講談社文庫作品一覧

螢坂 香菜里屋シリーズ3〈新装版〉
講談社文庫
ビールの苦みが、心に寄り添う夜がある――
何度でも味わいたい、極上のミステリー!
若き日の面影を探して街をさまよううち、
カメラマンの有坂祐二はビアバー《香菜里屋》に辿り着く。
十六年前に別れた恋人の名を耳にした男は、
料理上手で聞き上手のマスター工藤に心をほぐされ、
胸の奥底にしまっていた過去を語り始める。
そこには思いもよらぬ謎が――(表題作)。
連作短編ミステリーの傑作!
解説 藤田香織

真夏の旗
講談社文庫
夏の夜の小さな事件が、真治と町の人気スター・彰五を友だちにした。純粋で奔放な生き方をする彰五たちの世界は、北の港町の大人には受け入れられないが、平凡な少年・真治に、新鮮でめくるめくような夏の日々を体験させた……。やさしく繊細な目で若者たちを生き生きと描いた、三木卓の少年小説の傑作。

七まいの葉
講談社文庫
生と死、光と影の織りなす、繊細で透明な三木卓の世界を謳い上げた、短編童話集。「ふみ子のおともだち」「はなっていいな」「そらのひつじ」「コップの海」など、人間の内面を凝視し、宇宙的広がりをもつ作品7編と、「けんかして」「さようなら」「おこっている」「もうひねくれたぞ」など少年詩12編を収録。

コーチ! はげまし屋・立花ことりのクライアントファイル
講談社文庫
恋も仕事もそこそこ、流されるままに25年生きてきたことりの転職先は「はげまし屋」。求職情報で偶然見つけた、おんぼろマンションの一室にあるオンライン専門の人生相談所だ。身近には打ち明けられないひそかな悩みが、ことりの元に次々と舞い込む。新米コーチのことりにクライアントの悩みを解決できるのか?「これは経費で落ちません!」著者によるユニークオフィス小説!
《ことりが担当する悩めるクライアントたち》
いいね探しのポリアンナちゃん
ー24歳・女性・派遣社員・クリエイティブな職種に転職希望
白雪姫に恋したカサノバさん
ー45歳・男性・貿易会社経営・妻子あり・初めての失恋を経験
小説家になりたいジェインさん
ー33歳・女性・小説家志望・家庭は裕福で結婚願望なし
終わらないエイジさん
ー36歳・男性・ネットビジネススターター・行動力はあるが非常識

宿命 國松警察庁長官を狙撃した男・捜査完結
講談社文庫
警察庁長官狙撃事件は、なぜ解決できずに時効を迎えなければならなかったのか。濃厚な容疑を持つ人物が浮上していながら、なぜ、オウム真理教団の犯行に固執しなければならなかったのか。日本警察の宿命を説く第一線捜査官による衝撃の手記。
文庫版で「第九章 エージェントD」を加筆!
単行本刊行後、「協力者」から手紙が届いた。「元刑事」となった著者は、協力者との接触を図る。本当の意味での「捜査完結」に向け、緊迫の場面に臨む――。
1995年3月30日朝、東京・荒川区において、國松孝次警察庁長官が何者かに狙撃された。警視庁は、当時の社会情勢等から、オウム真理教団による組織的テロと見て、警察の威信をかけた大捜査を展開、2004年に至り、オウム真理教関係者の逮捕にこぎつける。しかし、被疑者らが起訴されることはなく捜査は迷走し、2010年3月、多くの謎を残したまま事件は時効を迎えてしまった。
実は、この捜査の陰で、濃厚な容疑を持つ人物が浮上していた。その人物は民兵組織の結成を目指した「中村泰」。中村の内偵を進めた原氏は、徹底抗戦する中村の取調べを継続し、ついに中村から、警察庁長官を狙撃した自供を引き出す。そして、その供述は、現場の状況に合致して迫真に富み、犯人しか知り得ない内容に満ちていた。原氏が率いる捜査班は、幾多の困難を克服しながら中村の捜査を推し進め、多くの証拠を蓄積していくが、中村が立件されることはなかった。
なぜ、中村の捜査は封印されたのか。警視庁幹部、警察組織、現場捜査員、被疑者、社会情勢等、様々な「宿命」が絡み合い、葬り去られた事件の真相に迫る。

一緒にお墓に入ろう
講談社文庫
六十四歳の誕生日。
銀行役員の大谷俊哉は、十年来の愛人・麗子の「お墓を買って、一緒に入ろうか」という言葉にうろたえていた。
愛人とも妻とも、とうにマンネリ。
かたや仕事でも、頭取就任は望み薄。
そんな中、田舎の母の死でお墓の問題が急浮上。
妻は夫と同じお墓には入りたくないと言い!?
痛快《終活》小説!

損料屋見鬼控え 1
講談社文庫
文政元年(1818年)、損料屋(江戸時代のレンタルショップ)巴屋の惣領息子・又十郎は17歳になってからも親から丁稚扱いをされていた。損料屋といえばいちばんの得意先は長屋。長屋から長屋への引っ越しなどではわざわざ家財道具は購入せずレンタルで済ますことが、上方ほどではないにせよ江戸でもそれなりにあった。最初の事件は巴屋の店の入っている長屋だった。大家にヘンな物音がする部屋があるので見てほしいと頼まれてついていくと、部屋の隅に見事な幽霊の姿。もともと霊感らしきものが強いとは自覚していたが、あまりに鮮明なそのお姿に又十郎は腰を抜かしてしまう。これが「事故物件」のなせる業なのか!

アンダルシア 外交官シリーズ
講談社文庫
「謎の女」「殺された男」「消せない過去」 謀略の果てに待ち受ける絶望と涙。
不屈の外交官・黒田康作が欧州を疾駆する国際サスペンス小説。
欧州の小国・アンドラで殺人事件が発生した。SOSを受けた黒田康作はバルセロナから現地へ急ぐ。
日本人女性を助けて、スペインへ戻るが、その身元には不審な点が……。
彼女を追ってアンダルシ アへ向かう黒田に危機が迫る。
フランスとスペインの国家警察を巻きこむ陰謀とは何か。大好評「外交官シリーズ」第3弾!

改訂完全版 暗闇坂の人喰いの木
講談社文庫
さらし首の名所だった「暗闇坂」にそそり立つ樹齢二千年の大楠。この巨木が次々に人間を呑み込んだのか。近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とは。とうてい信じられない怪事件に名探偵・御手洗潔が敢然と挑む。しかしながら真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨を極めるものだった。本格ミステリーの巨匠が精力を注いだ大傑作。

四月七日の桜 戦艦「大和」と伊藤整一の最期
講談社文庫
「特攻作戦中止」。
沈む「大和」艦上で、その命令が、多くの命を救った。
「大和」と運命を共にした司令長官・伊藤整一の
信念に満ちた生涯を描く傑作ノンフィクション!
戦艦「大和」、司令長官の生涯。
「いとしき
最愛のちとせどの――」
「大和」での出撃直前に書かれた三通の遺書。
日本海軍の中枢であまりにも厳しい戦争の現実と向き合いつづけた
伊藤を支えたのは、家族との絆だった。
貴重な資料と証言で綴る感動のノンフィクション
太平洋戦争末期、沖縄へと向かう戦艦「大和」に乗艦予定だった少尉候補生らの命を救ったのは、司令長官・伊藤整一の英断であった。九州の農家に生まれ、海軍の中枢に上り詰めた伊藤の、真珠湾攻撃以降の苦悩、「大和」での最期。信念に満ちた生涯と家族との絆を多数の証言から克明に描くノンフィクション。

邪魔(下) 新装版
講談社文庫
ついに何かが、決壊する――
奥田英朗の、大藪春彦賞受賞作。講談社文庫創刊50周年新装版!!
静かに見える毎日の暮らしに、
隠されている極限状況。
奥田英朗は、新人の頃から凄い!
夜の冷気が空から降りかかってくる。
地面も九野の体温を奪おうとしていた。
死なないでくれよ。恭子のことを思った。死ぬことはない。
自分で死ななければならないことなど、人生にはないのだ。(本文より)
どうして自分が、こんな目に。
夫への疑念が深まり、いたたまれない恭子は、仲間に誘われた会社との「団体交渉」にのめりこんでゆく。放火の容疑者を追う九野は、容疑を確信しつつ逮捕にこぎつけられない。心がぎりぎりまで追い詰められた二人の中で、何かがついに決壊する――。日常に潜む極限状況を鮮明に描く傑作。【大藪春彦賞受賞作】

邪魔(上) 新装版
講談社文庫
奥田英朗、初期の傑作にして大藪春彦賞受賞作!!
その幸福は、本物ですか?
ほんの小さなきっかけから、追い詰められてゆく人たち。
平穏な日々が、暗転するーー。
ドアホンを手に取ると「警察です」という男の低い声が恭子の耳に飛び込んだ。
心臓が早鐘を打つ。ドアホンを置く手が小さく震えた。
怖がることなんか何もない。
うちは貧乏でも金持ちでもない平凡な家庭なのだ。
何も起こるわけがないじゃないか。
妻を事故で亡くして以来、不眠症に悩まされている刑事・九野。スーパーのレジ係として働きながら子育て中の主婦、恭子。華やかではないが平穏な二人の日常が、ある事件を機に交錯し始めるーー。小さなほころびがいつの間にか取り返しのつかない事態へと発展する、人生のもろさ、人の危うさを描いた著者初期の傑作!

新・水滸後伝(下)
講談社文庫
「この国は亡ぼさせねえぜ」
新天地を築く梁山泊の一党に襲いかかる敵、敵、敵!
人心沸騰の逆転劇、歴史伝奇小説
様々な戦いを経て、ついに一堂に会した梁山泊残党。彼らは新天地を求めて宋の国を飛び出し、大洋を隔てた島へと渡る。その地に理想の国を築こうとするも、圧倒的な数の兵力を率いる金軍、さらには巨大な惨禍を巻き起こす呪術を操る妖人・薩頭陀が島を襲った。好漢たちは固き志を胸に強大な敵と対峙する!

新・水滸後伝(上)
講談社文庫
「弱きを救い、強きをくじく」
夢破れし梁山泊の者たちが再び悪政に挑む!
痛快無比の大活劇、歴史伝奇小説
中国古典の大作『水滸伝』の後日譚として、17世紀に陳忱が描いた『水滸後伝』。幾度となく読み返し、その魅力を知る田中芳樹が、原典の面白さはそのままに、よりエキサイティングな物語へと再構成。全く新しい傑作『新・水滸後伝』を生みだす!
十二世紀の中国、北宋末期。腐敗する朝廷を倒さんと立ち上がった梁山泊集団は遼国を討ち、方臘の乱を鎮圧するも多くの好漢を亡くし崩壊した。それから数年、変わらず悪政がはびこる中、散り散りになった生き残りたちが、不思議な縁に導かれ再会。過酷な運命に涙をのんだ者たちは熱き心を胸に再び蜂起する!

風神雷神 (下)
講談社文庫
絵画界に革命を起こした「風神雷神図屏風」。爛熟した時代、天才たちとの出会い、天皇直々の評価
――そのすべてが、扇屋の絵師を鬼才・俵屋宗達にした。
万能の天才・本阿弥光悦からの鷹峯移住を断り、京で「俵屋」を継いだ宗達は、堺の商家の娘・みつを娶り、二人の子を生した。
都で一番の扇屋の主人として忙しく働いていたある日、名門公卿の烏丸光広が前触れもなく俵屋を訊ねてくる。烏丸光弘の手引きで養源院に唐獅子図・白象図を、相国寺に蔦の細道図屏風を完成させる。
後水尾天皇から法橋の位を与えられ、禁中に立ち入れるようになった宗達は、さらなる名品を模写する機会を得、その筆をますます研ぎ澄ませる。
日本の絵画に革命を起こした関屋澪標図屏風、舞楽図屏風、そして風神雷神図屏風
――世界が憧れた謎の絵師はいかにして生まれ、没したのか。
美術界きっての謎が斬新かつ丹念に描かれる。

風神雷神 (上)
講談社文庫
扇屋の絵師から法橋にまで登り詰めた鬼才、俵屋宗達。生没年不詳の男の一生を、同じ時代を生きた天才らとの出会いから紐解く、波瀾万丈、一気呵成の歴史エンタテインメント。
評判の扇屋「俵屋」の後継ぎとして大旦那の養子となった伊年は、秀吉が開催した醍醐の花見で見た屏風絵や、出雲阿国の舞台、また南蛮貿易で輸入された数々の品から意匠を貪る。
彼が絵付けをする「俵屋」の扇は日に日に評判を増していた。伊年が平家納経の修繕を頼まれ描いた表紙絵は、書の天才、本阿弥光悦の興味を惹く出来となる。
伊年は嵯峨野で出版・印刷事業を始めた幼馴染みの角倉与一より、光悦が版下文字を書く日本語書物の下絵を描かないかと持ちかけられる。その料紙を手配するのは、これまた幼馴染みの紙屋宗二。かくして本朝の美と叡智の粋を結集した「嵯峨本」が完成した。
次に、伊年が下絵を描き、光悦が書をしたためた「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が完成。京の知識人はもちろん、伊年自身もその出来に驚嘆し、涙を流す。
その後光悦に鷹峯へ共に移住しないか問われた伊年は、嘗て観た阿国の舞台や来し方を脳裏に浮かべ、誘いを断り、俵屋を継ぐ決意をした。

時代
講談社文庫
新聞記者一筋だった笠間は、同期との競争に負け、販売部への異動を告げられる。記者職への断ち切れない思いを抱えつつも、自分の仕事に邁進し、販売部でも存在を発揮し始める。一方で、ずっと忙しい父親との関係に、二人の息子・翔馬と翼は悩んでいた。しかし葛藤を抱きつつも、翔馬は父と同じ、新聞記者という道を行くことを決める。働くことは何なのか。父親として息子に残せるものは何か。普遍的な親子の絆を描いた、傑作長編!

ハロー・ワールド
講談社文庫
エンジニアの文椎(ふづい)が作った広告ブロックアプリがインドネシアで突如売れ始めた。そこに隠された驚愕の事実とは。検閲や盗撮などの問題を描いた表題作「ハロー・ワールド」をはじめ、インターネッ
トの自由を脅かす行為に、知識と技術で立ち向かう文椎の、熱く静かな闘いの物語。第40回吉川英治文学新人賞受賞作。
GoogleカーやAmazonのドローンが次々集まってくる「行き先は特異点」、バンコク出張中にドローンを使った政治運動に巻き込まれてしまう「五色革命」、Twitterが中国に門戸を開いたのを機にTwitterクローン〈オクスペッカー〉をアップデートしてインターネットの自由を守ろうとする「巨象の肩に乗って」、マレーシアのビットコインセミナーに参加中に拉致されてしまう「めぐみの雨が降る」。
単行本刊行時にAmazonランキング1位を獲得した話題作が、これまでKindle版でしか読むことのできなかった「ロストバゲージ」を新たに加え、待望の文庫化!

桜宵 香菜里屋シリーズ2〈新装版〉
講談社文庫
今夜もグラス片手に、謎解きに耳を傾けて。
ビアバー《香菜里屋》のマスター工藤に託された、
妻から夫への「最後のプレゼント」とは――。
連作短編ミステリーの金字塔!
解説 中江有里
妻の死から一年。警察官の神崎守衛は、遺品の中から手紙を見つける。
三軒茶屋のビアバー《香菜里屋》に、妻は「最後のプレゼント」を用意したという。
マスター工藤が振る舞う炊き込みご飯は、妻のそれと同じ味。
感傷に浸るも、料理の名を聞き愕然とする――(表題作)。
連作短編の名手が紡ぐ、大人のミステリー!

四谷の弁慶 公家武者信平ことはじめ(三)
講談社文庫
江戸を陰から守るは――公家武者なり!
これぞ江戸活劇!
実在した公家武者が、将軍に見込まれ秘剣を振るう大人気時代小説!
☆☆☆
時の将軍・家綱より拝領した刀を奪われる四谷の弁慶事件が頻発。
信平は三千石旗本の大隈家を助けるため、刀を取り戻そうと動き出す。
離れて暮らす妻の松姫を江戸の屋敷に迎えるためにも、
名刀・狐丸を腰に差し神出鬼没の男を追う(「四谷の弁慶」)。
実在した公家武者が江戸を守る時代小説、始まりの物語第三弾!