講談社学術文庫作品一覧

森鴎外の『知恵袋』
森鴎外の『知恵袋』
著:森 鴎外,訳:小堀 桂一郎
講談社学術文庫
自分が先ず自分を信ずることだ。それがあって初めて他人が信頼を寄せてくれるようになる。一たん自信がぐらついて、表情に覚束なさが表れるや否や、他人はたちまち寄りつかなくなる。顔に出た自信喪失の表情はカインの額につけられた罪のしるしと同じことだ。 他人から愛されたいと思ってもそれは此方の自由になることではない。愛されるのが不可能ならせめて畏れられるがよい。これもまた一つの交際法上の要訣である。(本文より)
古事記(中)
古事記(中)
その他:次田 真幸
講談社学術文庫
古事記の中巻下巻は、上巻の神話をうけて、神話と歴史とをつなぐ伝説を記した巻である。古事記の文学性は、主に中巻下巻の伝説に認められる。中巻では、垂仁天皇の皇后サホビメの苦悩の物語に、夫婦の情愛がみごとに描かれており、ヤマトタケルの命の悲劇的生涯を語る伝説には、英雄の末路があわれ深くロマンチックに描かれている。古事記の伝説には、史実と認め難いものが多く、古事記が文学的作品といわれているのもこのためである。
明恵上人伝記
明恵上人伝記
その他:平泉 洸
講談社学術文庫
華厳中興の祖といわれる明惠上人は、教団を組織せず、終身釈迦を父と仰ぎ、自ら遺子と称された。上人の法話は「悪人なお隠れたる徳あり、況や一善の人に於てをや」と差別がなく、人はただ「あるべきやうは」の7字を心懸ければ世の中に悪いことはあるはずがない、と温順な言葉で説かれている。が、この一見やさしい教えの数々が、実は華厳哲学と美しく冥合して輝かしい光を放つ。本書は、その上人の伝記を歴史の大局から見た注釈書。
近世日本国民史 織田信長(1)
近世日本国民史 織田信長(1)
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
応仁の大乱は群雄割拠の戦国乱世を現出。毛利・北條・上杉・武田・今川いずれかが天下の覇者たるか。時に尾張に織田信長あり、西上する今川軍を桶狭間に破り、名を満点下に広告。家康期せずして岡崎城主となる。信長畿内を平定、天下布武の第一着を印す。将軍義昭、浅井・朝倉らに密旨を送り、信長珠伐を画し姉川戦を惹起、信玄また中原を望み遠・参を侵掠せんとし、三方原合戦に臨み病に斃る。近世的統一国家の曙光の幕が開く。 応仁の大乱は群雄割拠の戦国乱世を現出。毛利・北條・上杉・武田・今川いずれかが天下の覇者たるか。時に尾張に織田信長あり、西上する今川軍を桶狭間に破り、名を満点下に広告。家康期せずして岡崎城主となる。信長畿内を平定、天下布武の第一着を印す。将軍義昭、浅井・朝倉らに密旨を送り、信長珠伐を画し姉川戦を惹起、信玄また中原を望み遠・参を侵掠せんとし、三方原合戦に臨み病に斃る。ここに近世的統一国家の曙光の幕が開く。
電子あり
旧約聖書名言集
旧約聖書名言集
著:名尾 耕作,装丁:蟹江 征治,装画:洞山 武士
講談社学術文庫
旧約聖書は、イスラエル人の歴史の大河ドラマであるとともに、「いのちのことば」をしるした書である。本書は、旧約聖書から珠玉の名言・名句を選び出し、それらを歴史の流れに沿ってドラマチックに構成した格好の旧約入門書。アブラハムやモーセの信仰、『詩篇』にうたわれた愛、『箴言』にみられる戒めや知恵などは、現代の読書に生きる指針を与える。これらの聖句を通して、神とともに生きる幸せを語りかける意欲的書き下ろし。
近世日本国民史 西南の役(七) 西南役終局篇
近世日本国民史 西南の役(七) 西南役終局篇
著:徳富 蘇峰,その他:平泉 澄,装丁:蟹江 征治,装画:志賀 紀子
講談社学術文庫
田原坂の激闘以後、転戦しつつ敗走せる薩軍、城山に籠城。九月二十三日夜、西郷隆盛諸将を営中に招き訣別の宴を開く。翌払暁、四面の官軍総攻撃を開始、西郷らは洞窟を出でて岩崎谷へ向う。乱弾忽ち西郷傷つく。西郷、別府晋介を顧みて「晋殿、もうここでよか!」と。すなわち跪坐し、襟を正して東天を拝す。時に五十歳。戦治まり猛雨一陣、城山の戦血を一洗。後人曰く、「西郷永く死せず」と。ここに士族の時代はその終焉を告ぐ。
電子あり
講孟箚記(下)
講孟箚記(下)
著:吉田 松陰,その他:近藤 啓吾
講談社学術文庫
「吾(われ)幽囚の罪人と雖(いえ)ども、悪んぞ国家の衰乱、夷狄(いてき)の猖獗(しょうけつ)を度外に置くを忍びんや」、国家の多難を前に、国の運命を担う責務から逃避する道はない。獄中にあれば獄中の人として、これに参ずる道を発見せずんば止まぬ21回猛士吉田松陰は、「余が一室に幽囚して、広大を致す如きは、学の力のみ」と、遂に『孟子』の全講を終えた。行動力の人であると同時に天性の教育家だった彼のこの情熱が『箚記』の紙表に溢れて、人の心を打つ。
勘の研究
勘の研究
著:黒田 亮
講談社学術文庫
古来東洋においては、たとえば禅の悟りや剣法の極意、芸能における名人芸などにみられる、ある普遍的なものを「いわく言いがたし」とか「名状すべからず」とか称しつつ伝えてきた。本書において著者は、この普遍的な“何か”を「勘」という概念によって捉え、その学問的体系づけを試みている。本書は「勘」という前人未踏の研究領域における唯一の心理学的研究であり、日本人の精神の働きと構造を立体的に解剖した古典的名著である。
近世日本国民史 西南の役(六) 西南役両面戦闘篇
近世日本国民史 西南の役(六) 西南役両面戦闘篇
著:徳富 蘇峰,その他:平泉 澄,その他:蟹江 征治,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
熊本城を包囲して北上する薩軍と、籠城軍を授けんとする官軍が田原坂に激突。死闘実に十七日間、白兵戦が連日くり返され、両軍の死者数千を超え、屍山血河をなす。衆寡敵せず、敗れた薩軍は、川尻口、山鹿、向坂、萩迫、人吉へと転戦、力戦するも空しく、凄惨な敗走を強いらる。史家等しくこの役を保元乱に比較。官軍の将校中、西郷の息のかからぬ者はなく、日本史に特筆される田原坂の激戦は酸鼻を極めるものであった。 熊本城を包囲して北上する薩軍と、籠城軍を授けんとする官軍が田原坂に激突。死闘実に十七日間、抜刀隊による白兵戦が連日くり返され、両軍の死者数千を超え、屍山血河をなす。衆寡敵せず、敗れた薩軍は、川尻口、山鹿、向坂、萩迫、人吉へと転戦、力戦するも空しく、凄惨な敗走を強いらる。史家等しくこの役を保元乱に比較。官軍の将校中、西郷の息のかからぬ者はなく、日本史に特筆される田原坂の激戦は酸鼻を極めるものであった。
電子あり
大日本人名辞書(5)
大日本人名辞書(5)
編:大日本人名辞書刊行会,装丁:菊池 薫,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
本書は明治十九年に初版刊行以来、学者や専門家だけでなく、広く一般教養人に支持されて多くの版を重ね、更に増訂を繰り返し、不朽の名辞典として定評を得た。遠く記紀神話の神々から昭和初年の重要人物まで、日本歴史上の主要人名は完全網羅。ことに古今の文献を博捜した精細な記事は、読んでおもしろいとの評判を呼んだ。さらに本最終巻には名家系譜・歴史年表・刀剣鍛冶叢伝など他に類を見ない貴重な歴史資料をも収録した。
電子あり
大日本人名辞書(4)
大日本人名辞書(4)
編:大日本人名辞書刊行会,装丁:菊池 薫,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
「明治文化の黎明期にあって、此の書を得たる吾人は、恰も暗夜に橙火を得たるが如く、政治家・学者・武人・美術家・工芸家等、歴史上の人物は容易に検索せられ、然かも風貌を髣髴せしめて、学界に稗益するところ頗る大いなるものがあった。(三度目の補訂が)昭和十一年晩冬に至って完了し、収録された人物は益々広汎となり、記事は愈々精密を加え、ここに面目を一新して世に公にするに至ったことは、学界の一大福音である」 「明治文化の黎明期にあって、此の書を得たる吾人は、恰も暗夜に橙火を得たるが如く、政治家・学者・武人・美術家・工芸家等、歴史上の人物は容易に検索せられ、然かも風貌を髣髴せしめて、学界に稗益するところ頗る大いなるものがあった。(三度目の補訂が)昭和十一年晩冬に至って完了し、収録された人物は益々広汎となり、記事は愈々精密を加え、ここに面目を一新して世に公にするに至ったことは、学界の一大福音である」(藤村作氏序文より)
電子あり
大日本人名辞書(3)
大日本人名辞書(3)
編:大日本人名辞書刊行会,装丁:菊池 薫,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
「明治十七年十二月、田口先生年歯三十歳にして大日本人名辞書の編集に着手し、同十九年四月、その刊行を見たものである。この独創的一大人名辞書が、当時なお幼稚であった我が学界に与えたる衝撃と利便とは、天来の福音であったことは、固より言うまでもない。校訂新版の増補に関しては、各自専門大家の分担執筆を請い、刻苦勉励の末、字数概算二百万字を加え、総頁数四千頁、実に浩瀚無比の一大人名辞書が現出した」 「明治十七年十二月、田口先生年歯三十歳にして大日本人名辞書の編集に着手し、同十九年四月、その刊行を見たものである。この独創的一大人名辞書が、当時なお幼稚であった我が学界に与えたる衝撃と利便とは、天来の福音であったことは、固より言うまでもない。校訂新版の増補に関しては、各自専門大家の分担執筆を請い、刻苦勉励の末、字数概算二百万字を加え、総頁数四千頁、実に浩瀚無比の一大人名辞書が現出した」(新訂版序文より)
電子あり
大日本人名辞書(2)
大日本人名辞書(2)
編:大日本人名辞書刊行会,装丁:菊池 薫,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
「大日本人名辞書は、国史大系と共に、故田口博士が我学界に遺される二大偉業たり。想うに本書は、単に本邦人名辞書の嚆矢たるのみならず、その代表的のものとして殆ど唯一のものたり。その博綜網羅、殆ど遺す所無く、版を重ねるに随うて屡々訂正増補を加え、その利用の範囲いよいよ広くして、ただに学者文人のみならず、また好古玩古の士の座右必須の伴となり、日常暫くも欠くべからざる書となれり」」(辻善之助氏序文より) 「大日本人名辞書は、国史大系と共に、故田口博士が我学界に遺される二大偉業たり。想うに本書は、単に本邦人名辞書の嚆矢たるのみならず、その代表的のものとして殆ど唯一のものたり。その博綜網羅、殆ど遺す所無く、版を重ねるに随うて屡々訂正増補を加え、その利用の範囲いよいよ広くして、ただに学者文人のみならず、また好古玩古の士の座右必須の伴となり、日常暫くも欠くべからざる書となれり」(辻善之助氏序文より)
電子あり
大日本人名辞書(1)
大日本人名辞書(1)
編:大日本人名辞書刊行会,装丁:菊池 薫,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
本書は、明治十九年初版発行、昭和十一年新訂版発行、昭和四十九年に小社より復刻版を刊行した『大日本人名辞書』(全五巻)をそのままの内容で縮刷し、学術文庫に収録するものである。本書はもと田口卯吉の編集にかかり、独創的な名辞典として広く流布普及した。以来半世紀にわたって改訂増補を重ね、ここにみる「新訂版」として完成した。人物の網羅、記事の精確、収録の広汎等我が国人名辞典の王者として不朽の名著である。
電子あり
社会主義
社会主義
著:マックス・ウェ-バ-,訳:浜島 朗
講談社学術文庫
マルクスは、所有理論に基づいて資本主義を批判し社会主義への展望を打ち出したが、それは「支配の社会学」を閑却していた。本書は、歴史は合理化の過程であるという観点から、社会主義のもつ歴史的宿命、すなわち、官僚制の強大化を指摘したウェーバーの講演の全訳・解説である。ウェーバーの洞察は、現代社会主義の抱える諸問題を鋭くつき、われわれを驚嘆せしめる。社会主義に対決するウェーバーの姿勢を知るうえの格好の書である。
ギリシャ正教
ギリシャ正教
著:高橋 保行
講談社学術文庫
キリスト教といえば西洋のものと考える人が多い。しかし、キリスト教初代からの伝統をいまなお保持しているギリシャ正教を知ると、その見方が誤まりであることに気がつく。ビザンチン文化やドストエフスキイの思想などを通して断片的に知られているにすぎないこのギリシャ正教の全貌を、本書はわが国で初めて体系的に紹介するとともに、西洋のキリスト教とその文化の原泉を問い、私たちの通念そのものをただす注目の書である
茶器と懐石
茶器と懐石
著:桑田 忠親,装丁:志賀 紀子,その他:蟹江 征治
講談社学術文庫
(本書では)茶の湯をおこなううえにおいて欠くべからざる茶器の起源・変遷、名物茶器の由来、それにまつわる逸話などを紹介してみた。そして、唐物、高麗・李朝物、南蛮物、和物など、あらゆる茶器の名品が、いかなる茶人たちによってその真価を認められ、珍重されたかなどについて詳述した。また、懐石のほうは、史上における一流茶人の懐石料理や器具の実例を紹介し、現代の懐石のありかたについて、一言批判を添えた。(「まえがき」より)
仏陀のおしえ
仏陀のおしえ
著:友松 円諦
講談社学術文庫
著者は、明治・大正・昭和を通じ、二千五百年の伝統ある仏教を、再び世に活かしえた天才であった。本書は、実践と学問を通じて現代人の真の仏教とは何かを把握した著者が、日本仏教諸宗派を総括し、仏教の内容をなす三つの不変なるもの、すなわち、仏・法・僧の「三宝」を中心にして、仏陀のおしえの根本義を誰にでも理解できる平易な言葉で著した最高の仏教入門書である。仏教という巨大なおしえの最重要の問題点が説かれている。
近世日本国民史 西南の役(五) 熊本城攻守篇
近世日本国民史 西南の役(五) 熊本城攻守篇
著:徳富 蘇峰,その他:平泉 澄,その他:蟹江 征治,装丁:志賀 紀子
講談社学術文庫
「天下人心の向背は、この一挙にあり!」、熊本城を抜くか、これを守備するか。瀑布の落下するごとく城下に雪崩込む薩軍の前に、鎮台司令長官谷千城は「守備戦略」をもって対峙。しかも、政府軍は有栖川宮をいただき、第一、第二旅団を派遣、掎角の策に出る。対する薩軍の眼中には熊本城はなく、鎧袖一触、これを蹴破すべしとなし、何ら計画準備なくいたずらに精兵を堅城の下に疲困せしめ、ついに消極戦をもて始終するに至った。
電子あり
類語の辞典(下)
類語の辞典(下)
編:志田 義秀,編:佐伯 常麿
講談社学術文庫
収録語例【酒】竹葉(ちくよう)、玉友(ぎょくゆう)、甘波(かんぱ)、花露(かろ)、雲泉(うんせん)、香泉(こうせん)、春蟻(しゅんぎ)、黄雲(こううん)、杏村(きょうそん)、天乳(てんにゅう)、如華(じょか)、白玉(はくぎょく)、真一(しんいつ)、忘憂(ぼうゆう)、洞庭春(どうていしゅん)、慶雲香(けいうんこう)、養生主(ようじょうしゅ)、大平君子(たいへいくんし)など、約200の類語を収録。さらに157項目にわたって、地酒(じざけ)、雪見酒(ゆきみざけ)、古酒(こしゅ)、錦絲主(きんししゅ)、菊酒(きくざけ)、菖蒲酒(しょうぶしゅ)、薄荷酒(はっかしゅ)、清白酒(せいはくしゅ)、拳酒(けんざけ)、黒酒(くろき)、聞酒(ききざけ)、延命酒(えんめいしゅ)、礼酒(れいしゅ)、など、酒にまつわる各種用語を分類・解説する。古語・俗語・方言・敬語・美称・謙称をあまねく網羅し、語彙・文章表現力が飛躍的に高まる。