文芸(単行本)作品一覧

お狂言師歌吉うきよ暦
文芸(単行本)
そんなお役が務まるでしょうか……。
小町娘が踊りに一生を捧げ、独り身で生きていく覚悟を決めた時、公儀陰謀の影が迫り、運命が変わっていく。
「あたしも一座に」――歌吉、こと中橋広小路の駕籠屋赤松の娘・お吉は、踊りの師匠・水木歌仙率いるお狂言師一座に加えてもらうことになった。お狂言師は、大名家の奥向きにあがって狂言や踊りをご覧に入れる。胸の高鳴るような話の直後、事件は起きた。これからは、歌吉の名を立てて、生きていかなければならない。そんな折、歌吉は、何者かに連れ去られる……。
直木賞作家が放つ長編時代小説。

愛し続けるのは無理である。
文芸(単行本)
血のにじむような努力と嘘を重ねて、男と女は愛を保っている……
男女の刺激的で安らぐ関係を綴った人気脚本家の最新エッセイ
年齢を重ねることは面白い。世俗で鍛えられ、清濁あわせ呑むばかりか煮え湯も飲まされ、「愛し続けるのは無理である」と骨身にしみている狡さと優しさ。そんな年代の男と女の出会いや、愛し方や、思いやり方は、これまた刺激的で面白く、かつ、なぜか安らぐものである。――<「前書き」より>

さようなら、私の本よ!
文芸(単行本)
絶望からはじまる希望
国家の巨大暴力に対抗するため、個の単位の暴力装置を作る繁と、人類の崩れの「徴候」を書きとめる古義人――「おかしな二人組(スウード・カップル)」は静かに立ち向かう。
●大江氏はおのが本能を制御しつつも、その馬鹿力を解き放つために小説を書く。その小説は社会に仕掛けられた爆弾となる。(島田雅彦氏・朝日新聞)
●戦後60年、三島の予言した空虚が蔓延し、テロへの不安が日常化している今、敢えて混沌に立ち向かう<愚行>が書かれたことの意味は大きい。(山内則史氏・読売新聞)
●これは大江文学の見事な総決算であるとともに、ひょっとしたら新たな始まりを予感させるものなのかもしれない。(沼野充義氏・東京新聞)

女形
文芸(単行本)
乱歩賞作家が満を持して放つ驚異の歌舞伎ミステリー
京都と東京――同じ日、同じ時、遠く離れた舞台上で、2人の名優が怪死した。絢爛たる世界に潜む闇が蠢きだす!
2人の名優は、なぜ同時に死なねばならなかったのか。
演じる者の業、家門を守ろうとする執着――桔梗屋の内弟子・堀内すみれが、封印された梨園の謎(トリック)を解き明かしたとき、凄絶な愛憎の一幕が浮かび上がる。

推理日記PART10
文芸(単行本)
これは、乱歩さんと約束した評論である。
横山秀夫氏『半落ち』――受刑者の骨髄移植をめぐる論争に物申す。
荻原浩氏『明日の記憶』――実に効果的な「日記」の使い方と言えよう。
東野圭吾氏『さまよう刃』――この復讐劇は『ジャッカルの日』より数段上だ。
通算10巻達成記念の増ボリューム!最新の55編を収録した辛口評論集
ますます冴えわたる!ミステリー界の名物エッセイ、堂々の第10弾到達!
『推理日記』は、30年以上にわたって毎月1度も休まず書いて来たものであり、そして、これがあるからこそ、推理小説を読み続けて来たと言えなくもない。こう考えると、『推理日記』を代表作と称してもいいのではないか。それが10巻になった。ちょっと自慢したい気持である。――<本文より>

愛でもない青春でもない旅立たない
文芸(単行本)
青春とか愛とか、さして中身のない言葉はいらない。誰かに愛されているのか、誰を愛しているのかだってわからない。旅立つこともない。僕は毎日自分のふつうの日常を散歩しているだけ。だから、歩くための道はあったほうがいい。時間も空も、足も。誰かのために歩いているわけじゃないけど。日常はそれなりに幸福で、それなりに不幸だし。今もどこかで誰かが死んでいて、どこかで誰かが生まれている。そしてすべての人は生を死に続けている。それにいちいち涙は流さない。ただ食べて、出して、オイシイとかマズイとか言いながら。僕は何者でここはいったいどこなのか?まあどうでもいいんだけど。リアルなことはあるとは思うけど。リアルな……たぶん、この小説は。僕らの時代の現実は、そう簡単には……。
この小説は、恋愛小説かもしれないし、純文学かもしれない。そうでないかもしれない。ここにあるのはいわゆる青春ではない、しかし、まぎれもなく青春小説だ。

ファッション ファッショ マインド編
文芸(単行本)
ファッションチェックの前に、人生のチェックを。2人の愛ある毒はヒートアップ!

天国からマグノリアの花を
文芸(単行本)
死が迫る彼との契約結婚
信じたい。あたし、お金で買われたんじゃないよね。
報酬は400万円――。「たった4ヵ月の結婚」は、真実の愛になりえるか?生のギリギリのリミットに向かって変容する愛を描いた長編ラブ・ミステリー
「僕は4ヵ月後には、この世から消えるから」
病室の中でしか触れ合えない仮初めの夫婦。最期の日へ近づいていく中で「夫」から投げかけられる謎めいた言葉。答えを探して、直子の魂が揺れる。

えれじい
文芸(単行本)
汚れなければわからなかった。俺はなにを守るのか。女性警官殺しと中学生銃乱射事件。マグナム銃を追う潜入捜査官。
正義の幻想が毀れたあともなお、信じるものを探し続ける2人の男を描く、感動の書き下ろし長編!
女性警察官と中学校で5人を殺したマグナム弾は同型のものだった。潜入捜査官として銃の密輸ルートを追う佐倉。徒手空拳。まったくの孤独。頼れるのは、うだつの上がらない極道・跡見のみ――。
組織人でありながらぎりぎりのところで踏みとどまろうとする男の矜持を、哀切を込めて描く江戸川乱歩賞作家・入魂の警察小説!

箪笥のなか
文芸(単行本)
長野まゆみの新境地が、いまここに拓かれる。
古い紅い箪笥をめぐる不思議ワールド
弟は少年のとなりへ布団を敷く。久しぶりに紅い箪笥のそばで眠るのを愉快がる。幼い日の晩のように見知らぬ人物が枕もとに佇つのを期待している。頭からすっぽりかぶる黒い雨合羽を着たその人物は、弟の耳に手のひらをあてた。電車の音が聞こえてきたと云う。小学生だった弟は、怖いだの気味悪いだのとは感じなかったらしい。――<本文より>

少年飛行兵の絵
文芸(単行本)
草原の丸太に座って、遙か遠くを見晴らすと、空の下に……見えてくるものがある。
戦争のことを、まだいつも身近に感じる時代、人々の気持ちがじかに伝わってくる場所があった。
[本文から]
石室が草原の隅の丸太に座っている男を見つけて言う。かねがね、石室はあの杉の丸太に座りたいと思う人は「特別の人」だと笑って言った。「特別」の意味は石室自身も詳しく口にしたことがない。「とにかく気持ちがいいからね。それの分る人だ」 確かに、丸太に座ると草原のゆるやかな傾斜に身をまかせたような気分になる。それに丸太の置いてある位置のせいで、遠くまで見渡せた。

環流
文芸(単行本)
かおり 16歳、高校生。演劇部所属。“幼なじみ”室田剛と“転校生”服部至の間で揺れる青春真っ只中。詩子 49歳、小学校の栄養士。地元の特産物を使った料理の「試食会」を主催。13年前に夫・昭彦と死別。ひな 76歳、華道教師。39年前に夫・孝二郎と死別。20歳の嫁入り以来、浮久町に住み、上げ舟を守る。祖母はここに嫁ぎ、母はここから出たことがない そして、私は――母娘3世代、本当の大河小説
どうやら本当のこととは、こういうことであるらしい
一番素敵な旅がある、おいしい料理がある
女の感性を描いて現代随一の作家が『水霊』のタイトルで新聞に連載した本当の「大河小説」
かおり 16歳、高校生。演劇部所属。“幼なじみ”室田剛と“転校生”服部至の間で揺れる青春真っ只中。
詩子 49歳、小学校の栄養士。地元の特産物を使った料理の「試食会」を主催。13年前に夫・昭彦と死別。
ひな 76歳、華道教師。39年前に夫・孝二郎と死別。20歳の嫁入り以来、浮久町に住み、上げ舟を守る。
祖母はここに嫁ぎ、母はここから出たことがない そして、私は――母娘3世代、本当の大河小説

新・その人事に異議あり
文芸(単行本)
社内抗争に明け暮れる「オヤジども」にもう会社は任せられない!
世襲かクーデターか?次期社長の座をめぐる権力闘争。才色兼備のバツイチ広報部員・竹中麻希の闘いが始まった!
社内抗争を生き抜く女性の闘いを書き尽くした傑作ビジネス小説!
「40そこそこの青二才を社長にしようとするオーナーの気がしれません。あんなのが社長になったら、会社が潰れるんじゃないですか」(略)麻希は、招待客リストをチェックするつもりだったが、2人の話に聞き耳を立てながら胸をドキドキさせていた。大西の言いかたはひど過ぎる。佐々木もぜんぜんわかっちゃあいない、と麻希は思った。
名作『その人事に異議あり』を全面改稿。舞台を現在に移し、鮮烈に蘇った!

埋み火
文芸(単行本)
「俺は大山雄大。職業は消防士だ。消防士は、あんたと同じ人間だ。あんたが火事で死ぬのなら、俺も火事で死ぬ」
老人世帯で連続する失火による火災。住人は、“不運な偶然が重なって”焼死。赤羽台出張所の若手消防士、大山雄大は出火原因に疑問を持ちはじめていた。……これは、放火自殺なのか……?
「何のために生きてるの? なんかね、もう、判らなくなっちゃったんだ」閉塞した世の中を雄大が救う!

メフィストの漫画
文芸(単行本)
『国樹由香のあにまる探偵団』
有栖川有栖、北村 薫、綾辻行人、小野不由美、法月綸太郎、我孫子武丸、二階堂黎人、森 博嗣、太田忠司、井上夢人、笠井 潔、芦辺 拓、京極夏彦、白倉由美、東野圭吾
豪華作家陣が漫画でペットと登場!!
ミステリを愛しすぎた漫画家・喜国雅彦が描く
密室殺人!アリバイトリック!ダイイングメッセージ!不可能犯罪!ミステリ界震撼の喜国ミステリ漫画がついに単行本化!
『ミステリに至る病』をはじめ、あちこちに描いたミステリ関連作品をすべて収録!!
山口雅也氏とのマニア鼎談付き!

出生の秘密
文芸(単行本)
漱石研究の新解釈
衝撃作『青春の終焉』に続く新たな地平――精神分析、現代思想から漱石、丸谷文学までを貫く“秘密”を論じて、読む快感の小説論!

八月の砲声 ノモンハンと辻政信
文芸(単行本)
無条件降伏から60年。もはや戦後ではなく戦前である。無知、妄信、無定見、無責任。太平洋戦争の過ちが凝縮されているノモンハン事件を識ることで視えてきた、いまここにある危機。
あの時、日本はいかにして誤ったのか。
根源を辿り、未来の標となる渾身の歴史長編。
陸軍を代表する俊秀を集めた関東軍参謀たちが、なぜ非現実的としかいいようのない戦いかたをして、二万に近い将兵を潰滅させたのか。――<本文より>

弓削是雄全集 鬼
文芸(単行本)
陰陽師・弓削是雄(ゆげのこれお)が奇々怪々な事件に挑む人気シリーズ決定版!
渾身の高橋克彦ワールド、稀代の妖かしの物語を集大成。単行本初収録作品を含む怪異譚の白眉、全6篇を収録した豪華愛蔵版!
<収録作品>
髑髏鬼/絞鬼/白妖鬼/長人鬼/空中鬼/妄執鬼(単行本初収録)

天使のナイフ
文芸(単行本)
江戸川乱歩賞受賞作!
殺してやりたかった。でも殺したのは俺じゃない。妻を惨殺した少年たちが死んでいく。これは天罰か、誰かが仕組んだ罠なのか。
「裁かれなかった真実」と必死に向き合う男を描いた感動作!
衝撃の展開!驚愕のラスト!
選考委員が満場一致で推した今年最大の収穫!
・綾辻行人氏「考え抜かれた物語の構図に、大いに意表を衝かれるとともに感心した」
・井上夢人氏「選考委員全員が推したのは、それだけ作品に力があったからである」
・逢坂剛氏「謎解きにも二重三重の仕掛けが施された極めて水準の高いミステリー」
・真保裕一氏「扱いにくい素材に挑戦し、過不足なくまとめあげた手腕は称賛に値する」
・乃南アサ氏「緻密な構成力でドラマチックに仕上げている。読者を引きつける力がある」

ぼくの白状
文芸(単行本)
これまで生きてきた道をふりかえり、涙と笑いの中に語られる大切な想い。胸に染み、心をふるわせる言葉。
「本当の豊かさがここにある。」
89の珠玉のエッセイ
貧しかった少年時代から、作家になるまで。現代社会に感じる疑問と人へのあたたかな眼差し。北国の生活を通して語られる、豊かさへの想い。その生き方に裏打ちされた真実の言葉。生きる中で見つけた本当に大切なもの。心がすーっと軽くなる、感動のエッセイ集。