講談社学術文庫作品一覧
お雇い外人の見た近代日本
講談社学術文庫
近代技術移植の先駆者英人技師の日本見聞録漸く封建制から脱皮した明治新政権は欧米先進国を範として近代国家を目指した.本書はその新政府お雇い外国人技師が見た,近代日本創立に伴う苦闘の記録である.

復興期の精神
講談社学術文庫
大胆なレトリックと弁証法を駆使して、ヨーロッパの文芸復興期を生きたダンテ、レオナルドら22人の巨人の軌跡を追求した特異なルネッサンス論。衰亡した文化の復活の秘密を探る論理の展開は、執拗かつ独創的で、読む者の意表をつき、現実の変革のためには必死の抵抗以外に道はないと説く著者の批判精神は、鋭くそして重い。ルネッサンスを語りながら、戦時下の日本の現実の姿を浮彫りにし、「転形期にいかに生きるか」を示唆した名著。
中国故事物語
講談社学術文庫
中国の故事はいかにして生まれたのか…!?本書は『論語』や『十八史略』など古典や史書の原典をもとに「管鮑の交わり」「邯鄲の夢」といった馴染み深い故事の謂れを平易な物語で紹介した興味尽きない好著

アメリカ哲学
講談社学術文庫
本書のねらいは、アメリカの哲学をプラグマティズムを中心として見てゆくことにある。哲学を哲学専門家の手からとり戻し、今日の社会に生きるさまざまな人々の生き方・見方・考え方の反省としての哲学が新しく創られねばならないという観点に立って、著者はプラグマティズムの起源から構造や思想家を縦横に論じていく。アメリカの哲学、プラグマティズムの全体像についての単なる学術的解説にとどまらない真に独創性豊かな哲学書。

シェイクスピア劇の名台詞
講談社学術文庫
シェイクスピアが語りかけているものは何か。彼の遺した作品を愛・史劇・悲劇に分類し、その核心の立体的解明を試みたのが本書構成の要訣である。即ち各台詞の冒頭で有名な一節を読み、次に場面、状況を理解し、改めて台詞全体を味読する。かくて台詞がもつ劇中での意味を訊ね、シェイクスピアの思想にまで鑑賞を進め、更に原文の熟読によって、台詞がいかにダイナミックで、かつ繊細な魅力に満ちているかがおのずから体得できる。
日本近代化の思想
講談社学術文庫
近代化の過程で捨象された反骨の論理を照射日本の近代化は,幕末に胎動したさまざまな可能性を切り落としながら進められた.近代化と伝統,自由の観念,ナショナリズムの問題などを思想の諸相にわたり考究
朝鮮史譚
講談社学術文庫
豊かな伝統と文化を生んだ朝鮮民族の歴史.『三韓昔がたり』に続く幻の名著として名高い本書は,高麗・李朝の一千年の朝鮮の歴史を,確かな史眼と熱情に裏付けられた十七の挿話を通して平易に語りかける.

科学的発見のパターン
講談社学術文庫
本書は、物理理論が形成される際の推論の動き、物理学における法則命題の機能などを中心に、ニュートン・ケプラー・ガリレイなどの理論発見の史実を跡づけ、新たな科学理論が創成されるパターンを解明しようとするものである。物理学・科学史を土台として、それらの個別的知識にとどまらず、哲学的綜合を目ざした著者は、本書の全般にわたって仮説をいかに発見するかを分かりやすく検証する。新鮮な視覚で科学哲学の地平を拓いた名著。

神の痛みの神学
講談社学術文庫
神の痛みの神学は、「実体」としての神に痛みがあるなどというのではない。神の痛みは「実体概念」でなくして、「関係概念」である。すなわち「神の愛」の性格である。この点の理解を欠くことが、この神学を父神受苦説と混同する根本原因である。神の痛みの神学は「栄光の神学」からはあくまで「外に」立ちつづけるであろう……。日本人の手になる真に独創的な神学書として各国語に翻訳され、欧米の神学界に大きな影響を与えた必携の名著。

菜根譚
講談社学術文庫
菜根譚』は今から三百数十年前、中国明代の洪自誠が人間いかに生くべきかを、様々な角度から論じた人生指南の書である。本書は、「儒・仏・道」の3教を根幹とする『菜根譚』の真髄を体得して日常生活の指針とするため、儒・道教の専門家と仏教、特に禅学を専攻する学者の2人が、長年に亙り原典を全面的に見直し、これを究明し、その成果を新たに書き下ろしたものである。現世を生きぬく知恵と処世の極意が満載された必読の書。
子規三大随筆
講談社学術文庫
宿病の床で点綴結晶した子規三大随筆決定版死の前二年間に「六尺の病床」で書かれた三冊の随筆集には世間と隔絶されたが故に孤高の精神と精緻な観察眼が横溢している.透徹した俳論は著者の真骨頂を具現.
日本都市論
講談社学術文庫
近代主義を超える発想に満ちた都市論の原点わが国の戦後の都市開発は生産と利便に傾き,文化的構想力を失っていた.神社や寺の境内,鎮守の森や道などの魅力を見直し,歴史を踏まえた都市の復権をめざす.
実学思想の系譜
講談社学術文庫
維新遂行の母胎を成した実学思想解明の書.三浦梅園・山片蟠桃ら江戸中期の開明思想家から幕末志士のバックボ-ンを形成した象山・小楠・松陰の思想を通じて,日本近代思想の遠因と展開を説く画期的著作.

神・人間・動物
講談社学術文庫
古代人は狐や鳥の鳴き声に予兆を探り、それはまた、天上界の神が動物となって人間に幸福をもたらすという考え方とも通じた。本書は、白鳥、蛇、鹿、鵜、狐、鮭、熊などの野生動物の生態を通して、神と人間と動物の三者が織りなす親和力の世界を克明に描き出したものである。山林の伐採などにより、山野に住む生き物たちとの共存の場を失ってしまった神を畏れぬ現代人への鋭い警鐘をともなう、谷川民俗学の新しい境地を拓いた意欲作。

自然学の提唱
講談社学術文庫
私はこの長い一生のあいだになにをしてきたか、ということを問いかえしてみると、終始一貫して、私は自然とはなにかという問題を、問いつづけてきたように思われる。それも何々学に代表されるような部分自然でなく、つねに全体自然というものを追い求めていたような気がする。私の求めていたものは自然学なのであった。自然を理解しようとする学問であり、自然観の学問であると定義してもよいかもしれない。(「自然学の提唱」より)
アメリカの心 日本の心
講談社学術文庫
アメリカ文化に日本の心を反映させた評論集本書は,アメリカ文化の諸現象やアメリカ文化と近代日本文化との関係などをアメリカの日常生活に密着してとらえた.自らの体験を通して語る秀れた日米比較文化論

五輪書
講談社学術文庫
一切の甘えを切り捨て、ひたすら剣の道に生きた絶対不敗の武芸者宮本武蔵。武蔵は、「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」る何10年にも亙る烈しい朝鍛夕錬の稽古と自らの生命懸けの体験を通して「万理一空」の兵法の極意を究め、その真髄を『五輪書』に遺した。
本書は、二天一流の達人宮本武蔵の兵法の奥儀や人生観を知りたいと思う人々のために、『五輪書』の原文に現代語訳と解説、さらに「兵法35箇条」「独行道」を付した。
【目次】
1 はしがき
2 「五輪書」を読むにあたって
3 地之巻
4 水之巻
5 火之巻
6 風之巻
7 空之巻
8 兵法35箇条
9 独行道
寝覚(下)
講談社学術文庫
現代小説にも一派通じる平安時代の心理小説帝の激しい求愛や生霊事件に苦しみ抜いた女主人公は,父入道のもとに身を隠し出家を決意するが男君にはばまれて遂行できず帝の恋情と男君の嫉妬の中で苦悩が続く
言語文化のフロンティア
講談社学術文庫
<言語>と<文化>の創造的な連帯を説く.英文学者であると同時に,名代の愛読家として知られる著者が,言語と文化のよりよき発展を願って,無二の博識と自由な発想で展開したユニークな言語文化論である
寝覚(中)
講談社学術文庫
老関白と結婚後まもなく死別する姫君を描く遺志どおりに故関白の長女内侍督を無事入内させた姫君は次に帝の執拗な恋情に悩まされる.加えて以前の男君の求愛も激しく二人の男性の嫉妬の狭間で苦悩が続く.