文芸(単行本)作品一覧

吾、器に過ぎたるか
文芸(単行本)
大原幽学、無念の生涯
農民に道を説き、寒村を再興させた幽学は、八州廻りに因縁をつけられ、人生をねじ曲げられた。
幽学は、「自分のおこないを正しくする、そうすれば身を過(あやま)たずにすむ」と教えてきた。そのために自ら淫犯、飲酒、遊楽を厳しく戒め、門人の範となってきた。その晩年に思いも寄らぬ蹉跌がおとずれる。

幕末伝説―何でもありの時代
文芸(単行本)
『幕末気分』パート2
大好評『幕末気分』に続く傑作歴史評論
平成=幕末
大臣、役人、議員、銀行――万人がなりふり構わず「利」に走るようになることは時代の末期状態症候群である。「幕末」はしぶとくよみがえった。近代日本135年がはるかな過去に埋めてきたと信じていた歳月が今、回帰する。
本書を構成する7編は、いずれも幕末の文久・元治・慶応という幕府大詰めの時期に起きた出来事を描いている。前回の『幕末気分』よりもさらに至近距離から歴史のハイライトでの事件・人件・物件・に迫ろうとした作品シリーズである。――(はしがきより)

寂夜
文芸(単行本)
無自覚には生きられぬ「人」を描いた傑作集。独自の筆致から絞り出される文学世界で読者を魅了する芥川賞作家の、原点から今日までを通覧。「繊光」「大蛇」「焦熱」「運河」に、書き下ろしを加えた作品集。

安倍晴明・紫式部を歩く
文芸(単行本)
平安中期の西暦1000年前後繁栄を謳歌した藤原道長のもとに仕えた紫式部と安倍晴明は住居も近い同時代人だった。
紫式部と安倍晴明の墓、紫式部の源氏物語、安倍晴明の占事略決やほき内伝などゆかりの地を詳しく解説。北は東北の福島から南は九州の宮崎、そして韓国に至る必携の案内書。

光武帝 下
文芸(単行本)
力子都の連弩、劉秀の即位!
更始帝の乱脈をのりこえ、青年劉秀の河北統一成る。
妻を娶らば陰麗華、愛を貫く男の純情と政略。
倭の国に金印をもたらした者は?

巨海に出んと欲す
文芸(単行本)
陸の掟にとらわれず、遠い海の彼方を見据えた男・藤原純友。大きすぎる器ゆえに、闘いを宿命づけられた男・平将門。京都朝廷が腐敗の極みに達した十世紀。瀬戸内の海を闊歩する海賊衆を束ねた藤原純友は、遊女、傀儡(くぐつ)衆、碧眼の美しい兵(つわもの)など、律令の枠からはみ出した「異端」たちを、不穏な空気が渦巻く東の国に放つ。
平将門と藤原純友。
ふたりの将はなぜ同時に乱を起こしたのか。
それは、古代と中世の狭間で起こった最大のミステリー。
日本歴史文学の「空白地帯」に斬り込む歴史ロマン小説。
陸の掟にとらわれず、遠い海の彼方を見据えた男・藤原純友。大きすぎる器ゆえに、闘いを宿命づけられた男・平将門。京都朝廷が腐敗の極みに達した十世紀。瀬戸内の海を闊歩する海賊衆を束ねた藤原純友は、遊女、傀儡(くぐつ)衆、碧眼の美しい兵(つわもの)など、律令の枠からはみ出した「異端」たちを、不穏な空気が渦巻く東の国に放つ。
いまだ謎に包まれる平将門・藤原純友の乱を、斬新な発想で描き尽くす、歴史エンタテインメント小説の新たな傑作!

新しいもの古いもの 池波正太郎未刊行エッセイ集4
文芸(単行本)
私の秘密、父母、師友……。
多彩な食とフランスに見出した無上の楽しみ
まだ本になっていない佳編・名編、66編。
池波正太郎のラスト・エッセイ

お母さんの恋人
文芸(単行本)
お母さんは36歳、そのとき彼は17歳。
市を二分する激流の川にかかる橋のたもとで2人は出会い、2つの恋が始まった――。
異様に長い、異様に複雑な橋によって分断された僕らの町。僕らはその町で恋をし、たがいに裏切ったり、助けあったりする。やり切れなさに彩られながらも、不思議と懐かしいその世界は、「故郷」なんてものとは無縁に、昭和の小・中・大都市で育った人ならきっと誰でも覚えのある世界だ。――(柴田元幸氏)

神々のプロムナード
文芸(単行本)
『リング』に先立つ自分の原点がここにある。――鈴木光司
不可解な失踪劇が続発!
8年の年月をかけたミステリー大作。
姿を消した人々……
松岡邦夫/会社員……日曜日の夕方ふらりと外出。テレビも点けっぱなしのままだった。
加納諒子/タレント……件のテレビ番組に生出演後、姿を見せていない。
飯島恵子/ルポライター……新興宗教教団の取材旅行に出たまま連絡を断つ。
さらに謎の事件がからみあい、世界は混沌の淵へ落下していった。

空を見上げる古い歌を口ずさむ
文芸(単行本)
メフィスト賞に異変!! 第29回受賞作!
1970年代、カタカナの町で暮らしていた少年は、ある日突然、他人の顔が”のっぺらぼう”に見えるようになった。
ノスタルジックな世界観に貫かれた新ミステリ。第29回メフィスト賞受賞作。
「みんなの顔が<のっぺらぼう>に見えるっていうの。誰が誰なのかもわからなくなったって……」
兄さんに、会わなきゃ。20年前に、兄が言ったんだ。姿を消す前に。
「いつかお前の周りで、誰かが<のっぺらぼう>を見るようになったら呼んで欲しい」と。
「心のどこかで知っていた場所がここにあった。ずっと会いたかった人たちも、ここにいる」――(作家)恩田陸氏

惜春
文芸(単行本)
新宿のキャッチバーを辞め、騙されてタコ部屋暮らしを始めた。
いまある現実をそのまま受け入れよう。
旅人の寂しさにつつみこまれて眠りにおちた。
ヒッピーもベトナム戦争も終わってなにもない'70年代、
僕は正真正銘、20歳の童貞である。
十代後半に京都に住んでいて無為徒食の日々を過ごしていた私にとって雄琴の風景は、そしてそこに棲息する人々の息遣いは、肌にじかに染みいってくるようで、なにやら微妙な悲しみの感情を覚えた記憶がある。――(花村萬月)

赫い月照
文芸(単行本)
一体、あの事件は何だったのか?
少年の犯行の動機は?
時を経ても未だ解明されない「あの事件」の闇に著者が満を持して挑む、衝撃の書下ろしミステリイ
阪神大震災を描いた本格ミステリ『未明の悪夢』で鮎川哲也賞を受賞した著者が、満を持して「少年A事件」に挑む。
重厚かつ深遠。著者の最高傑作、ここに誕生!
少年ノ右手ヲ探スガイイ
少女ハたんくノれぷりかノ中ニ
男ハ遺書ヲ残シテ祭神ノモトニ
女モヤガテ捨テラレルダロウ
コレデ終リデハナイ
永遠ニ続ク
ナゼナラ
私ハ次元ヲ超越シタ存在ダカラダ
犠牲者ノ血
どくどくト流レル真ッ赫ナソノ血ダケガ
私ヲナグサメ浄化デキル
今度ハ誰カナ
オマエ達ハ慌テルベキダ
すっト刃物ヲ差シ込マレタクナイナラバ
コチラハ血飛沫零
人々ノ凝結思念ダ
キノソナシンソカトスサリネハリラツマ

祖国とは国語
文芸(単行本)
文化も伝統も、日本という国はすべて言葉の中にある
国語こそすべての知的活動の基礎だと説く「国語教育絶対論」のほか、母・藤原ていの名著『流れる星は生きている』の原点を親子三代でたずねる「満州再訪記」、ユーモアあふれるほのぼの家族エッセイなど、話題満載
混乱の中で脱出した満州の地を訪れることは、長い間、私の夢であった。母の衰えが目立つようになったここ数年は、早く母と一緒に訪れなくては、と年に何度も思った。母が歩けなくなったり、記憶がさらにおぼろになったら、二度と私は、自分の生まれた場所を見ることはできない、と思うようになっていた。他方では、80歳を超え、体力低下とわがまま増大の著しい母を、連れて旅することの憂鬱も感じていた。――(本分より)

光武帝 中
文芸(単行本)
赤眉の乱、緑林党、新帝国!
王莽の帝国新は、いま崩壊直前。中原を疾駆する兵たちのどよめき!陰謀と恋の渦巻くなか、青年劉秀の希求する理想と夢。

光武帝 上
文芸(単行本)
知られざる後漢の王、劉秀
白水郷のほとりに、とんでもない緋桃色の大鯉出現。
新資料により、2000年前の人物の盛衰を迫力十分に描く、書下ろし傑作長篇!

風のように・男時・女時
文芸(単行本)
思わず膝を打つ、目からウロコの名エッセイ
男時(おどき)とは能の言葉で運が向いているとき、女時(めどき)とは運が離れているとき。
当時は男を陽、女を陰と考えていたからだが、今なら逆にしたほうが 当たっているかもしれない。

モヤシ
文芸(単行本)
日本の伝統軽みの真価
非プリン系食品に覚醒した旅する作家は、利尻でモヤシを育て、久米島でモズクに命を救われる。
旅とビールと怪しい人々の物語。
「北海道に連れて行けばいいじゃない」
私のそんな逡巡を見て、妻はこともなげにそんなことを言った。
「えっ?こいつを連れていくの?北海道旅行に?」
「そう。水をやりながら旅をしていくなんていいじゃないの」
「ええ?モヤシと旅をする男かあ……」――(本文より)

北ぐにの人生
文芸(単行本)
人生の滋味あふれる時間
心に染みるエッセイ集
自らの生い立ち、文学について、
酒・肴のこと、人の生き方について、
北ぐにならではのとっておきの話……
「生」を謳う。これはぼくの生きざまの痕跡である。会津から北海道へ出稼ぎにきてカネがたまらず、帰郷をあきらめて居ついた流民の父母に、この北の大地へ産みつけられたぼくの、生んでもらえたことのへの賛歌のつもりだ。――(後記より)

桜宵
文芸(単行本)
今夜も《香菜里屋》で、ひとつ謎が明かされた。
旨いビールに、しゃれた酒肴。
そして何よりこの店には、事件を読み解く心がある。
事件のきっかけは不意に訪れる。
「桜宵」
一度訪ねてみてください。わたしがあなたに贈る最後のプレゼントです。
「犬のお告げ」
《悪魔のリストランテ》と異名をとる、リストラ要員選びのホームパーティを開いているそうだ。
「旅人の真実」
あの金色のカクテルに固執するお客は、あれから来ましたか。
「約束」
たった一つの旅の思い出、それがこの店なんですよ。

メルトダウン
文芸(単行本)
1通の手紙が全米を恐怖に陥れた!
<地獄の兵器>に隠された秘密。疑惑に彩られた大統領補佐官の死。
気鋭が描く渾身の長編サスペンス
2人が出会ったとき、事件の真相が姿を見せ始めた。
ケン(カリフォルニア州バードン『デイリー・カリフォルニアン』副編集長)
ファーストクラスメールを受け取った。差出人の名前はない。スタンプはサンディエゴ。中には、1枚の紙が入っているだけだった。宗教的な意味を持つ幾何学模様。最初見たとき、そう思った。しかしそれは何かの図面だった。右上にはSSIのスタンプが押してある。
ウォーレン(『ワシントン・ポスト』政治部記者)
デスク前のボードにメモがあった。<カーリー氏から電話。またかけ直すそうです>男は電話してきた12時間ほど後、胸を撃たれて死んでいるのを発見された。ただし、このカーリーという男が大統領補佐官フランク・カーリーであればの話だが。