講談社学術文庫作品一覧

神の痛みの神学
講談社学術文庫
神の痛みの神学は、「実体」としての神に痛みがあるなどというのではない。神の痛みは「実体概念」でなくして、「関係概念」である。すなわち「神の愛」の性格である。この点の理解を欠くことが、この神学を父神受苦説と混同する根本原因である。神の痛みの神学は「栄光の神学」からはあくまで「外に」立ちつづけるであろう……。日本人の手になる真に独創的な神学書として各国語に翻訳され、欧米の神学界に大きな影響を与えた必携の名著。

菜根譚
講談社学術文庫
菜根譚』は今から三百数十年前、中国明代の洪自誠が人間いかに生くべきかを、様々な角度から論じた人生指南の書である。本書は、「儒・仏・道」の3教を根幹とする『菜根譚』の真髄を体得して日常生活の指針とするため、儒・道教の専門家と仏教、特に禅学を専攻する学者の2人が、長年に亙り原典を全面的に見直し、これを究明し、その成果を新たに書き下ろしたものである。現世を生きぬく知恵と処世の極意が満載された必読の書。
子規三大随筆
講談社学術文庫
宿病の床で点綴結晶した子規三大随筆決定版死の前二年間に「六尺の病床」で書かれた三冊の随筆集には世間と隔絶されたが故に孤高の精神と精緻な観察眼が横溢している.透徹した俳論は著者の真骨頂を具現.
日本都市論
講談社学術文庫
近代主義を超える発想に満ちた都市論の原点わが国の戦後の都市開発は生産と利便に傾き,文化的構想力を失っていた.神社や寺の境内,鎮守の森や道などの魅力を見直し,歴史を踏まえた都市の復権をめざす.
実学思想の系譜
講談社学術文庫
維新遂行の母胎を成した実学思想解明の書.三浦梅園・山片蟠桃ら江戸中期の開明思想家から幕末志士のバックボ-ンを形成した象山・小楠・松陰の思想を通じて,日本近代思想の遠因と展開を説く画期的著作.

神・人間・動物
講談社学術文庫
古代人は狐や鳥の鳴き声に予兆を探り、それはまた、天上界の神が動物となって人間に幸福をもたらすという考え方とも通じた。本書は、白鳥、蛇、鹿、鵜、狐、鮭、熊などの野生動物の生態を通して、神と人間と動物の三者が織りなす親和力の世界を克明に描き出したものである。山林の伐採などにより、山野に住む生き物たちとの共存の場を失ってしまった神を畏れぬ現代人への鋭い警鐘をともなう、谷川民俗学の新しい境地を拓いた意欲作。

自然学の提唱
講談社学術文庫
私はこの長い一生のあいだになにをしてきたか、ということを問いかえしてみると、終始一貫して、私は自然とはなにかという問題を、問いつづけてきたように思われる。それも何々学に代表されるような部分自然でなく、つねに全体自然というものを追い求めていたような気がする。私の求めていたものは自然学なのであった。自然を理解しようとする学問であり、自然観の学問であると定義してもよいかもしれない。(「自然学の提唱」より)
アメリカの心 日本の心
講談社学術文庫
アメリカ文化に日本の心を反映させた評論集本書は,アメリカ文化の諸現象やアメリカ文化と近代日本文化との関係などをアメリカの日常生活に密着してとらえた.自らの体験を通して語る秀れた日米比較文化論

五輪書
講談社学術文庫
一切の甘えを切り捨て、ひたすら剣の道に生きた絶対不敗の武芸者宮本武蔵。武蔵は、「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」る何10年にも亙る烈しい朝鍛夕錬の稽古と自らの生命懸けの体験を通して「万理一空」の兵法の極意を究め、その真髄を『五輪書』に遺した。
本書は、二天一流の達人宮本武蔵の兵法の奥儀や人生観を知りたいと思う人々のために、『五輪書』の原文に現代語訳と解説、さらに「兵法35箇条」「独行道」を付した。
【目次】
1 はしがき
2 「五輪書」を読むにあたって
3 地之巻
4 水之巻
5 火之巻
6 風之巻
7 空之巻
8 兵法35箇条
9 独行道
寝覚(下)
講談社学術文庫
現代小説にも一派通じる平安時代の心理小説帝の激しい求愛や生霊事件に苦しみ抜いた女主人公は,父入道のもとに身を隠し出家を決意するが男君にはばまれて遂行できず帝の恋情と男君の嫉妬の中で苦悩が続く
言語文化のフロンティア
講談社学術文庫
<言語>と<文化>の創造的な連帯を説く.英文学者であると同時に,名代の愛読家として知られる著者が,言語と文化のよりよき発展を願って,無二の博識と自由な発想で展開したユニークな言語文化論である
寝覚(中)
講談社学術文庫
老関白と結婚後まもなく死別する姫君を描く遺志どおりに故関白の長女内侍督を無事入内させた姫君は次に帝の執拗な恋情に悩まされる.加えて以前の男君の求愛も激しく二人の男性の嫉妬の狭間で苦悩が続く.
寝覚(上)
講談社学術文庫
平安後期を飾る源氏物語に次ぐ王朝文学の粋姉君の婚約者に垣間見られて契った姫君の揺れ動く心理を描く.姫君の懐妊,出産によって起る家族間の亀裂と葛藤.その中で尚断ち切れぬ男への思慕は募るのだった

仏教の根底にあるもの
講談社学術文庫
仏教の根底という発想が浮んだのは、いつごろだったろうか。大学に入って仏教の講義を聞いたときにさかのぼるように思う。親鸞の生き方には多少のなじみはあったが、仏教に触れたのは大学で初めてだった。それ以来何10年、仏教各派の領域に踏みこみ、さまざまな試行錯誤をかさねて、還暦近くなってやっとブッダの目覚めに出会ったのである。形なきいのちが顕わになってくる、と。仏教の根底がほのかに見えはじめてきたのである。(著者)

スモール イズ ビューティフル
講談社学術文庫
1973年、シューマッハーが本書で警告した石油危機はたちまち現実のものとなり、本書は一躍世界のベストセラーに、そして彼は“現代の予言者”となった。現代文明の根底にある物質至上主義と科学技術の巨大信仰を痛撃しながら、体制を越えた産業社会の病根を抉ったその内容から、いまや「スモール・イズ・ビューティフル」は真に新しい人間社会への道を探る人びとの合い言葉になっている。現代の知的革新の名著、待望の新訳成る!
■NHK Eテレ「ズームバック×オチアイ」新春スペシャルにて、
落合陽一さんが2021年に読むべき1冊として推薦されました。
【目次】
1 現代世界
1.生産の問題
2.平和と永続性
3.経済学の役割
4.仏教経済学
5.規模の問題
2 資源
1.教育――最大の資源
2.正しい土地利用
3.工業資源
4.原子力――救いか呪いか
5.人間の顔をもった技術
3 第三世界
1.開発
2.中間技術の開発を必要とする社会・経済問題
3.200万の農村
4.インドの失業問題
4 組織と所有権
1.未来予言の機械?
2.大規模組織の理論
3.社会主義
4.所有権
5.新しい所有の形態
結び
シューマッハーの人と思想
年譜
人類の創世紀
講談社学術文庫
人類誕生のドラマを実地踏査をふまえ詳述.さまざまな知能を獲得して人類が誕生した過程,また人間が農業をはじめるまでの詳しい道程を石器など道具類の進歩を中心に古代文明の遺跡調査の成果からたどる.
日本法律史話
講談社学術文庫
『日本法制史』の著者が易しく語る法律譚.日本古典の中に姿を没していた小咄が,いかに我々の先祖の法律生活を律していたかが,改めて顧みられる.古典読解の知識が法律史の側から開眼させられる随筆集.
ゲーテ物語
講談社学術文庫
ゲ-テを読み,理解するための万人必読の書「若きウェルテルの悩み」や「ファウスト」など,数々の名作を遺したゲ-テ.その一生を斯界の権威がやさしく語りながら,ゲ-テの人となりと時代を浮彫りにする

仏教伝来と古代日本
講談社学術文庫
日本の古代国家建設に仏教はどんな影響を与えたのか。本書において著者は、王権を目指して伝来した仏教が、日本における国家仏教として成立するまでの課程や、律令国家と仏教との関係、神道と仏教との相違点等を概観して、宗教が天皇政治の本質に深く係っていたことを強調する。同時に、その後の日本仏教の歴史をみると、国家・政権の側から仏教を必要とすることはなく、古代の終焉はまた国家仏教の終焉でもあった、と結論づける。
西洋哲学物語(下)
講談社学術文庫
主要な哲学者の思想が平易に語られた名著.ギリシアに始まる脈々たる哲学思想の流れを,代表的な哲学者のエピソ-ドを混え適確に跡づける.下巻では,カント,ニ-チェから現代アメリカ哲学にまで触れる.