講談社現代新書作品一覧

死と生の記録 真実の生き方を求めて
死と生の記録 真実の生き方を求めて
著:佐藤 幸治
講談社現代新書
電子あり
ヨーロッパの個人主義 人は自由という思想に耐えられるか
ヨーロッパの個人主義 人は自由という思想に耐えられるか
著:西尾 幹二
講談社現代新書
現代の社会に、進歩に、個人のあり方に、深奥からの疑いを発せよ。そして、己のうちなる弱さと、ぬきさしならぬ多くの困難を直視せよ。すべての真実は、幻想にみちた虚像を超えるところに始まる――。本書は個人主義の解説書でもなければ、ヨーロッパ論でもない。欺瞞にみちた「現代の神話」に鋭くつきつける著者の懐疑の書である。しかも懐疑をして脆弱な知性のとまどいや、絶望に終わらせない、切実な行動への書である。 読者に問う――人は自由という思想に耐えられるか――私のこのささやかにして、かつ本質的な懐疑は、いうまでもな、美しいことばで自由をはなばなしく歌い上げるわが日本の精神風土への抵抗のしるしであり、身をもってした批判の声である。それを読者がどう受けとめ、どう理解し、どのように自分の生き方のなかに反映させるかは、すでに読者の問題であろう。が、この一片の書は、解説でもなければ、啓蒙でもなく、このささやかな本のなかに、私の日常の生き方、感じ方、考え方と関わりのないことは、ただの1行も書かれていないことだけは確認しておこう。なぜなら、文明や社会の立場から人間を考えるのではなく、人間の立場から文明や社会を考えたいということが、私のいいたいことの基本的考え方のすべてをつくしているからである。――本書より 書評より――梅原猛(本書より) ここで西尾氏は、何よりも空想的な理念で動かされている日本社会の危険の警告者として登場する。病的にふくれ上がった美しい理念の幻想が、今や日本に大きな危険を与えようとする。西尾氏の複眼は、こうした幻想から自由になることを命じる。自己について、他人について、社会について、世界について、疑え。そして懐疑が、何よりも現代の良心なのだ。西尾氏は、戦後の日本を支配した多くの思想家とちがって、何げない言葉でつつましやかに新しい真理を語ることを好むようである。どうやらわれわれは、ここに1人の新しい思想家の登場を見ることができたようである。――潮・1969年4月号所収
日蓮 その生涯と思想
日蓮 その生涯と思想
著:久保田 正文
講談社現代新書
日蓮が生きた貴族時代から武士団社会への過渡期は、強者が弱者をむさぼる混沌の時代であった。日蓮の目にそれは、末法の現われと映じ、末法であればこそ法華経に帰依し、武力に代わる仏法をもって、世の道理とせねばならぬと説いたのであった。本書は、法難の連続であった生涯を跡づけながら、その法華経への絶対帰依の思想を、現代との連関で明らかにしてゆく。宗教社会学者の手によって公平な場におかれ、なお魅力あふれる日蓮像がここにある。 日蓮の思想の系譜――日蓮の考え方を知るうえにおいて、心得ておかねばならぬことは、その思想の系譜に2つのものがあることである。1つは、古来外相承と呼ばれているものである。他の1つは、内相承と呼ばれているものである。外相承というのは、インドの釈尊、中国の天台、日本の伝教および日蓮という系譜であって、これを日蓮自身の言葉によれば、三国四師というのである。これに対して内相承というのは、釈尊から本化地涌の菩薩の上首、上行を媒介として、直ちに日蓮にいたるものである。事実日蓮は、佐渡へ流される前は天台沙門日蓮と称していた。佐渡に流されて以後は、本朝沙門日蓮と記すように変ってきている。――本書より
新しい仏教のこころ わたしの仏教概論
新しい仏教のこころ わたしの仏教概論
著:増谷 文雄
講談社現代新書
電子あり
タテ社会の人間関係
タテ社会の人間関係
著:中根 千枝
講談社現代新書
日本社会の人間関係は、個人主義・契約精神の根づいた欧米とは、大きな相違をみせている。「場」を強調し「ウチ」「ソト」を強く意識する日本的社会構造にはどのような条件が考えられるか。「単一社会の理論」によりその本質をとらえロングセラーを続ける。(講談社現代新書) 1967年刊行、日本論の新しい古典! 「ウチの者」と「ヨソ者」、派閥メカニズム、日本型リーダーの条件…… ビジネスパーソン必読、これを読まずに組織は語れない。 なぜ日本人は上下の順番のつながりを気にするのか? なぜ日本人は資格(職業など)よりも場(会社など)の共有を重視するのか?―― 日本の社会構造を鋭く析出したベストセラー! (著者に聞く・2014年元旦広告より) 長く売れ続けている理由?  そうねえ、そのときの現象じゃなくて理論を書いたことかしら。 最近の銀行の問題、柔道協会の問題、原発ムラの問題など、 数々の不幸な事態にしても、タテ社会の悪い部分が出ていると思う。 もちろん日本にだってヨコの関係もあるし、ほかの国にもタテの関係はある。 でもタテの関係が根強く出るのは、やはり日本の特徴でしょう。 日本って、会社でも役所でも年次をすごく気にするじゃない。 インド人の場合、7年くらいの差がないと、先輩後輩という感覚にならないそうよ。 こういう社会の構造って、時代が変わっても、意外と変わらないものなのね。 最近もイギリス人と話しても、自分たちの社会はずっと変わらないと言っているし。 もちろんタテ社会にもいいところはあって、 たとえば、ちょっと疲れたときは、一休みしやすいとか、 嫌なときにも、それほどエネルギーを使って動く必要がない。 世界中、どの社会でも良さと弱さがあって、 それぞれ問題を抱えながら、なんとかやっているものなのね。
電子あり
愛に生きる
愛に生きる
著:鈴木 鎮一
講談社現代新書
多くの世界的なヴァイオリニストを育てた「スズキメソード」を考案した鈴木鎮一氏による、愛に満ちた教育論を収録した名著。子どもの才能を育む教育論は、音楽関係者のみならず、教育関係者からも読み継がれてきた。「才能は天賦のものではなく、育てられるもの」という強固な信念を持った鈴木氏は、子育てに有益な至言を数多く残しています。人生が変わるかもしれない力を秘めた、名著中の名著といえるでしょう。 多くの世界的なヴァイオリニストを育てた「スズキメソード」を考案した鈴木鎮一氏による愛に満ちた教育論を収録した名著。 子どもの才能を育む教育論は、音楽関係者のみならず、教育関係者からも読み継がれて、91刷43万部のロングセラー。 「才能は天賦のものではなく、育てられるもの」という強固な信念を持った鈴木氏は、子育てに有益な至言を数多く残しています ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「どの子も育つものであり、それは育て方ひとつにかかっている。だれでも自分を育てることができ、それは正しい努力ひとつにかかっている。」  へたな努力をすれば、へたな才能が育つ。すぐれた才能を示したひとびとは、それだけ正しくよい努力を積み重ねたひとびとである。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー やり抜こうーそう決心するひとはたくさんいます。だれでも決心することはできる。しかし、ほんとうにやり抜くひとは実に少ない。決心はしたがやらない。やっても、まもなくやめてしまう。それこそ、多くのひとが経験して、よく知っていることです。どんなことでも、成功する道、ことの成否は、結局、やり抜くかどうかだけにかかっているともいえるでしょう。  やり抜くーつまり、その根気もまた、能力であるがゆえに、育てなければならいないものです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 本書は、音楽の名演奏家を育てるための英才教育にとどまらない普遍的な真理を追究した本とはいえないでしょうか。単に子どもの教育のみならず、大人の自己啓発書としての読み方も可能です。人生が変わるかもしれない。『愛に生きる』。そんな力を秘めた名著中の名著といえるでしょう。
電子あり
教養としての世界史
教養としての世界史
著:西村 貞二
講談社現代新書
現代ほど、あらゆる分野にわたって、世界史的視野というものが必要とされる時はない。ヘーゲル、マルクス、ランケなどによる従来の史観は、第2次大戦後の世界の激変によって、再検討が不可避のものとなっている。本書は、新しい世界史像をもとめて、統一的観点からとらえなおした恰好の入門書である。 世界史は、思うに、成功よりも挫折と失敗の場面を、幸よりも不幸を、はるかに多く呈示します。しかしヘーゲルがいったように、「歴史の幸福なページは空白」かもしれません。変転してやまない世界史を凝視し、しかもそこから未来への前進の手がかりをつかむには、強い精神とたゆまない努力とが必要です。人間は、悠久の昔から今日にいたるまで、一歩一歩、歴史をきりひらいてきました。この力こそは、これからも歴史をきりひらいてゆく力であるはずです。――本書より
大学でいかに学ぶか
大学でいかに学ぶか
著:増田 四郎
講談社現代新書
青春という思索と苦悩の時代をどう生きるか。ここには、歴史家として、教育者として大きな足跡を印す著者の生きた経験が、青春への変らぬ共感とともに語られている。学生生活における自由、学問することの意味。それらに触れながら、著者が強調してやまないのは、自ら考え、行動する人間へと自己形成することの尊さである。(講談社現代新書) 青春という思索と苦悩の時代をどう生きるか。ここには、歴史家として、教育者として大きな足跡を印す著者の生きた経験が、青春への変らぬ共感とともに語られている。学生生活における自由、学問することの意味。それらに触れながら、著者が強調してやまないのは、自ら考え、行動する人間へと自己形成することの尊さである。 〈捨て石となる勇気〉――大きなダムも、蟻の穴でくずれることがあります。いままで金科玉条とされてきたマルクス主義の、あの人類発展の段階説もくずれるかもしれないのです。過去の体系的な学説を、おかすべからざるものと考える必要もないし、ヨーロッパの偉い学者が考えたことは不動の真理だと考える義理もない。自分にはここまでしかわからないが、そこまでについては、動かない証拠をあげ論証ができるというものを見つけていく。それは蟻の穴ほどの小さなことかもしれません。しかし、その小さなことに全力でぶつかって、できる限りのことをやって次の人にバトンをわたすという、いわば、捨て石になる勇気が、大きな仕事につながってゆくのです。――本書より
電子あり
哲学のすすめ
哲学のすすめ
著:岩崎 武雄
講談社現代新書
人間はなんのために生きているのだろう?どうしたら幸福になれるのだろうか?哲学はいったいどんな役に立つのだろう?哲学と科学はどうちがうのか?哲学はいつの時代も変らないのだろうか?本書は、こんな疑問にやさしく答えながら、「考える」ことの重要さを説き、生きる上の原理としての哲学を深めた、よりよく生きるためのユニークな哲学入門である。――著者のことば 哲学というものは、その本質上、文章では説明しにくいことが多く、そのため用語も必要以上に難解になり、わかりにくくなる傾向があるが、著者は、日本の哲学書にありがちな特殊な専門語をできるだけ使わずに、ごく平明な文章で説明することに努めている。哲学的な「考え方」を説明し、哲学と科学とはどう違うかというような根本問題を説いている。表現はやさしくできているが、扱われている問題は高度に哲学的である。
世界に呼びかける東洋
世界に呼びかける東洋
著:中村 元
講談社現代新書
電子あり
英語の新しい学び方 なぜ日本人は上達しないか
英語の新しい学び方 なぜ日本人は上達しないか
著:松本 亨
講談社現代新書
英語上達のひけつは、なりよりも英語で考えること。日本語に訳すことはひとつの技術にすぎない。訳すまえに、英語で考え、感じること、これがたいせつである。本書は、英語教育の第一人者が、豊富な現場体験をもとに、なぜ日本人は英語が苦手か、その原因をつきとめ、真に力のつく英語学習法を、楽しく手ほどきする必読の入門書である。 英語で考える〈こつ〉電話が鳴ったら、The telephone.と思います。さもなければ、Oh the phone''s ringing.と思います。おなかがすいたら、Food.を想像します。あるいは、Oh I''m starved.といいます。「仕事をしようか、野球を見ようか」と悩むなら、ついでに、Shall I work or shall I watch the ball game?といってみます。英語で考えるチャンスは無限にあります。「考える英語」のおもしろさは、decideすることにあります。すくなくとも1日に1回は、なにかひとつ英語でponderしてdecideする習慣をつけていただきたいのです。――本書より
クラシック音楽のすすめ
クラシック音楽のすすめ
著:大町 陽一郎
講談社現代新書
音楽に感動するとは、どういうことなのか。どの作曲家の、どの作品から始めたらいいのか。どの指揮者・演奏家がすぐれているのか。音楽をより身近なものに、と願う著者が、自身の豊富な音楽体験をとおして、クラシック音楽のもつ醍醐味を語り、鑑賞に必要な基礎知識を教える。 クラシック音楽は難解ではない――ベートーベンばかりがクラシック音楽ではないのです。モーツァルトのように軽快で優雅なもの、またヨハン=シュトラウスのように踊るためのものもあります。さらに『マイ=フェア=レディ』のようなすぐれたミュージカルもクラシック音楽として残るものだと考えます。クラシック音楽に気軽にはいっていくことができるようにわたしは、いくつかの手がかりを示したつもりです。若い人々が、クラシック音楽へ目を開いて、音楽を一生、身近なものにしていただければと思います。――本書より
新書 47・人類の祖先を探る
新書 47・人類の祖先を探る
著:今西 錦司
講談社現代新書
電子あり
スペイン語のすすめ
スペイン語のすすめ
著:荒井 正道
講談社現代新書
セニョール、セニョリータ……。闘牛とフラメンコとカソリックの国、スペインのことばは、中南米諸国の公用語でもある。スカッとした男性的なことば、世界でいちばん美しいことばとすっかりスペイン語のとりこになっている著者は、「スペイン語を話してみませんか」とよびかける。ウイットのきいた文章。身近で楽しい話題。スペイン語のABCから片言の会話まで、スペイン語の基礎は、この1冊で楽々マスターできる。読んで楽しく、ためになる入門書である。 〈スペイン語はカステラ語〉スペイン語は一名カステラ語とも呼ばれるといったら、お菓子の名まえですから、おかしいとお思いでしょう。しかしじつは、スペイン語は、スペインからムーア人を15世紀に追放して、国を統一したCastilla(カスティリア)王国を中心とした地方の言語が、スペインの共通語となったのです。そして、それが植民地のアメリカ大陸に移し植えられました。ですから、あの広い地域に広がっている言語はCastillaのことばなので、スペイン語はカスティーリャ語ともいいます。――本書より
教養としてのキリスト教
教養としてのキリスト教
著:村松 剛
講談社現代新書
西洋の歴史・文化を理解するカギとして、キリスト教精神のもつ重さはあまりにも大きい。本書は、キリスト教を知るための基点の書として、聖書の成り立ちから、人間キリストの愛と苦悩、キリスト教精神の本質とその歴史的軌跡までを解き明かした。知識から共感へ、さらに混迷の中から生の支柱を索める現代人にとって、意義深い〈1冊の書〉である。 人間キリストの苦悩――イエスがエルサレムに行ったとき、学者、パリサイびとが、姦淫の現行犯を押えられた女をつれてきたと、「ヨハネによる福音書」は書いています。「師よ、〈中略〉モーゼは律法に、かかる者を石にて撃つべきことをわれらに命じたるが、汝はいかに言うか」〈ヨハネ・8章〉。イエスは身をかがめて、指で地になにかを書いていた。人びとがさらに問い詰めると、イエスは身を起こし、「汝らのうち、罪なき者まず石を彼女に投げよ」と言い、ふたたび身をかがめて、指で地にものを書いたといいます。この描写は美しい。指で地にものを書くということが、ユダヤ教のなんらかの習慣になり、旧約伝承なりを暗示するのかどうか、じつはいまのところわかってはいません。ここでは、イエスの困惑と苦痛とを、察すれば足りるのです。ここの箇所は福音書のなかでも、生きた人間としてのイエスを、もっともあざやかに感じさせる叙述の1つでしょう。――本書より
万葉集入門 人間と風土
万葉集入門 人間と風土
著:久松 潜一
講談社現代新書
自然の偉大な姿を率直に表現し、人間の生きのびる喜び、悲しみ、苦しみを高らかにうたった万葉集は古代から日本人の心にしみこみ、長く親しまれ、愛されてきた不朽の古典である。また、その「ますらおぶり」はたんに文学だけでなく、思想や芸術にもはかりしれないほどの影響を与えつづけてきた。本書は幼いころから万葉に接し、以来50年万葉を研究しつづけてきた斯界の第一人者が人麻呂、赤人、家持、憶良、旅人などの名歌を自由に引用し、歴史、風土、人生観などのさまざまな角度から日本の抒情詩のふるさとを訪ねた意欲の書であり、また万葉をひもとく人々へのもっとも適切な入門書である。 万葉人の愛──万葉時代人の人間的自覚は、人間を愛することと、人間の死を悲しむことに切実に現れています。万葉集の歌の分類が恋の歌などを贈答する相聞、葬式のときにうたう挽歌を2つの主軸として、これ以外の種々の場合を雑歌としているのは、愛と死とが、人間にとって最も重大な点であると考えたからでしょう。万葉時代は、すべてのものを愛するところから出発します。相聞はわれと他人との贈答をさしていますが、その中心となるのは男女の恋愛です。しかしそれだけでなく、親兄弟の贈答の場合も相聞といわれます。この点が古今集以降においては恋愛に限られてしまうのと相違しています。──本書より
電子あり
禅のすすめ
禅のすすめ
著:佐藤 幸治
講談社現代新書
禅は、ある意味で宗教を超えている。自然と人生を透視する仏教者の哲学であり、科学的な心身鍛練法であり、また、すぐれた対話法でもある。本書は、禅のもつこれらさまざまな側面を、科学的に解明する。また、他宗教との比較、脳生理学の応用、いくつもの座禅経験などを織りまぜて、禅の全体像を浮き彫りにする。心理学者として、禅の本質を科学と宗教の合一に見、理論的裏づけをもって普及につとめた著者による禅の「実践」のすすめである。 脳波が示す自由な心――精神医学の笠松教授が行なった興味深い実験の報告があります。目を開いて座禅している熟練した坊さんに、15秒ごとにカチッ、カチッという音の刺激をくり返し与えてみますと、何回やっても、脳波の反応にあまり変化はみられないのに、禅の修行を積んでいないふつうの人々に、座禅の状態に近いように目を閉じさせて同じ実験をやってみますと、初めは禅僧には見られないような大きな脳波が認められます。しかし、座禅を長く続けた後には、ほとんど脳波の変化がなくなります。禅の心境は、ものをはっきり認知しながらそれに心をとどめないというのが根本ですが、それが脳波の形で明らかになるわけです。座禅によって生ずるこの澄みきった心こそ自由な心だと申せましょう。――本書より
ドイツ語のすすめ
ドイツ語のすすめ
著:藤田 五郎
講談社現代新書
外国を理解するには、その国のことばを学ぶことがいちばんである。本書は、日本と歴史的に関係の深いドイツを知るために、ドイツ語教育の第一人者が、身近な例やユーモアをふんだんにとり入れながら、ドイツ語習得の手引きを示す。文法や動詞変化の規則から入るのではなく、英語や日本語との比較、日常会話の寸描といった、親しみやすい方法で、おのずからドイツ語が身につくよう工夫されている。「藤田のドイツ語」で知られる著者の機知あふれる入門書である。 〈ドイツ語は日本人向き〉――戦争が終わったころ、のみやしらみがわいてたいへん困ったことがあり、当時、アメリカ人が、親切にDDTという白い粉をくれました。おとしよりがよくいったものです。「きょうは、デー・デー・テーの配給だよ。」英語の先生だと、「ディー・ディー・ティー」と発音しなければいけない、といわれるでしょうが、ドイツ語はおとしより流でよいのです。英語ではManを、「メァン」のように発音します。ドイツ語のManは、「マン」でよいのです。「ナマエ」のことをドイツ語でName「ナーメ」というのは偶然の一致ですが、ドイツ語の発音は、とても日本人向きにできているのです。――本書より
中国語のすすめ
中国語のすすめ
著:鐘ヶ江 信光
講談社現代新書
中国語は音楽的響をもった美しいことばである。また、世界でもっとも重要なことばの1つである。しかも、長い間、中国と密接な関係をもちつづけているわたしたち日本人に、特に身近で大切なことばでもある中国語とは、いったいどんなことばなのか。中国語の歴史や日本語とのふれないなど卑近な具体例を豊富にもりこみ、中国語の発音・文型・表現の基本と特徴をわかりやすく説明する本書は、中国語学習への意欲を駆り立てる読んで楽しい中国語のよき道案内の書である。 中国の外来語――中国では、外来語はきわめて少ないのです。中国では、漢字による写音がむずかしいということもありましょうが、外国文化に同化されないで、逆に外国の文化を自国のものに同化させてきた長い歴史の伝統にもとづくものと思います。しかし、外来語がないわけではありません。中国語の外来語は、第1に外国語に近い音をもつ漢字をあてる。第2に、それと同時に漢字の意味を外国語の意味に近づけて、それにふさわしい漢字を使おうとする――この2点が特徴です。漢字のもつ妙味とでもいいましょうか。ことに、ユーモアを“幽黙”で表わすなどちょっとおもしろいし、また、コカコーラを“可口可楽”――口にあい楽しむことができる――と表わしているなどは、まさに外来語の中の傑作でしょう。――本書より
現代思想事典
現代思想事典
編:清水 幾太郎
講談社現代新書
本書は哲学・芸術・事件・社会科学・自然科学の諸領域から、アクチュアルな、問題性をふくむ項目252を選びだし、一流気鋭それぞれ最適の執筆者119名が、ヴィヴィドな問題意識にもとづいて自己の主張を大胆に展開した読む事典である。したがって既存学説の客観的な紹介にとどまるものではなく、混乱する思想状況を整理し、それに秩序をあたえようとするものでもない。もちろんたんなる用語解説ではない。今日の混沌たる状況のなかから問題を掘りおこし、より豊かな明日の思想を育てるための可能性あふれる苗床となることをめざした知識人のためのユニークな事典である。