのか?ミステリバブル崩壊必至の書。

長野・上越新幹線四時間三十分の壁
講談社ノベルス
長野、新潟、東京。殺意とアリバイを乗せ新幹線は疾る!
新潟と長野で起きた殺人。容疑者の美人双子姉妹には鉄壁のアリバイがあった。壊れた時計、時刻表、ビデオ・テープ――ミステリの必須アイテムに新たな生命を吹き込むスリリングな表題作に、どんでん返しの醍醐味が堪能できる倒叙短編の2編をプラス。思いもよらない一点から完全犯罪を瓦解させる推理のキレ!

銀の檻を溶かして 薬屋探偵妖綺談
講談社ノベルス
賑やかな街の一角に、その店は存在する。燻べたような色の木の板、木の壁、木の天井。まるでそこだけ時に取り残されたかのような――その店。蒼然たる看板に大書された屋号は、「深山木(ふかやまぎ)薬店」。優しげな青年と、澄んだ美貌の少年と、元気な男の子の3人が営む薬種店は、だが、極めて特殊な「探偵事務所」で……!?第11回メフィスト賞受賞作!!
●著者のことば
妖怪、推理、探偵、人間、時間、そして薬屋さん。好きなものがたくさん詰まったこの世界は、虚像と事実のパーライトです。本文中に引用されたカナダの詩人のあの本は、どこの本屋さんにも売っていない紛い物です。でも、子供のノートや、連日続く夜中のノックは、身辺な所で起きた実話に基づいています。薬屋さんは……どうでしょう?もしかしたら、何処かにあるかもしれません。

新・天狼星 ヴァンパイア(下)異形の章
講談社ノベルス
魔人・シリウスは、その正体を現すのか……!?
一夜にして、スターの地位を獲得したシンデレラ・ボーイ竜崎晶の身辺で次々に起こる殺人事件。容疑者となった晶と、その晶に異常な愛を感じる殺人鬼・刀根一太郎。魔人・シリウスの影。再び現れた強力な敵を前にして、名探偵・伊集院大介の名推理が展開される。大好評『ヴァンパイア(上)恐怖の章』に続く話題作!!
●著者のことば
いよいよ本物の世紀末、1999年がやってきました。20世紀もあと2年、19世紀のおわりにきらめいた本格ミステリーにもう一度光があたるとき――死体と謎と美少年、絢爛豪華な道具立てと名探偵と怪盗と殺人鬼の季節がはじまるのです。

野獣駆けろ
講談社ノベルス
大沢ハードボイルドど真ん中の豪速球!!
デビュー作「陰の間」発表から30年後の今、続編の執筆を始めた社会派の大作家、辺見俊悟に、正体不明の脅迫が始まった。奇しくも辺見を護ることとなったのは高松圭介、六本木を棲み家とする元傭兵だ。圭介に迫る脅迫者の目的は?そして、続編の秘密とは?大沢在昌初期の大傑作、待望のノベルス版再刊行!
●著者のことば
人生をゲームとして生きる――そんな男に憧れている。暇つぶしに命を賭け、敗者に待つものが死だとわかっていても笑える男がいい。金もある、女性にも愛される。しかもクールで、闘う理由を問われたら「退屈だったから」と答えるような男だ。書いているうちに憮然としてしまった。彼我の差がありすぎる。読者には楽しんでもらいたい。

塔の断章
講談社ノベルス
パズルの如き断章(ピース)すべてに《ミステリ》が息づく!
天空を目指して屹立する尖塔から女は墜落していった――「機械の森」という小説のゲーム化のために集まったグループ8人が、湖畔の古い洋館で過ごした問題の一夜。妊娠していた被害者を突き落としたのは誰か。容赦なく裏切られながら、強烈極まりないラストまで一直線。その衝撃音が世界と読者の魂を揺るがす。

Kの流儀 フルコンタクト・ゲ-ム
講談社ノベルス
悪の華が咲き乱れる荒廃しきった高校へ転校した少年、逢川総二(あいかわそうじ)は、あの“極真”の達人だった!VS.中国拳法、ボクシング、少林寺拳法、柔道、空手、剣道。激闘は限界を超えて加速する!第10回メフィスト賞受賞、衝撃の新人デビュー作。血と力の神話のアジテーター、梶原一騎の再来か!?
●作者のことば
「K」というアルファベットから、あなたは何をイメージするでしょうか?誰かのイニシャル?トランプのキング?それとも、K-1?──まずは読み出してください。格闘アクション限界描写、ロマンスつき。この作品の中で、主人公の逢川総二と共に、あなたにもホンモノの一撃必殺を、「体感」していただけると思います。
●Kの流儀 書評
男なら誰もが「強さ」への憧れを持っている。自らの「弱さ」を自覚した時、更にその欲求は高まるものだ。我々は極真に出会い強さを追求してきた。最強を求めて苦しみ、痛み、辛さを克服していくなかで「正義なき力は無能なり、力なき正義もまた無能なり」という故・大山倍達総裁の教示された真理に気付かされた。極真という1つの生き様である。この物語の主人公である総二の中には、作者であり、極真の門下生である中島望氏の筆によって見事に私達が憧れている極真が象徴的に描かれている。──国際空手道連盟 極真会館 館長 松井章圭

新・天狼星 ヴァンパイア(上)恐怖の章
講談社ノベルス
吸血殺人鬼、東京上陸。最強の敵が復活した!!
名探偵・伊集院大介シリーズ!!
「連続殺人鬼の恐怖?現代の吸血鬼?」新聞の見出しを見た竜崎晶は驚愕した。「ビッグ・アップル・ヴァンパイア」。ニューヨーク帰りの牧村レオナのことばが耳によみがえる。吸血殺人鬼が東京に……!?そして、晶の身辺にも魔の手が!殺人鬼・刀根一太郎(とねいちたろう)と魔人・シリウスが復活したのか!?伊集院大介の推理が冴える!!

私が彼を殺した
講談社ノベルス
純本格ミステリ!!全編が「読者への挑戦状」!
流行作家・穂高誠が、新進の女流詩人・神林美和子との結婚式当日に毒殺された。美和子の兄・貴弘、穂高のマネージャー・駿河直之、穂高の担当編集者・雪笹香織。彼らは皆、事件後つぶやく。「私が彼を殺した」と……。容疑者は3人。そして犯人は1人。卓絶のテクニックで繰り出される真相を、はたしてあなたは看破できるか?
●著者のことば
メモを取りながらページをめくり、作者がちりばめたヒントを手がかりに真相を推理する――かつて探偵小説と呼ばれたものを愛した人々の楽しみは、そういうものだったはずである。それを何とか復活させたいと思った。だが作業は想像以上に大変なものとなった。こんな馬鹿なことするのも、これが最後かもしれない。

念力密室!
講談社ノベルス
〈超能力者問題秘密対策委員会出張相談員・(見習)〉神麻嗣子(かんおみつぎこ)と、売れないミステリ作家・保科匡緒(ほしなまさお)、そして美貌の警部・能解匡緒(のけまさお)との不思議な出会いが、ミステリ・シーンを変えた!“密室”。この深奥かつ甘美な本格のテーマを自在に構築し謎を解く、西澤保彦の神技、そして奇想の世界を、とくとご賞味ください!
●著者のことば
〈神麻嗣子シリーズ〉第3弾を、お届けします。今回は、超能力で密室を構成する(笑)という趣向で統一した連作短編集です。なぜ現場は、サイコキネシスを使ってまで“密室”にされなければならなかったのか?5つの謎を、どうかごゆっくり、お楽しみいただければ幸いです。

遍路殺がし
講談社ノベルス
突然、釣部渓三郎(つるべけいざぶろう)のもとに切断した足が送りつけられた。送り主は入院中の男性。壊死した足を火葬してくれという。既に手遅れの状態だった男の名は、北多摩署の蟹沢、相馬が担当する強盗殺人事件でも浮上した。釣部の周辺で再び起こる殺人。四国八十八カ所の急峻な遍路道を、釣部の鮮やかな推理が照らし出す!
●著者のことば
わたしは菅笠をかぶり、白衣を着て、輪袈裟(わげさ)をかけ、ずだ袋を肩から下げて、金剛杖を手に、一番礼所の霊山寺から巡拝をはじめた。笠や杖には、同行二人(どうぎょうににん)、と書かれている。四国は、弘法大師の出生の地である。わたしが、お遍路さん姿で歩くと、お年寄りは頭を下げてくれたし、若者は道を開けてくれた。同行二人は、お大師さんと二人連れという意味である。もし犯罪者と二人連れなら、どうなるか。

地球儀のスライス
講談社ノベルス
犀川・萌絵。2人のその後。噂の新シリーズキャラクター。ぎっしり詰まった1冊!
「黒窓の会」――それは、那古野市きっての資産家の令嬢、西之園萌絵を囲んで開催される秘密の勉強会である。ゲストとして招待されたN大学工学部助教授、犀川創平は、1枚の写真にまつわるミステリィを披露する。それは、インドの石塔の遺跡に関する奇妙な謎であった。(「石塔の屋根飾り」)
森ミステリィのあらゆる魅力が、一杯につまった珠玉集。

ABCD殺人事件
講談社ノベルス
ご存じ大貫警部の名推理が冴える!?テレビ出演中に殺人事件発生の連絡を受けて、N学園に乗り込む大貫。なぜか、教師の真似事をして生徒には大ウケ。もちろん捜査では、井上刑事の足を引っ張ることばかりだが、ちょっと生意気な学園理事長の娘に恋されたりして……。奇妙な学園ミステリー、意表をつく結末!
●著者のことば
おなじみ、大貫警部シリーズの新刊である。
このところ「大貫がだんだん善人になって来た」というご批判(結構なことだと思うのだが)があるようだが、それは現実の世の中が「可愛げのない犯人」に溢れているせいで、大貫が可愛く(?)見えるのかもしれない。
いやいや、著者もトシを取って、大貫に近くなったのだろう。ここいらで気を取り直して、大貫から図太く生きるエネルギーを吸収したいものだ。

魔天楼 薬師寺涼子の怪奇事件簿
講談社ノベルス
警察のお偉方が大集合しているビルで、突然出入りが不能となる異常事態が発生した!?右往左往する上役を睥睨(へいげい)しつつ、従僕(?)を従えて、颯爽と登場する美女が一人。彼女こそ、警視庁きっての危険人物、薬師寺涼子警視その人だった。驚天動地の警察ホラー。特別書下ろし短編「さわらぬ女神にタタリなし」収録。
●読者へのあいさつ
「ドラよけお涼」は神出鬼没です。泉田クンは本来は神出鬼没ではないのですが、上司にしたがううちにやはりそうなってしまいました。今回、文庫から新書へのリニューアルという異例の怪挙をなしとげてしまったのですが、すこしページ数がたりませんので、フロクとして書下ろし短編をくっつけました。垣野内成美さんの新作イラストもついて、たいへんお買い得だと編集部では申しております。お手にとっていただければ、泉田クンの苦労もすこしは報われるでしょう。