講談社文庫作品一覧

卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし
講談社文庫
江戸に拡がる暖かい煮炊きの煙。人はね、当たり前のことがおもしろくないんだよ。裏返しや逆さまが好きなのさ――のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ。夫との心のすれ違いに悩むのぶを、いつも扶(たす)けてくれるのは、喰い道楽で心優しい舅・忠右衛門だった。はかない「淡雪豆腐」、蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い「黄身返し卵」。忠右衛門の「喰い物覚え帖」は、江戸を彩る食べ物と、温かい人の心を映し出す。
◎「読み進むほどにページを繰るのが早くならずにはいられない小説がある。この小説もそうだった」<塩田丸男「解説」より>

日照り草 梟与力吟味帳
講談社文庫

新装版 抜討ち半九郎
講談社文庫
殺戮、強盗、裏切り――。暗い生を急ぐ、抜討ち半九郎
運命に翻弄される男たちを描く佳作7編を収録。
稲毛藩の城下町にある藩主の菩提寺・永徳院を襲った盗賊一味。主犯格の半九郎は、元武士であった。殺戮に強奪、そして裏切り。心の休まる暇もない苦い人生を急ぐ半九郎が探し求める「小せえもの」とは。表題作ほか、運命に翻弄され、過酷な生に立ち向かった者たちの姿を活写した時代短編小説全7作を収録。

マチルデの肖像 恋する音楽小説2
講談社文庫

グランド・フィナーレ
講談社文庫
すべてを失ったとき、2人の女児と出会った――
終わりという名のはじまり。
「2001年のクリスマスを境に、我が家の紐帯(ちゅうたい)は解(ほつ)れ」すべてを失った“わたし”は故郷に還る。そして「バスの走行音がジングルベルみたいに聞こえだした日曜日の夕方」2人の女児と出会った。神町(じんまち)――土地の因縁が紡ぐ物語。ここで何が終わり、はじまったのか。
第132回芥川賞受賞作。〈解説・高橋源一郎〉
これは、「人間」も「人間」の形をしたものにすぎないものも区別できない「小説」らしきものが横行するこの時代に登場した、ほんとうに数少ない「小説」の一つなのである。――<解説より>

警視の週末
講談社文庫
道ならぬ恋に巻き込まれ家族の愛が試される
美しきシングルモルトの故郷に轟いた1発の銃声!
キンケイドから遠く離れてジェマは苦境に陥る。
スコッチウィスキーの聖地スペイサイドへ週末旅行に出かけたジェマ。だが同行の友人には旅先で不倫相手との逢瀬をという隠れた目的があった。怪しい雲行きは何者かの殺意を呼び、美しい風景に1発の銃声が轟く。その頃、ロンドンに残ったジェマの恋人キンケイド警視の元には、家族の愛を脅かす知らせが――。

Zの悲劇 告発弁護士・猪狩文助
講談社文庫
地上げ屋の悪質な営業妨害を老弁護士・猪狩文助に相談していた、パスタ屋「Z」の主人・浜崎隆雄が、殺人罪で勾留された。不動産会社の女性経営者の毒殺容疑だった。スパイ事件めいた劇薬リシンが、物証とされたのだ。これは冤罪だと確信した猪狩は、依頼人を救うため、国際テロ組織の関与を主張するが……。罪なき依頼人を救え!

乱歩賞作家 青の謎
講談社文庫
最強のラインナップ! シリーズ完結!
親友の無理心中に潜む不審点/老舗画廊で傷つけられた肖像画の秘密/女性保安士、薔子(しょうこ)の勘が冴える/詐欺師・青島がもつ特殊能力の正体/露天風呂に浮かぶ変死体に隠された真実
江戸川乱歩賞受賞作家によるアンソロジー、シリーズ第4弾

口は災い
講談社文庫
アイルランド系移民の栄光にしのびよる影
移住希望者ひしめくエリス島で起きた殺人。美人逃亡者モリー・マーフィーが、持ち前の勇気と知恵と行動力でニューヨークの街を駆け巡る。
20世紀初頭、殺人を犯してアイルランドの実家を飛び出したモリーは、かくまってくれたキャスリーンの子供たちを、肺病の彼女に代わって夫の待つニューヨークに連れていくことに。しかし、船のなかでモリーの嘘を嗅ぎ付けて脅してきた男が入国目前のエリス島で殺されて……。アガサ賞最優秀長篇賞を受賞。
モリーはとにかく威勢がいい。弱者、とりわけ女性は耐え忍ぶのが当然、という古い時代の中で、正しいと思ったことをズバズバいい、誰かに頼るのではなく自分で運命を切り開いていこうとする。それでいて、おしゃれにも気を遣い、ハンサムな男性には胸をときめかす。実際にモリーのような女性がいたら、友だちになって、ひと晩しゃべり明かしたくなりそうだ。――<「訳者あとがき」より>

傷つけ合う家族 ドメスティック・バイオレンスを乗り越えて
講談社文庫
止むことのない家庭内暴力・虐待に、どう立ち向かうのか? ーー11歳で義父から受けた性的虐待。崩壊寸前の家庭から逃げるように結婚した相手からの激しい暴力。長年にわたるドメスティック・バイオレンスを、著者はどう乗り越え、自らの尊厳にめざめたのか? DV防止法施行後も止むことのない家庭内暴力。「弱者いじめ」に立ち向かう心と術(すべ)を説く、感動のノンフィクション。

夜の明けるまで 深川澪通り木戸番小屋
講談社文庫
生きるのが辛くなった人々をやさしく迎えてくれる木戸番小屋があった――
江戸の片すみ・澪通りの木戸番小屋に住む笑兵衛(しょうべえ)とお捨(すて)。心やさしい夫婦のもとを、痛みをかかえた人たちが次々と訪れる。借金のかたに嫁いだ女、命を救ってくれた若者を死なせてしまった老婆、捨てた娘を取り戻そうとする男……。彼らの心に温かいものが戻ってくる物語全8作。
第39回吉川英治文学賞受賞作

疾風のヴァンパイヤー 九鬼鴻三郎の冒険(2)
講談社文庫
暴力と破壊の芸術家、凄絶なる帰国! 闇を切り裂き銃火を交わす殺しのプロフェッショナル! モスクワの上流訓練学校で破壊工作技術を叩き込まれた九鬼鴻三郎は、数年ぶりに日本の土を踏んだ。秘密工作員となった彼に与えられた任務は、全身が凶器と化したアメリカ人2人の来日目的を探ることから始まる。接触の一瞬後には、生死を分かつ闘いの分水嶺が待っていた! 〈『ヴァンパイヤー風雲録』改題〉(講談社文庫)
暴力と破壊の芸術家(アーティスト) 凄絶なる帰国!
東京の闇を切り裂き銃火を交わす殺しのプロフェッショナル――!
モスクワの上流訓練学校で破壊工作技術を叩き込まれた九鬼鴻三郎は、数年ぶりに日本の土を踏んだ。秘密工作員となった彼に与えられた任務は、全身が凶器と化したアメリカ人2人の来日目的を探ることから始まる。接触の一瞬後には、生死を分かつ闘いの分水嶺が待っていた! 〈『ヴァンパイヤー風雲録』改題〉

佃の渡し 臨時廻り同心日下伊兵衛
講談社文庫
表もあれば、裏もある 理不尽だけは許されめぇ
別れたはずの女は不治の病なのか。事件を追う伊兵衛に、翳を落とす。
別れた女が不治の病と知ったとき――
八丁堀同心として年輪を重ねた日下伊兵衛。見世物小屋で男に働かされる女に同情し、芝居に興奮した侍に父親を斬り殺された子の世話を焼く。そんなとき医師玄朴から、足繁く通っていたおさわの消息を聞く。苦悶して死んだ玄朴の妻と同じ病だというのだ。〈文庫書下ろし〉

すきもの
講談社文庫
みだらさの中の切なさ……男の欲望が、私の望む愛! ーーお金なんていらない。欲しいものはセックスだけ。自分にとっての男の価値は、生活や人生を守ってくれることではない。それは愛とは思わない。欲しいと求められて、はじめて自分の存在が必要とされていると思う。欲望こそ愛なのだAV業界の「なんでもあり」のなかのしぶとさや優しさを描く表題作ほか。

私刑連鎖犯(下)
講談社文庫
FBIの「指名手配凶悪犯リスト」に挙げられている10名が、次々に「処刑」されていく。市民の支持を集め始めたエクスタミネーター。その過去に、ブランドン刑事は着目した。
犠牲者の会を名乗る犯人達は、FBIのリストに記載された指名手配犯を次々に惨殺。治安の悪化に不満を抱いていた市民からは歓迎ムードすら漂い始める。逆さ吊り、拷問の痕……ブランドン捜査官は10年前に起きた女性連続殺人との共通点に気づく。法の秩序を無視した私刑の連鎖を止めることはできるのか。
「『NINE(本作の原題)』は10点満点」――オーランド・センティネル紙
「魅力的な設定、第1級のミステリー」――USAトゥデイ

私刑連鎖犯(上)
講談社文庫
新ヒーロー登場!
指名手配中の凶悪犯が逆さ吊り死体で発見された。法秩序を無視した私的な処刑は続くのか?山と正義を愛する男、ブランドン刑事が「執行人」を追う。
指名手配犯が逆さ吊りの惨殺体で発見された。犯人は自警団を気取り、FBIに先んじて死刑を執行したことを宣言するかのごとく、現場に「9」の数字を残していった。残虐な「私刑」はまだ続くのか? エドガー賞受賞の名手が生み出した新ヒーロー、アレックス・ブランドン刑事が活躍する圧倒的サスペンス。

奥能登に吹く殺意の風
講談社文庫
十津川班の刑事、北条早苗は、旅行中の能登で何者かに狙撃され負傷する。当初、人違いで撃たれたのかと思われたが、犯人から早苗殺害を予告する挑発的な電話が。また東京・国立ではバスが爆破され、早苗の同僚、清水刑事が死亡した……。不可解な犯人の狙いに、十津川警部が鋭利な推理で挑む傑作ミステリー。(講談社文庫)
謎めく犯行動機 苛立つ十津川!
十津川班の刑事、北条早苗は、旅行中の能登で何者かに狙撃され負傷する。当初、人違いで撃たれたのかと思われたが、犯人から早苗殺害を予告する挑発的な電話が。また東京・国立ではバスが爆破され、早苗の同僚、清水刑事が死亡した……。不可解な犯人の狙いに、十津川警部が鋭利な推理で挑む傑作ミステリー。

異人伝 中島らものやり口
講談社文庫
寝言は寝てから言え! 生き続ける魂の言葉
52歳は「失っていく」年。けれど逆に一種のすがすがしさがある。2004年7月に52歳で亡くなった著者が、死の直前に人生をふり返り、酒とクスリ、社会と家族、娯楽作家の業、そして自らの「死」と「生きること」を直感的に語る。死ぬのも怖くない。貧乏も怖くない。ただ愛が怖い。中島らも最後のメッセージ。

源氏物語 巻六
講談社文庫
四十の賀を盛大に祝った源氏に兄である朱雀院の愛娘・女三の宮が降嫁し、絢爛を誇った六条の院に思わぬ波乱が生じはじめる。愛情の揺らぎを感じた紫の上は苦悩の末に倒れ、柏木は垣間見た女三の宮に恋慕を募らせるがその密通は源氏の知るところとなり……。
源氏物語千年紀
みやびな現代語で読める!わかる!愛と世のはかなさを知る物語
男と女が綾なす圧巻のドラマが展開する第六巻
四十の賀を盛大に祝った源氏に兄である朱雀院の愛娘・女三の宮が降嫁し、絢爛を誇った六条の院に思わぬ波乱が生じはじめる。愛情の揺らぎを感じた紫の上は苦悩の末に倒れ、柏木は垣間見た女三の宮に恋慕を募らせるがその密通は源氏の知るところとなり……。

風のまつり
講談社文庫
謎の女と疑惑の目 心騒がす旅の長篇小説
謎の女が島にいた。図鑑の撮影で訪れただけのカメラマン・神田六平を、南の島の人々は怪しんで、あれこれと勘繰る。台風が近づき、選挙に沸く島で、六平の身辺は一触即発となる。ほのかな恋情を胸に、年に1日だけの「風のまつり」を見た六平は、その静かで激しい光景に呆然とする。シーナ式旅の長篇小説。