講談社現代新書作品一覧
インフレとデフレ 不安の経済学
講談社現代新書
資本主義がもつ不安な影のメカニズムと対策物価が1日おきに2倍になるハイパ-インフレ,株価が10分の1に暴落する大デフレはなぜおきるのか? 資本主義がもつ2つの業病のメカニズムと対策を追究する

ナチス追及 ドイツの戦後
講談社現代新書
逃げる元ナチス親衛隊員と追うモサドとの必死の逃亡劇。最高の地位に立った大統領や「帝王」たちの暗い過去。また、庶民の中の無数の元ナチたちの重く苦い“それぞれの戦後”。そして今、東西統一へむけて活発化するネオナチ……。自己の「罪と罰」を問い続けるドイツの姿に、日本人のいまだ終わらぬ「戦後」を反照する。
墓場に「過去」を埋めたカラヤン――1982年5月、彼の33年入党について記述した『ナチス国家の音楽』の著者、F・K・プリーベルクに対して、弁護士を介して、偏見であると抗議し、根拠ある資料の提示を申し入れている。ナチス追及ということがはらんでいる歴史と現代への重い問いかけは、彼にはなんの意味ももっていなかったのであろうか。死のすこし前、彼はテレビで、オーストリア大統領ワルトハイムの過去および過去の清算について討論を見ていたが、それに対する彼のコメントは、「非生産的だ」という実に簡単なものであったという。彼の過去の真実はどうだったのか、尋ねようとしても、もはや彼はいない。カラヤンは、「過去」をみずからとともに、墓場に埋葬してしまったのだ。――本書より
逸脱するエロス
講談社現代新書
精神科医によるエロスの世界と病理の分析.性の解放とタブ-の消失は,豊穣なエロスの世界を拓く一方で,様々な逸脱と病理現象も生み出している.臨床精神科医の立場から,性と愛の深層にメスを入れる.
史上最大の恐龍ウルトラサウルス
講談社現代新書
生物史上最大の恐龍の肉体と能力を解剖! 5段建ビルよりも高く、巨象15頭よりも重かった“超大物”の食生活や闘争能力、頭脳の働きはどんなだったのか? 生物進化の不思議に、好奇心いっぱいに迫る。
社会主義の軍隊
講談社現代新書
<革命の軍隊>の本質とその変貌をさぐる.社会主義防衛と世界革命のための軍隊とは,いかなる集団で,その性格はどう変化してきたのか.ソ連赤軍,中国人民解放軍の分析から,現代の社会主義国家を考える
国家破産―累積債務とマネ-循環
講談社現代新書
世界経済の爆弾・巨額債務国救済の道は? 中南米諸国が抱える,返すあてのない巨額の借金.それを上回るアメリカの債務.一国の破産=世界経済の崩壊を食い止める世界のマネ-循環のメカニズムを探る.

自己変革の心理学 論理療法入門
講談社現代新書
心のなかの「ゆがんだ思考」があなたに挫折感や絶望感を与える。希望をうばう「どうせ思考」心をこわばらせる「べき思考」……。思考の筋道を正し、非合理のとらわれからみずからを解き放ち、しなやかで無限の可能性にみちた自分に出会う、自己訓練法。
自分を変える心理学――私は大学の教師になる以前、予備校の教師をしていたことがあるが、そこでは、「浪人までした以上、第一志望の大学に入れなければ自分の人生はもうダメだ」と思い込んでいたり、それに似た考えに固まっている学生はきわめて多かった。……人間が意識的・無意識的に行っている思考には、論理的・合理的で適切に、その人の自己実現につまりは幸福な人生に導いていくものと、非合理的・非論理的な思考で、それは自分で自分をダメだと決めつけたり、その不当な思い込みに自ら縛られて二進(にっち)も三進(さっち)もいかなくなり、結局は人を自滅の方向へ進ませてしまうものがあるということである。論理療法とは、先に述べた後者のような、非合理的・非論理的な思考を見つけて取り出し、それに有効な反論を加えて、しだいに考え方を変えさせ、……人がよりよき自己実現、幸福な生活に向かうのを援助しようとする。――本書より
韓国のニュ-リ-ダ-
講談社現代新書
韓国の“飛躍”を支えた若きリ-ダ-の群像アジアNIESの旗手として,転換と躍進を続ける韓国.政・財・官から文化界まで,次代をリ-ドする若手指導者たちの活躍を韓国のトップ・ジャ-ナリストが描く

私の紅衛兵時代-ある映画監督の青春
講談社現代新書
「天国」を夢みた毛沢東最後の挑戦、文革。彼の若き使徒、紅衛兵たちの反逆。破壊と挫折の日々を、人々はどう闘い、傷つき、死に、生きのびたのか?そして、下放先の大自然の中で得た、魂の新生……。「黄色い大地」を撮った中国映画界の旗手が、みずからの体験を、鮮烈な感覚でつづる、動乱期を生きた少年たちの、死と成長(イニシエーション)の記録!

日本の風景・西欧の景観 そして造景の時代
講談社現代新書
ヨーロッパ近代が生んだ遠近法と中心がたえず移動する日本特有の空間。視線の差異の発見と再発見、野性空間・田園・都市における風景観念の比較を通して、主体――客体二元論たる近代景観論の解体を論じ、ポスト・モダンの風景=〈造景の時代〉を予見する。
風景としの田園――このような田舎の都市生活社たちは、周囲の環境に向けて、往時の農民とはもはやまったく無縁の視線を注ぐ。彼らにとっては田園はまず風景である。だからこそ彼らは田舎らしさの記号を、農家風の建築や手動ポンプの井戸を保存したいと熱烈に願う。そして反対に高圧線や野外広告等、風景を損なう近代経済の記号が拡がることに反対する。すなわち彼らはきわめて忠実な農村風景の守護者なのである。けれども彼らは農業にはまったく無縁で、たいていの場合、地域社会の新参者にすぎない。そのため地域社会は彼らに対して、しばしば煮え切らない対応を見せる。しかしながら田園の都市生活者の趣味嗜好は社会全体において支配的な潮流となり、そのため彼らの風景に関する主張が一般に優位に立つことになる。かつて都市生活者によって発見された田園風景は、こうして農民の消滅のおかげで田舎に対してさえも押しつけられるようになったのである。――本書より

地球=誕生と進化の謎 最新地球学入門
講談社現代新書
微惑星の衝突が水惑星を生んだ……。世界中に衝撃をあたえた松井理論。「暗い太陽のパラドックス」「非均質集積論」「低質量モデル」などの最新キーワードによって、太陽系文明への扉をひらく、新しい“地球学”を提唱する。
異常な事が起こりつつある――日常我々は、地球を意識することなく生きている。我々にかぎらず生命はすべてこの地球から生まれたのであるから、これはある意味で当然のことといえる。地球の営みのなかに組みこまれて人類が生きているかぎり、地球のことなどとりたてて意識する必要はないのが普通である。したがって、現在のように人類が地球のことをことさら強く意識するというのは、何か異常な事態が起こりつつあることを意味する……地球環境問題を考えることは、文明の本質を問うことであり、人間のレゾンデートルを問うことであり、太陽系では生命の住む唯一の惑星である地球の起源と進化を明らかにすることである。地球と人類とのつきあい方を探るには、これらを総合的に論じなければならない。それは、宇宙論的な時空スケールで地球と人類の存在を考えることであり、現代を分析することである。――本書より

時間の本質をさぐる
講談社現代新書
時間とは、空気のような存在だ。目には見えず、とらえ所がない。時間が流れるのは、客観的事実なのか、人間の感覚なのか。エントロピー、ブラックホールの探究から〈時〉の神秘に迫る。
意識の時間の矢――人間コンピュータのメモリーの状況を生まれたときから死ぬまでながめて見ると、あきらかに一方方向に記憶量が増加しているであろう。つまり過去と未来の非対称性がある。人間は記憶のない方を過去、ある方を未来というのである。どうして記憶が増加しうるのか。人間もコンピュータも食物とか電力というネゲントロピー資源によって活動を維持して、それで情報をえる活動をして、記憶を増加させているのである。つまりは宇宙全体の歴史的時間の矢の影響をうけているのである。人間もマルクスウェルの魔物のような存在であり、環境にはたらきかけて、町をつくったり工場をつくったりして、エントロピーを減少させている。ただ熱力学第二法則に反するわけにはいかないので、なんの助けもなしにそれができるわけではない。太陽というネゲントロピー資源のおかげ、究極的には宇宙膨張のおかげをこうむって生きているのである。――本書より

手塚治虫 時代と切り結ぶ表現者
講談社現代新書
日本に巨大な漫画文化を築き、つねにそのトップランナーとして疾走しつづけた手塚治虫。アトム、レオ、0マン、火の鳥などのキャラクター、差別と反抗、生と死、歴史と正当性などのテーマ。苛烈な戦後空間をくぐりぬけた天才の燃える作品宇宙に迫る。
近代日本最大の知的職人――ぼくが、個人的に興味をひかれたのは、この作品の中で、創作者というものに対する手塚の考え方が提示されているとおもわれる部分だった。一つは、ベートーヴェンにむかって、モーツァルトがつぎのようにいいはなつ場面である。「新人というのは、自分で一番書きやすい作品をイソイソと持ってくる……だが、こっちからこういうものを書けというテーマを与えると、たいてい書けずに閉口する。そこがその新人の実力なんだ」あたえられたテーマがどんなものであれ、自分はすべてこなしてきたぞ、という強烈な自負。スポーツ物ならスポーツ物だけにかたまってしまう分業システムに安住しているマンガ家連中に対する痛烈な皮肉。モーツァルトの口を借りた、近代日本における最大の知的職人たる手塚ならではの発言といえないだろうか。――本書より
ジャパン・プロブレムの原点
講談社現代新書
世界の孤児の道を避ける構造変革への試み.透明性の欠けた社会,仲間うちにのみ通用することば,補給を考えない経済戦略……日本は次第に世界の孤児になりつつある.気鋭の論客のグロ-バルな変革への提言

言葉・狂気・エロス 無意識の深みにうごめくもの
講談社現代新書
人間存在の最深部でみたされぬ生のエネルギーが奔出する。広大な無意識の言語風景の中で、狂気とエロティシズムの発生を精緻に、鮮烈に照射する哲学の冒険。
殻を脱がない蛇は死ぬ――ローマ時代の修辞家・クインティリアヌスは“Damnant quod non intelligunt(人は自分が理解できない物事は、ダメなもの、間違ったことと決めつける)”と言ったが、まことに人間老いも若きも、わからないものはいやなのである。……しかし日常の創発性という生命の動きがとまってはならない。動きとはまた変化でもある。「殻を脱がない蛇は死ぬ」。――本書より

今こそマルクスを読み返す
講談社現代新書
マルクスは人間や社会や歴史をどうとらえ、『資本論』で何を語り、近代資本主義の未来をどのように予見したのか? 今やマルクス主義は本当にもう無効になってしまったのだろうか? 20世紀世界の根幹的思想を、独自の視点と平明な言葉で掘り返し、脱近代への発展的継承を試みる。(講談社現代新書)
今だからこそマルクスの根本思想を再検討。マルクスは人間や社会をどう把え、『資本論』で何を言おうとしたのか? 近代社会の未来をどう展望したのか? 二十世紀世界の根幹思想の発展的継承を試みる。
作ると考える 受容的理性に向けて
講談社現代新書
近代知の地平を超え,新たな思惟の形を探る対象としての世界の認識に真理の条件を見る近代の知.「知る」と同一化された「思考」を峻別し,世界の在る意味を問う力とするベく格闘する現代思想の試みを解説
天安門落書
講談社現代新書
’89年天安門に燃えた民主化切望の言葉群「行行好、給点民主 !・どうぞ民主をお恵み下さい」特権階級の横暴、体制の腐敗に対し学生・労働者が放つ辛辣な批判。「言葉の国」の伝統に根ざした落書を読む
巨大機関投資家
講談社現代新書
ジャパンマネーをあやつる巨人たちの生態。国家規模の運用資産をもち、情報とコンピュータを武器に世界市場を動かす巨人たち。世界マネー戦争の主役に踊り出た日本の生保、損保、投信、銀行の実態に迫る。

空と無我 仏教の言語観
講談社現代新書
「行くものは行かず」――ナーガールジュナの逆説(パラドックス)が示す、言語(ロゴス)の限界と可能性とは? シャープな論理展開で、〈空〉の思想と〈無我〉の実践に大胆にアプローチ。
イルカのジャンプ――言葉の海を越えて
有限や無限という言葉(あるいは概念)は、微分・積分のような高度な計算を可能にし、世界を支配する巨大な力を生み出した。しかし、それでもなお言葉はあくまでも道具であることを知らねばならない。それをもって世界を説明しようとしてはならない。仏教はそのことを教えるために無分別や無念無想などという言葉を使うのである。ひとは幼児期から言葉の海にひたって育つ。ひとが言葉の海を突きぬけるためには、イルカのようなジャンプが必要なのである。――本書より