講談社現代新書作品一覧

老荘を読む
講談社現代新書
「知る者は言わず、言う者は知らず」「朝三暮四」など、多彩な箴言(しんげん)と寓話にいろどられ、二千数百年を生きる「老子」と「荘子」。その深くはるかな知恵は、無心に遊ぶ赤子の姿、天空高くはばたく巨鳥の眼を借りて、欲望と競争に憑かれた人間を嘲い窮まることのない世界に自在に遊ぶ。
老子の「道」と荘子の「道」――大胆かつ奇怪な表現によって、荘子は、世俗世界に生きるわれわれの常識を揶揄し嘲笑し、そして完膚(かんぷ)なきまで叩きのめしてしまうのである。こう見てくると、老子の「道」の思想が宇宙生成論を含み、「道」は天地自然の根底に存している実在のおもむきがあるのにたいして、荘子の「道」は天地自然の変化そのもの、時々刻々にはたらいている活動そのもの、という感じがある。それだからこそ、老子が始源としての「道」に「復帰」することを説くのに、荘子は「天地の一気に遊」び、変化そのものに同化して生きることを説くのである。――本書より
中東を読むキイ・ワード
講談社現代新書
不透明な世界=中東を理解する新しい見方.国別,宗教別にわけて中東を理解した気分になるのは危険だ.本書は,構造的相互依存,アンビバレンスなど,九つのキイ・ワ-ドから複眼的に把える方法を提示する
趣味人の日曜日
講談社現代新書
書斎派趣味人におくる楽しい暇のつぶし方。由緒正しい勤め人のルーツを江戸住みの武士に求め、書斎のつくり方、伝奇物やエッセイのたしなみ、ウンチクを傾ける歴史散歩など、お金のいらない過し方を紹介。

自己抑制と自己実現
講談社現代新書
待つ、耐える、粘る、頑張る……。いきすぎた「がまん」は、こころの歪みやねじれをもたらす。一方、エゴ抑制の習慣がなければ、人間らしく生きていくことはできない。「がまん」=自己抑制のメカニズムを解き、その活用法をとおして、ストレス時代の「自己実現」を考える。
主張上手は我慢上手――なまじロを開けば災が起こる。私たちがここで考えたいのは、「物言えば唇寒し」とひたすら我慢を決め込むのではなく、かといって「物言はぬは腹ふくるる」とばかり、相手かまわず事情も言い方も考えずに言いたい散題を言うのでもなく、相手の立場を考えて効果的に言いたいことを言う、その言い方についてである。主張上手になることは、我慢上手になることに通じる。――本書より
最高裁判所
講談社現代新書
ベールの中の司法中枢に迫り法の危機を追う裁判官たちの激務、判決の反応を気にしてテレビにかじりつく姿、日本の全裁判官の人事を握る会議、憲法判断の揺れなど、知られざる最高裁の内側を明らかにする。

ユングとオカルト
講談社現代新書
「隠されたる神」の実在がユングを勇気づける。明晰で合理的な意識とふくれあがる無意識の領域。分裂した自我の統合をめざすユングにグノーシスの呼び声がとどく。ヘレニズムの精神的発酵のうちに生まれたこの思想は、ヘルメス学、カバラ、薔薇十字に受け継がれ、集合無意識、星の強制力などの概念をユング心理学に胚胎させる。
“隠されたもの”――彼が好んで占星術に言及したのは、この一連のいわゆるオカルトに対する興味からだけではない。魚座の時代に続く水瓶座の世紀は、この分裂した自我が銃合されるものと彼は考えていた。それは必ずしも宿命的な占星術のお告げを、彼が盲信していたからだけではない。ユングは無意識の中にうごめく力の奇妙な結晶体が、人間の意識を揺り動かすエネルギーを発して、それが人々の運命をリードするという意味で、占星術における運命決定論を許容し認めていたが、新たな水瓶座を示すイメージは、全人格的な原人アントローポスが、壺の水を魚のロに注いでいるもので、この象徴的イメージは、ユングによれば、意識と無意識をつなぎ、内にも外にも開かれた全人が、ようやくこの世にあらわれてくる前兆と考えられた。――本書より
素読のすすめ
講談社現代新書
外国語学習にも効果的な「ソドク」の再発見漢文素読の下地が明治の語学の達人を生み、聖書・古典の暗誦がヨーロッパの偉人たちをつくった。「意味」よりも「音」の効用を先人の例と実践を通して解説する。
空飛ぶ巨大技術ジャンボ
講談社現代新書
五百人を亜音速で運ぶ巨人機の運航を解剖.推力五万lb,東京―N.Y.をノンストップで飛ぶジャンボのコントロ-ルは極めて緻密な超高度技術に委ねられている.フライトを支える精密システムを分析する
ヒアリング上達法
講談社現代新書
日本人英語最大の弱点、聴取力アップのコツBGMのように英語を聞いても実力は上らない。英語独特のリズムや弱形、短縮形などの音の法則を明らかにしTV、映画など具体的なレベル別上達法を伝授する。
「誤り」の心理を読む
講談社現代新書
「誤りを犯さない人間」は存在可能だろうか結果の重大性に縛られて誤りを避けようとするネガティブな人間観を排し、人間に構造的に組みこまれたものとしての誤りの積極面を考察し、能動的な生き方を勧める

中国の名句・名言
講談社現代新書
誰しも口にする、おなじみの名句。その意味をひもといてみると――使い慣れた「君子豹変」が、実は“立派になる”ことなど、思いがけない故事来歴をエピソード豊かに紹介し、名言に語り継がれた人間の知恵と抒情を味わう。
君子豹変――「君子豹変」は便利なことばです。――君、この間はこう言ったじゃないか。などと問いつめられたりしたときに、――「君子豹変」さ、アハハハハ。と笑ってごまかすことができます。……しかし考えてみると、君子とはりっぱな人をいうはずですから、こんな風に時と場合によって要領よく態度を変えるのが君子とはどうもおかしいのですが、おかしいはずなので、少ししらべてみると、もとの意味は決してそんなことではないことがわかります。――本書より
新版・魏志倭人伝
講談社現代新書
最新の研究成果を踏まえて古代の謎に挑む。日本古代史の謎を解く鍵=『魏志倭人伝』をどう読み解くか。邪馬台国の所在、卑弥呼の実像、倭人の社会と古代ヤマト政権をめぐる諸問題をあざやかに解明する力作

ユダヤ人
講談社現代新書
流亡の民・聖書の民・キリストを殺した民、ユダヤ人。紀元70年に国を失って以来、強固な民族性を保ってきた謎。ナチスの大量虐殺を頂点に、数々の迫害を受けてきた理由。マルクス、アインシュタインなど優秀な入物を輩出してきた秘密。ロスチャイルドに代表される大富豪がいる一方、極貧にあえぐ人々がいる。権力に取り入った物がいると思えば、革命家になる者もいる。毀誉褒貶のはげしいユダヤ人の謎を歴史をたどりながら解明する。
儀式殺人――儀式殺人とは、ユダヤ人はキリスト教徒の血を儀式用に使っているという非難である。すなわち、1人のキリスト教徒がいなくなるとする。すると、ユダヤ人が彼を誘拐し、拷問し、イエスをあざ笑って十字架にかけ、その後そのキリスト教徒の血を抜いて近所のユダヤ教徒にくばる。すると近所ではそれを過越の祝い(ペサハ)の種なしパン(マッツオート)の用意のために使う、というのである。一方、そのキリスト教徒は殉教したということで聖者になり、「罪を犯した」ユダヤ人たちは虐殺され、また財産も没収された。ユダヤ人に対するこのような根も葉もないでっち上げは13世紀末、とくにひんぱんに行なわれた。――本書より
オカルト
講談社現代新書
オカルトが人間精神史に果した意味を探る。グノーシス、ユダヤ神秘主義を淵源に、カバラ、黒魔術、占星術、錬金術、秘密結社と続くオカルティズム。〈非合理・反合理〉の中に込められた反逆の思考を解説。
韓国 ヴェンチャー・キャピタリズム
講談社現代新書
ベンチャー国家韓国の目をみはる躍進の秘密資源・技術ゼロから出発し、いま日本に追いつこうとする韓国。若い財閥のエネルギー、激しい設備投資、累積債務の影など、奇跡の韓国経済の野望と不安を分析する
ひたむきに生きる
講談社現代新書
つまづきを恐れずに生きる若い世代のために惑いや悩みの中で自分の生き方を模索しつづけた青春の日々。心励まされた多くの書物や人々との出会い。ひたむきに歩みつづけた自らの道程をふり返る人生論ノート
上級をめざす英会話
講談社現代新書
ネイティヴに通じる英語を自在に話すためにジャパニーズ・イングリッシュではお天気の話以上には進まない。真に通じる英語を知り、育て、実践の場でいかに応用していくかまでを懇切に説く、松本英語完結編

聖書は何を語っているか
講談社現代新書
「イスラエルの家の失われた羊以外の者にはつかわされていない」というイエスの言葉はユダヤ人のみに向けられたのだろうか。天国とはどんな場所か。パリサイ人とは何者か。羊飼いの貧しさとはどういう状態をいうのか。一見馴染みにくく思われる聖書の言葉は人間存在の根本を普遍性の光で満たしながら生の真理を解き明かしているのである。
自分の貧しさを知る人とは――私が日本に初めて来たのは、第二次大戦直後であつて、日本人は確かに貧しかった。だから思うに、彼らは天国に近かった。また多くの日本人が熱心にイエスの教えに耳傾け、喜んでそれを受け入れた。しかし残念ながら、経済界の繁栄とともに――特に東京オリンピック以来日本人の精神面は衰えたと私は恩う。日本はもはや貧しい国ではなく、アジアにおける――そして世界における――富める国の一つである。だから国民として、天国からは遠のいている。このように言うのは申し訳ないが、言わざるを得ない。――本書より
「豊かさ」のパラドックス
講談社現代新書
高度感性社会の隘路から自己表現の道を探る情報化、高度消費文化、対抗文化……いま社会はめまぐるしく変貌している。はたして柔らかい個人主義は可能か。自己実現から自己表現のプロセスを真摯に考える。

人体の不思議
講談社現代新書
30兆もの細胞がネットワークを形づくる人体は、もっとも身近なワンダーランド。脳の前進基地としての眼、舌をかんで死ぬ時代劇の嘘、美女は頭蓋骨も美しい――など、不思議にみちみちたミクロコスモスに潜入し、その謎を探る。
ボディ・ウォッチング――心臓が左に偏っていることを知っている人は多いが、そのために、左肺が右肺よりも大分小さくなっていることまでは、なかなか気がつかない。その結果は気管支にも影響し、右気管支は左気管支に比べると、太くて短く傾きも急なので異物が誤って気管に入った場合、右の方に入りやすいという知識になると、さらに怪しくなる。私たちが毎朝鏡のなかで覗きこんでいる毛髪にも、あまり知られていない面が少なくない。髪がウエーブしすぎて悩んでいる人もいれば、立ちすぎて困っている人もあるが、このような毛の外観はその断面の形と深い関係がある。つまり、横断画の形が扁平なものほどウエーブしやすく、円形に近いものほどまっすぐになるのである。――本書より