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2012.09.21発売
幻獣坐2 The Ice Edge
講談社ノベルス
"言葉"で人を死に至らしめる力「幻獣」を宿す少女。藤宮優々希。彼女を利用して、巨大企業スオウへの復讐を企む少年。久瀬冬弥。二人の前に現れたのは、精密爆弾魔の名を持つテロリストと、記憶を失ったもう一人の「幻獣」憑きの少女だった! 新たな幻獣坐との出会いと、忌まわしき過去の因縁が冬弥と優々希を巨大な陰謀の渦へと巻きこんでいく……!

2012.09.21発売
消された龍馬 念写探偵 加賀美鏡介
講談社ノベルス
モノに込められた念を撮影できる男・加賀美鏡介。その能力を買った警察から、名門校・桜葉女子学園で発生した「PTA会長殺人事件」の捜査協力を依頼された。容疑をかけられたのは警備員の谷。多くの生徒に信頼される彼に何が? 鏡介の能力で解決も早いかと思いきや、坂本龍馬暗殺にまつわるモノを念写で発見した鏡介は、いまだ分からぬ暗殺犯捜しを始めてしまう。
加賀美鏡介が念写したのは、あの坂本龍馬!

2012.09.21発売
幻獣坐 The Scarlet Sinner
講談社ノベルス
財政破綻し、鷲王院(すおういん)と呼ばれる巨大企業に支配された日本。自殺した友人の死の原因を調べていた高校生・久瀬冬弥は、同級生の藤宮優々希が、人の死を操る「幻獣」の力を持っていると知る。鷲王院に逆らい己の信じる正義を実行するため、優々希を利用しようとするが、新たな「幻獣」の持ち主が現れ……。
歪んだ現実を焼き尽くすクライム・サスペンス!!
この主人公(プレイボーイ)ったら、女ではなく世界を弄ぶときましたよ――成田良悟(『デュラララ!!』原作者)
財政破綻し、鷲王院(すおういん)と呼ばれる巨大企業に支配された日本。自殺した友人の死の原因を調べていた高校生・久瀬冬弥は、同級生の藤宮優々希が、人の死を操る「幻獣」の力を持っていると知る。鷲王院に逆らい己の信じる正義を実行するため、優々希を利用しようとするが、新たな「幻獣」の持ち主が現れ……。

2012.09.21発売
念写探偵 加賀美鏡介
講談社ノベルス
マニアも一目おく老舗カメラ店店主・加賀美鏡介。気に入らない客には商品を売らず、何かにハマると周囲が見えなくなる変人だが、モノに込められた念を写す能力を隠し持つ。その彼に顧客殺害容疑が!? 友人の作家やゴスロリ店員と共に真相を追うが、被害者の茶碗から秀吉が念写され、鏡介の興味は千利休ミステリの謎解きへ! あれれ、殺人事件の謎解きはどうした!?
青い鳥文庫のエース、講談社ノベルスに登場

2012.09.21発売
奇蹟審問官アーサー 死蝶天国
講談社ノベルス
朽ちぬ死体と生きる屍、アルプスに轟く獣の咆哮、千里眼を持つ女性……。世界各地で次々と報告される「奇蹟」の真偽を判定するため、若き奇蹟審問官・アーサー・クレメンスは、ヴァチカンより放たれた。怜悧な論理力と深き信仰心をもって彼は「超常現象」に挑む!柄刀一渾身の、あまりに壮大な本格ミステリー!
奇蹟と対峙し、真理に迫る。それが彼(アーサー)の聖なる使命!
ヴァチカンから遣わされた“漆黒の瞳”が森羅万象を解く!
朽ちぬ死体と生きる屍、アルプスに轟く獣の咆哮、千里眼を持つ女性……。世界各地で次々と報告される「奇蹟」の真偽を判定するため、若き奇蹟審問官・アーサー・クレメンスは、ヴァチカンより放たれた。怜悧な論理力と深き信仰心をもって彼は「超常現象」に挑む!柄刀一渾身の、あまりに壮大な本格ミステリー!

2012.09.14発売
私とは何か――「個人」から「分人」へ
講談社現代新書
嫌いな自分を肯定するには? 自分らしさはどう生まれるのか? 他者との距離をいかに取るか? 恋愛・職場・家族……人間関係に悩むすべての人へ。小説と格闘する中で生まれた、目からウロコの人間観!

2012.09.14発売
墨痕 奥右筆秘帳
講談社文庫
鷹狩りで将軍を護った柊衛吾は、念願の立花家婿入りが決定的に。両家は加増に浴すも、併右衛門はこのまま奥右筆でいられるのか。復権に執念を燃やす松平定信は幕府転覆を狙う京からの刺客と手を結ぶ。異例ずくめの大奥での法要が実現し、招かれ読経する闇の僧たちが、無防備な将軍の前で牙を剥いた! 最高潮圧巻の第十巻!<文庫書下ろし> (2012年6月、講談社文庫として刊行)
幕府転覆を謀る勢力と、ついに手を結んでしまった松平定信。奥右筆の併右衛門らを頭越しに進められた異例ずくめの大奥での法要。大奥深くに、闇の僧兵や忍が入り込む--。
「この文庫書き下ろし時代小説がすごい!」(宝島社刊)第一位。
大人気第一位シリーズ圧巻の第十巻、息を呑む大展開!

2012.09.14発売
ともしびマーケット
講談社文庫
誰もが名も無き日常を諦めと期待の中で生きている――ともしびスーパーマーケット鳥居前店の買い物客も従業員も、彼らの帰宅を待つ家族も、遠くで想う恋人も。そして退屈は前触れもなく破られ、ドラマは否応なしに始まる。割り切れない感情の波を選び抜かれた言葉で描いた、静かな高揚感に包まれた物語。 (2012年6月、講談社文庫として刊行)
退屈は、何の前触れもなく破られる。
誰もが名も無き日常を、諦めと期待の中で生きている――ともしびスーパーマーケット鳥居前店の買い物客も従業員も、彼らの帰宅を待つ家族も、遠くから想う恋人も。そして退屈は前触れもなく破られ、ドラマは否応なしに始まる。割り切れない感情の波を選び抜かれた言葉で描いた、静かな高揚感に包まれた物語。

2012.09.14発売
にぎやかな天地(下)
講談社文庫
聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が……。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、命の根源に迫る長編小説。(2012年6月、講談社文庫として刊行)
日本の伝統食はこんなに奥が深い。
熟鮓(なれずし)、醤油、鰹節……発酵という営みから「命」の根源を照らし出す傑作長編
聖司が生まれる前に父親が亡くなり、仕事を再開した母親に代わって彼を育てた祖母が生前遺した、「ヒコイチ」という言葉がきっかけで大前美佐緒という女性を知り、聖司は道ならぬ恋心を抱く。一方、父親の死にも思わぬ真相が……。発酵という営みに人の生死や結びつきを重ね合わせ、「命」の根源に迫る長編小説。
※本書は、2008年4月に中公文庫より刊行されたものです。

2012.09.14発売
にぎやかな天地(上)
講談社文庫
熟鮓、醤油、鰹節といった日本の伝統的な発酵食品を後世に残す豪華限定本を作ってほしい――。謎の老人松葉伊志郎から依頼を受けた船木聖司は、早速祖母の死とともに消えていた糠床を蘇らせる。その後、料理研究家の丸山澄男の協力で日本各地の職人を訪ねるうちに、微生物の精妙な営みに心惹かれていく。(2012年6月、講談社文庫として刊行)
この宇宙に死はひとつもない。
祖母の死について考え抜かれた言葉と、微生物の人知を超えた営みが織りなす壮大な物語
熟鮓(なれずし)、醤油、鰹節といった日本の伝統的な発酵食品を後世に残す豪華限定本を作ってほしい――。謎の老人松葉伊志郎から依頼を受けた船木聖司は、早速祖母の死とともに消えていた糠床を蘇らせる。その後、料理研究家の丸山澄男の協力で日本各地の職人を訪ねるうちに、微生物の精妙な営みに心惹かれていく。
この地球上にいる肉眼では見えない微生物の数は、人間どもの数億倍、いや数兆倍、いや、もう数を示す単位では表現できない個数にのぼるであろう。
そのなかには、人間に害を為し、死に至らしめるやつらも厖大に混じり合っている。
人間の肉眼で見ることができないのは、なにも遠くの宇宙の星々や星雲だけではないのだ。星も星雲そのものも、人間の持つ言葉を超えた巨大さで生死を繰り返し、微生物たちも、いまこの俺の掌のなかで、この部屋の空気のなかで、階段の手すりで、ドアのノブで、鼻の穴や口のなかや食道や肺のあちこちで、生死を繰り返しつづけている……。――<本文より>

2012.09.14発売
十津川警部 長良川に犯人を追う
講談社文庫
上野公園でホームレスの段ボールハウスが炎上、十六人が焼死した。放火の疑いを抱いた新聞記者・白木は、被害者と接点のある岐阜へ向かうも、志半ばで射殺される。そして、亀井と共に乗り込んだ十津川も、岐阜県警に捜査を妨害される。巨大な力が真相を闇に葬ろうとしているのだ。十津川、孤立無援の闘い! (2012年6月、講談社文庫として刊行)
上野公園のホームレス、集団焼死事件。真相を闇に葬らんとする巨大な力に、十津川警部が敢然と挑む!
上野公園でホームレスの段ボールハウスが炎上、十六人が焼死した。放火の疑いを抱いた新聞記者・白木は、被害者と接点のある岐阜へ向かうも、志半ばで射殺される。そして、亀井と共に乗り込んだ十津川も、岐阜県警に捜査を妨害される。巨大な力が真相を闇に葬ろうとしているのだ。十津川、孤立無援の闘い!
※本書は、2000年8月にカッパ・ノベルスとして、2003年11月に光文社文庫として刊行されました。

2012.09.14発売
フェンネル大陸 偽王伝7 終焉の詩
講談社文庫
強大な国力を背景に覇権を握り、今また、ソルド王国に進軍を開始した宗教国家シスタス。しかし一方で、皇王を中心とした治世は繁栄を誇り、民から信頼を集めていた。矛盾を内包した神の国。フェンは、小国に残る友を救うため、シスタス皇王のいる地へと向かう。「フェンネル大陸 偽王伝」シリーズ完結編! (2012年6月、講談社文庫として刊行)
シリーズ、完結!
私は知りたい。皇王の考えを……この世界の全てを。
少女フェンの旅立ちの記、完結!
強大な国力を背景に覇権を握り、今また、ソルド王国に進軍を開始した宗教国家シスタス。しかし一方で、皇王を中心とした治世は繁栄を誇り、民から信頼を集めていた。矛盾を内包した神の国。フェンは、小国に残る友を救うため、シスタス皇王のいる地へと向かう。「フェンネル大陸 偽王伝」シリーズ完結編!

2012.09.14発売
新装版 父 吉川英治
講談社文庫
没後50年 長男だからわかる素顔の作家 『宮本武蔵』『新・平家物語』など数多くの名作を残した故吉川英治の長男である著者が、70歳で逝った父の十三回忌を機に、青梅の吉野村に疎開した昭和19年からの想い出をまとめた一冊を復刻。厳しい作家の側面と、良き家庭人としての素顔を、著者以外の誰もが知り得ない多数のエピソードと共に綴った貴重な追慕の書。(2012年6月、講談社文庫として刊行)
没後50年 長男だからわかる素顔の作家
『宮本武蔵』『新・平家物語』など数多くの名作を残した故吉川英治の長男である著者が、70歳で逝った父の十三回忌を機に、青梅の吉野村に疎開した昭和19年からの想い出をまとめた一冊を復刻。厳しい作家の側面と、良き家庭人としての素顔を、著者以外の誰もが知り得ない多数のエピソードと共に綴った貴重な追慕の書。
とりわけ、楽しかったのは、一時、我が家の毎晩の行事のようになった父の“お話”だった。父が毎晩、私達のために時間を割けたのだから、それは、終戦直後、まったく仕事を断わっていたころの事だと思う。夕食後、書斎の隣の部屋に私達を呼び集め、頼朝、義経から、信長、秀吉、武蔵などの話を連続ドラマのように話してくれた。――<本文より>
※本書は1978年3月に講談社文庫より刊行されたものを加筆・訂正し、巻末に吉川英治自筆年譜を収録しました。

2012.09.14発売
枝付き干し葡萄とワイングラス
講談社文庫
夫に突然離婚を切り出された妻の悲嘆が消えた瞬間。第2子を身ごもった女が目にした、産婦人科での光景。浮気相手の妊娠を妻に告げた夜。人生の豊饒の時、「結婚後」の男女の点景を通して、あたりまえの生活をいとなむ、そのすぐそばに潜んでいる奇異なものたちを見逃さずに描き出した、傑作短編小説集。(2012年6月、講談社文庫として刊行)
だってぜんぜん平気なのだ。夫と口をきかなくたって。
自分はこんなにも非情だったのか。
夫に突然離婚を切り出された妻の悲嘆が消えた瞬間。第2子を身ごもった女が目にした、産婦人科での光景。浮気相手の妊娠を妻に告げた夜。人生の豊饒(ほうじょう)の時、「結婚後」の男女の点景を通して、あたりまえの生活をいとなむ、そのすぐそばに潜んでいる奇異なものたちを見逃さずに描き出した、傑作短編小説集。
●城址公園にて
●風邪
●夜のドライブ
●たんぽぽ産科婦人科クリニック
●プールサイド小景
●七夕の夜
●枝付き干し葡萄とワイングラス
●甘えび
●おしぼり
●どじょう
※本書は2008年10月に小社より単行本『超短編を含む短編集 枝付き干し葡萄とワイングラス』として刊行されました。

2012.09.14発売
みきわめ検定
講談社文庫
この男とキスのその先をするかどうかの、慎重なみきわめ。電車待ちのホームで突然わき起こる、見ず知らずの冴えない男に抱かれたい衝動。恋人に別れを告げられた女の一日。人生の花の盛り、「結婚前」の男女の点景を通して、日常に突如おとずれる取り返しのつかない瞬間を鋭敏に描き出した、傑作短編小説集。(2012年6月、講談社文庫として刊行)
しでかした失敗は取り返しがつかない。道はいくつかあったのに。
人生の花の盛り「結婚前」の男女の点景。
この男とキスのその先をするかどうかの、慎重なみきわめ。電車待ちのホームで突然わき起こる、見ず知らずの冴えない男に抱かれたい衝動。恋人に別れを告げられた女の一日。人生の花の盛り、「結婚前」の男女の点景を通して、日常に突如おとずれる取り返しのつかない瞬間を鋭敏に描き出した、傑作短編小説集。
●みきわめ検定
●死
●沢渡のお兄さん
●六番ホーム
●夏
●と、言った。
●川
●西瓜
●きのこ
●クーリーズで
●彼女をとりまく風景
※本書は2008年10月に小社より単行本『超短編を含む短編集 みきわめ検定』として刊行されました。

2012.09.14発売
儒教と負け犬
講談社文庫
どんなに美人でも仕事ができても30代以上、未婚、子ナシは負け犬! 大ベストセラー『負け犬の遠吠え』から6年。「なぜ我々は負け犬になったのか?」そのさらなる答えを求めて、著者は韓国、中国に飛んだ! かの地で出会った同胞=負け犬たちの生き方を通して浮き彫りになった、我ら“負け犬”真の敗因とは? (2012年6月、講談社文庫として刊行)
東京・ソウル・上海、負け犬三都物語! 東京の負け犬は、上海では「余女」、ソウルでは「老処女」と呼ばれていた! 儒教の影響が残る三国の負け犬たちの比較で、結婚できない事情がいっそう明らかに。
内容(「BOOK」データベースより)
負け犬(日本)、老処女(韓国)、余女(中国)。何故、この三国で晩婚化が進むのか?負け犬の敗因が浮き彫りに…。

2012.09.14発売
英国太平記
講談社文庫
「栄光のためでなく、富のためでなく、名誉のためでもない。ただ自由のためにのみ我々は戦う」。のちにアメリカ独立、フランス革命の礎となったその宣言は、隣の強国イングランドに迫害されながらも粘り強く戦いぬいたスコットランドの名もなき人々の魂の叫びだった。中世英国を描ききった一大歴史叙事詩。(2012年6月、講談社文庫として刊行)
英国統一、フランス征服の野望に燃える中世イングランド
反撃を繰り返すスコットランド
30年の死闘。
「栄光のためでなく、富のためでなく、名誉のためでもない。ただ自由のためにのみ我々は戦う」。のちにアメリカ独立、フランス革命の礎となったその宣言は、隣の強国イングランドに迫害されながらも粘り強く戦いぬいたスコットランドの名もなき人々の魂の叫びだった。中世英国を描ききった一大歴史叙事詩。
「逃走、忍耐、反撃、戦闘という迫力満点のドラマがたたみかけるように続いていく。いやあ、面白い。」――北上次郎(解説より)
※本書は2009年5月、早川書房より単行本『英国太平記 セントアンドリューズの歌』として刊行されました。

2012.09.14発売
ゼロの王国(下)
講談社文庫
愚かなまでに清い吉田青年の純粋さに憧れる人々は、彼を中心にしたサークル活動を開始。平等な社会の実現を目指し、誰もが憎しみや貧困から逃れられるという「繰り返しの作業」に没頭する。一方、不幸せな結婚に向かうユキに惹かれる吉田青年は心を襲う初めての感情に戸惑う。“聖なる愚か者”の恋のゆくえは。芥川賞・三島賞・野間文芸新人賞受賞作家の最高傑作。(2012年6月、講談社文庫として刊行)
愚かなまでに心の清い青年への憧れから、人々は彼を中心としたサークル活動を始める。
ある者は名前を書き続け、ある者は椅子を磨き続ける。
過酷な「繰り返しの作業」の果てに、平等な社会(ユートピア)は生まれるか。
世にも滑稽な“聖なる愚か者”吉田青年の、恋のゆくえは。
愚かなまでに清い吉田青年の純粋さに憧れる人々は、彼を中心にしたサークル活動を開始。平等な社会の実現を目指し、誰もが憎しみや貧困から逃れられるという「繰り返しの作業」に没頭する。一方、不幸せな結婚に向かうユキに惹かれる吉田青年は心を襲う初めての感情に戸惑う。“聖なる愚か者”の恋のゆくえは。
「単純な繰り返し作業ならなんでもいいんです。君は神学生なのですから、教会の椅子の掃除などはどうですか? 一つ一つ、椅子に座っている信者さんの顔を思い浮かべながら、椅子を磨くんです。最初は退屈で過酷な労働かもしれませんが、やがて、僕のように甘美な気持ちに包まれることでしょう。だけど、この作業には一つだけきまりがあるんです。それは、この作業をしていることを秘密にするということなんです。僕の宛名書きの作業は、人に見られてしまいますが、心の中を甘美な気持ちで満たす、その作業の実践をしていることは、同僚には秘密です」(本文より)

2012.09.14発売
ゼロの王国(上)
講談社文庫
宛名書きのアルバイトで生計を立てる吉田青年は、滑稽なまでに心が清く純粋だ。ある日彼は、人々から軽蔑されたいと願う美少女・佐藤ユキに出会う。ユキは不幸になるため、美しく穏やかな青年医師・小森谷からのプロポーズを受けるのだと吉田青年に話す。ひとつの恋のすれ違いが生む、めくるめく会話劇。芥川賞・三島賞・野間文芸新人賞受賞作家の最高傑作。(2012年6月、講談社文庫として刊行)
滑稽なまでに心の清い青年。
不幸になりたいと結婚に踏み切る女性。
富豪から贈られた一億円を燃やす美女。
無意識に愚図な女性を好む青年医師。
すれ違うひとつの恋が、人々の心をあばいてゆく。
いま最も芥川賞に近い作家の最高傑作。
宛名書きのアルバイトで生計を立てる吉田青年は、滑稽なまでに心が清く純粋だ。ある日彼は、人々から軽蔑されたいと願う美少女・佐藤ユキに出会う。ユキは不幸になるため、美しく穏やかな青年医師・小森谷からのプロポーズを受けるのだと吉田青年に話す。ひとつの恋のすれ違いが生む、めくるめく会話劇。
「私はこの結婚で自分が不幸になることを知っているの。だけどいいのよ。私は誰かに利用されて、めちゃくちゃにされたいのだわ。御覧なさい。私は、狂気でも死でもない道を選ぶことになるでしょうよ。私は、自分を軽蔑してくれる人なら誰でもいいの。あなたじゃなくてもいいの。私を軽蔑する男はたくさんいるわ。いろんな理由でみんな私を軽蔑するわ。すぐに性交させるからとか、あるいはただ女だからという理由で私を軽蔑する男もいるわ。でもいいの私は軽蔑されたいの、そのことを素敵だと思っているわ。これは罰とは違うものよ。一種のへりくだりなのよ」(本文より)

2012.09.14発売
政・財 腐蝕の100年
講談社文庫
尾去沢(おさりざわ)銅山払い下げ問題、西南戦争と、台湾征討をめぐる汚職、シーメンス事件――。高き志で維新を成し遂げた、伊藤博文、井上馨、大隈重信らの元勲は、なぜ汚職政治家へと堕落したのか。三菱・三井を筆頭とした政商との癒着、熾烈な藩閥闘争の真相を暴き、明治国家を築いた元勲たちの“裏の顔”に迫る歴史ノンフィクション。(2012年6月、講談社文庫として刊行)
明治政財界 現代とは比較にならない金権腐敗の宿痾(しゅくあ)がそこにあった
これまで秘匿されてきた伊藤博文、大隈重信、井上馨の裏の顔を暴く!
尾去沢(おさりざわ)銅山払い下げ問題、西南戦争と、台湾征討をめぐる汚職、シーメンス事件――。高き志で維新を成し遂げた、伊藤博文、井上馨、大隈重信らの元勲は、なぜ汚職政治家へと堕落したのか。三菱・三井を筆頭とした政商との癒着、熾烈な藩閥闘争の真相を暴き、明治国家を築いた元勲たちの“裏の顔”に迫る歴史ノンフィクション。
“右手に商売 左手に政治”
シーメンス事件、尾去沢銅山払い下げ汚職……近代化に乗じた元勲と政商の謀略を暴く、歴史ノンフィクション