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1972.06.15発売
平家物語(下)
講談社文庫
多年栄耀の地を灰燼と化し、西国へ落ちる平家。頼朝の旗挙げなど、東国は源氏の白旗にどよめく。いくたの果敢な、源平合戦の場が展開。ついにまだ春浅き西海に落日のごとく、一族の運命をになって滅びゆく、弱き人間存在の姿――。短調の調べに捉えられた、慟哭の一大叙事詩。巻7より諸行無常の縮図たる灌頂巻まで収録。

1972.06.15発売
現代と音楽
文芸(単行本)
現代の代表的音楽評論家・遠山一行氏が、現代と音楽のかかわりを論じた評論集。「現代の音楽」「演奏家論ーコルトオ・ミケランジェリ・カラヤン」「戦後音楽覚書」など、豊かな体験をもとに、作曲家・演奏家・聴衆と音楽とのかかわりを分析し、現代における音楽の可能性を示唆する。

1972.05.29発売
愛すること信ずること
講談社現代新書
夫婦とはいったい何であろうか。人を愛するとは? 信仰に生きるとは?この人間に根本の問題を、著者は自らの生活を卒直に語りながら考える。ユーモアあふれる語り口で、深く、きびしく人生の機微をみごとにとらえた本書は、また、心あたたまる夫婦愛の記録でもある。
〈夫の歌を聞く〉――結婚して以来、わたしは心の底ででも、夫を軽べつしたことは一度もない。むしろ、わたしの口は「ハッキリ」とものを言うために、「ハッキリ」とほめてきたかもしれない。「うちにはテレビがないけれど、三浦が、歌が上手なものですから、テレビなどいらないんですよ」などと、ぬけぬけとわたしは言う。そして、三浦がうたってくれると、ウットリと三浦の顔を眺め、悲しい歌は涙を流して聞いてしまう。人から見ると、いい年をして馬鹿な女と笑われるかもしれない。だが、夫の歌がこの上なく楽しいことは、べつだん他人様の迷惑にはなるまい。夫婦なんて、それでいいんじゃないかと思う。聖書にも、人のことをあれこれ言うなと書いてある。「さばくな」と。――本書より
きらめくような鋭さ 田中澄江
仕合わせが満ち溢れているような本である。しかし、仕合わせをつかむことは、いつの時代でもむずかしい。三浦さんは、けっして、大げさでものものしい表現をとらず、日常生活の中から、ひととひととの結びつきのもろさと可能性を見つめつづけてこられた。その口あたりのよい文章には、一語一語に、きらめくような鋭さで仕合わせの意味があたたかく語られている。
1972.05.27発売
元素からみた地球 その過去と未来のドラマ
ブルーバックス

1972.05.25発売
田園交響楽
講談社文庫
「もし盲目なりせば、罪なかりしならん」――スイスの片田舎の一牧師と盲目の少女、牧師の妻と長男の4人の愛情の葛藤を中心に、人間の自由と宗教の戒律の相剋をきびしく追求――自らの時代をもっとも誠実に生きた、巨星ジッド円熟期の名作。
白雪に輝くスイスの田園を背景に、牧師と盲目の少女、牧師の妻と息子の四人の愛情の葛藤を描き、福音書の自由解釈ときびしい戒律との対立を扱った悲劇。今世紀フランス文壇の巨星ジッド円熟期の名作。

1972.05.23発売
ちょうちょホテル まねっこぞうさん ほか
アカネちゃんの靴下はふたごで、なまえはタッタちゃんとタアタちゃん。病気でおそとにいけないアカネちゃんをよろこばせるために、ちょうちょをさがしにでかけたふたごは……。愛らしい幼年童話を中心に18編収録。
赤い鳥文学賞特別賞受賞

1972.05.15発売
ロウソクの科学
講談社文庫
たった一本のロウソクを駆使し、物質とその燃焼の不思議を興味深く説き明かす、物理学者・ファラデー。1860年におこわれたクリスマス講演筆記ながら、精妙な自然の営みを語って、今日なお新鮮である。京都大学科学史の博雅による、各種文献を参照した、最も忠実明快に訳出された決定版。

1972.05.15発売
学問のすすめ
講談社文庫
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといえり」なる言葉より説きおこし、人の心に根深く巣くう封建思想を排撃、明治という新しい時代の個人、国家の在り方を広く一般に訴えた、福沢の代表著作の一つ。現代表記に改め、懇切な校注を付した。明治維新という新時代の個人・国家の在り方を、一身の自由独立という立場より説き起こし実学を奨励した、当時の驚異的ベストセラー。
明治維新という新時代の個人国家の在り方を一身の自由独立という立場より説き起こし実学を奨励した当時の驚異的ベストセラー。「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」なる冒頭の句は余りにも有名。

1972.05.15発売
青い麦
講談社文庫
美しいブルターニュ海岸の自然描写の中に、思春期の男女の悩ましい官能の芽生えを、みずみずしいタッチで描き、詩的・音楽的な表現を得た、不朽の青春小説ーー。鋭い感覚で豊かな本能の流れを捉え、近代フランス女流文学の第一人者と称されるコレット中期の代表作。
詩的、音楽的な感性と文体で、今世紀フランス女流文学の第一人者と称されるコレットが、美しい南仏海岸の自然描写の中に、思春期の男女の微妙な官能の芽生えを流麗清新な名文で描いた代表作。

1972.04.28発売
古典落語(上)
講談社文庫
人情の機微を、人生の種々相を笑いの中に捉えて、生きた庶民の歴史を語る伝統話芸、古典落語。それは、市井のスケッチであり、庶民の声でもあった。ここに収録する各作品は、先人が心血を注ぎ、みがきぬかれた芸の香気を伝える代表的名作ばかりである。本巻収録作品32編。全6巻。

1972.04.20発売
ヤッホーさそりくん クーとジャム ほか
明くんは冬の夜明け、夏の星座のさそり座を見つけ、その美しさに感動する。話を聞いたおかあさんは、戦争中かなしい気持ちで見上げた星空を思い出す。「ヤッホーさそりくん」ほか、「ふうちゃんの大旅行」など12編。
赤い鳥文学賞特別賞受賞。

1972.03.28発売
失われた文明
講談社現代新書
かつて1万2千年前の地球上には、想像を絶するような高度に発達した文明が、花を開かせていた。重さ2千トンもあるような石の建築物、青銅の精錬技術を駆使した工芸品、空を飛ぶ器機などが作られていた。しかし、その文明は“大洪水”という世界的大異変によって、突然地球上から姿を消してしまった。本書は、この“失われた文明”を、沈黙の世界から、たぐり出し、ファンタジーの翼をひろげて、古代史の謎を系統的に総合的に追究する。
大異変はほんとうに起り得るか――この書物で述べられている1万2千年前の世界現在の世界地図に見られる海洋のうすい色のところは、すべて陸地であった。そこに栄えた高度な文明は、いかに想像を絶するものであったか、さまざまな神話や伝承、古文書が立証している。とはいえ、一旦栄えた文明が、途中で断絶することがあり得るだろうか。人間社会を全滅させるような大異変が、ほんとうに起り得るだろうか。こういった疑問を抱かれる読者は多いことと思う。しかし、今日の文明社会においてもまた、起り得るのである。たとえば、南極大陸をおおっている氷が、もし全部とけてしまったら、地球の多くの都市や土地はたちまち海底に没してしまうだろう。それは地軸が少し角度を変えたら、起り得るのである。このようなことを念頭に入れながら、読者は本書の内容を考えねばならない――著訳者のことばより
『失われた文明』に寄せて――東京大学教授 増田義郎
人間の文明史には、現代の科学や最高の学問をもってしても、まだ説明し得ない不可思議な伝説が、たくさん存在している。本書でも述べられているような世界各地にある“大洪水”の物語や高度に発達した文明に関する言い伝えなどがそうである。本書は、まだ解明されていない1万2千年前の空間的世界に入りこみ、多くの謎に満ちた現象に系統的な説明を加えている。さらに文明の発生への大胆な仮説をも提起している。大胆な発想は、しばしば歴史の解釈に新しいヒントを、与えることがある。本書もまた読者に、歴史の背後にある“沈黙の世界”を解明するヒントを与えてくれるであろう。

1972.03.25発売
花伝書(風姿花伝)
講談社文庫
わが国の古典中、もっとも異色である作品で、申楽者・観阿弥が、その実力を養い発揮する方法を、人間の本性を会得した立場で考究した、稀有の体系的芸術論である。その洞察は、また人間論としても、現代に生きている。校注は、世阿弥研究の第一人者・川瀬一馬博士。平易な現代語訳の決定版。

1972.03.22発売
まえがみ太郎
さびしく暮らしていた、おじいさんとおばあさんのところに、白いひげの“お正月さん”が赤んぼうをつれてきた。やがて大きくなったまえがみ太郎は、村びとを苦しめる魔物を退治しようと旅に出る。勇壮な冒険物語。
赤い鳥文学賞特別賞受賞。

1972.02.17発売
黒ねこ四代・火星のりんご ほか
ふしぎなことに、黒ねこばかりつぎつぎ住みつく作者自身の家の話。4代にわたるねこたちの個性が、いきいき描かれている「黒ねこ四代」のほかに、民話の世界への傾斜をしめす「きつねのよめいり」など14編を収録。
赤い鳥文学賞特別賞受賞。

1972.02.15発売
カナダ・エスキモー
講談社文庫
白夜の地・カナダ北極圏、人類の住むに最悪の永久凍土地帯。この苛酷な自然条件の下でユーモラスに生きる狩猟民族、カナダ・エスキモーの姿を心を、文化人類学的視点で捉え、みごとに活写する異色のルポルタージュ。「その後のカナダ・エスキモー」も収録。
過酷な自然条件の下でユーモラスに生きる狩猟民族の姿を、文化人類学的視点で捉え、みごとに活写する異色のルポルタージュ。付録に「その後のカナダ・エスキモー」を収録。

1972.02.15発売
夜の鶴
講談社文庫
二十数年間いつくしみ育ててきた娘の結婚を前にして、寂しさにたえ、限りなき親の愛を寄せて、未来の伴侶に理解ある忠告を贈る父親の姿――。「焼野の雉子夜の鶴」にも比すべき父性愛あふるる書。
二十数年間いつくしみ育ててきた娘の結婚を前にして、寂しさに耐え、限りなき親の愛を寄せて、未来の伴侶に理解ある忠告を贈る父親の姿――。「焼野の雉子夜の鶴」にも比すべき父性愛あふれる書。

1972.02.15発売
和解・小僧の神様 ほか十三編
講談社文庫
透徹した人間観察の眼で、生命観にあふれた独自の世界を築き、格調高い近代日本文学の典型を創造した志賀直哉の初期中短編集。表題作のほか「網走まで」「城の崎にて」など13編を収録。という原本に、志賀直哉を正しく理解するための数編の短篇と自筆の絵などを加えた完全版。

1972.02.15発売
平家物語(上)
講談社文庫
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり……。その響は、平家物語の連想を必然して、日本人に久しい。元和9年刊行の片仮名交り附訓12行整版本を底本に、平家諸本研究の権威・高橋貞一教授による厳訂本。適切簡明な脚注・補注、全文にわたる振り仮名など、読みやすい古典平家物語。巻1より巻6までを収録する。

1972.02.03発売
樹影
講談社文庫
布施学園理事長の布施英之は、布施家へ養子に入る前、実家の女中・雪子に子供を生ませる。英男である。英男は、別府の愛育園で育つ。20年目に再会した時、雪子と英男は浦和にいたが、雪子が前夫と関係を続けているのを知り、英男は家出して別府に戻る。折も折、英之の妻はガンで死亡。反対派の策謀により学園を追われた英之は、布施家を去る決意をして、英男を別府に訪ねる……。豪壮な邸宅に住む裕福な人々も、逆境に耐えていきる貧しい人々も、みな三尺の影をひきずって生きている。その孤独な影を、哀調豊かに描いた話題の長編小説。