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1972.11.20発売
適応の条件
講談社現代新書
異なる文化に接した場合の〈カルチュア・ショック〉は、日本人において特に大きい。そこには、日本社会の〈タテ〉の原理による人間関係と、ウチからソトへの〈連続〉の思考が作用している。本書は、欧米・インド・東南アジアなど、ソトの場での日本人の適応と、そこに投影された〈ウチ〉意識の構造を分析し、〈強制〉と〈逃避〉という2つの顕著な傾きを指摘する。(講談社現代新書)
異なる文化に接した場合の〈カルチュア・ショック〉は、日本人において特に大きい。そこには、日本社会の〈タテ〉の原理による人間関係と、ウチからソトへの〈連続〉の思考が作用している。本書は、欧米・インド・東南アジアなど、ソトの場での日本人の適応と、そこに投影された〈ウチ〉意識の構造を分析し、〈強制〉と〈逃避〉という2つの顕著な傾きを指摘する。著者のゆたかなフィールド・ワークをもとに、国際化時代の日本人の適応条件を考察する本書は、ベストセラー『タテ社会の人間関係』につづく必読の好著である。
システムの発見――ゴムの産地として名高いマレーシアでは、英国統治時代からいわれてきた「ラバー・タイム」というのがある。ゴムのように伸びる時間の感覚である。熱帯ではどの国でも多少こうした傾向があるのがつねである。これに対して、約束した日時を守らないといって2年間も憤慨しつづけて過す日本人などがある。何度か同じように日時が守られなかった経験をもった場合には、怒るよりも、まず「なぜだろう」と考えるべきである。必ず何か理由があり、そのおくれ方自体に一定のシステムがみつかるものである。たとえば、1ヵ月といった場合はだいたい2ヵ月を意味するとか。表現というものは必ずしも実際の数を意味しないということは、どこの文化にもあることである。――本書より

1972.11.20発売
本はどう読むか
講談社現代新書
本書は、本の選び方、読み方から、メモのとり方、整理の仕方、外国書の読み方まで、著者が豊富な読書経験からあみだした、本とつきあう上で欠かすことのできない知恵や工夫の数々をあまさず明かし、あわせて、マス・メディア時代における読書の意義を考察した読んで楽しい知的実用の書である。そして同時に、ここには、読書というフィルターを通して写し出された1つの卓越した精神の歴史がある。(講談社現代新書)
昭和を代表する知識人の体験的読書論 待望の復刊
本の選び方、読み方、メモのとり方、整理の仕方、外国書の読み方――。
豊富な読書経験からあみだした知恵や工夫の数々を紹介する、
読んで楽しい知的実用の書。
【目次】
1 私の読書経験から
2 教養のための読書
3 忘れない工夫
4 本とどうつきあうか
5 外国書に慣れる法
6 マスコミ時代の読書

1972.11.20発売
バロック音楽
講談社現代新書
バロック音楽は、ある意味でもっとも現代的な音楽である。いっさいの先入観を必要とせず、虚心に音の美しさにひたりきらせる純粋さ。楽譜は見取り図にすぎず、ジャズにも似て即興演奏が重視され、聞く者の心に応じた多様な接近が可能となる。バッハやヴィヴァルディに象徴されるようにロック・ファン、ポビュラー・ファンにまで幅広く愛されている理由であろう。本書は、バロック音楽に関する最良の解説書であり、ファン待望の書である。
現代に生きるバッハ――最近おもしろいレコードを聞いた。バージル・フォックスという教会オルガニストがロックの会場で、何万というロック・ファンの若者たちにバッハのオルガン曲を聞かせている実況録音レコードである。まともなバッハである。正統的な演奏といってしまってさしつかえないだろう。多少リズムを鋭くし、テンポをいくぶん速目にとっているが、バッハの音楽には何の変形も加えていない。ところが、若者たちはフォックスの演奏を口笛をもって迎え、バッハの音楽の展開につれ、だんだん興奮し、あげくのはては手拍子までとって熱狂してゆくあり様である。わたくし自身、彼の演奏を生で聞いているが、バッハの音楽との違和感を覚えないばかりか、むしろバッハの音楽の普遍性というか、包容性というものにあらためて感嘆してしまったのである。――本書より
書評再録(本書より)
●バロック音楽と、どこかで、ふと偶然に出会った人に、さらにこの世界にふみ入るための手引きとして、本書は書かれている。一応、歴史的な概説を軸としているが、固苦しい学問臭はほとんど感じさせず、著者の個人的体験をまじえながら、バロック音楽の現代人への問いかけの意味を、一緒に考えて行こうとする姿勢に貫かれている。――-読売新聞-
●氏は、音楽にたいしてつねに開かれた態度で接しようとしている音楽学者であり、バロック音楽のすばらしさを説きながらも、それをべつの時代やべつの民族の音楽に対する優越性とすりかえようとはしない。また宗教音楽についても、「日本人には真の理解は難しい」式の俗論とは破綻委に、バッハが教会のためにも世俗のためにも、いかに人間くさい音楽を書いたかを力説する。――-朝日新聞-

1972.11.16発売
中国古典名言事典
多面的活用に堪える本事典の特色
1 テーマ別の件名索引により、必要に応じ縦横な活用ができる。
2 出典書目は、著名な中国古典および個人の詩集、随筆にもおよび約2百に近い。
3 約1万項目の50音索引は、文章の中間の語句からも検出できるように細分してある。
4 重要な出典書目には、簡潔な解説をつけ本文成立の背景を理解できるようにした。
5 採録した項目は、約4千8百であり、書下し文に照応する原文を付けてある。
中国の古典の中には人生の指針ともなり、励ましともなり、あるいはまた慰めともなる名言格言が数多く存在する。それを纒めたら己れを益し人を益することが定めし多かろうとはかねがね考えていたことであった。名言格言は語句が短くて覚え易く、かつ内容が多種多様に亘っているから人生百般のことに通用が出来る。これらの一言一句で一生の運命を定めた偉人傑士の例も少なくはない。ただ名言格言はただに読むというべきものではない。これを鑑として我が身をこれに映し、反省の資とすべきものである。もし読者がこの心もて本書に対して下されるなら必ずや益するところがあるであろう。著者としての希望はただその一事である。――著者のことば

1972.11.15発売
聖書のなかの女性たち
講談社文庫
血ぬられたキリストの顔を布で拭ったヴェロニカ、マグダラのマリア、大司祭長カヤパの女中、ヨハネの首を得たサロメ、良妻賢母型のマルタ、ローマ総督ピラトの妻等、聖書のなかから11人の女性を選び、“苦しみの連帯感”ともいうべき人間論を展開。遠藤文学の基調音を奏でた、感動を呼ぶエッセイ。(講談社文庫)
血ぬられたキリストの顔を布で拭ったヴェロニカ、マグダラのマリア、大司祭長カヤパの女中、ヨハネの首を得たサロメ、良妻賢母型のマルタ、ローマ総督ピラトの妻等、聖書のなかから11人の女性を選び、“苦しみの連帯感”ともいうべき人間論を展開。遠藤文学の基調音を奏でた、感動を呼ぶエッセイ。

1972.11.15発売
階級
講談社文庫
現代社会の〈辺境〉とも言える廃鉱に遺棄され、痛憤の生存を強いられる人々の、熾烈をきわめる階級的憎悪の情念。内面までも風化解体に瀕した人間破壊の状況は、読者に異様な衝撃と戦慄を与える。〈辺境〉の外で惰眠する人間の、精神の荒廃を烈しく指弾した傑作。他に、炭鉱離職者をテーマにした「せむしたちの冬」を収録。

1972.11.15発売
三匹の蟹・青い落葉
講談社文庫
存在の孤独と愛の倦怠のただ中にある「現代の生」。……そのこわれてしまった姿を、乾いた抒情のうちに残酷に啓示して、芥川賞を受けた「三匹の蟹」。それに、三部作〈構図のない絵〉〈虹と浮橋〉〈蚤の市〉より成る、もの憂さ漂う青春への訣別の詩「青い落葉」を収めた、大庭文学の不朽の名作。

1972.11.15発売
暗夜行路
講談社文庫
不義の子として生まれ、父に冷遇され、祖父の家で育てられた主人公・時任謙作が、暗い運命に創作をもって立ち向かう自我発展の経過を、美しい自然描写とともに、明晰な文体で表現。祖父の妾で20も年上の女に恋する謙作の出生の秘密とは? 現代日本文学の記念碑とも称すべき名作長編。17年間を要した著者唯一の長編小説である。

1972.11.10発売
ふたりのイーダ
直樹は、夏休みにおとずれた田舎の町で、イーダという小さい女の子の帰りを待ちつづけている、ふしぎないすに出会った。イーダというあだ名をもつ妹のゆう子といすの謎を追う直樹は……。原爆の惨禍を告発する傑作。
赤い鳥文学賞特別賞受賞

1972.10.25発売
日本人の意識構造
講談社現代新書
子どもを危険から守るとき、日本人はかならず前に抱きかかえる。それはなぜか――。日常の何気ない動作や人間関係に表われる意識下の民族的特質に注目しつつ、ユニークな視点から日本人像をあざやかに浮かび上がらせ、独特の歯切れのいい会田史観を展開した快著。話題のロングセラーの新書版である。
短距離とマラソン――わたしたちはかならず、ひじょうに短い目標を定める。10日間がんばれ、20日間がんばれ、せいぜい1年間がんばれということになり、そういうときにはエネルギーが集中する。背中で対象を感得できる程度に短期目標であり、想像力でも把握できるように具体的な競争相手を明確に設定するとき、はじめて、その達成にひじょうな努力を払うということになる。突貫工事とか、追いつけ追いこせ、という形にするときひじょうにうまくいく。これは、内側を向いている人間の心理、内側を向いている精神的姿勢の特徴であろう。それは、ひじょうな長所であるかもしれない。一方、ヨーロッパ人に対して、3日間だけ、1年間だけがんばれといっても効果はすくない。壮大な長期目標がないと元気が出ないというのがヨーロッパ人、つまり外側に向いている人間の弱さである。――本書より
書評再録(本書より)
●日本人とは、どういう民族なのか、その特質はどこにあるのか、いまほど問題にされているときはない。国際的にもそうである。本書は、日本人の意識構造の特質を、独自の発想法でみごとにえぐり出している。――-毎日新聞-
●だれもが知っていること、逆に、だれもが見のがしていたことを手がかりに、日本人の長所や短所が、アメリカやヨーロッパと対比のうえで描き出されてゆく。……実にみごとな料理ぶりというほかない。――鯖田豊之氏-読売新聞-
●学問の通常のワクを越えた発想をしながら、それが単なる思いつくではなく、ユニークな体系にまで発展し、それが文化や時務の解明、批判の武器として活用されている……氏のものはいつも独自であり、新鮮である。――尾鍋輝彦氏-サンケイ新聞-

1972.10.15発売
司馬遷―史記の世界―
講談社文庫
歴史家は無為である、また為さざることなし――容易にみえて容易ならざる覚悟と執念で、司馬遷が記録した大著『史記』。司馬遷の歴史家としてのきびしい態度と、そこに描かれた世界の中心たる政治的人間たちを著者は浮き彫りにする。そして歴史と人間世界を空間的・全体的に把握しようと試みた古典的名箸。

1972.10.15発売
北斗の人
講談社文庫
剣に賭ける周作の悲願は、古法の兵法から合理的な竹刀剣術への創始にあった。江戸表の他流に挑むや、天賦の才は忽ち冴えて並ぶ者なく、かつて苦渋をなめた馬庭念流と雌雄を決すべく上州へ乗りこんでゆく――。奥義にいう“それ剣は瞬息、心気力の一致”北辰一刀流開祖、千葉周作の生涯を描く傑作。

1972.09.15発売
正法眼蔵随聞記
講談社文庫
仏教の根本教説に基づいて、生活全般から仏教者のあり方までを説き、人生の究極のあり方を示した、道元禅師の法話を、弟子の懐弉(エジョウ)が4年間にわたって書きとめ編して伝えた、正法眼蔵随聞記。ここに、東西の思想に造詣の深い哲学者によって、新たな視点からの道元の神髄に迫り、現代人の生活によみがえる。。本書は長円寺本を底本に、清新な現代語訳、懇切な注、解説は、東大哲学科の山崎正一教授の執筆になる。

1972.09.15発売
オセロー
講談社文庫
シェイクスピア四大悲劇の一つ。勇猛なムーア人の武将オセローは、美しい公爵令嬢デズデモーナの愛を得て妻とするが、旗手イアーゴーの奸計に落ち、猜疑に狂って妻を殺害した後、妻の潔白を知る――。人間の多面的な性格像を鮮烈に彫り上げ、深刻な運命劇に凝縮させた不朽の名作の魅力に肉迫する、木下順二の名訳。
旗手イアーゴーの奸計に落ち、猜疑に狂って愛する妻デズデモーナを殺害するムーア人の武将オセローを主人公とする、シェイクスピア四大悲劇の一つ。原作の力強さを再現する最新決定訳。

1972.09.15発売
楊貴妃伝
講談社文庫
玄宗皇帝の寵愛を受け、後宮の最上位を占めた後、皇帝の妃となった楊貴妃の運命的な短い生涯を、唐代の史実の中に掘り起こしながら、女の愛の不思議さと、権力者の非情な心のからみあう人間ドラマを、絵巻物のように浮かび上らせ、壮大な叙事詩として構築した名編。

1972.09.04発売
モモちゃんとプー
ちいさいモモちゃんのうちに赤ちゃんがうまれて、モモちゃんがおねえさんになるまでのおはなし。黒ねこのプーにもジャムという友だちができて……。いつも元気でおしゃまなモモちゃんの楽しいおはなし17編を収録。
赤い鳥文学賞特別賞受賞

1972.08.15発売
女性の歴史(下)
講談社文庫
己れ性を凝視し、母性我に婦人問題の原点を見る、女性解放のための科学的書物。なぜ、男女の社会的不平等が存在するようになったのか? 「母系制の研究」「招婿婚の研究」を基底に、情熱的筆致で論考する。一貫して母性我に視点を据え、自然なる原始の母性我的母権社会への復帰を願い、平和を指向する。女性であるがゆえに、詩人の魂を持つがゆえに、はじめて可能であった、不朽の名著。
「原始女性は太陽であった」――自然なる原始の母性我的母権社会から、室町以降の男性の個人我の父権社会をへて、それの訂正、原始復帰への最初の叫び。重圧下の女権宣言を転機に新しい女の権利獲得運動、戦後現憲法下での男女同権の一応の実現を、さらに労働婦人の歩みと働く婦人の諸問題を分析、一貫して母性我に視点を据えた女性解放の女性史。同時代を生きた著者の『平和と愛の世紀』の展望。<上下巻>
1972.08.15発売
幸福者
講談社文庫
快楽への誘惑と闘い、自然の大生命に身を投じて敢然と自己を昇華させてゆく「師」--。新約聖書的プロットのもとに「新しき村」の理想と情熱をこめ、熱烈な求道精神を結晶させたユニークな思想小説。

1972.08.10発売
おじさんの話・鯨小学校 ほか
大むかし、北の海辺に鯨がおしよせて、そのおかげで“鯨小学校”が建ったという話など、おじさんの語るおもしろい話26話をおさめる。うそかまことかわからないところに、現代の民話のユーモラスな味わいがある。
赤い鳥文学賞特別賞受賞
1972.07.28発売
青春の門 自立篇(下)