新刊書籍
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1980.10.21発売
ドイツ留学記(上)
講談社現代新書
「いざ越え行かん広き野を。いざ登らん晴れたる嶺の人気なきを……」この漂泊歌(ヴァンダー・リート)「青き花」の歌声ひびくところ、緑の野と広大な森は若者たちのものであった。ドイツの人々の自然を愛する心への共感、また、その合理精神、徹底性から生まれた生活や教育制度のありかたへの新鮮な観察から生き生きしたドイツの姿を描く。若き日を異郷の地に遊んだ著者が、厳しくも実り多き研究生活、友との放浪、楽しきパーティ、心篤き人々との交流を、真情こめてつづる。

1980.10.21発売
生きるための幸福論
講談社現代新書
●幸福なるかな心の貧しき者、天国はその人のものなり──キリスト
●運命は神の考えるものだ。人間は人間らしく働けばそれで結構──夏目漱石
●苦しい時には、自分より不孝な男がいたことを考える──ゴーギャン
先達にかぎらず人間とは、生きることの意味を求めてやまない存在といえよう。精神医学者の眼ざしと、作家の観察が、死、個性、旅、秘密、読書などをとおして語る、こころゆたかな人生論ノート。

1980.10.20発売
ゆらぎの世界
ブルーバックス
さまざまな“ゆらぎ”の不思議をさぐる
《航空機事故》25年間に世界で起こった145件の事故は偶然の出来事ではなかった!
《日本の都市人口》人口の順位にしたがって並べると人口と順位の積はほぼ一定となる!
《絵画のスペクトル》ルノアール、ピカソの絵、そしていしいひさいち氏の漫画「ヤスダ」を比較すると……
《高速道路の流れ》なぜ自動車は群(むれ)をなして走るのか。その流量ゆらぎの原因は?
《人間とゆらぎ》片足立ちをすると身体は大きくゆれる。人には2種類のパターンがある!
《ニュース放送の声》英語と日本語のそれとでは、明らかな差がある。どんな差か?

1980.10.13発売
ムーミン谷の十一月
講談社文庫
まっ白な雪にとざされて、長い冬眠に入る前のムーミン谷の11月……人恋しくてムーミン家に集まってきたフィリフヨンカ、ホムサ、ヘムレン、スナフキンたち。ところが、心をなごませてくれるはずのムーミン1家は旅に出ていて……。ヤンソンが読書に贈るファンタジックで魅力的なムーミン童話の最終巻。

1980.10.13発売
小川未明童話集(3)
講談社文庫
国境の山が見える原っぱに集まる子供たちと、くず屋の爺さんや青年との心のふれあい、貧しい子と富める子との葛藤を、世相を反映しながらパノラマ風に構成した「青空の下の原っぱ」や、「風だけが叫ぶ」「しいの実」「金歯」「太陽と星の下」など、闇を通して光を描きつづけた、未明の昭和初期から戦中・戦後へかけての歩みを示す、代表作15編を収録(全3巻完結)。

1980.10.13発売
俺はロンメルだ
講談社文庫
俺はロンメルである。あの砂漠の狐と謳われた、ドイツ国防軍のロンメル元帥である。株式会社ペンタブレーンに勤めている。このアイデア・ゲリラ集団には、エジソンもサッチモも桂春団治もいる。そして、次々と奇抜な発想を生みだしていくが……。というユニークな表題作ほか10篇を収録する、かんべむさしの奇想天外SF短篇集。

1980.10.13発売
日蝕の檻(下)
講談社文庫
若手プロデューサー加瀬は、次の映画製作に情熱を燃やしていたが、主演女優が目の前でビルから墜死し……。その映画「日蝕の森」の製作は上部からの圧力で中止させられ、加瀬が映画界の複雑な人脈図のはざまで混惑している一方で、神谷部長刑事は濃厚な犯罪の匂いをこの映画界の底流に嗅ぎとっていた。戦後混乱期の映画界を支配した人間たちの過去が今あばかれようとしている……。得意の題材に全力を投じた著者の会心作完結。
東洋映画の若手プロデューサー加瀬は、映画“日蝕の森”の製作に情熱を燃やしていた。その矢先、主演女優の横井美奈が彼の目の前でビルから墜死し、また加瀬を監視する何者かの気配も……。そして“日蝕の森”の製作は上部からの圧力で中止に。加瀬が映画界の複雑な人脈図の狭間で困惑していたとき、神谷部長刑事は犯罪の匂いをそこに嗅ぎとっていた。戦後映画史の暗黒部を衝く野心的推理長編。

1980.10.13発売
課外授業 ミステリにおける男と女の研究
講談社文庫
海外のミステリにおける男と女の徹底的研究。ミステリも小説という信念から、作中の男女の関係をとおして分析する洒落たミステリ研究ーーこの世は、男と女で成り立っている。そして、男と女の間には、つねに恋愛という大問題が横たわることになる。ミステリ作品のなかの男女にもまた、さまざまな形の恋愛が生じないはずがない。海外ミステリに現われた男と女の複雑微妙なかかわりを紹介分析した、ユニークなミステリ研究。日本推理作家協会賞受賞作品。

1980.10.13発売
紅梅白梅
講談社文庫
都築(つづき)少尉の戦死は、不名誉なものだった。たった一度の契りだったが、彼の汚名を晴らしたかった山邑(やまむら)ひなは、その死の謎を追った。なぜ、彼は死に急いだのか? 停電した嵐の夜、作家の私を訪ねたひなは、台所のガスを明かりにして話し始めた。苛酷な状況の中で生きることを余儀なくされた人間の運命を描いた長編。

1980.10.13発売
追放と自由
講談社文庫
おれには生きる場所があるのか……。朝鮮人からも日本人からも疎んじられる、曖昧な存在に苦悶する、石時雄の叫びである。天皇へのテロを妄想し、自殺を計る長い苦悩の闇。焦燥や挫折の果てにみた、希望の光。日本人の妻の愛と友人の励ましを受けて、力強く再生の道を踏み出す、帰化朝鮮人青年の心の遍歴と成長を描いた力作。

1980.10.09発売
幻想博物誌
講談社文庫
転地療養先の千葉の海岸で、心を魅了された美貌の女の異常な死を超現実的感覚で描き出し、この世のものと思われぬ妖しい虚構の世界を構築する「月夜蟹」はじめ、蟹、蝶、猫、からす、馬、鵺の6種の動物のそれぞれの持つイメージに触発され、存分に幻想の翼伸ばしてつづる、日影文学の魅力を結晶させた好短編集・全6編。

1980.10.09発売
陽はメコンに沈む
講談社文庫
1961年、ラオスの僧に変身した参議院議員・辻政信は、動乱のインドシナで消息を絶つ。死亡説・生存説が入りみだれる中で、1970年、日本人記者・結城は、辻政信の消息を知るという元パテト・ラオの通訳に会い、記事を書いた。しかし、それは結城を、得体の知れぬ勢力からつけ狙わせる端緒となった! 迫真の、男のサスペンス。江戸川乱歩賞受賞第一作。

1980.10.09発売
日蝕の檻(上)
講談社文庫
東洋映画の若手プロデューサー・加瀬は、映画「日蝕の森」の製作に情熱を燃やしている。ところがその矢先、彼の眼前で主演女優の横井美奈がビルから墜死し、にわかに前途に暗雲が立ちこめた。しかも、何者かが加瀬を監視しているような気配も……。現在の事件からさかのぼり、戦後映画史の暗黒部を描く、野心的推理長篇。

1980.10.09発売
北国の春
講談社文庫
青春の頃、恋人を奪われた男が、25年振りにその友人に再会して知った新事実と、長い間、旧友に燃やし続けた敵愾心の真因を悟る「北国の春」、男手一つで育てた一人娘を嫁がせた父親が、旅先で、おきゃんなホステスにその孤独を癒される「凍れる樹」など、人間の深層にひそむ心の動きを鮮やかに描いた、傑作9編。

1980.10.07発売
旧約聖書名言集
講談社学術文庫
旧約聖書は、イスラエル人の歴史の大河ドラマであるとともに、「いのちのことば」をしるした書である。本書は、旧約聖書から珠玉の名言・名句を選び出し、それらを歴史の流れに沿ってドラマチックに構成した格好の旧約入門書。アブラハムやモーセの信仰、『詩篇』にうたわれた愛、『箴言』にみられる戒めや知恵などは、現代の読書に生きる指針を与える。これらの聖句を通して、神とともに生きる幸せを語りかける意欲的書き下ろし。

1980.10.07発売
近世日本国民史 西南の役(七) 西南役終局篇
講談社学術文庫
田原坂の激闘以後、転戦しつつ敗走せる薩軍、城山に籠城。九月二十三日夜、西郷隆盛諸将を営中に招き訣別の宴を開く。翌払暁、四面の官軍総攻撃を開始、西郷らは洞窟を出でて岩崎谷へ向う。乱弾忽ち西郷傷つく。西郷、別府晋介を顧みて「晋殿、もうここでよか!」と。すなわち跪坐し、襟を正して東天を拝す。時に五十歳。戦治まり猛雨一陣、城山の戦血を一洗。後人曰く、「西郷永く死せず」と。ここに士族の時代はその終焉を告ぐ。

1980.10.07発売
講孟箚記(下)
講談社学術文庫
「吾(われ)幽囚の罪人と雖(いえ)ども、悪んぞ国家の衰乱、夷狄(いてき)の猖獗(しょうけつ)を度外に置くを忍びんや」、国家の多難を前に、国の運命を担う責務から逃避する道はない。獄中にあれば獄中の人として、これに参ずる道を発見せずんば止まぬ21回猛士吉田松陰は、「余が一室に幽囚して、広大を致す如きは、学の力のみ」と、遂に『孟子』の全講を終えた。行動力の人であると同時に天性の教育家だった彼のこの情熱が『箚記』の紙表に溢れて、人の心を打つ。

1980.09.29発売
化学で生命を考える
生命のためになぜ特定の元素が必要なのか、遺伝子の情報や細胞のしくみはどのような自然法則と条件に基づいているのか? 複雑で巧妙な生命の謎を化学の目でときほぐし、興味深い話題を交えて解説したユニークな入門書。

1980.09.18発売
家族関係を考える
講談社現代新書
家族における人間関係は一様なものではない。一人の異性を選択することによって成立する夫婦というヨコの関係、血のつながりで運命づけられた親子というタテの関係、さらに兄弟姉妹、親戚、こうした複雑さから、思いがけない対立や葛藤が生じてくる。家庭内暴力、離婚……。家族のあり方は、われわれの生きていく基盤として今、根本から問いなおされなければならない。(講談社現代新書)
家族における人間関係は一様なものではない。一人の異性を選択することによって成立する夫婦というヨコの関係、血のつながりで運命づけられた親子というタテの関係、さらに兄弟姉妹、親戚、こうした複雑さから、思いがけない対立や葛藤が生じてくる。家庭内暴力、離婚……。家族のあり方は、われわれの生きていく基盤として今、根本から問いなおされなければならない。本書は、日本社会の特質を踏まえつつ、母・父・子の深層の関係を追求、われわれが自立した人間として個性的に生きる場としての家族のあり方を模索する。
危険思想――夫婦の絆は親子の絆と十字に切り結ぶものである。新しい結合は、古いものの切断を要請する。若い二人が結ばれるとき、それは当然ながら、それぞれの親子関係の絆を切り離そうとするものである。一度切り離された絆は、各人の努力によって新しい絆へとつくりかえて行かねばならない。この切断の痛みに耐え、新しい絆の再製への努力をわかち合うことこそ、愛と呼べることではないだろうか。それは多くの人の苦しみと痛みの体験を必要とするものである。このような努力を前提とせず、ただ二人が結ばれたいとのみ願うのは、愛などというよりも「のぼせ」とでも呼んでおく方が妥当であろう。他の何事をしてもいいが、「愛する二人が結ばれると幸福になる」という危険思想にだけはかぶれないようにして欲しい、と願いたくなってくるのである。――本書より

1980.09.10発売
小川未明童話集(2)
講談社文庫
時代にさきがけて、近代童話のけわしい道を切りひらいた日本童話の父、小川未明。晩秋の美しい高原で、石炭、はち、つたの葉、レールなどがけんめいに生きる姿をつづった「雪くる前の高原の話」、漂着した外国人とともに海を渡り、もどらなかった父の思い出話「青いランプ」、「月とあざらし」など、ロマン的詩情の流れる中に、きびしく現実を見つめ、正義を愛した未明の世界を、多彩な題材で描いた名品17編を収録。