講談社文芸文庫作品一覧

旅の誘い 大佛次郎随筆集
旅の誘い 大佛次郎随筆集
著:大佛 次郎
講談社文芸文庫
大衆的英雄(ヒーロー)『鞍馬天狗』を生み出す一方、『パリ燃ゆ』、『天皇の世紀』で歴史の中の人間像を精緻に描いた大佛次郎。 折にふれて書かれた随筆は、多面的な文学活動の根っこにある、深い教養と批判精神に裏打ちされた人間大佛次郎の闊々とした人格の魅力を最もよく伝えている。 随筆集『屋根の花』収載の43編に、歴史紀行『義経の周囲』から10編を付す。
日本廻国記 一宮巡歴
日本廻国記 一宮巡歴
著:川村 二郎
講談社文芸文庫
電子あり
あの夕陽・牧師館 日野啓三短篇小説集
あの夕陽・牧師館 日野啓三短篇小説集
著:日野 啓三
講談社文芸文庫
最初の小説「向う側」から近作「示現」まで日野文学の精髄を示す8篇を収録。 ベトナム戦争中、失踪した記者の行方を追う著者初の小説「向う側」、自らの離婚体験を描いた芥川賞受賞作「あの夕陽」等初期作品から、都市の中のイノセンスを浮上させる〈都市幻想小説〉の系譜、さらには癌体験を契機に、生と死の往還、自然との霊的交感を主題化した「示現」まで8作品を収録。日野啓三の文学的歩みの精髄を1冊に凝縮。
電子あり
悪い夏・花束 吉行淳之介短篇小説集
悪い夏・花束 吉行淳之介短篇小説集
著:吉行 淳之介
講談社文芸文庫
初期から最晩年まで、短篇小説で辿る吉行淳之介の世界。男女の心象風景を凝縮するイメージで描く散文詩風の「藁婚式」、少年の眼を通して恋愛の生理と心理を追う「悪い夏」、父エイスケとの屈折した関係を主題とした「電話と短刀」、親友の13回忌に訪れた男女の齟齬を描く「花束」等14篇を収録。明晰な文体と実験的手法で、人間の生と性の不条理を追究した著者の珠玉の作品集。 生と性の不条理! 初期作品「藁婚式」から晩年の作「蝙蝠傘」まで14篇を収録。 初期から最晩年まで、短篇小説で辿る吉行淳之介の世界。 男女の心象風景を凝縮するイメージで描く散文詩風の「藁婚式」、少年の眼を通して恋愛の生理と心理を追う「悪い夏」、父エイスケと屈折した関係を主題とした「電話と短刀」、親友の13回忌に訪れた男女の齟齬を描く「花束」等14篇を収録。 明晰な文体と実験的手法で、人間の生と性の不条理を追究した著者の珠玉の作品集。
電子あり
芭蕉庵桃青
芭蕉庵桃青
著:中山 義秀
講談社文芸文庫
食道癌の再発で孤独と不安に苛まれた著者が心の深部に安穏を求め、漂泊行脚の境涯に身をおいた芭蕉の心境をさぐる。資料、研究書、注釈書等を駆使し、自らの孤独感と風狂の詩人の苦悩とを二重写しにさせ、芭蕉の全体像に迫り不断の生命を追求した長篇小説。「今2回で終わるところであるけれども、それも是非ない」(「中央公論」昭和44・10)と記された遺作。
舗石の思想
舗石の思想
著:秋山 駿
講談社文芸文庫
石ころの存在を自らの〈生存の原基〉として団地居住者となった著者が、少年時に戦争から学んだ〈生の綱領〉をハカリにして、団地という場所から行なった定点観測。結婚、家庭、生活、社会等、そこに見えてくる戦後の〈新しい生のスタイル〉に〈虚偽〉の匂いを感じとる。 目前の現実と自身の〈生の綱領〉との対峙のなかで、〈私とは何か〉を徹底究明した代表的長篇エッセイ。
沈黙のまわり 谷川俊太郎エッセイ選
沈黙のまわり 谷川俊太郎エッセイ選
著:谷川 俊太郎
講談社文芸文庫
1952年、第1詩集『二十億光年の孤独』で戦後詩界に登場した谷川俊太郎。三好達治はその出現を「ああこの若者は/冬のさなかに永らく待たれたものとして/突忽とはるかな国からやつてきた」と推賞した。本書は、若き日の著者の考え方の基礎を示す著書『世界へ!』『愛のパンセ』の中から、21篇のエッセイを収録。初めに沈黙があった。言葉はその後で来た。――谷川俊太郎の青春!
電子あり
春泥・三の酉
春泥・三の酉
著:久保田 万太郎
講談社文芸文庫
小説、戯曲、俳句等、多様な表現を展開した万太郎の核心に迫る作品集。 震災後の隅田川界隈の変貌を背景に、凋落する新派俳優の群像を描く代表作「春泥」、劇作家としての本領を発揮した読売文学賞受賞作「三の酉」の小説2作品に、自選3句集から100句を精選し、併せて収録。 「浅草の詩人」といわれた著者が、東京下町の風趣とそこに生きる人々の心情を、情緒溢れる筆致で描き出す。
小林秀雄
小林秀雄
著:江藤 淳
講談社文芸文庫
人は詩人や小説家になることができる。だが、いったい、批評家になるということは、なにを意味するであろうか(本文より)ーー中原中也、富永太郎らとの交友関係、未発表の書簡や広汎にわたる資料を駆使して、小林秀雄の批評の成立、構成、その精神に迫る。『夏目漱石』『作家は行動する』などで出発した批評家・江藤淳の自身への問いは、確固たる地位を築く記念碑的評伝となった。新潮社文学賞受賞。 人は詩人や小説家になることができる。だが、いったい、批評家になるということはなにを意味するであろうか。(本文) 中原中也、富永太郎らとの交友関係、未発表の書簡や広汎にわたる資料を駆使して、小林秀雄の批評の成立、構成、その精神に迫る。『夏目漱石』『作家は行動する』などで出発した批評家江藤淳の自身への問いは、確固たる地位を築く記念碑的評伝となった。新潮社文学賞受賞。
電子あり
山頭火随筆集
山頭火随筆集
著:種田 山頭火
講談社文芸文庫
明治15年、近在屈指の大地主の長男として生まれ、9歳の時母自殺。以降徐々に家は没落、時代の傾斜と並ぶようにやがて不幸の淵に沈んでゆく。大正14年出家。大正15年4月、解くすべもない惑ひを背負うて、行乞流転の旅に出た。分け入っても分け入っても青い山(「俳句」大正15年)九州から東北まで漂泊托鉢。行乞生活を記録した句は数奇な生涯を凝縮。俳句、随筆、行乞記の3章でその真髄を纏める。 放浪流転、行乞生活、数奇な命のエッセンス 明治15年、近在屈指の大地主の長男として生まれ、9歳の時母自殺。以降徐々に家は没落、時代の傾斜と並ぶようにやがて不幸の淵に沈んでゆく。大正14年出家。 大正15年4月、解くすべもない惑ひを背負うて、行乞流転の旅に出た。 分け入っても分け入っても青い山(「俳句」大正15年) 九州から東北まで漂泊托鉢。行乞生活を記録した句は数奇な生涯を凝縮。俳句、随筆、行乞記の3章でその真髄を纏める。
電子あり
草のつるぎ・一滴の夏 野呂邦暢作品集
草のつるぎ・一滴の夏 野呂邦暢作品集
著:野呂 邦暢
講談社文芸文庫
青春の焦燥を描く野呂文学の代表作を集成。 「言葉の風景画家」と称される著者が、硬質な透明感と静謐さの漂う筆致で描く青春の焦燥。生の実感を求め自衛隊に入隊した青年の、大地と草と照りつける太陽に溶け合う訓練の日々を淡々と綴った芥川賞受賞作「草のつるぎ」、除隊後ふるさとに帰り、友人と過ごすやるせない日常を追う「一滴の夏」――長崎・諫早の地に根を下ろし、42歳で急逝した野呂邦暢の、初期短篇を含む5篇を収録。
果てもない道中記 下
果てもない道中記 下
著:安岡 章太郎
講談社文芸文庫
『大菩薩峠』を堪能する安岡流変幻自在の筆法! ーー『大菩薩峠』は、当初の仇討物語から、いつしか幽明の界(さかい)もなき世界へと分け入っていく。探索の旅は、龍之助を慕って殺される女たちの業(カルマ)、特異な才能を持つ人物たちの活躍、さらには転向、差別の問題から日本人の原点まで視野に入れて、幕末・庶民の稗史をも浮き彫りにしていく。著者の史観や人間観を示して、絶妙自在な構成で文学ジャンルの範疇を超越した傑作。読売文学賞受賞作。<上下巻>
電子あり
地唄・三婆 有吉佐和子作品集
地唄・三婆 有吉佐和子作品集
著:有吉 佐和子,解説・その他:宮内 淳子
講談社文芸文庫
伝統芸能に生きる父娘の葛藤と和解を描き、著者の文壇登場作となった「地唄」、ある男の正妻・愛人・実妹の3人の女が繰り広げる壮絶な同居生活と、等しく忍び寄る老いを見据えた「三婆」、田舎の静かな尼寺に若い男女が滞在したことで起こる波風を温かい筆致で描く「美っつい庵主さん」など、5作品を収録。無類の劇的構成力を発揮する著者が、小説の面白さを余すところなく示す精選作品集。
電子あり
果てもない道中記 上
果てもない道中記 上
著:安岡 章太郎
講談社文芸文庫
『大菩薩峠』の物語世界を探索する傑作エッセイーー『大菩薩峠』の開巻劈頭、老巡礼が理由もなく机龍之助に斬り殺される。死と背中合わせの病床にあった著者は、この老巡礼に自らを重ね合せて理不尽な死に想いを馳せる。こうして、不朽の名作『大菩薩峠』探索の旅が始まる。激動の幕末を流浪する盲目の剣士・机龍之助を追跡しつつ、著者の筆は、時に作者・中里介山の思想に及び、また自らの体験や感想に言及して、自在に飛び交う。<上下巻>
電子あり
鉄仮面 下
鉄仮面 下
著:デュ・フォルチェネ・ボアゴベ,訳:長島 良三
講談社文芸文庫
面白さ抜群の歴史冒険小説! バスチーユの牢獄に囚われた鉄仮面の運命は? 史実にもとづく伝説〈鉄仮面〉を題材にした作品のうちボアゴベ原作の本書は、黒岩涙香翻案の原典となった。数々の策謀と冒険の果てに、30年の歳月を経てもなお罠に堕ちた恋人モリスを捜すヴァンダと腹心の部下たち。バスチーユの牢獄に囚われた鉄仮面の運命は?仮面の下の人物は?いよいよ核心に迫る愛と陰謀渦巻く波瀾万丈の歴史冒険大ロマン、上下2巻完結。
鉄仮面(上)
鉄仮面(上)
著:デュ・フォルチェネ・ボアゴベ,訳:長島 良三
講談社文芸文庫
フランス語原典による初の完訳の文庫化 愛と陰謀渦巻く波瀾万丈の歴史冒険大ロマン・上下2巻 1879年、当代きってのフランスの人気作家ボアゴベによって書かれた『鉄仮面』は、日本に於ても明治の黒岩涙香の翻訳以来、広く親しく読み継がれてきた。 居酒屋〈破れ絹〉亭で密議をこらす青年貴族モリスと恋人ヴァンダ。ルイ14世に対する謀反の計画に叛乱の騎士達が集結する。罠に堕ちたモリスの運命は、謎の鉄仮面の行方は……。 フランス語原典による初の完訳の文庫化。上下2巻。
輪廻の暦
輪廻の暦
著:萩原 葉子,解説:町田 康
講談社文芸文庫
離婚を戦いとり、1人息子と妹を抱えた生活は窮迫するが、嫩(ふたば)は書くことに生きる光明を見出していく。そんな折り、かつて幼い嫩を捨てて駆け落ちした母を捜して引きとった。こんどは母のわがままと気紛れに翻弄され、執筆時間を奪われる日々が始まる――。 凄絶な苦闘の半生を毅然と描き切った自伝的長篇3部作「蕁麻の家」「閉ざされた庭」につづく完結篇である。
草のいのちを 高見順短篇名作集
草のいのちを 高見順短篇名作集
著:高見 順,解説:荒川 洋治
講談社文芸文庫
自らの出生の秘密を語る「私生児」、左翼体験の暗部を飄々とした筆致で描く「嗚呼いやなことだ」など戦前4作品と、敗戦後の荒廃からの精神の甦りを高らかに謳い上げる表題作、リベラリズムの内に潜む頽廃を一知識人に戯画化する「あるリベラリスト」など戦後4作品を収める。ユーモア溢れる文体から生まれる批評精神を1冊に凝縮。 戦前戦後を貫く精神の軌跡を鮮やかに刻む精選短篇集。 自らの出生の秘密を語る「私生児」、左翼体験の暗部を飄々とした筆致で描く「嗚呼いやなことだ」など戦前4作品と、敗戦後の荒廃からの精神の甦りを高らかに謳い上げる表題作、リベラリズムの内に潜む頽廃を一知識人に戯画化する「あるリベラリスト」など戦後4作品を収める。ユーモア溢れる文体から生まれる批評精神を1冊に凝縮。
電子あり
神楽坂・茶粥の記 矢田津世子作品集
神楽坂・茶粥の記 矢田津世子作品集
著:矢田 津世子,解説:川村 湊
講談社文芸文庫
昭和5年、「文学時代」懸賞小説に当選し文壇にデビュー。繊細な筆致で庶民生活の心理の葛藤を情感豊かに描き、「神楽坂」は芥川賞補作となる。表題作のほか生地秋田を題材にした「凍雲」、「父」「旅役者の妻より」「女心拾遺」「く女抄録」「鴻ノ巣女房」を収録。胸を病み37歳で逝去、坂口安吾によって伝説化された薄命の女性作家矢田津世子の代表的短篇小説8篇。
可能性としての「在日」
可能性としての「在日」
著:李 恢成,解説:姜 尚中
講談社文芸文庫
在日2世作家として、少年期のサハリン越境の原体験をもとに、南北朝鮮の政治体制や日本のナショナリズム、さらにパレスチナ問題に対し、そのつど問題提起と行動をおこしてきた著者の、思想・文化・人間観が開示されている。21世紀を生きる「在日」の新しい可能性を追求した表題作ほか、単行本未収録の「韓国国籍取得の記」を含め、30余年の文学的営為を示す講演・エッセイを精選した。
電子あり