講談社現代新書作品一覧

ジョ-クの哲学
講談社現代新書
――祭りの打ち上げの料亭で。「お膳は喧嘩の前に出しますか、後に出しますか」―――転んで起き上がったら、また転んだ。「いまいましい。起きるんじゃなかった」レトリックやメタファーの分析で見えてくる、「〈私〉とは」「存在とは」「時間とは?」ジョークは人間真理の哲学である。
ぐうたらの哲学――「夜、小用に起きて戸を開けようとしたが、宵からの雪で凍りついて開かない。いいことがある。敷居の溝に小便をかけると、滑らかに戸が開いた。外へ出たが、何も用がない」主人公は、若いくせに人生に何も期待というものを持たないクズのような人間である。敷居の戸を開けようとして開かないなら表に出なくでもいい、というようなぐうたらなのだ。その彼がふと、敷居の戸を開ける工夫というものに動機を持つ。しかしその微かな動機でさえも無益になる。小さな動機を寒々とした冬の陰影の中に葬って、再びぐうたらの殻の中に彼は寝そべる。――本書より
甦るフロイト思想
講談社現代新書
精神分析の課題を現代フロイト思想で考える「かたち」と「みかけ」の文化にあって,人間の欲望の訴えはいかなる出口をもつか.「欲望」と欲動・理想我・他者などフロイト=ラカン思想を武器に解き明かす.
ハイテク情報を読みこなす
講談社現代新書
疾走する先端技術の相貌をどうとらえるか。現代社会のあらゆる局面に、さまざまな形で先端技術が顔をのぞかせている。AI、SDIから立体テレビ迄、ハイテクノロジーの現在と進化の方向をわかり易く解説
ラインとスタッフ
講談社現代新書
2キーワードを軸に組織の論理と力学を探る「決断」のライン職と「情報提供」のスタッフ職を中心に、経営革命で変貌する組織のダイナミズムを解明し、若いビジネスマンのキャリア展開に的確な指針を提供。

「韓非子」の知恵
講談社現代新書
権謀術渦まく戦国の世。人心を掌握し、統治の実効をあげる秘策とは何か?冷徹な人間観察と現実主義に立って、厳格な「法」の適用と、信賞必罰の「術」を説き、秦の始皇帝のブレインとなった思想家・韓非。時代を超えて読みつがれる古典には、時代を生きぬく貴重な示唆と知恵がある。

ビ-トルズ
講談社現代新書
ポップにハードに時代を疾走し、メディア芸術の頂点を極めた港町の“チンピラ”たち――THE BEATLES.伝説の'60年代を、ポスト・モラトリアムに向けて読み直す。――The rest it up to you.
「オーディションに受かったかな」――「レット・イツト・ビー」の最後で、ビートルズが《ゲット・バック》を歌った後、ジョンは「オーディションに受かったかな」と言って周囲を笑わせているが、経営者が本社ビル屋上でコンサートをやるという図式そのものが、プレイイング・マネイジメントのあり方を示している。しかし、彼らの場合は、器の方が不安定で、それ以上の中身を盛り込むことができなかった。その意味では、ビートルズは、あの屋上のオーディションに落ちたのである。――本書より
書斎 創造空間の設計
講談社現代新書
どう使いこなすか28人の書斎活用法を拝見ルネサンスに誕生した書斎の歴史を軸に、現代人のハイテク派、物置き派、男の泣き部屋派、通勤電車の移動書斎派、果ては無用論まで様々な創造空間獲得術を紹介。
「スキャンダル」の記号論
講談社現代新書
「スキャンダル」情報氾濫現象の背景を斬る本来は日陰の存在とされていた「スキャンダル」が、オモテ社会の舞台で人々の好奇の視線を集める時代。情報の送り手と受け手の間に今何が起きているのかを解明。
はじめてのパソコン
講談社現代新書
パソコン落ちこぼれ族救済のための福音書。パソコン本体のさわり方から、1+1の計算、日の丸の設計、住所録の作成とそのラベル印刷まで、画面変化を逐一追いながらマスターする手とり足とりの入門書。
転換する日本企業
講談社現代新書
ウチとソトから転換を迫られる日本企業分析OA化、円高、アジア諸国の追いあげなど日本企業はいま転換期にさしかかっている。年功序列、タテ社会、家族主義など企業原理を点検しつつ、未来像を提示する。

老荘を読む
講談社現代新書
「知る者は言わず、言う者は知らず」「朝三暮四」など、多彩な箴言(しんげん)と寓話にいろどられ、二千数百年を生きる「老子」と「荘子」。その深くはるかな知恵は、無心に遊ぶ赤子の姿、天空高くはばたく巨鳥の眼を借りて、欲望と競争に憑かれた人間を嘲い窮まることのない世界に自在に遊ぶ。
老子の「道」と荘子の「道」――大胆かつ奇怪な表現によって、荘子は、世俗世界に生きるわれわれの常識を揶揄し嘲笑し、そして完膚(かんぷ)なきまで叩きのめしてしまうのである。こう見てくると、老子の「道」の思想が宇宙生成論を含み、「道」は天地自然の根底に存している実在のおもむきがあるのにたいして、荘子の「道」は天地自然の変化そのもの、時々刻々にはたらいている活動そのもの、という感じがある。それだからこそ、老子が始源としての「道」に「復帰」することを説くのに、荘子は「天地の一気に遊」び、変化そのものに同化して生きることを説くのである。――本書より
中東を読むキイ・ワード
講談社現代新書
不透明な世界=中東を理解する新しい見方.国別,宗教別にわけて中東を理解した気分になるのは危険だ.本書は,構造的相互依存,アンビバレンスなど,九つのキイ・ワ-ドから複眼的に把える方法を提示する
趣味人の日曜日
講談社現代新書
書斎派趣味人におくる楽しい暇のつぶし方。由緒正しい勤め人のルーツを江戸住みの武士に求め、書斎のつくり方、伝奇物やエッセイのたしなみ、ウンチクを傾ける歴史散歩など、お金のいらない過し方を紹介。

自己抑制と自己実現
講談社現代新書
待つ、耐える、粘る、頑張る……。いきすぎた「がまん」は、こころの歪みやねじれをもたらす。一方、エゴ抑制の習慣がなければ、人間らしく生きていくことはできない。「がまん」=自己抑制のメカニズムを解き、その活用法をとおして、ストレス時代の「自己実現」を考える。
主張上手は我慢上手――なまじロを開けば災が起こる。私たちがここで考えたいのは、「物言えば唇寒し」とひたすら我慢を決め込むのではなく、かといって「物言はぬは腹ふくるる」とばかり、相手かまわず事情も言い方も考えずに言いたい散題を言うのでもなく、相手の立場を考えて効果的に言いたいことを言う、その言い方についてである。主張上手になることは、我慢上手になることに通じる。――本書より
最高裁判所
講談社現代新書
ベールの中の司法中枢に迫り法の危機を追う裁判官たちの激務、判決の反応を気にしてテレビにかじりつく姿、日本の全裁判官の人事を握る会議、憲法判断の揺れなど、知られざる最高裁の内側を明らかにする。

ユングとオカルト
講談社現代新書
「隠されたる神」の実在がユングを勇気づける。明晰で合理的な意識とふくれあがる無意識の領域。分裂した自我の統合をめざすユングにグノーシスの呼び声がとどく。ヘレニズムの精神的発酵のうちに生まれたこの思想は、ヘルメス学、カバラ、薔薇十字に受け継がれ、集合無意識、星の強制力などの概念をユング心理学に胚胎させる。
“隠されたもの”――彼が好んで占星術に言及したのは、この一連のいわゆるオカルトに対する興味からだけではない。魚座の時代に続く水瓶座の世紀は、この分裂した自我が銃合されるものと彼は考えていた。それは必ずしも宿命的な占星術のお告げを、彼が盲信していたからだけではない。ユングは無意識の中にうごめく力の奇妙な結晶体が、人間の意識を揺り動かすエネルギーを発して、それが人々の運命をリードするという意味で、占星術における運命決定論を許容し認めていたが、新たな水瓶座を示すイメージは、全人格的な原人アントローポスが、壺の水を魚のロに注いでいるもので、この象徴的イメージは、ユングによれば、意識と無意識をつなぎ、内にも外にも開かれた全人が、ようやくこの世にあらわれてくる前兆と考えられた。――本書より
素読のすすめ
講談社現代新書
外国語学習にも効果的な「ソドク」の再発見漢文素読の下地が明治の語学の達人を生み、聖書・古典の暗誦がヨーロッパの偉人たちをつくった。「意味」よりも「音」の効用を先人の例と実践を通して解説する。
空飛ぶ巨大技術ジャンボ
講談社現代新書
五百人を亜音速で運ぶ巨人機の運航を解剖.推力五万lb,東京―N.Y.をノンストップで飛ぶジャンボのコントロ-ルは極めて緻密な超高度技術に委ねられている.フライトを支える精密システムを分析する
ヒアリング上達法
講談社現代新書
日本人英語最大の弱点、聴取力アップのコツBGMのように英語を聞いても実力は上らない。英語独特のリズムや弱形、短縮形などの音の法則を明らかにしTV、映画など具体的なレベル別上達法を伝授する。
「誤り」の心理を読む
講談社現代新書
「誤りを犯さない人間」は存在可能だろうか結果の重大性に縛られて誤りを避けようとするネガティブな人間観を排し、人間に構造的に組みこまれたものとしての誤りの積極面を考察し、能動的な生き方を勧める