講談社学術文庫作品一覧

ゴ-タマ・ブッダ
講談社学術文庫
さとりを得ても、なお道を求めて歩みつづけたゴータマ・ブッタ(釈迦)。信仰の対象として神格化され、堂奥深く祀られていたブッダを、著者は永遠の求道者、人間ブッダとして把え、仏教を「道」の体系として究明することを提唱した。「われわれ一人残らず求道者となり、真実の自己たれ」と説くブッダの思想と行動は、価値観の多様化に悩み、既存の思惟方法に戸惑うわれわれの生きる指標となるであろう。

露伴の俳話
講談社学術文庫
文豪露伴は、かつて身寄りの初心者を相手に俳句指導の会を開いたことがあった。露伴の甥にして後に東大教授・作家として知られた著書が、自らその筵に列なったときのノオトをもとに露伴の肉声を再現する。的確無比の評言、舌を捲く博引旁証、ときに微醺をおび悠揚と説く俳句作りの勘所は、読む者を魅了する。一読、句作の腕・鑑賞の力が一ランク・アップ疑いなしの、豊饒にして稀有の記録である。

遊びと人間
講談社学術文庫
なぜ人間は遊ぶのか。人は夢、詩、神話とともに、遊びによって超現実の世界を創る。現代フランスの代表的知識人といわれるカイヨワは、遊びの独自の価値を理性の光に照らすことで、より豊かになると考え、非合理も最も合理的に語ってみせる。彼は、遊びのすべてに通じる不変の性質として競争・運・模擬・眩暈を提示し、これを基点に文化の発達を考察した。遊びの純粋な像を描き出した遊戯論の名著。

フランス絵画史
講談社学術文庫
16世紀から19世紀末に至る400年間は、フランス精神が絵画の上に最も美しく花開いた時代である。フォンテーヌブロー派、プッサン、ヴァトー、ダヴィッド、ドラクロワ、そして印象派の画家たちによる忘れ難い名作の数々――、その抑制された画面には明晰な合理性と繊細な感覚性が宿り、人間存在の全体像が凝縮している。フランス美術の精華を辿り、本書は、豊潤なユマニスムの世界へと読者を誘う。

維摩経講話
講談社学術文庫
『維摩経』は、大乗仏教の根本原理、すなわち煩悩即菩提(ぼんのうそくぼだい)を最もあざやかにとらえているといわれる。迷いと悟り、理想と現実、善と悪など、全く対立するものを不二(ふに)と見なし、その不二の法門に入れば、一切の対立を超えた無対立の世界、何ものにも束縛されない自由な境地に入る。在家の信者の維摩居士が主役となって、菩薩や声聞(しょうもん)を相手に活殺自在に説法するところが維摩経の不思議な魅力といえよう。
アメリカ精神と日本文明
講談社学術文庫
アメリカ建国の理念と日米精神文化とを追求エマーソン、ソロー、ホイットマンらを中心に、自由や独立の意味、自立の思想などアメリカ精神の核を究め、同時に、幕末以降の日本の精神文化への影響を解明する
砂時計の書
講談社学術文庫
時計と時間をめぐる卓越した文明批判の書。砂時計、この愛すべき道具は、機械時計に縛られる以前の、アド・ホークな感覚世界を徴表する。現代ドイツの文豪が厖大なコレクションを駆使して語る独自の宇宙論

櫻史
講談社学術文庫
ただ「花」といえば「櫻花」を指すといわれるほどに、春爛漫の櫻は日本人に格別の意味をもつ。ようやく長い冬が去り、光あふれる春の訪れ。その証しとして美しい薄桃色の花が万朶と咲き匂うとき、私たちの春の歓びは極まる。櫻と日本人のかかわりの歴史を、上古より現代まで七期に分け、櫻花にまつわる逸話・詩歌・人物のあらゆる事柄についてまとめた。国文学研究の第1人者による比類なき“櫻”讃歌。
カミの誕生
講談社学術文庫
カミとは何か,カミは如何に生れたかを問う宗教を宗教たらしめてきたもの,それは民族のこころであり,民族ひとりひとりのこころである.東南アジアの山河大地の中に原始のカミを尋ねて,カミの誕生を探る
祝祭空間の想像力
講談社学術文庫
代表的な西洋中世文学に見る愛憎の人間模様哀婉を極めた愛、民族滅亡に導く愛、機知と偶然の織りなす愛の悲喜劇。『ニーベルンゲンの歌』など5編を通して、人間性が目覚めた時代の物語のもつ魅力を語る。
日本人の一生
講談社学術文庫
誕生から死へ儀礼で辿る日本人の人生の歴史遥かわだつみの彼方が日本人の魂のふるさとか。生まれ落ち宮詣り・初節句に始り、折節の通過儀礼や共同体の年中行事に沿って生きる日本人の一生をトータルに通観
二千五百年史(下)
講談社学術文庫
従来の国体史観を覆した竹越史学の真骨頂。後醍醐親政から戦乱相次ぐ時代を経て天下再統一へ。下巻は、貴族的精神に対する武断精神の勝利を見据え、徳川政権崩壊に至る歴史のダイナミクスを筆鋒鋭く描く。
進歩がまだ希望であった頃 フランクリンと福沢諭吉
講談社学術文庫
日米の非凡な二人を精神史上で対比した評伝アメリカ建国の父フランクリンと日本の文明開化の主導者福沢諭吉。二人は「前へ、前へ」と歩調を進めた。それは進歩がまだ希望であった頃の時代精神であった…。
眩暈を鎮めるもの
講談社学術文庫
現代文学の本質を根底から見すえた評論集。天上へさまよい出ようとする人のこころを地上につなぎとめるものは何か。生をめぐる恐怖の中で、ひたすら生の側に賭けてきた著者独自の文学観を明確に示した力作
二千五百年史(上)
講談社学術文庫
在野の先駆が生きた史観で描いた初の国民史明治の言論界に一世を風靡した三叉与三郎は、英国史書の方法に学び、ここに神武以前から大政奉還に至る壮大な通史をうち樹てた。本邦史学界、不朽のベストセラー

大陸と海洋の起源
講談社学術文庫
名著、復刊。
1910年のある日、世界地図を眺めていたウエゲナーは、大西洋をはさんだ両大陸の海岸線がジグソーパズルのようにピタリと照応するのに気づいた。「大陸移動説」の着想が生まれた瞬間である。その後幾多の曲折を経て、「移動説」は現代地球科学の基礎理論として重要な地位を占めるに至った。本書はウエゲナーの原テキストを竹内博士が全訳し、各章ごとに詳細な補足・解説をほどこした“決定版”である。
日本の聖書 ―聖書和訳の歴史―
講談社学術文庫
我が国唯一、神の言葉を伝える聖書の和訳史人間の生命の書としてキリシタン時代以来、日本人の思想や生活に革命的影響を及ぼしてきた聖書。その聖書和訳に貢献した先人の業績を歴史的に跡づけ叙述した名著
歌仙の世界
講談社学術文庫
日本詩歌の根幹・連句のおもしろさを説く。芭蕉・曽良・北枝の三人で巻いた「山中三吟」の歌仙を取り上げ、座の文学・連句とは何か、連句はどのように付け進められ、どう鑑賞すればいいのか等興味深く解説

幕末遣外使節物語
講談社学術文庫
メリケンは1万里の外なり、君命を耻(はずか)しむれば神洲(しんしゅう)の耻辱(ちじょく)ならん。万延元年、初めて海を越えアメリカに赴いた新見豊前守一行は、汽車に驚きダンスに呆れ、歓迎のキッスに慌てながらも意気軒昴であった。サムライたちの見た西洋を、航海日誌や新聞記事を自在に駆使して描き出した本書は、憲政史の泰斗が一流の諧謔(かいぎゃく)をもって世に問うた異色の幕末史である。他に池田、竹内、徳川の3遣欧使節の物語を収める。

現代の国際政治
講談社学術文庫
激動の昭和が終わり、長く世界に君臨してきた共産主義が崩壊する。私たちの目の前でいま歴史の大転換劇が進行しつつある。この後文明はなお繁栄し続けるのか、それとも衰亡への歩みを辿ることはないのだろうか。世界史の新時代を生きるために、終わりつつある出来事を整理し歴史に学ぶことから始めよう。著者のくもりない史眼、成熟した哲学による歴史叙述こそ、有用な情報と深い叡知の宝庫である。