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ある告白
1972.02.03発売
ある告白
著:石坂 洋次郎,装丁:荻 太郎
講談社文庫
夫の父である人との結婚を決意した野口ふじ子は、少女時代からの自分の性の歴史をふりかえった。小学校の男の子との幼いペッティング、女学校のクラスメートとの同性愛……。彼女のまわりには、母を犯した孝行息子もいたし、純朴な青年に肉の果実を饗して死んでいった女教師もいた。体験や見聞を通して、ふじ子は、セックスがさまざまな人間たちの中に、原始の祭典のように生きていることを知った。明るく悲しいことだった……。現実に目をそむけることなくセックスを描くことで、作者は観照の深い人間論を展開する。石坂文学のエキスをすべてとかしこんだ長編!
電子あり
婉という女・正妻
1972.01.27発売
婉という女・正妻
著:大原 富枝
講談社文庫
政争の犠牲となり4歳にして一族と共に幽囚の身となった野中兼山の娘婉。40年の後、赦免が彼女に訪れる……無慙な政治の中にほろびゆく愛する男たちの姿を眺める他ない、哀しくもつよい女のいのちを鮮麗に描いた名作。野間文芸賞、毎日出版文化賞受賞。兼山の妻市を主人公として姉妹編「正妻」を併せ収録。
茂吉のねこ・おおかみのまゆげ ほか
1972.01.21発売
茂吉のねこ・おおかみのまゆげ ほか
著:松谷 みよ子,その他:小野木 学
鉄砲うちの茂吉のねこは、夜になるとちゃんちゃんこを着た子どもに化けて酒屋に酒を買いにいく。気づいてあとを追った茂吉が見たものは……。民話に題材をとった「茂吉のねこ」ほか、「おおかみのまゆげ」など9編収録。 赤い鳥文学賞特別賞受賞。
生物の世界
1972.01.15発売
生物の世界
著:今西 錦司
講談社文庫
生物社会の構成原理を生物と環境・社会論と歴史論の面から明確にし、今西生物学の所謂「棲み分け理論」をはじめとする思想的自画像風のユニークな文化論。生態学への関心が強い折その基本書として必読。
電子あり
官能の女
1972.01.07発売
官能の女
著:川上 宗薫,装丁:野見山 暁治
講談社文庫
鳥居恭に、「棚からボタモチ」がころがりこんできた。友人の結婚式で会った、彫りの深いインド人のような美女が、一晩トコトンつきあいたいと申し出たのだ。きけば、気のすすまぬ見合い結婚を前に、相手の男に復讐してやる気になったという。思いがけない一夜の幸運に酔いしれる鳥居だが、それにつけても思いだすのは、毎日通勤電車で見かけるあの女のこと。豊かな胸をもち、歩くたびに腰の部分にポックリえくぼができそうな、つまりはこぼれるような愛嬌がにおってくる、理想のタイプの女なのだ。日頃の空想を実現するため、鳥居は大胆な「行動計画」に着手した……。
電子あり
太陽と鉄
1971.12.23発売
太陽と鉄
著:三島 由紀夫
講談社文庫
近代の運命を一身に担い、その復権の試みに生命を賭けた英才三島由紀夫が、死の決意の下に発見した文学の新しい領域――告白と批判の間に位す〈自伝的評論〉の形で、自己のうちなる様々な堆積を詩的な文体表白――その芸術と思想の遺書ともいうべき問題の書。併せて文学的自伝「私の遍歴時代」を収録。
徒然草
1971.12.20発売
徒然草
著:吉田 兼好,その他:川瀬 一馬
講談社文庫
現存最古の版本といわれる流布系統本を底本に、懇切な校注、解説ならびに現代語訳を添え、連綿と読み継がれてきた、必読の随想録「徒然草」に流れる思想・哲学・人生観を、わかりやすく現代に蘇らせた、新編集。巻末に語彙索引を付す。
電子あり
かの子撩乱
1971.12.15発売
かの子撩乱
著:瀬戸内 晴美
講談社文庫
奔放で奇矯な行動と常に噂の絶えることのなかった男性遍歴、また夫一平との世俗の常識を超えた異常の愛――。岡本かの子は童女か、聖女か。絢爛豪華な文学遺産と多くの伝説を残したまま火のような生涯を閉じたかの子の内面を会心の筆で抉る伝記文学の傑作!
花散里
1971.12.15発売
花散里
著:円地 文子
講談社文庫
舞踏家・鹿野艶子、近代的未亡人・朝吹頼子、俳人・立川喜和……おんなの夕映えともいうべき年齢の3女性が、日常生活を律する倫理を超えた、性の神秘を経験していく過程を通じて、艶やかに人生の無常をうたう名作。
電子あり
かきのはっぱのてがみ ほか
1971.12.15発売
かきのはっぱのてがみ ほか
著:松谷 みよ子
処女作から中期の名作まで。小学生向け全集でかけたまま帰ってこないお父さんを心配する山の子ウサギは、柿のはっぱをちょっぴりかじった手紙を出すが……。親子の情愛を温かく描く表題作ほか、21編。
狩りの時刻
1971.12.04発売
狩りの時刻
著:戸川 昌子,装丁:ボネ
講談社文庫
悪夢か? 現実か? 「侍従」と称する中年男に、毎夜、誘(いざな)われて、平凡なOL・小金井依理子がさまよいこんだ、不可思議な性の世界……。そこで、謎の美女・徳乃本夫人に、女同志の愛を教えられた依理子は、突然姿を消してしまった夫人のあとを追って、徳乃本もと侯爵の宏大な邸に忍びこんだ。逞しい青年を愛撫する侯爵、犬を相手に孤独なセックスを楽しむ料理女、奇怪な蝋人形館に閉じこめられた少年……。悪魔の館に棲む人々を垣間みた依理子を最後に待ちうけていたものは、残酷な初夜の儀式だった……。女性の欲望を利用して巧妙に仕組まれた犯罪の罠を描く長編小説。
電子あり
青春の門 自立篇(上)
1971.11.30発売
青春の門 自立篇(上)
著:五木 寛之
日本人はどこから来たか
1971.11.28発売
日本人はどこから来たか
著:樋口 隆康,装丁:杉浦 康平,装丁:辻 修平
講談社現代新書
日本人の起源は永遠の謎である。日本は古来文化のルツボであった、流れこむばかりでそこから出て行くことのない――。このルツボのうちそとの謎に、多くの先人が、果敢に挑み、先住民説・原人説・混血説などを説いた。本書は発掘物・言語など豊なデータをもとに、精密な推理を進め、江南要素を重視する。 〈日本人の起源に関する諸説〉歴史的にみると、まず、日本島には日本人以前に先住民がいたという、先住民論があり、その先住民がいかなるものであったかをめぐって、アイヌ説・プレアイヌ説・コロボックル説などがあらわれた。さらに日本人混血説をへて、ナショナリズムとのからみあいもあって、日本島には最初から日本人がいたとする日本原人論があらわれた。最近になって騎馬民族征服説なども出されたが、もちろんこの世界には、確たる定説はない。化石人骨・血液型・言語・石器・土器・各種の道具、そして稲作の問題など複雑なファクターを比較検討しながら、本書では、日本人の祖型には江南要素が濃厚であると結論する。
海辺の光景 ほか六編
1971.11.24発売
海辺の光景 ほか六編
著:安岡 章太郎
講談社文庫
海に臨んだ精神病院で狂死する母、それを看取る父と私。父はもと陸軍獣医少将。だがそんな父を軽蔑した母と私。――人間の奥底に潜むエゴイズムを赤裸々にえぐり出し、夫婦とは、親子とは、人生とはを追求した、芸術選奨&野間文芸賞W受賞の表題作。ほかに卓抜な感性の冴えを示す6編を収録。
電子あり
エヌ氏の遊園地
1971.11.15発売
エヌ氏の遊園地
編:星 新一
講談社文庫
虫も殺さぬ若い女性の口から飛び出すことば「殺し屋ですのよ」、幸運きわまる青年の不運きわまる目覚めの「あこがれの朝」------卓抜なアイディアと洗練された手法で神秘とファンタジックな物語に新境地をひらき、日常と非日常の不思議な世界にいざなうショートショートの第一人者による傑作31編。
殺意の餌
1971.11.15発売
殺意の餌
著:鮎川 哲也,装丁:司 修
文芸(単行本)
ちいさいモモちゃん
1971.11.13発売
ちいさいモモちゃん
著:松谷 みよ子
処女作から中期の名作まで。小学生向け全集モモちゃんが生まれたときから、3歳になるまでのお話。ネコのプーや森のクマさんたちと、モモちゃんがくり広げる楽しいエピソードを20編収録。
黒い蝶・うさぎのてぶくろ ほか
1971.11.13発売
黒い蝶・うさぎのてぶくろ ほか
著:松谷 みよ子
お日さまがお月さまに語った下界のかなしいできごと。訓練中の立入禁止区域に砲弾の破片をひろいにいった1人の少年の命を1発の銃弾がうばった、と……。戦争への怒りをこめた「黒い蝶」ほか、初期の作品10編を収録。 赤い鳥文学賞特別賞受賞。
谷間のゆり
1971.10.15発売
谷間のゆり
著:H.DE・バルザック,訳:高山 鉄男,装丁:亀倉 雄策
講談社文庫
愛する青年・フェリックスの栄達のために、献身的な援助を惜しまぬ不幸な人妻・モルソーフ夫人の母性的な愛――風光明媚なトゥーレーヌの谷間を背景に、きびしい霊肉相剋を通して、愛と純潔の永遠の世界を強く志向した、フランス文学の巨人バルザックの告白体による自伝的&代表的な不朽の名作!
電子あり
恋歌
1971.10.15発売
恋歌
著:五木 寛之
講談社文庫
夜を持たぬ夫婦の愛の証しとは?自由な女の孤独とは?男女の愛という、最も日常的な行為の背景にも、不思議な影がある。戦争の傷あとに悩む冬子、背徳と官能の淵をさまよう直子、新しい青春を夢みる亜由美──ひたすらな3人の女性の生き方のなかに、現代の愛の可能性を問う意欲的長編ロマン。