文芸(単行本)作品一覧

花渦
花渦
著:髙樹 のぶ子
文芸(単行本)
突然消えたひとりの男をめぐって4人の女心は微妙に揺れ絡み合いやがて溶け合う 槙枝/今日子/佐保子/由里子 魚住さんはどこに行ったのか。行方を探して、今日子の指は体の奥深く沈んでいくが、彼はもう、そこにはいなかった。男は誰もいなかった。魚住夫馬という男が、かつてこの肌色の渦の真中にいたことすら、いまとなっては嘘のように思える。いたかもしれない。いなかったかもしれない。ともかく今はいない。しかし渦はこのように激しく回っている。肌色の渦の中を、銀白色のいのちがきらめいて流れていく。──本文より
ソロ
ソロ
著:藤沢 周
文芸(単行本)
鮮烈な文体が叩き出す、若者の日常にひそむ狂気と暴力。俊英の傑作小説集。
飛騨國「屈み岩」秘譚
飛騨國「屈み岩」秘譚
著:南條 範夫
文芸(単行本)
飛弾の山中に伝わる人体石化伝説の謎を探る善玉と悪玉がまったく入れ替わる四種の伝説が残る飛弾「屈み岩」。美しき姉妹と美青年の戦国の世に咲いた悲恋は、同じ事実を基に何故かくも異なる物語となったか
吐蕃風異聞
吐蕃風異聞
著:稲葉 稔
文芸(単行本)
滾(たぎ)るチベット独立への想い! 冒険小説の新しき地平! ヤクの群れ集うチャンタン高原に、一発の銃声が轟き、真言を唱える声が響くラサでは、チベット独立の決起が迫る! エンターテインメント界期待の新鋭が書下ろす、1100枚の叙事詩。 滾(たぎ)るチベット独立への想い! 冒険小説の新しき地平! ヤクの群れ集うチャンタン高原に、一発の銃声が轟き、真言を唱える声が響くラサでは、チベット独立の決起が迫る! エンターテインメント界期待の新鋭が書下ろす、1100枚の叙事詩。 吐蕃――チベットを古くは「吐蕃」と呼んだ。吐蕃は大唐帝国と100年以上にわたる戦いをつづけ、一時は都長安を攻略したこともある軍事大国であった。『続日本紀(しょくにほんき)』巻19の、玄宗(げんそう)皇帝に朝賀するにあたって自分が吐蕃の使いより下位におかれたという、遣唐使大伴宿禰古麻呂(おおとものすくねこまろ)の帰朝報告にもその名を見ることができる。しかし、有史以来2100年あまりの歴史と独自の文化と価値観を持った国家は、1950年以後「チベット自治区」として中華人民共和国に併合されている。
電子あり
脇役の美学
脇役の美学
著:田山 力哉
文芸(単行本)
日本映画史に残るいぶし銀のような名優たちスタ-はそれ自体が光を発するのではなく、多くの光を受けはじめてまばゆく輝きだす。あえてバイプレイヤ-の道を選んだ俳優たちに聞く、演技とは、人生哲学とは
左手に告げるなかれ
左手に告げるなかれ
著:渡辺 容子
文芸(単行本)
第42回江戸川乱歩賞受賞作の犯罪サスペンス。八木薔子(しょうこ)33歳は腕ききの保安士。3年前まで不倫関係にあった木島の妾が殺され、容疑者として嫌疑をかけられてしまう。身の潔白を証明するため自ら調査に乗り出す。
青眉の女
青眉の女
著:太田 経子
文芸(単行本)
枕絵をかいて江戸一番、英泉の酒と女の人生酒と女の無頼のうちに「女」をつかもうとのたうち回り女絵を描けば北斎も豊国をも超えた英泉。歌川派が隆盛を誇る江戸の浮世絵界での苦闘の人生。藤沢周平氏激賞
天安門
天安門
著:リ-ビ 英雄
文芸(単行本)
史上初!アメリカ人の芥川賞候補! 上海の女、毛主席が破壊した米外交官の家。アジアの巨大な歴史に揺さぶられるひとりの白人少年――日本アメリカ中国を越境する新しい世界文学の傑作。
季節の記憶
季節の記憶
著:保坂 和志
文芸(単行本)
芥川賞受賞後第一作。 たとえばあと百年してここに映っているみんながいなくなったあとに、ここに映っている人間の誰一人とも関係のない誰かがこのビデオを見ることがあったとしたら、初期の写真に写っている人たちがそれを見る僕たちにある独特の感慨を喚び起こすように、ここに映っている一人一人が独特の存在感を持ってこれを見る人の記憶にとどまることになるのではないかというようなことを僕は思った。──(本文より)
萌がさね
萌がさね
著:鳥越 碧
文芸(単行本)
藤原道長と二人妻の波乱の生涯 権勢をほしいままにした道長が、唯一、その愛を得ることに苦悩した美貌の女・明子(めいし)。正妻・倫子(りんし)を加えた3人の愛の交錯。 摂政関白の頼通や、二帝の母后彰子(しょうし)の生母倫子と共に、どの歴史書にも、「二人妻」として明子(めいし)のことが必ず記されていた。道長の「二人妻」として倫子と並び記される明子に興味を覚えた。北の方の倫子と同等に扱われるほどに、道長に愛された明子とは、どのような女人であったのだろうか。道長の傍らで、惑い揺れる日はなかったのであろうかと。私なりに、明子の幻を追ってみたくなった。──(「著者あとがき」より)
帰燕
帰燕
著:中薗 英助
文芸(単行本)
燕客は遼水を想う 中国に遺した青春への哀惜をこめ今を深く語る表題作。傑作小説集。 人は、過去をふりすてて生きる。ふりすてた過去の何かに追いすがられて生きる、といった方がよいかも知れない。追いすがってきた何かは、1つ1つが鎖になり、やがてそれらは断ち切れない鎖の輪となって、なおも人をしばりつけようとするだろう。だが、そうした断ち切れない鎖の輪そのものこそが、じつは束縛であるよりか、自由への歩みの証しであり、むしろ自由そのものの光沢と陰翳とを帯びた、豊饒な相貌であるかも知れない。――「あとがき」より
恋と女の日本文学
恋と女の日本文学
著:丸谷 才一
文芸(単行本)
日本文学はどうしてこんなに恋が好きなのか女性中心なのか「万葉集」から「細雪」までの新しい展望!
ルチャリブレたちがゆく
ルチャリブレたちがゆく
著:黒田 信一
文芸(単行本)
愛と正義の戦士OSOMAKI仮面ただいま参上! 果たせなかった夢を追う中年ルチャリブレたちの荒唐無稽な人生リターンマッチ。札幌──下北──東京──大阪──成田、そして、上海の夜空に、大輪の花は開いた!入魂のスーパー・スラップスティック、颯爽、書下ろし初登場!
奪取
奪取
著:真保 裕一
文芸(単行本)
第10回山本周五郎賞、第50回日本推理作家協会賞長編部門受賞。 偽札造り──それは究極のだましのゲーム。 「そのお札を使ったところで、誰が被害者になるわけでもないんだ。おれの手を放れた紙幣は、また次の誰かの手へと伝わっていく。誰も気づかず、どこにも被害者はいない。札を造り上げた者だけが勝利者となる。 ……おれは決めたぞ、雅人。この先何年かかるか分からない。けど、必ずこのゲームに勝利してやる!」
手跡指南 神山慎吾
手跡指南 神山慎吾
著:佐藤 雅美
文芸(単行本)
公金横領の罪で父が謎の切腹。江戸の手習塾師匠として市井に生きる決意をしたが……。お家騒動がまた青年剣士を修羅場に呼び戻した。 慎吾にはもやもやと、心にひっかかっているものがあった。臼隈(うすくま)七万石狭間家の当主丹波守(たんばのかみ)(松園)が、遺領を継いでわずか2年後に退隠させられ、あまつさえ下屋敷に閉じこめられるようになったのはなぜか?なにゆえなのか?というのがである。(中略)慎吾の父織部の死も、先殿様の退隠とではなく、1万両が行方不明になったことと結びつけて語られ、慎吾自身は、1万両もの大金を私服した不義不忠の者の伜と後ろ指をさされ続けた。
中国歴史人物傑作集
中国歴史人物傑作集
著:邱 永漢,著:宮城谷 昌光,著:海音寺 潮五郎,著:神坂 次郎,著:武田 泰淳,著:井上 靖,著:陳 舜臣,著:伴野 朗,著:南條 範夫,著:柴田 錬三郎,著:駒田 信二,著:石川 淳,編:縄田 一男
文芸(単行本)
古代の隋唐まで──小説エッセイで読む英傑15人の魅力! 中国古代の英雄たちがいきいきと活躍する!始皇帝、司馬遷、曹操、則天武皇など英傑たちが名手の筆で甦る。宮城谷昌光、井上靖、陳舜臣、などの小説・エッセイで構成する中国歴史アンソロジーの決定版!
カント・アンジェリコ
カント・アンジェリコ
著:高野 史緒
文芸(単行本)
《去勢歌手》(カストラート)が奏でる天使の歌(カント・アンジェリコ)! 人を狂わせるカストラートの真実。甘く危険な謎をパリ・ルーヴル宮に追え!サイバー・バロックの刺激に満ちた冒険小説! あなたにも天使たちの後光が輝いて見えるように、この舞台には電気の飾りものを用意しよう。彼らの声が聞こえるように電話を引いてもいい。ルーヴル宮には時代錯誤の建築部分にピラミッドのおまけもつけよう。天使たちを追い回すのは遊び人の教皇使節、国を失った王女、身分を隠した旅の隠居、電気屋の枢機卿(すうきけい)、ハッカー崩れのテロリスト等々でどうだろう――「序曲と前口上」より
死霊(3)
死霊(3)
著:埴谷 雄高
文芸(単行本)
存在の革命を根本命題とする壮大な形而上小説 歴史を越える大いなる心の踏出しを、19世紀の文学は望み、20世紀の文学は果した。私たちはさらに何をなすべきか。
上海カタストロフ
上海カタストロフ
著:柏木 智光
文芸(単行本)
本格中国警察小説 上海市公安局刑事処に勤務する李振玉が手にした暗号が引き起こす破局(カタストロフ)。 『上海カタストロフ』への期待 個性的な刑事たちの捜査活動や会話を通して、街の光景、さらには当時の社会の全体像までがあざやかに浮かびあがってくる。この作品は、上海にとってのマルティン・ベック・シリーズになれるのではないか。大いなる可能性を持った異色の新人作家に、心からの拍手を贈りたい。私のほうが未熟な弱輩であることを思えば、僭越ではあるのだが。――田中芳樹
夕立太平記
夕立太平記
著:宮本 昌孝
文芸(単行本)
『剣豪将軍義輝』を超える会心作 圧巻、新鮮な名作の出現!江戸へ、出雲へ、転変する名場面!知られざる快男児の生の輝きを描く大型青春時代小説。 かねて時代小説でやりたいと思っていたことがあった。それを実現したのが、本書である。くわしく話そう。過ぎし昭和の時代に、柴田錬翁なる作家がいた。(略)ストーリーテリングと人物造型の巧みさで、群を抜いていた錬翁の手にかかると、古臭い講談も、新鮮な読み物に化けてしまう。物語作家の端くれとして、わくわくさせられた。大先達に及ぶべくもないが、いつか僕も……。長く燻りつづけていた、その思いの発露が、本書なのである。──あとがきから