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2014.10.24発売
宗教と権力の政治―「哲学と政治」講義2
講談社学術文庫
それぞれに忠誠心を要求し、人間の行動を左右し、激しく衝突してきた「聖」と「俗」との長い抗争は、政治に何をもたらしたのか。「政治とは何か」を考えるシリーズ二冊目の本書は、教皇至上権とトマス・アクィナスの政治論、ルターの宗教改革、マキアヴェッリの権力論、さらに宗教戦争を経て、「政治の解体」が訪れ、中世が終幕をむかえるまでを論じる。(講談社学術文庫)
2003年、講談社刊の同名書籍の学術文庫化。

2014.10.24発売
よみがえる古代思想―「哲学と政治」講義1
講談社学術文庫
政治について根源的に考えようとする時、人は古代ギリシア・ローマの哲学に立ち戻らざるを得ない。人間と政治の関わりについて、これほど深く、率直に議論された時代は他にないからである。ポリス最大の悪徳「ヒュブリス」とは。プラトンの唱えた「哲人王」とは。ローマの政治家はなぜ哲学を嫌ったのか。政治思想史の第一人者が「政治の本質」を語る。(講談社学術文庫)
2003年、講談社刊の同名書籍の学術文庫化。

2014.10.24発売
デカルト形而上学の成立
講談社学術文庫
「私はあり、私は実在する」という認識は、「すべての認識のうちで最も確実で最も明証的」である。――近代哲学の父ともいわれるデカルトのこの哲学とは、いったい何なのか。神の存在証明とは? 書簡・小篇から主著『省察』まで、細密に読み解き、デカルトの形而上学が成立した道筋を詳細に辿り、その本質を「観念(イデア)」論としてとらえた画期的力作! (講談社学術文庫)
「私は実在する」とはどういうことか。神が存在するとは?
四つの書簡から、「方法序説」『省察』まで、精緻に読み抜いた「これこそがデカルト」!
「私はあり、私は実在する」という認識は、「すべての認識のうちで最も確実で最も明証的」である。
――近代哲学の父ともいわれるデカルトのこの哲学とは、いったい何なのか。神の存在証明とは? 書簡・小篇から主著『省察』まで、細密に読み解き、デカルトの形而上学が成立した道筋を詳細に辿り、その本質を「観念(イデア)」論としてとらえた画期的力作!
「私」は間違えたことがある。疑いの道の始まりにはこのことがある。真であるか、偽であるかわからないから疑う。知らないから疑う。知らないと知っているわけではない。疑うことをとおして、疑うことの理由を見出すことをとおして、なぜ知らないのかわかる。「私はあり、私は実在する」。これはどのようにしても、どこからみても疑いえぬ立言である。疑うことは「思うこと」である。疑いつつ疑いえぬとわかる。「私は思うものである」。このことは揺るがない。確実である。しかし、知識として確実であるということとは異なる。――<本書より>
※本書の原本は、1990年、勁草書房より刊行されました。

2014.10.24発売
幕末外交と開国
講談社学術文庫
無能無策な幕府が、黒船の「軍事的圧力」に屈し、不平等条約を強いられたという「日本史の常識」を検証。軍事衝突は起こり得るのか、交渉は何語で行うのか――。ペリー来航から和親条約締結までの一年間を日米の資料から追跡して見えてきたのは、幕府の高い外交能力と、平和的交渉の輝かしい成果だった。日本の近代外交と日米関係の原点を見直す。(講談社学術文庫)
黒船に揺れた1年間を検証 「無能な幕府」説は本当か?
日米双方の資料から、「開国」をめぐる常識を覆す。
日米和親条約は、戦争によらない平和的な交渉の
成果だった!
無能無策な幕府が、黒船の「軍事的圧力」に屈し、不平等条約を強いられたという「日本史の常識」を検証。軍事衝突は起こり得るのか、交渉は何語で行うのか――。ペリー来航から和親条約締結までの一年間を日米の資料から追跡して見えてきたのは、幕府の高い外交能力と、平和的交渉の輝かしい成果だった。日本の近代外交と日米関係の原点を見直す。
日米和親条約は一門の大砲も火を噴かず、平和的な交渉によって結ばれた。これが最重要の論点だと私は考える。(中略)アジア近代史から見れば、日米和親条約のような「交渉条約」は稀有の事例である。「交渉条約」を導いたのは偶然ではない。一定の政治的条件の下、日米双方の当事者による外交努力の成果にほかならない。日本外交史のなかでは、幕府の高い外交能力は特筆されるべきであろう。――<本書「あとがき」より>
※本書の原本は、2004年に筑摩書房より刊行されました。

2014.10.24発売
ヒトはなぜ眠るのか
講談社学術文庫
進化の過程で睡眠は大きく変化した。肥大した脳は、ノンレム睡眠を要求する。睡眠はなぜ快いのか? 眠りの機能とは? 大脳と睡眠、身体と睡眠の関係、睡眠にまつわる病気、睡眠と冬眠の違い、睡眠を司るホルモン、体内時計の働き、短眠者と長眠者の謎、科学的な快眠の秘訣……。最先端の脳科学で迫る睡眠学入門の決定版。最新の知見と新規文献も充実! (講談社学術文庫)
子供は快眠、老人が不眠なのはなぜか?
病気のときに、よく眠れるのはなぜか?
睡眠学の第一人者による、眠りの不思議と快眠の秘訣!
進化の過程で睡眠は大きく変化した。肥大した脳は、ノンレム睡眠を要求する。睡眠はなぜ快いのか? 眠りの機能とは? 大脳と睡眠、身体と睡眠の関係、睡眠にまつわる病気、睡眠と冬眠の違い、睡眠を司るホルモン、体内時計の働き、短眠者と長眠者の謎、科学的な快眠の秘訣……。最先端の脳科学で迫る睡眠学入門の決定版。最新の知見と新規文献も充実!
いま、眠りの学問は急速に進歩し拡大し、「睡眠学」として世間に認知され、睡眠現象や睡眠障害を医学的に扱うだけでなく、睡眠をとおして社会の活動様式全般にも影響をおよぼすようになりました。睡眠に関連する保育・勤労・医療・生活習慣などの諸問題に的確に対処できなければ、国民的・国家的規模でいちじるしい損失をもたらすかもしれないからですね。――<「学術文庫版まえがき」より>
※本書の原本は、1994年に筑摩書房より刊行されました。
講談社学術文庫に収録するにあたり、適宜章末に補遺と文献案内を追加しました。

2014.10.24発売
リチャード・ローティ=ポストモダンの魔術師
講談社学術文庫
分析哲学の学統から頭角を現しながら、ハイデガーを愛好し、「文化系左翼」批判とリベラリズムの擁護を謳う、「稀代のソフィスト」にしてアイロニスト。この知的巨人は、いかなる理路で「基礎」としての哲学の終焉を告げたのか。変幻自在で挑発的な言辞を丹念に腑分けし、その背後にある思考を体系的に読み解く。ローティの真価は、ここに明らかとなる! (講談社学術文庫)
真理は、正義は、存在は、リベラルは、いかに語りうるか――
ローティを体系的に読む本邦最良の一冊!
分析哲学の学統から頭角を現しながら、ハイデガーを愛好し、「文化系左翼」批判とリベラリズムの擁護を謳う、「稀代のソフィスト」にしてアイロニスト。この知的巨人は、いかなる理路で「基礎」としての哲学の終焉を告げたのか。変幻自在で挑発的な言辞を丹念に腑分けし、その背後にある思考を体系的に読み解く。ローティの真価は、ここに明らかとなる!
R・ローティという人物を一言で言い表すとすれば、それは現代の、そして稀代のソフィストということになろう。これは単なるメタファーではない。
これほどまでにレトリックの重要性を教えてくれた人物を私は知らない。もしもレトリックというものが、人々の心に訴えかける有効な力であるとすれば、もはや我々は、それを単なるソフィスト的軽薄さとして切り捨てることはできまい。ローティにおいて、それはまさしく、その内実を構成しているのである。――<本書より>
※本書の原本は、1999年に春秋社より刊行されました。

2014.10.24発売
ことばへの道 言語意識の存在論
講談社学術文庫
ことばを通して現実があらわれ、人間があらわれ、共同社会があらわれ、宗教があらわれ、芸術があらわれるという展望がなかったら、ことばを論ずる魅力はおそらく半減することだろう。――著者は「あとがき」でそう断じる。人として存在すること、社会のなかに在ることと、否応なくむすびついた「ことば」とはなにか。繊細でしなやかな哲学的洞察。(講談社学術文庫)
共同性、宗教性、芸術性、規範性……ことばと人間の本質を問い、哲学と詩を往還する、根源的な思索の書!
ことばを通して現実があらわれ、人間があらわれ、共同社会があらわれ、宗教があらわれ、芸術があらわれるという展望がなかったら、ことばを論ずる魅力はおそらく半減することだろう。――著者は「あとがき」でそう断じる。人として存在すること、社会のなかに在ることと、否応なくむすびついた「ことば」とはなにか。繊細でしなやかな哲学的洞察。
……ことばの研究というやや異端の道に足を踏みいれる気になったのは、かえりみて二つの要因があったと思う。一つは、東大闘争の敗北後、哲学アカデミズムとは別の場で研究をつづける決意を固め、ならば主題も方法も従来の定型にとらわれる必要などないし、とらわれないことでかえって自分の場の特質を生かした研究ができるだろうと考えたこと。(略)要因のいま一つとして、一九七〇年頃から――その頃がわたしの三十代のはじまりに当たるのだが――日本語が、全体として軽くなる、というか、上すべりする、というか、そういう印象をもつようになったことがあげられる。――<「新装版への序」より>
※本書の原本『ことばへの道』は1978年、勁草書房より刊行されました。文庫化にあたっては、新装版(1997年刊)を底本としました。

2014.10.24発売
世界文化小史
講談社学術文庫
「宇宙戦争」「タイムマシン」などのSF小説で知られるウェルズは、その後半生には世界平和を希求し、国家主義を排した普遍的な世界史叙述に取り組んだ。第一次大戦の惨禍を経て、さらなる大戦争の恐怖を前に執筆された本書は、地球と生命の誕生に始まる人類の歩みを大きな視点で物語る。現代に通じる文明観と、人類への信頼に満ちた、世界史入門の名著。(講談社学術文庫)
初版刊行から90年、今も世界で愛読される名著「SFの父」による一気通読の≪世界史≫
地球の誕生から、20世紀の惨禍まで。世界の危機に直面して執筆された人類史の回顧と将来の展望。
「宇宙戦争」「タイムマシン」などのSF小説で知られるウェルズは、その後半生には世界平和を希求し、国家主義を排した普遍的な世界史叙述に取り組んだ。第一次大戦の惨禍を経て、さらなる大戦争の恐怖を前に執筆された本書は、地球と生命の誕生に始まる人類の歩みを大きな視点で物語る。現代に通じる文明観と、人類への信頼に満ちた、世界史入門の名著。
ウェルズの思想の根底には、常に、「人類は一つだ」という強い信念が秘められており、(中略)そこに流れている一貫した歴史観は、一つの生物種としての人類共通の起源と運命とを、全歴史を通じて一つの過程として把えるという、生物学的歴史観であった。(中略)過去の一切の歴史を、人類の将来のための序曲にすぎないと見たウェルズの希望に満ちた将来への展望は、本書の出版と同時に、広く世人の共感を呼び、その後長く人々に愛読されたのであった。――<本書「解説」より)>
※本書の原本は1971年、角川書店より刊行されました。

2014.10.24発売
愚管抄 全現代語訳
講談社学術文庫
天皇家・摂関家内部の権力抗争が武力衝突に発展し武士の政界進出の端緒となった保元の乱。そこに、乱世の機縁をみた慈円は、神武天皇以来の歴史をたどり、移り変わる世に内在する歴史の「道理」を明らかにしようとする。摂関家に生まれ、仏教界の中心にあって、政治の世界を対象化する眼をもった慈円だからこそ書きえた歴史書の、決定版全現代語訳。(講談社学術文庫)
乱世に「道理」はあるか!? 源平の盛衰、宮廷の動静、天皇の歴代、神仏の世界と人間の世界
史上稀有な歴史書を、読みやすい訳文と、文中の丁寧な訳注で読む!
天皇家・摂関家内部の権力抗争が武力衝突に発展し武士の政界進出の端緒となった保元の乱。そこに、乱世の機縁をみた慈円は、神武天皇以来の歴史をたどり、移り変わる世に内在する歴史の「道理」を明らかにしようとする。摂関家に生まれ、仏教界の中心にあって、政治の世界を対象化する眼をもった慈円だからこそ書きえた歴史書の、決定版全現代語訳。
年のたつにつけ、日のたつにつけて物の道理ばかりを考えつづけ、年老いてふと目ざめがちな夜半のなぐさめにもしているうちに、いよいよわたくしの生涯も終りに近づこうとしている。(略)神々の時代のことはわからないが、人間の天皇の御代となった神武天皇以後、王は百代といわれているのに、すでに残りは少なく八十四代にもなっている中で、保元の乱が起こって以後のこと、また『世継の物語』(『大鏡』)のあとのことを書きついだ人はいない。(略)この乱世のことを案じてばかりいる自分の心を安らかにしたいと思って、この書物を書きしるすのである。――「巻第三」より
※本書の原本は、1971年6月、「日本の名著 9『慈円・北畠親房』」として、中央公論社より刊行されました。本書は、中公バックス版「日本の名著9」(1983年刊)を底本としました。

2014.10.24発売
西洋中世の罪と罰 亡霊の社会史
講談社学術文庫
エッダ、サガに登場する粗野でたくましい死者のイメージは、中世後期の『黄金伝説』『奇跡をめぐる対話』では、生者に助けを求める哀れな姿となる。その背景には何があったのか? キリスト教と「贖罪規定書」そして告解の浸透……。「真実の告白が、権力による個人形成の核心となる」(M・フーコー)過程を探り、西欧的精神構造の根源を解き明かす。(講談社学術文庫)
ミシェル・フーコーは、ヨーロッパにおける「個人」と「権力」の関係についてこう述べています。
「個人としての人間は、長いこと、他の人間たちに基準を求め、また他者との絆を顕示することで(家族・忠誠・庇護などの関係がそれだが)、自己の存在を確認してきた。ところが、彼が自分自身について語りか得るかあるいは語ることを余儀なくされている真実の言説によって、他人が彼を認証することになった。真実の告白は、権力による個人の形成という手続きの核心に登場してきたのである」
ヨーロッパにおいて12~13世紀にかけて、大きな変化が起こりました。8~9世紀に起こったカロリング・ルネサンス以降、ゲルマン社会はキリスト教化の動きが顕著になっていきます。そこで登場したのが、「贖罪規定書」です。俗信や魔術など迷信的な世界に生きる民衆の日常生活の細部にいたるまで点検し、個々の行動を裁き、罰を与えるものです。その介入は、「自発的な告解」にもとづくものでした。聖書にもとづく生活モデルに合わないことを罪とし、それに細かく罰を与えたのでした。こうすることで「個人」対「国家権力」が西洋的なあり方で成立していきました。
本書では、「贖罪規定書」以前の死者の国(元気な死者たちが暴れ回る)が、だんだんと弱い死者の国(地獄・煉獄からの助けを求める)へと変化していく様子を、様々な資料から読み解いていくものです。
エッダ、サガ、『奇跡をめぐる対話』、『黄金伝説』そして『贖罪規定書』と様々な資料を渉猟しながら、ヨーロッパの精神構造の根源へと迫ります。

2014.10.24発売
伊藤博文と明治国家形成―「宮中」の制度化と立憲制の導入
講談社学術文庫
内閣制度を創設し、明治憲法の制定に尽力したことで日本近代史にその名を刻む伊藤博文。しかし立憲制の導入のために伊藤がまずなすべきことは、天皇の権限を明らかにし、「宮中」を制度化することだった。大隈重信・井上毅ら政敵との抗争や、度重なる政治的危機を乗り越えて明治天皇の信頼を得た伊藤の、「真の業績」を論じたサントリー学芸賞受賞作。(講談社学術文庫)
「立憲カリスマ」の真の業績とは
立憲制確立のためには、まず天皇の権限を明確にし、内閣を自立させることが不可欠だった。
内閣制度を創設し、明治憲法の制定に尽力したことで日本近代史にその名を刻む伊藤博文。しかし立憲制の導入のために伊藤がまずなすべきことは、天皇の権限を明らかにし、「宮中」を制度化することだった。大隈重信・井上毅ら政敵との抗争や、度重なる政治的危機を乗り越えて明治天皇の信頼を得た伊藤の、「真の業績」を論じたサントリー学芸賞受賞作。
「宮中」とは、天皇、皇族、宮中派と呼ばれる天皇側近、宮内省関係者などで構成された政治主体を意味し、その「宮中」が、「内閣」から自立した政治意思を持ち、立憲制の導入を中心とした体制の転換にも少なからぬ影響を与えていったのである。
本書の意味する「宮中」の制度化とは、君主権力を制度化して「宮中」の恣意から「政治」を自立させようとする政治的試みであり、それを本書では伊藤の政治指導を通じて明らかにしようとするものである。――(本書「はじめに」より)
1991年、吉川弘文館刊の同名書籍の文庫化

2014.10.24発売
ドイツ貴族の明治宮廷記
講談社学術文庫
明治中期、宮中近代化のために招聘され、新宮殿での憲法発布式典を見届けて帰国したお雇い外国人、モールの日本滞在記。威厳ある若き天皇への謁見、知性と品位を備えた皇后への賞讃、「宮中衣裳問題」での伊藤博文との衝突など、欧化を急ぐ立憲国家成立期の宮廷社会を知る必読文献。さらに関西、箱根、日光、磐梯山への旅など、各地の風物も豊かに描く。(講談社学術文庫)
憲法発布と急激な欧化。
明治日本を知る基本文献。
若き天皇への謁見。伊藤博文との「洋装論争」。宮中の近代化を担った「お雇い外国人」が活写する明治上流社会。
明治中期、宮中近代化のために招聘され、新宮殿での憲法発布式典を見届けて帰国したお雇い外国人、モールの日本滞在記。威厳ある若き天皇への謁見、知性と品位を備えた皇后への賞讃、「宮中衣裳問題」での伊藤博文との衝突など、欧化を急ぐ立憲国家成立期の宮廷社会を知る必読文献。さらに関西、箱根、日光、磐梯山への旅など、各地の風物も豊かに描く。
※本書の原本は1988年、新人物往来社より刊行されました。

2014.10.24発売
デカルト、ホッブズ、スピノザ 哲学する十七世紀
講談社学術文庫
近代哲学の祖とされ、「心身二元論」に拠ったデカルト。国家契約説をとなえ、「万人の万人に対する戦争」で知られるホッブズ。「神即自然」を主張したスピノザ。十七世紀の哲学シーンを彩る三人の思索は、動乱期のヨーロッパを生きたゆえの魅力にあふれている。神、国家、物体と精神……、根本問題をめぐる三様の思索を、鮮やかに浮き彫りにする。(講談社学術文庫)
私はある、私は存在する……デカルト
「私」はこの身も心も神でできている……スピノザ
人はなぜ人に服従するのか……ホッブズ
「機械的なもの」と「魂あるもの」が重なり合う
十七世紀の哲学世界!
近代哲学の祖とされ、「心身二元論」に拠ったデカルト。国家契約説をとなえ、「万人の万人に対する戦争」で知られるホッブズ。「神即自然」を主張したスピノザ。十七世紀の哲学シーンを彩る三人の思索は、動乱期のヨーロッパを生きたゆえの魅力にあふれている。神、国家、物体と精神……、根本問題をめぐる三様の思索を、鮮やかに浮き彫りにする。
十七世紀は「機械論」の世紀であった。が、ただの機械ではない。機械的な存在が自生し、産出し、ものを言うのである。それは「合理主義」という名から想像される以上に不気味な、「存在論的機械論」とでもいうべきものの出現であったと私は思う。機械的な存在が主観の対象の側に客体として仮構されてある、というのではない。むしろ、自分は別なふうに存在しているのかもしれぬという隔たりをわれわれ自身のただなかに開く、そういうものとして機械的なものはある。――<「ものを言う首」より>
※本書の原本『精神の眼は論証そのもの』は1999年、学樹書院より刊行されました。

2014.10.24発売
伊藤博文演説集
講談社学術文庫
「我国旗の中央に点ぜる赤き丸形は……昇る朝日の尊き徽章(きしょう)となり……文明諸国の間に伍して前方に且(か)つ上方に動かんとす」と明治四年サンフランシスコで日本の進む途を謳い上げた「日の丸演説」。文明国たらんと憲法制定・議会開設に奔走、政党政治のあるべき姿を説き、台湾・韓国統治の意義を語って国制を彫琢した政治家・伊藤の代表的演説三九篇を収録。(講談社学術文庫)
伊藤の日本建国の理念を、いまこそ読み直す。明治憲法を制定し、4度も総理大臣に就任した伊藤博文。彼は、いったいどのような構想で日本という国を作ろうとしたのか。折々の演説を再現し、肉声と思想に迫る。

2014.10.24発売
オイディプスの謎
講談社学術文庫
ギリシァ悲劇の白眉『オイディプス王』と『コロノスのオイディプス』。作者ソポクレスは二つの物語で深遠な問いを立てる。人間の本性とは何か? 苛烈な運命の下で、人間はいかに生きるべきか? 前五世紀、栄華を誇ったアテネはその後大敗戦、疫病の猖獗を経験する。大国難の中にあっても、人間は高貴なる魂を保持せねばならぬと訴えたのである。(講談社学術文庫)
捨て子、父殺し、王位、母子婚、そして漂流する盲目の物乞いから神霊へと変容する
人類史上最高の悲劇に秘められた幾重もの謎とは?
ギリシァ悲劇の白眉『オイディプス王』と『コロノスのオイディプス』。作者ソポクレスは二つの物語で深遠な問いを立てる。人間の本性とは何か? 苛烈な運命の下で、人間はいかに生きるべきか? 前五世紀、栄華を誇ったアテネはその後大敗戦、疫病の猖獗を経験する。大国難の中にあっても、人間は高貴なる魂を保持せねばならぬと訴えたのである。
この二篇の劇〔『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』〕は、東日本大震災という未曾有の災害を経験した現在の日本人にとって、無縁であるとは思えない。波瀾万丈だったこの紀元前五世紀における転変のあいだに、アテネは二度にわたって、そんなことが起こるとは想像もつかなかった、非常な国難に遭遇した。……これらの劇にはそれらの大国難のそれぞれに当たって、ソポクレスが苦悩のどん底にある同胞たちに向かって、訴えずにいられなかった思いが、生々しく吐露されている。――<「学術文庫版まえがき」より>
※本書の原本は、1995年、青土社より刊行されました。

2014.10.24発売
天皇 天皇の生成および不親政の伝統
講談社学術文庫
「天皇親政」と「国体」へのタブーが解けた戦後の学界で、いち早く天皇統治の解明に挑んだ法制史家による「天皇の歴史」。「不親政」と「刃に血ぬらざること」こそが天皇の伝統であり、それゆえに邪馬台国の時代から現在にいたるまで、「統合の象徴」として存続しえたという。その後の日本人の天皇観に大きな影響を与えた必読の論考。(講談社学術文庫)
邪馬台国から象徴天皇まで
「不親政」と「刃に血ぬらざること」が天皇統治の伝統である――。戦後いち早く独自の視点を打ち出した法制史の泰斗が、「国民統合」の論理を解明した名著。
「天皇親政」と「国体」へのタブーが解けた戦後の学界で、いち早く天皇統治の解明に挑んだ法制史家による「天皇の歴史」。「不親政」と「刃に血ぬらざること」こそが天皇の伝統であり、それゆえに邪馬台国の時代から現在にいたるまで、「統合の象徴」として存続しえたという。その後の日本人の天皇観に大きな影響を与えた必読の論考。(解説・本郷和人)
※本書の原本は、1982年、山川出版社より刊行されました。

2014.10.24発売
謡曲入門
講談社学術文庫
謡曲研究の第一人者が、校訂作業の折にふれて記した研究余滴。それがはからずも珠玉の文章となり、すぐれた案内となった。本書は、『謡曲雑記』としてまとめられたその各稿に、後進による解説を付し、入門書として編み直したものである。「安宅」「蟻通」「邯鄲」「自然居士」「俊寛」「天鼓」「百万」「三輪」など、代表的な曲のより深い解釈と鑑賞にいざなう。(講談社学術文庫)
「謡曲入門」の決定版!
「葵上」「浮舟」「邯鄲」「融」「三輪」など、代表的な謡曲40曲を厳選し、第一人者ならではの、深い洞察に支えられた鑑賞に読者を導く。
(原本『謡曲雑記』に 収録された四十余編を曲名の五十音順に編成し直し、各曲の本論に、前付けの 解説を付し編集した)

2014.10.24発売
楽しき熱帯
講談社学術文庫
ギリシア神話の神々の名を冠した蝶が飛び交い、獰猛な肉食魚ピラーニャが蠢くアマゾン。少年時の夢叶い、いざ緑の魔境へ! トラップで虫採り、釣りに感激、蝶の標本を買い込む楽しい旅は、インディオ虐殺、金採掘人(ガリンペイロ)・ゴム採集人(セリンゲイロ)の過酷な生、自然破壊との出会いでもあった。虫好き仏文学者ならではの、軽妙にして奥深い名紀行。(講談社学術文庫)
緑の魔境で、見た、採った、飲んだ、考えた。少年の夢が40年後ついに叶い、アマゾンへ! 美しくも凶暴な自然を満喫。昆虫蒐集と釣り三昧で、歓楽の日々。文学者ならではの教養を随所に織り交ぜた名紀行。

2014.10.24発売
構造主義進化論入門
講談社学術文庫
なぜ遺伝子操作で新生物を作れないのか? なぜ同じ遺伝子が、ハエでは複眼を、哺乳類では単眼を出現させるのか? ネオダーウィニズムでは説明不能な進化現象の数々。プラトン、ラマルク、ダーウィン、メンデル、ドーキンス……。進化論の系譜を再検証し、生物を記号論的に環境を解釈するシステムと定義することで、もう一つの進化論を構想する。(講談社学術文庫)
DNA至上主義のネオダーウィニズムと訣別し、生物=システムという観点から、革新的進化論を提唱する
「進化とは、偶然起こる遺伝子の突然変異が、自然選択で、集団のなかに浸透していく」ことではない!
なぜ遺伝子操作で新生物を作れないのか? なぜ同じ遺伝子が、ハエでは複眼を、哺乳類では単眼を出現させるのか? ネオダーウィニズムでは説明不能な進化現象の数々。プラトン、ラマルク、ダーウィン、メンデル、ドーキンス……。進化論の系譜を再検証し、生物を記号論的に環境を解釈するシステムと定義することで、もう一つの進化論を構想する。
科学が発展し、取り扱う現象が複雑になってくると、実体論ではうまく説明できないことが多くなってくる。生物の進化論におけるネオダーウィニズムは、実体論的色彩が強い理論である。ネオダーウィニズムはDNAそのものの進化理論としては、かなりイイ線までいった理論であるが、残念なことに生物はDNAではない。生物の進化を説明するためには、さらに関係論的な方向に、研究枠組みをシフトさせる必要がある。実体論から関係論への流れは科学の潮流といってもよい。構造主義進化論(構造主義生物学)もこの流れのなかに位置しているといえよう。――<「エピローグ 科学の挑戦」より抜粋>
※原本『さよならダーウィニズム 構造主義進化論講義』を改題

2014.10.24発売
元禄文化 遊芸・悪所・芝居
講談社学術文庫
十七世紀末、西鶴、近松、芭蕉、光琳、師宣らを輩出した元禄文化が花開く。文学、絵画、工芸のみならず、町人が主役となり、奢侈の風俗を生んだ。遊里に入り浸る新興商人、芸事に溺れ身を滅ぼす二代目、芝居に憂き身をやつす人々。生産と消費の外部にある第三の領域=「遊び」という視点から、太平の世の町人文化の深層に迫る。(講談社学術文庫)
「遊び」から見える「元禄町人文化」の深層。江戸太平の世、町人たちの担う都市大衆文化が豊かに花開いた。多様な芸事、悪所と呼ばれた遊里、人々を熱狂させた芝居。「遊び」の視点から活写する元禄文化史。