講談社文庫作品一覧

蝶々さん(上)
講談社文庫
明治初頭、長崎港外の深堀に士族の娘として生まれた蝶は、父の形見の『学問のすゝめ』を読んで育つ。かくれキリシタンの少女ユリとも仲良しになり、文明開化の夢がふくらむものの、コレラの流行で母と祖母を失って運命は一変。小学校を卒業すると同時に丸山遊郭「水月楼」の女将の養女となって長崎へ向かう。(講談社文庫)
「蝶々夫人」は実在した!
士族の娘として生まれ文明開化の夢を信じた聡明な少女。
明治初頭、長崎港外の深堀に士族の娘として生まれた蝶は、父の形見の『学問のすゝめ』を読んで育つ。かくれキリシタンの少女ユリとも仲良しになり、文明開化の夢がふくらむものの、コレラの流行で母と祖母を失って運命は一変。小学校を卒業すると同時に丸山遊郭「水月楼」の女将の養女となって長崎へ――。
やえは茜色に染まっていく西空に独り言のように語りかけた。
「……この景色ばよう憶えておきんしゃい。いつかきっと、おまえはこの坂ば上がってきて、この景色の中に入らんばでけん。こいからは、女でん将来ば持たんばでけんて田代先生に言われたね。そうたい、この景色がおうちの将来たい。どがんことがあってでん、もう一回この坂ば上がってきて、今日の異人さんたちとの約束ば果たさんばね」
――母はだれに語りかけているのだろう?
お蝶は不安に駆られて涙がでてきた。
そして、大きな西日に向かって肯いた。――<本文より>

へうげもの 八服
講談社文庫
古田織部、窯大国への挑戦。武将茶人を描く異色大河漫画。
数奇(すき)の天下征服のため、渾身の極“乙”器を世に放たん。新窯術(しんようじゅつ)獲得を企て、織部は敵地朝鮮へ密航。彼の地に待っていたのは、量産を可能とする登窯(のぼりがま)、垂涎の名物茶碗、不遇な女性陶工との出逢いだった。命懸けの帰国も束の間、人生最大の危機が織部に襲いかかる。「モーニング」連載中の大河漫画、大絶叫文庫版第8弾。

へうげもの 七服
講談社文庫
利休死すとも、わび死せず。武将茶人を描く異色大河漫画。
「秀吉暗殺」「わび数奇(すき)革命成就」。茶聖利休の野望はあえなく潰(つい)え、遂に末期(まつご)の座に臨むが、その流儀は秀吉を嗤(わら)うが如し。介錯を命じられた織部は、恩讐を越え、偉大なる師を黄泉へと送るのだった。非情のライセンスは武人の宿命。男の数奇は死闘也。「モーニング」連載中の大河漫画、大興奮文庫版第7弾。

闇夜の梅 梟与力吟味帳
講談社文庫
蓮の花咲き乱れる不忍池の畔――。思い人の伊助に、鳥居耀蔵の屋敷の絵図面を託した女は、鳥居腹心の部下・中嶋勘解由(かげゆ)の娘だった。蛮社の獄に散った渡辺崋山の仇を討つべく、不穏な動きを見せる伊助ら浪士を探る逸馬は、背後に激化する鳥居と水野越前守の対立を見る! 大好評文庫書下ろしシリーズ第11弾。(講談社文庫)
「妖怪を討て!」
渦巻く浪士の怒りを背負って、逸馬(いつま)は鳥居耀蔵(とりいようぞう)に吟味の刃を突きつける。大好評シリーズ第11弾、クライマックスへの序章!
蓮の花咲き乱れる不忍池の畔――。思い人の伊助に、鳥居耀蔵の屋敷の絵図面を託した女は、鳥居腹心の部下・中嶋勘解由(かげゆ)の娘だった。蛮社の獄に散った渡辺崋山の仇を討つべく、不穏な動きを見せる伊助ら浪士を探る逸馬は、背後に激化する鳥居と水野越前守の対立を見る! 大好評文庫書下ろしシリーズ第11弾。

アウト & アウト
講談社文庫
探偵見習いで元ヤクザ。矢能(やの)が呼び出された先で出くわしたのは、死体となった依頼主と妙な覆面を被った若い男。図らずも目撃者となり、窮地に追い込まれた矢能。しかし覆面男は意外な方法で彼を解放した。これが周到に用意した殺人計画の唯一の誤算になることも知らずに。最も危険な探偵の反撃が始まる。(講談社文庫)
痛快無比の悪漢探偵小説、登場!
矢能政男、45歳。元ヤクザ。小学2年生の少女・栞と二人で探偵事務所を営んでいる。
「仕事は最後までやるべきだと思います」
「俺はまだ修行中なんだ」
「大人なんだからもっと我慢してください」
「てめえは俺の母親か」
探偵見習いで元ヤクザ。矢能(やの)が呼び出された先で出くわしたのは、死体となった依頼主と妙な覆面を被った若い男。図らずも目撃者となり、窮地に追い込まれた矢能。しかし覆面男は意外な方法で彼を解放した。これが周到に用意した殺人計画の唯一の誤算になることも知らずに。最も危険な探偵の反撃が始まる。
『ジパング』『沈黙の艦隊』漫画家 かわぐちかいじ
「木内ハードボイルドは、おかしく、痛く、せつない。男の真実を知りたければ、これを読むしかない。」

お市の方 戦国の凰
講談社文庫
信長の妹、浅井三姉妹の母、柴田勝家の妻。戦国一の女性(にょしょう)の気高き生涯ーー織田信長の妹として生まれ、仇敵へと転じる浅井長政に嫁ぎ、茶々(ちゃちゃ)、初(はつ)、小江(おごう)の三人の娘を守り育て、最後は信長の重臣・柴田勝家の妻となった。明日を約束されない時代で、波乱の生涯を生き抜いた、市(いち)。最後まで「想い」を貫こうとした相手は、誰だったのか? 新たな着想で、戦国随一の女性の真実に迫る歴史小説。
◎そんな手があったか! なぜお市は勝家を「選んだ」のか。これなら「わかる」。(作家・柴田よしき)

特捜崩壊
講談社文庫
政財界の暗部に切り込み、戦後日本の「正義」を支えてきた地検特捜部。その捜査能力はなぜ地に堕ちたのか? 身内の不祥事を隠して突き進んだ逮捕劇、体面を保つための捜査・・・。'07年から翌年にかけての「防衛フィクサー」事件などの捜査過程を詳細にたどることで、今日の「検察危機」の予兆をとらえた話題作。(講談社文庫)
最強の捜査機関はなぜ駄目になったのか?
大阪地検特捜部の証拠改竄事件による衝撃から検察の改革方針決定まで、激動の一年間も加筆した決定版!
政財界の暗部に切り込み、戦後日本の「正義」を支えてきた地検特捜部。その捜査能力はなぜ地に堕ちたのか? 身内の不祥事を隠して突き進んだ逮捕劇、体面を保つための捜査・・・。'07年から翌年にかけての「防衛フィクサー」事件などの捜査過程を詳細にたどることで、今日の「検察危機」の予兆をとらえた話題作。
高杉良氏推薦
「昨今のマスメディアの劣化ぶりは否定すべくもない。そうした中で、著者の胆力と先見性は評価されて余りある。」
※本書は、2009年4月に小社より刊行された『「特捜」崩壊――墜ちた最強捜査機関』を加筆・修正し、改題したものです。

真贋
講談社文庫
「小説や詩を読むことで心が豊かになると妄信的に信じている人がいたら、ちょっと危いと思います。世の中の『当たり前』ほど、あてにならないものはありません」――今こそ「考えること」に真剣に向き合ってみませんか。突き詰めた思考の果てにうまれた、氏の軽妙かつ深遠な語りにどうぞ耳を傾けてください。
明るさは滅びの姿
「豊かさ」に隠されたもの
自分の毒に責任を持つ
人間らしい嘘は許す
困ったらインチキでもやるしかない
いいことをさりげなく、悪いことは大げさに
――<目次より>
「自分の親の本だということを忘れてのめりこんだ。この本を持っていれば普通の意味での迷いは消える。自分の人生に寄り添ってくれる希有な本だった」<よしもとばなな「読書日記」より>

妖怪アパートの幽雅な日常6
講談社文庫
「オーッ! 雪山だ~!」……修学旅行先でもアレが出たんです。待ちに待った修学旅行です(枕投げは必須)! 冬山にスキーに出かけた夕士たち。楽しい思い出をたくさん作るはずだったけど――千晶先生が倒れて、それどころじゃない。しかもその原因は、泊まったホテルにあるって? 想像を超えた出来事に面食らう夕士、「でも、この経験を決して無駄にはしないぜ……!」(講談社文庫)
いろんな経験を、自分の血と肉にするって?高2の修学旅行はスキー! 雪山を楽しむも、宿泊先のホテルはなんだか異様な雰囲気で……。ピンチに面食らいながらも、自分の「生き様」を考える早春の夕士。

論説室の叛乱
講談社文庫
新聞報道の頂点で闘うオヤジたちの叛乱軍「独断と偏見、上等じゃないか!」
巨額脱税事件、政権交代、東日本大震災へと続く報道の裏側を抉る!
「独偏流(どくへんりゅう)」と渾名される一匹狼の論説委員、太宰蒼(だざいしげき)。永田町のドン、保守党副総裁の鐵上(てつがみ)摘発を狙う東京国税局の動きを察知した太宰は、社の報道姿勢を覆す“真のスクープ”奪取を企てる。論説室に集う癖だらけのエリート新聞記者たちの静かで熱い叛乱を描き、政界と国税の裏側に迫るドキュメントノベル。<文庫オリジナル>

三悪人
講談社文庫
遠山金四郎、水野忠邦、鳥居耀蔵が花の吉原で騙し合い!
『花合せ 濱次お役者双六』で注目の著者が贈る新シリーズ第一弾
騙されたら、騙し返せ。駆け引きこそが生き甲斐だ――。目黒・祐天寺の火事に隠された、水野忠邦の非情なたくらみ。そのからくりを知った遠山金四郎は、鳥居耀蔵と手を組み、水野に「取り引き」を持ちかける。ひとりの遊女の行く末を巡って絡み合う、三者三様の思惑とは。三つ巴の知恵比べが、花の吉原で大きく動き出す!
※本書は2009年1月、小社より単行本として刊行した作品に大幅に加筆・修正を行い、文庫化したものです。

りすん
講談社文庫
「お兄ちゃん、私たちどうしたら小説の外へ出られるの?」
小説を書く行為を照らし出して、『アサッテの人』と対をなす長編
骨髄癌におかされて長期入院中の妹の病室内で繰り広げられる、他愛なくも切ない会話。実の兄妹ではないながらも深い絆で結びついた2人のやりとりが同じ病室の女性患者によって書かれた物語であったなら……。作者自身をも巻き込む小説の作為に抗うための、芥川賞受賞作『アサッテの人』と対をなす長編。

ぶらりニッポンの島旅
講談社文庫
僕の島旅の最初は、学生時代に訪れた閉山前の軍艦島だった――土門拳賞受賞の写真家が、45年余りで訪れた73の日本の離島から、印象的な20島を振り返る。偶然の出会いを大切にする著者だからこそ辿り着けた「穴場」、150点にのぼる写真など、ガイドブックでは味わえない魅力満載の島入門。島旅エッセイの決定版!
<一生で一度は訪れたい日本の離島20島を紹介>
軍艦島、西表島、竹富島、与那国島、波照間島、礼文島、佐渡島、伊豆大島、
八丈島、青ヶ島、屋久島、真鍋島、壱岐島、小呂島、天草下島、与論島、伊平屋島、
奄美大島、加計呂麻島、与路島
【巻末付録】日本の離島地図
◎椎名誠さんも推薦
「吹きぬける風を感性豊かにとらえ そこに生きる人々と自然を活写した島旅本の最高峰だ!」

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb
講談社文庫
人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは? 息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。道尾秀介の真骨頂がここに! 最初の直木賞ノミネート作品、第62回日本推理作家協会賞受賞作品。(講談社文庫)
ど派手なペテン、仕掛けてやろうぜ!!
「このミス」常連、各文学賞総なめの文学界の若きトップランナー、最初の直木賞ノミネート作品
道尾秀介の大人気作品がついに文庫化!
第62回日本推理作家協会賞受賞作品
人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは? 息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。道尾秀介の真骨頂がここに!

外科医 須磨久善
講談社文庫
海堂尊が、世界の頂点に立つ心臓外科医の人間像を、圧倒的筆致で描く、興奮ノンフィクション! 超一流は突然出現する。まるで、夜空に突然眩い光を発する超新星のように。日本初の心臓外科手術、「バチスタ手術」に挑んだ超新星・須磨久善とはどんな人物なのか。須磨が、「破境者」として多くの人々をインスパイアし、世界の心臓外科医の頂点に至るまでの航路を、胸ゆさぶる筆致で描く興奮ノンフィクション。
海堂尊が、世界の頂点に立つ心臓外科医の人間像を、圧倒的筆致で描く、興奮ノンフィクション!
超一流は突然出現する。まるで、夜空に突然眩い光を発する超新星のように。日本初の心臓難手術、「バチスタ手術」に挑んだ超新星・須磨久善(すまひさよし)とはどんな人間なのか。須磨が、「破境者(はきょうしゃ)」として多くの人々をインスパイアし、世界の心臓外科医の頂点に至るまでの航路を、胸ゆさぶる筆致で描く興奮ノンフィクション。
ごく普通のたたずまいのなかに、天才としての孤独と、人としての喜びが同居していることに凄みを感じました。――<水谷豊「解説」より>(ドラマ「外科医 須磨久善」主演)

DOG&DOLL
講談社文庫
「実はめちゃくちゃ歌は上手い」話、「モスキート音が聞こえすぎて、変な人扱いされそうになった」エピソード、「人間楽器」のイメージ、自分一人だけのためのオーディオなど、人気作家が音楽を起点に、縦横無尽に語るエッセィ集。西尾維新、ゆうきまさみ、山本直樹との対談、巻末に「森博嗣的音楽環境」も収録。
森博嗣に音楽のエッセィを依頼するなんて発想がかなり突飛だ、と思ったので敬意を表してお引き受けすることにした。
だいたい、音楽が嫌いだなんて人間がいるだろうか?――<本文より>

リスクは金なり
講談社文庫
イギリスから日本を見つめる作家の流儀
なりたい自分になるための、仕事術、人間術。
著者は、早稲田大学時代、箱根駅伝に2度出場。銀行の窓口係や外回りをへて国際金融マンに転身。今は英国に住み、5ヵ国語を駆使して経済小説を書く。人生の目標が見つかるまでの過ごし方、実現までの道、切った張ったの交渉術、海外から見た日本……。進路や仕事で迷う人に贈るアドバイス。<文庫オリジナル>

新装版 ムーミン谷の仲間たち
講談社文庫
*この本は、2011年から2025年までご愛読いただいた、講談社文庫版ムーミン小説[新装版]です。
ムーミンシリーズ唯一の短編集!
・スナフキンが、小さな「はい虫」に名前をつけてやるお話。
・空想力豊かなホムサをちびのミイがぺてんにかけるちょっとこわい話。
・たつまきがフィリフヨンカのすべてを飛ばしてしまったお話。
・ムーミントロールが小さい竜をつかまえたお話。
・やさしいヘムレンさんがホムサたちのためにおかしな公園をつくるお話。
・いじめられて、すがたが見えなくなってしまった女の子、ニンニのお話。
・ムーミンパパがニョロニョロといっしょにいなくなってしまうお話。
・よくばりなスニフがなぜかだいじな犬を手放すお話。
・「クリスマス」というものがやってくるので、大騒ぎをして準備をするムーミン一家のお話。
9つのお話では、ムーミン谷のおなじみの登場人物が新しい面を見せてくれます。これを読めば、あなたの中にあるムーミン谷の世界がますます豊かなものに。
(C)Moomin Characters (TM)

風の中のマリア
講談社文庫
命はたった三十日。戦うことに迷っている暇なんてない。
『永遠の0(ゼロ)』と並ぶ、最高の感動作!
命はわずか三十日。ここはオオスズメバチの帝国だ。晩夏、隆盛を極めた帝国に生まれた戦士、マリア。幼い妹たちと「偉大なる母」のため、恋もせず、子も産まず、命を燃やして戦い続ける。ある日出逢ったオスバチから告げられた自らの宿命。永遠に続くと思われた帝国に影が射し始める。著者の新たな代表作。
私たちはただ務めを果たすだけ。ある日、突然やってくる終わりの日まで。
ワーカー(ハタラキバチ)は、現代で働く女性のように。女王バチは、仕事と子育てに追われる母のように。この物語は、「たかがハチ」と切り捨てられない何かを持っている。「世界が広がるはずですよ」(養老孟司―解説より―)

「たられば」の日本戦争史 もし真珠湾攻撃がなかったら
講談社文庫
歴史において「もし○○していたら」と論じるのは無意味・・・ではない! もし満州鉄道の日米共同経営を受け入れていたら、もし第一次大戦でヨーロッパに派兵していれば、もし真珠湾を攻撃していなかったら――その後の歴史は大きく変わっていたはずだ。そんな「幻の選択肢」を検証する、画期的な戦争史論。(講談社文庫)
幻の選択肢で日本は変わっていた!
戦争の悲劇を避けられた「たられば」を大検証。
歴史において「もし○○していたら」と論じるのは無意味・・・ではない! もし満州鉄道の日米共同経営を受け入れていたら、もし第一次大戦でヨーロッパに派兵していれば、もし真珠湾を攻撃していなかったら――その後の歴史は大きく変わっていたはずだ。そんな「幻の選択肢」を検証する、画期的な戦争史論。
※本書は2006年8月に小社より単行本として刊行された『「たら」「れば」で読み直す日本近代史』を改題したものです。