文芸(単行本)作品一覧

ぼくの白状
文芸(単行本)
これまで生きてきた道をふりかえり、涙と笑いの中に語られる大切な想い。胸に染み、心をふるわせる言葉。
「本当の豊かさがここにある。」
89の珠玉のエッセイ
貧しかった少年時代から、作家になるまで。現代社会に感じる疑問と人へのあたたかな眼差し。北国の生活を通して語られる、豊かさへの想い。その生き方に裏打ちされた真実の言葉。生きる中で見つけた本当に大切なもの。心がすーっと軽くなる、感動のエッセイ集。

阿部和重対談集
文芸(単行本)
ファースト対談集
文学、映画、音楽、アート、ネット……。デビュー10年、阿部和重が見つめてきたものとは。数々の才能と繰り広げられる言葉から浮き彫りとなる、その創作の源流。
鮮烈なデビュー小説「アメリカの夜」から衝撃作「シンセミア」、そして芥川賞受賞作「グランド・フィナーレ」まで。作家、阿部和重10年間の歩み。
あたらしいぞ私達は。……高橋源一郎
小説家の思考……保坂和志
ライド・オン・ザ・ロマンス・カー……赤坂真理
映画に愛されてしまった俳優……浅野忠信
文学と不況と阿部和重以降……福永信
現代小説の方法……保坂和志
世界は向こう側にある……高橋源一郎
小説の明るい未来……加藤典洋
アベカズシゲの野望2004……榎本俊二&相川博昭
無情で酷薄で邪悪で… ……桐野夏生
形式と分身とメタフィクション~記号化されたリアル~……東浩紀&法月綸太郎
形式主義の強みと怖さをめぐって……蓮實重彦
受賞記念対談……角田光代
<特別収録インタビュー>
ポスト・ネット時代の文学……聞き手・佐々木敦

麻布狸穴 午前二時
文芸(単行本)
この街には明日も新しい何かが待っている! 恵比寿の高級フレンチ“ジョエル・ロブション”から、六本木ヒルズの有名ジム“トータルワークアウト”まで、楽しいことを求めて、夜の都会を西へ東へ……。週刊誌連載時から注目された人気エッセイ、ついに単行本化! ぱらぱら漫画付き
●正真正銘、私がレストラン・ダフ屋です
●1杯1万円のシャンパーニュの味は?
●カレッタ汐留、進み過ぎ!
●“鍵で開ける”バー
●体重より体脂肪減! 最新式肉体改造
●あなたはバーの個室に何を期待する?
●白金豚の次にきた“大トロ”イベリコ豚
●1個4500円のハンバーガー現る!
●目指せ! “レストラン常連”への道
●港区辺りで流行中の「夜ゴルフ」
●今となってはもう昔、六本木ヒルズ夢物語
●いたれりつくせり金持ちジムに行ってきた
●ブランドに美食 愛と欲望の銀座

東京DOLL
文芸(単行本)
わたしは、恋する人形。
マスター・オブ・ザ・ゲーム=MGとよばれる天才ゲームクリエイター。背中に濃紺の翼(タトゥ)をもつ少女ヨリが彼の孤独を変えてゆく――。
東京の今、恋愛のミライ。
「ねえ、MG。人形はどうするか、知ってる。人形はうんともてあそばなきゃいけないよ」
青く透明なビルと虚ろさが混在する東京湾岸――石田衣良がハードにシャープに描くパーフェクトな人形に恋をした男の物語。

波に座る男たち
文芸(単行本)
これぞ、由緒正しきニッポンの、心優しきエンターテインメント!
恩田陸
『黄泉がえり』の梶尾真治の新境地!
食い詰めたヤクザの一家がクジラ捕りに!
「黙って聞いてくれ。この大場会は、事務所を移転することにした」全員が、しわぶきひとつあげず、凍りついたようになっている。「だから、移転と同時に、なりたい奴はカタギの道を歩んでくれ。おまえたちをずっと養っていく力はもうない」大場会長がそこまで話すと、ううっという嗚咽がまたしても昂まった。涙声の島崎が手を上げて言った。「親父っさん。一言、いいですか?親父っさんは、『任侠』が口グセだった。世の為、人の為になれと言って、親父っさんが盃をやった連中ばかりですよ。カタギになれったって喰いっぱぐれて犯罪者になるのが関の山だ。結局は人様に迷惑をかけることになる。それでいいんですか?」「希望する奴は、わしが責任もって浦田組に紹介してやる」「会長」岩井は会長と改まった口調で言った。「会長はどうされるんですか」「日本の食文化の伝統を守る」<中略>「国が伝統守れねぇなら、わしたちが世の為、人の為守ってやらなくてどうする。カタギにはならねぇ、浦田のところへも行きたくねぇ、一緒にクジラ捕りに行きたいって奴は、連れていってもかまわねぇ。そういうこった。ただし、おまえたちで自分の道は決めろ。岩井、希望を聞いてやってくれ」――<本文より>

グルメな女と優しい男
文芸(単行本)
人を好きになることは極上の料理より美味しい。
食いたい。食いたい。食いたい。食いたい。食いたい。食いたい。愛したい。愛したい。愛したい。愛したい。世界で一番大切なものは、食い気と色気だと気がついちゃったけど、どうしよう……!
群像新人文学賞受賞!
人を食いたい!これって、食欲?やばい、りん子は一郎に不思議にもピュアな気持ちを持ってしまった。クリスマスの夜に2人は人類史上もっとも濃密なデートを開始する! ジーンとする美しさの大感動の純愛小説。
BON APPETIT!

ザ・ベストミステリーズ2005
文芸(単行本)
ミステリーのプロが選んだ最高傑作18作!
「本書は、推理作家協会の誇りであり、本書への収録は、会員の夢である」
(日本推理作家協会理事長 大沢在昌)
本書は、2004年に小説誌等に発表された数多くの短篇ミステリーの中から、日本推理作家協会が最も優れた18編を厳選した、決定版アンソロジーです。さらに、2004年推理小説界の概況、ミステリー各賞の歴代受賞リストも付いた、50年を超える歴史を誇る国内唯一無二の推理年鑑です。
石田衣良―――「伝説の星」
戸梶圭太―――「マイ・スウィート・ファニー・ヘル」
山口雅也―――「黄昏時に鬼たちは」
伊坂幸太郎――「死神と藤田」
石持浅海―――「貧者の軍隊」
池永陽――――「犬の写真」
朝松健――――「東山殿御庭」
三雲岳斗―――「二つの鍵」
法月綸太郎――「ゼウスの息子たち」
田中啓文―――「子は鎹」
北原尚彦―――「愛書家倶楽部」
草上仁――――「ディープ・キス」
飛鳥部勝則――「プロセルピナ」
中島らも―――「DECO-CHIN」
柄刀一――――「光る棺の中の白骨」
朱川湊人―――「虚空楽園」
荻原浩――――「お母さまのロシアのスープ」
蒼井上鷹―――「大松鮨の奇妙な客」

さよなら アメリカ
文芸(単行本)
第48回群像新人文学賞受賞作
新世代の感覚と文学の伝統。これぞ小説の未来形。
ぼくは袋を被って生活している。袋の後ろには「SAYONARAアメリカ」というロゴが。噂で聞いた、袋族の少女と出会うために、ぼくは街を彷徨う。突然現れた、異母弟を名乗る男との共同生活。巡り会うことのできた袋族の少女への思い。
純粋な感性と倒錯的視点が現出させた、現代文学の新しい姿。

天府 冥府
文芸(単行本)
「飢えて死ぬとその体は透明になって内臓まで見えるのだ」
生きることへの限りない愛と哀しみが少女を襲った!人種の坩堝(るつぼ)・天国と地獄の旧満州の街。生と死の狭間で美しい日本の少女はどう生きたか。
わたしは恐る恐る墓穴を覗いた。わたしがボタンを取った服を着た父らしいものが赤黒く潰れていた。肘と股のところに蛆が白く固まって蠕動していた。(中略)太陽に晒されて蛆たちは困っている。父も困っている。梅干しのように目鼻がおぼろに崩れた顔はあまり眠りすぎて溶け出しているようだった。でもまだ父は夢を見ているように見える。長い恐ろしい夢のようだ。ここにいる私たちは父の夢の中の登場人物ではないのか?――<本文より>

偏愛文学館
文芸(単行本)
急逝した作家、倉橋由美子が残した至高の言葉。
創作、その根源をたどり、著者が愛した作品だけを集めた、37篇、39冊の偏愛書評集。
夏目漱石、吉田健一、宮部みゆき、ジュリアン・グラック、ラヴゼイ……。古今東西39冊の「本」を取り上げた、倉橋由美子の手による私的書評集。最高のブックガイドとしてだけでなく、著者の作品世界、その背景までをも垣間見ることのできる究極の読書案内。

二人乗り
文芸(単行本)
嵐子、不治子、そして道彦。
絡み合い、絶妙に輪舞するそれぞれの想いと因果。
*本作品は「輪舞構成」となっておりますので、何卒最後までお楽しみください。どうかひとつ。(編集担当)
嵐子さんの1日は午後2時に目覚まし時計をとめることからスタートする。わかってるわよ、何度も同じことをいわなくたって。母親の小言をさえぎるような調子で嵐子さんは時計の頭をぴしゃりと叩く。目覚ましが鳴ったからといってすぐに起き出す嵐子さんではない。寝返りをうったり左右の手を眺めたりしながら、しばらくベッドでぐずぐずする。――<本文より>
第27回野間文芸新人賞 受賞

神様ゲーム
文芸(単行本)
小学4年生の芳雄の住む神降市で、連続して残酷で意味ありげな猫殺害事件が発生。芳雄は同級生と結成した探偵団で犯人捜しをはじめることにした。そんな時、転校してきたばかりのクラスメイト鈴木君に、「ぼくは神様なんだ。猫殺しの犯人も知っているよ。」と明かされる。大嘘つき?それとも何かのゲーム?数日後、芳雄たちは探偵団の本部として使っていた古い屋敷で死体を発見する。猫殺し犯がついに殺人を?芳雄は「神様」に真実を教えてほしいと頼むのだが……。

ロズウェルなんか知らない
文芸(単行本)
ときに愚かしくも愛しい“人間”を描く、胸に迫る長編
地方の未来を真面目にわらう!!
過疎の町を再生しようと悪戦苦闘する元若者たちが仕掛けた策とは……?
UFOで町おこし!?
「俺のところの民宿は、つぶれる。うちに田畑はない。あるのは今更だれも見向きもしないテニスコートだけだ。客は来る。公共工事の作業員だ。下請けの下請け、そのまた下請けの建設会社が、宿泊費を叩きに叩く。お袋は去年からこの先の工業団地にパートに出てる。それで過労から腎炎を起こして倒れた。倒れるほど働いたところで、食っていけない。俺はまたここを出ていって、東京で職を探すだろう。しかし学部卒の技術屋に職はない。ビル清掃か、キャバレーの呼び込みか、仕事があれば御の字だ。残ったおふくろは、民宿村と心中する……」(中略)「売るか、日本の四次元地帯で」孝一が手の中のショットグラスをカウンターに静かに置いた。「格好つけちゃいられねえってことだ」――<本文より>

ラインの虜囚
文芸(単行本)
1830年、冬 パリからライン河へ 謎と冒険の旅がはじまる
旅の仲間は4人 カナダから来た少女コリンヌ 酔いどれ剣士モントラシェ カリブの海賊王ラフィット 若き自称天才作家アレク
奇怪な塔に幽閉された仮面の男は 死んだはずのナポレオンなのか?
謎と冒険の旅がいまはじまった!

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
文芸(単行本)
「あたしは特別な人間なのだ。」
ありえない「自意識」が、壊れた扇風機をまわし始める。
「お姉ちゃんは最高におもしろいよ」と叫んで14歳の妹がしでかした恐怖の事件。妹を信じてはいけないし許してもいけない。人の心は死にたくなるほど切なくて殺したくなるほど憎々しい。三島由紀夫賞最終候補作品として議論沸騰、魂を震撼させたあの伝説の小説がついに刊行!

永遠の誓い
文芸(単行本)
平穏なるときも、苦しきときも、永遠に変わらぬ愛を、誓います。中学校教員の夫と保育士の妻が営む幸福な結婚生活に、初めて訪れた試練が照らしだすものは……。野間文芸新人賞作家が「夫婦」を描く意欲作。
平穏なるときも、苦しきときも、永遠に変わらぬ愛を、誓います。
中学校教員の夫と保育士の妻が営む幸福な結婚生活に、初めて訪れた試練が照らしだすものは……
基本的に善人である市井の凡人を、平凡な位相で捉えて単線構造で語り、なおかつ飽きさせないというのは、作者の膂力が意外に大きいことを示している。佐川光晴の「平凡」は平凡ではないのだ。
鹿島茂氏(産経新聞2005年2月27日)
学校や家庭など毎日同じ人同士が顔を合わせて生活せざるを得ない場所で、加害・被害関係が特定しがたい暴力が起こったとき、そこで生活する人々にどのような波紋が及ぶのか、出だしから中後半まで、圧倒的な密度の時間描写で提起された問題の棘が、読後、足元から脳髄に突き刺さってくる。
酒井信氏(文學界2005年4月号)

えっヘン
文芸(単行本)
そのお医者さん、大丈夫?
医学は日進月歩、現在は著しく進歩したものと誰しも思っていることでしょう。しかし、実際は「患者の命は運で決まっている」のです。「医者を選ぶのも寿命のうち」の状況なのです。医者に向かない学生たちに間違った教育をして「ヘンな医者」をつくっているからだと私は思います。
寄生虫博士が現代ニッポンの医療、病気、健康観……に大忠告!
●医師国家試験に10回目でやっと合格した医者
●病院によって80%の差が開く、がんの「生存率」
●ついに出た!「精液アレルギー」の女性
●風邪に抗生物質を処方する医者と金儲け
●コレステロールを減らしすぎると精力減退
●浅い睡眠が続くと、認知症になりやすい
●ストレスによる「舌痛症」が激増中!
●隣で寝ると脳波の一致で夫婦円満
目からウロコの「ヘン」がいっぱい!

その人、独身?
文芸(単行本)
負け犬、実践編。何となく独身、いつまで独身?

乱調
文芸(単行本)
なぜ、死んだ?Mとは誰だ?
人気ミュージシャンだった息子タカの突然の死。ファンなのか、恋人だったのか、私の前に現れた女子高生・深雪。男は、少女の投げかける謎と格闘し続ける。
ジャンルを一気に超えた衝撃の恋愛ミステリー
恋愛小説作家・藤田宜永が、自らの原点であるミステリーと、恋愛小説を新たに融合させた問題作。…………
人気ミュージシャンだった息子・鷹也が自宅で首をつった。パリで働く私は、日本出張に合わせて休暇を取り、その死の原因を探ることにした。かつて鷹也が住んでいたマンションには、深雪という名の女子高生が住んでいた。「今もタカは、私の心の中で生きている」と言う彼女は、熱烈なファンなのだろうか。調査を進めるうちに、私は次第に深雪にひかれていった。が、彼女は、息子の恋人だったのかもしれない。ある日、深雪にかけた携帯電話の後ろから聞こえた音。その音に、驚愕の事実が隠されていた!!

李世民
文芸(単行本)
田中芳樹
これが処女作?冗談だろう。確かな筆力という名の風に乗って黄土の大地を疾駆する群雄の叫び声が聞こえてくるようだ。
唐の太宗・李世民が大陸の覇権をとるまでを描く中国歴史小説
それは、ほとんど一目惚れであった。あれから5日はたっているというのに、思いだすと自然に笑みがこぼれる。生涯の主君を得た、と徐世勣(じょせいせき)は感じていた。反隋の兵をあげて8年、ずいぶんとまわり道をしたような気がする。(中略)平伏して待つ徐世勣の耳に、足音がとどいてきた。力強さをうちに秘めた、律動的な歩調。それは、あとにつづく者にかぎりない安心感をあたえるひびきであった。やがて、足音は目の前でとまり、やわらかな声が頭上にふりそそいだ。「待たせてしまったようですね」李世民が徐世勣の手をとり、立ちあがらせる。徐世勣はことばをうしない、ただふるえていた。体中の血があわだつほどの昂揚感に、両のほおがほてっている。ずっと前から、このときを待っていたような気がした。――<本文より>