新刊書籍
レーベルで絞り込む :

1977.05.27発売
非ユークリッド幾何の世界
ブルーバックス
考える喜びをあなたに!!
平行線とは同じ平面上にあって互いに交わらない二直線のことである。ではこの平行線はどう見えるだろう?たとえば東西に真っすぐ延びた線路――この平行な二直線は地平線の一点に集まっているように見える。東を見ても西を見ても……。それでは平行線とは2つの無限遠点で交わっている直線なのだろうか?本書とともにこんな素朴な疑問を追っているうちに、いつの間にか、あなたは、幾何学とはどんな学問かを悟り、非ユークリッド幾何の世界に踏み込んでいる自分に気づくことだろう。

1977.05.27発売
新書東洋史(5)中国の歴史5 人民中国への道
講談社現代新書
ゆらぎ始めた清朝の支配体制は、その体制が不備であった分だけ、逆に柔構造の強さを見せながら崩壊の道をゆるやかにたどっていく。列強の利害が改革派の官僚、軍閥の動きと絡まり、中国の革命運動は困難な状況のなかに置かれていた。本書は、太平天国、アヘン戦争から第二次世界大戦後の革命の成立まで、近代中国100年の曲折を描き出す。西洋近代のインパクトから生まれたさまざまな改革運動のなかで、共産主義が支持され、その革命が成就する過程を明快に分析。
五四運動の影響――五四運動を境に新文化運動は文化革命に発展した。その例証としては、大衆向け宣伝の必要と実践から口語文がこの過程で大衆的に根を下ろし、文章語としての正統の地位を確保したこと、男女同権、婦人解放の要求が高まるなかで、1920年から北京大学はじめ国立の有名大学が、女子学生に門を開いたことをあげておこう。日本の国立大学が女性に開放されたのは1946年、しかも占領軍の指示によってであったことを想起すれば、ことがらの重みが知れよう。――本書より

1977.05.26発売
わが母の記
講談社文庫
老いた母を、息子の立場から暖かく描いた「花の下」、母の老耄を見据えた「月の光」、老母を棺にそっと横たえてやるようなやさしさを以て描いた「雪の面」。――独自の感覚世界に生きる老いた母の姿を、鎮魂の想いをこめつつ、澄明な筆で追求した3部作。ほかに珠玉の短編「墓地とえび芋」を収録。
1977.05.25発売
宿題ひきうけ株式会社
講談社文庫

1977.05.25発売
パスカルの鼻は長かった
講談社文庫
おれの名は小峰元、高3男子。進学もさることながら、目下の最大関心事は、ちんまりとかわいい志津子をヒモトクことだ。ところが不埓にも、この志津子はインチキ・ディレクターの罠に落ち、ヌード写真を撮られてしまった。怒り心頭のおれは、正義の鉄槌を下さんとするのだが、野郎は殺人者の手にかかり、事件は混沌、五里霧中。青春ミステリー。

1977.05.10発売
西成海道ホテル
講談社文庫
釜ヶ崎に接する西成海道町。かつては人間的な体臭に満ち、庶民の哀歓が溢れていた街は、今やその面影を失い、陰湿な街に変貌していた。一時、この街に落魄の身を寄せていた著者が、現地取材し、古ぼけたアパートの住人を中心に、愛憎にうごめく底辺社会の人間像を活写。失われたものへの愛惜をこめて描いた力作。

1977.05.09発売
「人間らしさ」の構造
講談社学術文庫
外なる道徳規範に基づいた戦前の価値体系が崩壊した現代の日本人にとって、「生きがい」というわれわれ一人一人の内なる価値体系をどうしたら建設しうるか。本書は人間の心の奥のうずきを善きものと見る性善説の立場から、人間における「機能快」の構造を科学的に考察し、現代文明の中での「人間らしさ」のあり方を新たに追求する。外国生活の経験から得た幅広い視野に立って、著者は実際的でかつ滋味豊かな人生論を独創的に展開する。

1977.05.09発売
薔薇館
講談社文庫
薔薇園のある旧家の女主人・藤波梢は、娘の雅美と奈美がともに、自分の恋人・紺野に異性として関心を抱いていると知り、強い衝撃をうけた。紺野とは、運命のいたずらで結婚こそできなかったが、青春時代以来、双思双愛の仲である。美しい女たちが刻む、愛の三角形の行方は? 華麗なタッチで多様な愛を描いた、大型ロマン。

1977.05.06発売
解剖学的女性論
講談社文庫
作家でもあり医師でもある著者が、ヒステリーの女性、ウーマン・リブの女性、永遠の愛を信ずる女性、浮気な女性、レズビアンの女性、不感症な女性、嘘つきの女性など、さまざまのタイプの女性の恋愛心理を、豊富な医学・心理学的知識をもとに分析し、謎を秘めた女性の<愛の真実>に迫った異色のエッセイ。

1977.05.02発売
新書東洋史(4)中国の歴史4 伝統中国の完成 明・清
講談社現代新書
モンゴル帝国・元のあとに生まれた漢民族国家・明は、永楽帝のもとに巨大版図を築きあげる。農村工業の発展は庶民文化を花開かせた。しかし、北虜南倭、宦官の跋扈は次第に帝国を蝕み、女真族による中国最後の王朝・清が中国を征服する。辯髪で強く記憶されるこの国家は、アヘン戦争で敗れるまで長く世界に君臨した。本書は、従来の政治史のみならず、社会経済の新しい動向にも配慮し、中国史が誇る成熟した500年を、ダイナミックに考察し、中国的なるものを見事に解き明かした。
モンゴル親征――永楽帝時代を特徴づけ、またそれが中国史上の1つの輝かしい時代と称される理由は、帝によってくりひろげられた大々的な対外事業にあることは多言を要しないであろう。なかでも最大の事業は、「五出三犂(さんれい)」――五たび砂漠に出で、三たび虜庭を犂す(北虜の本拠を襲う)――といって当時の人々が自讃した永楽帝によるモンゴル族討伐の戦争であった。10世紀以来、北方民族に圧倒されつづけてきた中国人にとって、帝の遠征事業は漢民族の栄光をとりもどす壮挙と感じられたのであろう。しかし遠征の内容はそれほど讃えられるべきものではなかったのである。明帝国にとって北辺防衛は、成立当初から最大の課題であった。太祖は帝国成立と同時に、モンゴル族討伐の軍をおこしたが、全面的に勝利をえたわけではなかった。――本書より

1977.04.26発売
コルプス先生馬車へのる
講談社文庫
どこへ行くにも白衣をまとい、大きなかばんを持ったコルプス先生は、水アメが大すきで楽天的なおじいさん。でも頼りになるお医者です。ある日、遠い北の地方に住む少女から、つばめの治療を頼まれます……。筒井敬介の人間的なあつい「ねがい」を、軽妙なタッチでユーモラスな今様おとぎ話の世界に展開させた名作。国際アンデルセン賞優良賞受賞作家による至高の児童文学。

1977.04.26発売
史談と史論(下)
講談社文庫

1977.04.22発売
青年の樹
講談社文庫
東大に入学した坂木武馬は、さまざまな人生を背負った友人たちを持った。赤坂の有名な料亭の娘で、母親が汚職事件に巻き込まれている明子。やくざの大親分の長男として、跡目相続を迫られている和久。高校野球のヒーローだったのに、なぜかマウンドを踏もうとしない杉。見えない糸が彼らを結びつけ、青春の地図は苦悩と友情とで、複雑に彩られて行く。「本当の青年になれ、そしていつまでも青年であれ――」という父の希望を、若い樹の養分として、冒険を恐れずに生きる武馬を通して、行動派作家の思想を見事に昇華し、さまざまな苦悩に満ちた人生を歩む若者たちの、友情と恋と冒険を爽やかに描く青春ロマン。東宝で映画化された傑作。

1977.04.20発売
NMR入門プログラム学習
NMRはすでに学部学生用カリキュラムの重要な一環となっている。本書は初心者が順次高度な解析に馴れていけるように、周到な配慮による練習問題と解説を積み重ね、段階的・系統的に自習できるテキストである。

1977.04.13発売
瞽女物語
講談社文庫
三味線を手に越後路を流浪する盲目の旅芸人―瞽女―その秘められた美学とは? 休むことを知らず曠野を流れる三味の音に似て、人間の原点とも言える孤独を背負いながら、地獄と浄土の世界を内にさまよい、苦悩、陶酔する女たち。その鮮烈なる赤と、暗く重たい青の絵具に重ねて、鬼才・斎藤真一が描く、瞽女―愛と死の物語。

1977.04.07発売
妖怪談義
講談社学術文庫
われわれの畏怖というものの、最も原始的な形はどんなものだったろうか。何がいかなる経路を通って、複雑なる人間の誤りや戯れと結合することになったでしょうか。幸か不幸か隣の大国から、久しきにわたってさまざまの文化を借りておりましたけれども、それだけではまだ日本の天狗や川童、又は幽霊などというものの本質を、解説することはできぬように思います。国が自ら識る能力を具える日を気永く待っているより他はない……(自序より)

1977.03.30発売
多国籍企業殺人事件
講談社文庫
海野海運は、四ノ宮紗代の乱発した小切手の決済ができず、苦境に立った。紗代の背後には、事件を契機に会社乗っ取りを謀る大海運会社の、むきだしの野望が感じられる。時あたかもエネルギー危機の最中で、国際石油戦争は熾烈に展開される。会社の存亡を賭けて、巨大企業の謀略と闘う男の魅力を、雄大なスケールで描く冒険推理。

1977.03.29発売
火の瞳
講談社文庫
昭和20年3月10日未明の東京大空襲は、下町一帯をたちまち火の海と化した――国民学校6年生の杉夫は、母と仲よしの町子とともに、なんとかして生きのびようと、襲いかかる猛火とたたかい、逃げ道を探した。死を切りはなすことのできない「ほんとうの戦争」のおそろしさを鮮烈に描き、平和の尊さを訴えた不朽の名作。

1977.03.28発売
私のフィレンツェ
講談社文庫
雪の出会いにはじまる夢想の都・フィレンツェは、ルネッサンス発祥の地として、自由と想像力に満ちた永遠の純真さを孕みながらも、富豪たちの造り出した人工美との不均衡の中にあった。新たな自分にめぐり合うべく、ヨーロッパ美術史の光と闇に旅する詩人・松永伍一の凝視と夢想の世界を、書簡文に託して描く書き下ろし。

1977.03.28発売
青眉抄
講談社文庫
女が女を描く――そこには、えてして安易な俗なる妥協と甘美な自己陶酔とが表出しがちであるが、松園の場合、まったくそれと異なり、高い精神の緊張と親密な美意識とで近代日本画史上に印象深い足跡を残した。本書はこの閨秀画家の画業を支えた内奥にある、女の性と情念を吐露した信仰告白であると同時に、美しきものへの限りない憧憬を語った恋文でもある。