文芸(単行本)作品一覧

中国洗面器ご飯
中国洗面器ご飯
著:一条 さゆり
文芸(単行本)
驚き、あきれ、腹が立つ。 それがまた愛おしい! 会話もなく、性行為に発展するでもなく、ただひたすら体を密着させているだけのカップル……。 中国・広州に暮らして、初めてわかった裸の中国人の姿。 この本が面白くないはずがないと、私は思っている。謙遜と遜りを美徳とする典型的な日本人の私がこういうのは珍しい。 きっと、中国人なら言うだろう。「ものすごく面白い。絶対お勧めする」と。もしかしたら、「買わなかったら一生後悔するよ」ぐらいの脅し文句も使うかもしれない。それが、ごく普通の中国人だ。
庭の小さなばら
庭の小さなばら
著:庄野 潤三
文芸(単行本)
ばらが咲く 鳥たちが来る 子供らは孫をつれて集う いつものハーモニカとにぎやかな歌声 ゆっくりと時が流れる 穏やかな日々を描く最新長編小説 子どもがみんな結婚して、家に残った夫婦二人きりで暮らすようになり、年月たった。そんな夫婦がいったいどんなことをよろこび、どんなことを楽しみにして生きているかを書く私の仕事はいつまでも続いてゆく。――(あとがきより) けさ、妻が切ってきた淡紅色の小さなばらは、兄のくれたものではなく、あとから妻が買ってきて植えたばらのメヌエットである。ピアノの上の父母の写真の前に活けた。うれしい。――(本文より)
わが家の夕めし 池波正太郎未刊行エッセイ集3
わが家の夕めし 池波正太郎未刊行エッセイ集3
著・その他:池波 正太郎
文芸(単行本)
食卓から家、街の風物まで 人生の達人がつづる暮らしの情景。豊かな日々。 まだ本になっていない佳編・名編、51編。 池波正太郎のラスト・エッセイ
プラネタリウムのふたご
プラネタリウムのふたご
著:いしい しんじ
文芸(単行本)
星の見えない村でうまれ、 ひとりは手品師になり、 ひとりは星の語り部になった。 彼らが生まれながらに定められていた役割とは何か。 『麦ふみクーツェ』につづく、書下ろし長編小説。 だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの世界になってしまう。
サン・メルシ つれなき美女
サン・メルシ つれなき美女
著:領家 子
文芸(単行本)
密やかに知的、何食わぬ顔。 死ぬまで記憶にとどめておきたい! 非情の都市にたたえられたリリカルな気品、ロマン・ノワールの清新な秀作! 3人の夫を逝かせた美し過ぎる叔母の声が、いま聴こえる。 ワルになれと、やりたいことをやる男にと。 冷徹な覚悟が手にさせる豊潤で確信に満ちた新しいリトリートへの道! 女が年の離れた男に、ある種の悪童教育をする。 ――女は堅気の生まれ育ち、家族の中からひとりだけ、突然変異か鬼子のように輝きだす。そうした個体は必ずといっていいほど、並でない欲望を持ち、欲望を追求するための独自な方法論を持っている。 金や不動産や男性関係でみっしり個人生活を充実させ、それでいてすっきりと脂の抜けたハンサムな人間に仕立てよう。可愛いげのある女がいい。彼女は町なかに溶けこむように住みなし、日常の只中にゆったり漂いながらも、あくまで個人的な生活を送る。そして悪童教育を施された少年に受け継がれたものこそ、美しきリトリート(隠遁)の形なのである。――(あとがきから)
あやめ横丁の人々
あやめ横丁の人々
著:宇江佐 真理
文芸(単行本)
この町の外に立てはいけやせん! 危機一髪、慎之介が逃げ込んだこの町は、何やら訳ありばかり。 髪結い床も一膳めし屋も、謎を抱えているようだった…… 吉川英治文学新人賞受賞の著者が生々と描く長編時代小説。
高瀬川
高瀬川
著:平野 啓一郎
文芸(単行本)
芥川賞最年少受賞に輝く天才が、初めて挑む現代の「生」。 伝説から未来へ、小説の新世紀を拓く最新作品集! 小説家と女性ファッション誌編集者が京都のラヴホテルで過ごす一夜を描き、現代の性という主題に対峙する「高瀬川」。 物心つく前に亡くした実母の面影を恋う少年と、不如意な暮らしの中で不倫を続ける30代女性の物語が、上段と下段で並列的に進行し、やがて1つに交差・交錯する「氷塊」。 短篇意欲作「清水」、「追憶」を併せ、多様にして実験的手法で文学の豊饒な可能性を開示する、気鋭作家の新たな冒険!
かくも繊細なる横暴
かくも繊細なる横暴
著:渡部 直己
文芸(単行本)
隠喩(はか)に唾をかけろ! 現代文学の最高水準を示しつづけた「六八年」とはいかなる時代だったのか。 五人の作家は何を思考し表現しようとしたか。 癒しの蔓延する日本を一撃 閉塞を突破するヒントがここにある!
赤い鳥は館に帰る 有栖川有栖エッセイ集
赤い鳥は館に帰る 有栖川有栖エッセイ集
著:有栖川 有栖
文芸(単行本)
人気作家・有栖川有栖のエッセイ集! デビューから15年人気作家・有栖川有栖が書きためた全エッセイから著者自らが精選した殊玉を収録。ミステリから映画、そして関西までを語りつくすエッセイ集!
電子あり
もっと煮え煮えアジアパー伝
もっと煮え煮えアジアパー伝
著:鴨志田 穣,著・装画:西原 理恵子
文芸(単行本)
俺だって、俺だってなあ 脳の中が煮えるまでのんでしまう僕は、 大事なことは言えなくて口にするのは言ってはいけないことばかり。 大人になれないまんま、今日も異国で酒が友。 厳寒のハルピン、活気あふれる上海、なぜか足を踏み入れなかった中国各地を訪れてみると、意外な発見に満ちていた。 文春漫画賞の西原マンガつき旅行エッセイ。 長く暮らしたタイで女の子に振られた話、厳寒のハルピンで酔いつぶれた話。中国篇を中心に、結婚して子供ができても変わらずにダメ男生活を続ける日々のユーモア。
権現の踊り子
権現の踊り子
著:町田 康
文芸(単行本)
文学で踊れ! 腰抜けども輝け! 川端康成文学賞受賞の表題作を含む、著者初の短篇集
ジャンヌ、裁かるる
ジャンヌ、裁かるる
著:楠見 朋
文芸(単行本)
映画をめぐる――ひそかな悦び 視たものを視たままに伝えるのは、いけないことだろうか? 古今の名画を見つづける祖父とその孫娘(高校2年生)のみに通いあうひとつの確信、虚実の人間的魅力。 映画の核心にせまる新鋭作家の傑作長篇小説 本書に登場する映画(抜粋) ピアノ・レッスン/市民ケーン/草原の輝き/橋の上の娘/チキ・チキ・バン・バン/バッファロー'66/悪魔のような女/シックス・センス/ひなぎく/めまい/12モンキーズ/サンセット大通り/女性上位時代/イヴの総て/エル・スール/好奇心/あの胸にもういちど/ライムライト/メリー・ポピンズ/オズの魔法使/アンナ/尼僧ヨアンナ/パンドラの箱/汚れた血/夜ごとの美女/渚にて/欲望/真昼の決闘/情事/夏の嵐/シラノ・ド・ベルジュラック/ジーン・セバーグの日記/街の灯……
預金封鎖
預金封鎖
著:荒 和雄
文芸(単行本)
もう、最悪のシナリオは始まっている。 バブル崩壊で挫折した銀行マンと不良債権処理に悩む官邸が見つけだした禁じ手。 元銀行支店長による書下ろし経済小説 「本日、経済産業相や金融関係のスタッフにお集まりいただいたのは、4月を期して、不良債権一括処理と国債発行残高五百兆円の危機的状況を究極的に脱するためデノミを行ない、同時に激烈な痛みを伴う改革を重大な決意をもって断行する。先ず皆さんが承知して欲しいのだ」 首相のいつもよりは一オクターブ高い声に参加者一同の顔には緊張の色が走った。――(本文より)
われ沽券にかかわらず
われ沽券にかかわらず
著:渡辺 房男
文芸(単行本)
麻布4万坪、丸の内10万坪を手に入れろ。 130年前に現れた日本初の「不動産ブローカー」が、明治初期の東京で、政府と巨大資本を相手に大ゲンカを仕掛ける! すべての土地の「地価」を定め、土地持ちから「税金」を徴収する――。全国の資産家が戦々恐々とした、明治維新の「地租改正」。その騒動の陰で、政府や巨大資本の裏をかいて、のし上がろうとする男がいた。 買い占め、地上げ、土地転がし。「明治バブル」に踊ったこの男が、理想と現実の狭間で、最後に夢見たものは何だったのか。 未曾有の大不況の今だからこそ日本のビジネスマンに捧げたい、ロマンと涙の歴史マネー小説!
わたくしの旅
わたくしの旅
著・その他:池波 正太郎
文芸(単行本)
味な旅、取材の旅、人生の旅。 人に会い町を知り食を思って溢れるのびやかな心 まだ本になっていない佳編・名編、49編。 池波正太郎のラスト・エッセイ
電子あり
永遠。
永遠。
著:村山 由佳
文芸(単行本)
内山理名 初主演映画「卒業」のサイド・ストーリー 小説と映画の出会いによって、かつてないコラボレーションが実現。 スクリーンでは語られなかった人々の胸のうちを、こまやかに綴る「もうひとつの物語」。
神経と夢想
神経と夢想
著:秋山 駿
文芸(単行本)
評論を越えて感動のかたちのままに文学の根源に迫っていく。 文学とは、小説とは、おかしなものだ。不思議なものだ。 探して待っていた何かが、私に声をかけてくれたのである。 誰かが、というよりラスコーリニコフが、自分を呼んでくれている、と私は感じた。――(「なぜ『罪と罰』なのか」より)
昭和の事件に触れた
昭和の事件に触れた
著:吉永 春子
文芸(単行本)
なぜ私はこんなにも夢中になって走ってきたのだろう それっ事件だ!飛び出せ! 戦後の大きな事件の現場に飛びこみマイクを持って突撃取材! 今も走り続ける”報道のお春さん”奮闘記 私が報道現場に飛びこんだ昭和30年、所属のラジオ報道部は、大新聞社へのコンプレックスに押しつぶされそうになっていたが、今に追い越してみせるぞという気概と自負に満ち満ちていた。 時代も熱気がたちこめていた。そのなかで肩に重い録音機をくいこませながら無様な姿で走り廻り、錬えられた。そしてニュースの面白さに一人で興奮していた。 ――あとがきより
ゆらてぃく ゆりてぃく
ゆらてぃく ゆりてぃく
著:崎山 多美
文芸(単行本)
夜這い、水葬、シマビト気質。 保多良ジマでは、性と魂がたおやかに交わっている。 柔らかに、心の奥深く、刻み込まれる物語。 保多良ジマではヒトが死ぬと通夜の後、遺骸は焼いたり埋めたりせず陽の昇る寸前に海へ流すという。 九州芸術祭受賞、芥川賞候補作家の描く驚くべき民族奇譚。 保多良の習俗における家の門や戸というのは、家をヨソから隔離し守るものというより、もっぱら迎え入れるためのとりあえずの仕切り、というていどのもの。とくに裏戸は夜這い専用の出入口であった。裏戸から侵入し中庭を抜けると、縁側や、神棚の鎮座する中座敷とは反対の側に、裏座がある。裏座は夜這いを期待する者の寝所で、多くは若い未経験者か経験の浅いイキガに与えられる。(本文より)
巡査の首
巡査の首
著:又吉 栄喜
文芸(単行本)
巧一郎は、なぜ「首」を無くしたのか。 本当に同僚を殺したのだろうか。 克馬と早紀の兄妹は祖父の真実を求め小舟(サバニ)で謝名元島から垂下国へと漕ぎだした。 -首狩りの風習-を追究する芥川賞作家の力作。 四国の半分ほどの大きさの垂下(すいか)国は、謝名元(しゃなもと)島の西南160キロにある。 元々の名称はジャガル島だが、阿族が両手に下げていた生首を戦前日本人が西瓜と見間違え、「西瓜島」と名付けたのが、いつのまにか「垂下島」に転じたと言われている。――(本文より)