講談社文芸文庫作品一覧

月は東に
月は東に
著:安岡 章太郎
講談社文芸文庫
起きてしまった知人の配偶者との“関係”の事実を男は謝罪し弁明する程に、ますます窮地に陥ってゆく。露呈する主人公の心の“やましさ”を作家の眼が凝視する。救いを願う個我の微妙な感情と心理を描いた意欲的長篇。漱石、直哉等と日本の近代小説が探求し続けてきた人間の“倫理とエゴ”の重く切実な主題を共有する、『幕が下りてから』に続く著者中期の代表作。
個人全集月報集 武田百合子全作品 森茉莉全集
個人全集月報集 武田百合子全作品 森茉莉全集
編:講談社文芸文庫
講談社文芸文庫
武田泰淳の妻で、独特の感性と魅力が高い評価を受け『富士日記』で田村俊子賞、『犬が星見た―ロシア旅行』で読売文学賞受賞の武田百合子。 森鴎外の長女で、小説『甘い蜜の部屋』で泉鏡花賞、『恋人たちの森』で田村俊子賞受賞。そのエッセイも多くの読者に愛された森茉莉。 人気女性作家の「個人全集月報集」第四弾。
湯川秀樹歌文集
湯川秀樹歌文集
著:湯川 秀樹,その他:細川 光洋
講談社文芸文庫
日本初のノーベル賞学者を文学的側面から読む。少年時代の読書体験や源氏物語、漢詩、和歌についての随筆に、歌集「深山木」を収録。
電子あり
スエデンボルグ
スエデンボルグ
著:鈴木 大拙
講談社文芸文庫
「禅」を世界に広めた近代日本を代表する仏教者・鈴木大拙が、その思想形成において多大な影響を受けたスエデンボルグの神秘主義神学の精髄を広く一般読者に向けての概説書。併せて同じく大拙が訳した「新エルサレムとその教説」(スエデンボルグ著)などを収録し、宗教界のみならずゲーテやバルザックを初めとする後世の文学者にも深い影響を与えたその思想の全容、および鈴木大拙自身のスエデンボルグ理解の本質に迫る一書。 若き日にアメリカで仏教の研究、紹介に専心していた屈指の仏教学者・鈴木大拙が衝撃を受けたキリスト教の神秘主義神学者・スウェーデンボルグの人物像と思想を広く一般読者に伝えるために著した評伝。 主著『天界と地獄』の翻訳に続き、安易な理解を拒絶するその思想の精髄を見事に析出し、入門にも好個の一冊。 同じく大拙訳「新エルサレムとその教説」を併録。
電子あり
袋小路の休日
袋小路の休日
著:小林 信彦
講談社文芸文庫
世に捨てられ老残の人生を送る著名な元雑誌編集者、不遇な映画監督、漂流する中国人青年、不器用なテレビ・タレント、都電、急激に変貌する東京の街…。一九六〇年以降、喪失してしまった日常の深部の塊は、雑文書きを狂言回しにして増殖してゆく。「隅の老人」「北の青年」「路面電車」「ホテル・ピカディリー」「街」など“時代の違和”を描く連作短篇小説七篇。
蒲生氏郷 武田信玄 今川義元
蒲生氏郷 武田信玄 今川義元
著:幸田 露伴
講談社文芸文庫
古典や漢籍、歴史に通じた露伴の面目躍如たる評伝。後世の先入観を退け、戦国武将の英雄像とその魂を現代に甦らせた、後期の傑作。
電子あり
東京の横丁
東京の横丁
著:永井 龍男
講談社文芸文庫
「おれは二、三日うちに死ぬ気がする。晩飯の支度なんか放っておけ。淋しいからお前もここに座って一緒に話でもしよう」 妻にそう語りかけた数日後、永井龍男は不帰の人となった。 没後発見された手入れ稿に綴られた、生まれ育った神田、終の住処鎌倉、設立まもなく参加した文芸春秋社の日々。 死を見据えた短篇「冬の梢」を併録した、最後の名品集。
電子あり
苦心の学友 少年倶楽部名作選
苦心の学友 少年倶楽部名作選
著:佐々木 邦
講談社文芸文庫
「少年倶楽部」全盛時に連載された、ユーモア小説の開拓者による長篇。健全な笑いに鋭い社会批評眼を交えて日本社会の深層を描く傑作
電子あり
天界と地獄
天界と地獄
訳:鈴木 大拙,著:スエデンボルグ
講談社文芸文庫
「禅」を世界的に広めた屈指の仏教学者、鈴木大拙。若き大拙は滞米中にスウェーデンボルグ(大拙の表記はスエデンボルグ)に衝撃を受け、帰国後まず出版したのが『天界と地獄』であった。霊的世界を天界、精霊界、地獄界に分け詳細に記述した本書は、神秘主義思想のバイブルとしてドストエフスキー、ボルヘスらにも強い影響を与えている。大拙思想の一つの源流を成す重要書。
電子あり
星に願いを
星に願いを
著:庄野 潤三
講談社文芸文庫
ブルームーン(六月十五日)。妻は庭のブルームーンの咲いたのを三つ切って来て、書斎のサイドテーブルに活ける。――山の上の家で、たんたんとした穏やかな日常。子供も成長し、二人きりの老夫婦に、時はゆったりと流れてゆく。晩年の庄野作品の豊かさと温もりを味わえる上質の文学。 ブルームーン(六月十五日)。 妻は庭のブルームーンの咲いたのを三つ切って来て、書斎のサイドテーブルに活ける。―― 山の上の家で、たんたんとした穏やかな日常。 子供も成長し、二人きりの老夫婦に、時はゆったりと流れてゆく。 晩年の庄野作品の豊かさと温もりを味わえる上質の文学。
電子あり
我が愛する詩人の伝記
我が愛する詩人の伝記
著:室生 犀星
講談社文芸文庫
「各詩人の人がらから潜って往って、詩を解くより外に私に方針はなかった。私はそのようにして書き、これに間違いないことを知った」。藤村、光太郎、暮鳥、白秋、朔太郎から釈迢空、千家元麿、百田宗治、堀辰雄、津村信夫、立原道造まで。親交のあった十一名の詩人の生身の姿と、その言葉に託した詩魂を優しく照射し、いまなお深く胸を打つ、毎日出版文化賞受賞の名作。
電子あり
戦艦大和ノ最期
戦艦大和ノ最期
著:吉田 満
講談社文芸文庫
戦後70年を経て読み継がれる鎮魂の書。巨体四裂し大海に没した「戦艦大和」に乗船し、生還した若き士官が綴る真実の記録。
あまりに野蛮な 下
あまりに野蛮な 下
著:津島 佑子
講談社文芸文庫
長い時間が経っても、たどりつけない悲しみ。 やがて物語は、深く静かに感動の海にすいこまれてゆく。 わたしたちは、それぞれに示されている道を辿り、 「人類の到るべき所」に向かう―― わたしたちの時間は、死によってしか閉じられない。 感動の第一級文学作品、ついに文庫化。
あまりに野蛮な 上
あまりに野蛮な 上
著:津島 佑子
講談社文芸文庫
台湾に暮らした日本女性の愛の日記。 七十余年の時を経て甦る二人の女性の人生。 思わず海を振り返り、つぶやく―― 海に戻りたい。 わたしは死なない、わたしは生き続ける。 父のように母のように。 津島佑子渾身の純文学長篇小説、初文庫化。
思い出す事など 私の個人主義 硝子戸の中
思い出す事など 私の個人主義 硝子戸の中
著:夏目 漱石
講談社文芸文庫
三十七歳から初小説『吾輩は猫である』を執筆、以降、満四十九歳で逝去するまでのわずか十余年間に、日本近代文学の礎となる数多の傑作を著した漱石夏目金之助。「修善寺の大患」で垣間見た「死」の後に綴った二随筆は、小説やいわゆる身辺雑記とは別種の妙味を持ち、漱石文学のひとつの極点として異彩を放ち続けている。同時期の著名な演説一篇を併録した、散文芸術の真髄。
電子あり
愛のごとく
愛のごとく
著:山川 方夫
講談社文芸文庫
故人
故人
著:坂上 弘
講談社文芸文庫
電子あり
明治深刻悲惨小説集
明治深刻悲惨小説集
編:講談社文芸文庫,その他:齋藤 秀昭,著:泉 鏡花,著:樋口 一葉,著:田山 花袋,著:徳田 秋声,著:川上 眉山,著:広津 柳浪,著:小栗 風葉,著:前田 曙山,著:北田 薄氷,著:江見 水蔭
講談社文芸文庫
死、貧窮、病苦、差別――明治期、日清戦争後の社会不安を背景に、人生の暗黒面を見据え描き出した「悲惨小説」「深刻小説」と称された一連の作品群があった。虐げられた者、弱き者への共感と社会批判に満ちたそれらの小説は、当時二十代だった文学者たちの若き志の発露であった。「自然主義への過渡期文学」という既成概念では計れない、熱気あふれる作品群を集成。 死、貧窮、病苦、差別―― 明治期、日清戦争後の社会不安を背景に、人生の暗黒面を見据え描き出した「悲惨小説」「深刻小説」と称された一連の作品群があった。 虐げられた者、弱き者への共感と社会批判に満ちたそれらの小説は、当時二十代だった文学者たちの若き志の発露であった。 「自然主義への過渡期文学」という既成概念では計れない、熱気あふれる作品群を集成。
電子あり
白暗淵
白暗淵
著:古井 由吉
講談社文芸文庫
「七十の坂にかかる道すがらの作品群になる。あれもなかなか越すに苦しい坂だった」(著者から読者へ)。爆風に曝された大空襲から高度成長を経て現代へ――個の記憶が、見も知らぬ他者たちをおのずと招き寄せ、白き「暗淵」より重層的な物語空間が立ちあがる。現代文学を最先端で牽引しつづける著者が、直面した作家的危機を越えて到達した連作短篇集。
電子あり
百間随筆1
百間随筆1
著:内田 百間,編:池内 紀
講談社文芸文庫
「高利貸しに就いて」「鶴」「東京日記」他、軽妙、奇抜、ユーモアに溢れ、俳諧精神に裏打ちされた名エッセイを精選する。全二巻。