講談社学術文庫作品一覧

日本の名著名言事典
講談社学術文庫
心に残る名著・名言との出会いは、読書の大きな喜びの1つである。本書は、近代から現代の名著381点の中から思想家、小説家を中心に名言・名文752を精選した。各分野にわたって時代の趨勢を知り、より広い読書への手がかりになるよう、従来の名言事典になかった長文の引用を試み、的確な著者紹介を付した。巻末には、どこからでも引けるように主題別索引、著作索引、著者索引を備えた、読書案内も兼ねる比類なき名言事典。

短歌一生
講談社学術文庫
ここに心があり、そこに物があるのではない。物が心であり、心が物である。現実のあらわれかたとしては、物は物であり心は心であるが、二つを結ぶのが詩歌の言葉で、結ぶというのはそれらが本来一であることを証(あか)すのである。詩歌の言葉は、かぎりなく身にちかい。心の声だからである。その心の声が意味を帯びるのは、声が身をはなれて物にとどくからだ。むしろ、物における意味が身において声となるのである。(著書「あとがき」より)

東洋的無
講談社学術文庫
東洋的無という名称は、かくよばれるものが古来西洋においては稀なる東洋独特なものであり、しかも特に東洋的といわれ得るものの根本契機となるもので、それ自体はもっとも旧稿に属する「賓主未分」より、もっとも新しき「東洋的に形而上的なるもの」に至るまで、一貫してそれらの底を流れているものである。禅に関する諸稿はもとより一般宗教哲学や西洋哲学に関するものも、それらを縁じてこの東洋的無を闡明(せんめい)しようとしたものである。
蘇東坡(下)
講談社学術文庫
中国人に愛されつづけた大詩人の後半生! 蘇東坡は詩人・画家・書家であり、人民に愛された政治家である。政争に遇って地方を転々とする波乱の生涯、悠々と配所の風月をたのしむ豊かな人間的魅力を描く。
日本詩歌読本
講談社学術文庫
日本詩歌の特微を歴史的に考察した入門書。日本人のもつ感受性や美意識は、詩歌においてどのように表現されたか。万葉、古今、新古今、女性の恋歌、連句、歌謡等の実作品に即して適確平易に評釈した好著。
現代の物理学
講談社学術文庫
物理学の基本を明快に述べ今後の課題を示唆原子核物理学、素粒子物理学界の権威が量子論をはじめとする現代物理学の基礎理論を平易に説き、科学に携わる者が社会的問題に対処する際の科学倫理にまで言及。
蘇東坡(上)
講談社学術文庫
中国最大の文豪蘇東坡の波乱に満ちた生涯!大詩人蘇東坡は官吏としても高位に昇ったが、政争に遇って生涯は波乱に富んだ。千年の間中国に熱狂的な崇拝者をもちつづけた詩人の生涯を詳細につづる伝記文学。
日本歴史の特性
講談社学術文庫
戦後の社会科歴史を批判した至要な歴史随想日本史の特殊性を知るには国民性の解明が絶対必要だと主張する著者の表題論文他,「日本文化の伝統」「皇室文化と日本人」「歴史教育と文化財」等精選論文を集録

近代科学を超えて
講談社学術文庫
幾多の重要な科学的発見が必ずしも既成の事実に拠るものではなかったことを検証した著者は、進んでトマス・クーンのパラダイム論の成果の上に立って、科学理論発展の構造の分析を本書で試みた。パラダイムとサブ・パラダイム、サブ・パラダイム同士の緊密な相関関係に着目しながら、科学の縦断的(歴史的)=横断的(構造論的)考察から、科学史と科学哲学の交叉するところに、科学の進むべき新しい道をひらいた画期的科学論である。
中国聖賢のことば
講談社学術文庫
固苦しい訓詁の法則を超越した中国古典抄訳清冽な感情で中国の古典を眺め、聖賢の遺したことばを個性的な感情移入で訳したユニークな書。収録抄訳のいずれもが人生の妙諦に触れた、中国古典箴言集である。
万葉集講話
講談社学術文庫
碩学が平易明解にかたる万葉の歌のこころ。大著「万葉集注釈」の業績を礎として特に若人のために書かれた教養的入門書。おおらかな万葉人の心情に分け入り、作家の基幹となるべき万葉精神の核心を説く。

ふるさとの生活
講談社学術文庫
著者は若き日の小学教師の経験を通し、ふるさとに関する知識や理解を深めることが子どもの人間形成にとっていかに大切であるかを生涯にわたって主張した。本書は日本人の生活の歴史を子どもたちに伝えるため、戦中戦後の約10年間、日本各地を歩きながら村の成り立ちや暮らし、古い習俗や子どもを中心とした年中行事等を丹念に掘りおこして、これを詳細にまとめた貴重な記録である。民俗調査のありかたを教示して話題を呼んだ好著。

国是三論
講談社学術文庫
公共性と通商の観点から新たな国家や社会のあり方を模索した稀代の思想家・横井小楠。動乱の幕末にあって、時代を超えた学殖と見識により、開明的な実学思想から公議政体論を主張、明治新政府形成の推進力の一助を担った。本書の「国是三論」は、経世済民、殖産興業、通商交易等による民富論的富国策を謳った小楠の代表作で、彼の学問と思想の全てを投入、総括したものである。他に井上毅、元田永孚と交わした「沼山対話」や「沼山閑話」等も収録した。簡潔な現代語訳も整い、小楠の人と思想を知る上に必読の書。

仏教信仰の原点
講談社学術文庫
日本人の宗教信仰の核心をなしているものは何か。本書は、奈良時代の遊離魂信仰、平安時代の鎮魂儀礼、鎌倉時代の成仏・往生思想の3つの観点から、これを歴史的に考察した。庶民の生活実感の中に深くしみこんでいる信仰、即ち祟り信仰に対して、その祟りを排除するために行われた空海の加持祈祷の儀礼をはじめ、親鸞・道元等の仏教思想との葛藤は、今日も本質的に変わっていないと説く。仏教信仰の原点を問い直した最新の意欲作。

日本のことばとこころ
講談社学術文庫
人間にとって、ことばとは何なのか、民族にとって、言語とは何なのか。われわれ日本人は、はるかな遠い昔から一言語・一民族・一国家という、世界でも稀な言語圏を形成してきた。その日本語の内に秘めている日本のこころとは何なのか。40余年間、外国人に日本語を教えてきた経験から、母国語を内面から支え、動かしているもの──日本語を日本語としてまとめあげていく潜在的思考──のパタンを丹念に彫り上げた新生面の言語論。

般若心経講話
講談社学術文庫
数多くの仏教のお経のなかで、『般若心経』ほど人々に親しまれているものはない。わずか262字のこのお経のなかに、無限の真理と哲学があふれているからである。透明な自己になりきるとき、心で読むとき、はじめて心経はその真の意味を表わしてくれるのだ。本書は、不安の時代に生き、心のよりどころを求める現代人のために、単に『般若心経』の字句の解釈に捉われることなく、そのこころを明らかにしようと試みたものである。

俳句入門三十三講
講談社学術文庫
「ホトトギス」を源流とする「雲母」に育った龍太は、父蛇笏の写実的俳句を継ぎながら、その作品は近代俳句の正嫡ともいうべく、勢いがよく魅力的で、しかも広がりと深さを持つ。本書は、「雲母」の例会の実作指導のなかから選りすぐった俳論・俳話で、いずれも文学の根源に触れるおもしろさがあり、読者はいながらにして句会の現場に立ち会うような、しかもその語り口から著者の人柄にも触れることができる、好個の入門書といえよう。

古代朝鮮と日本文化
講談社学術文庫
本書は、日本独自の文化といわれる神社・神宮の中に、高麗(こま)神社、百済(くだら)神社、新羅(しらぎ)神社など、古代朝鮮三国の名を負った神社が日本各地に散在するのに注目した著者が以来、十数年の歳月にわたり、それらの由来を明かすべく、文献や地名などを手がかりに実地踏査したものをまとめたものである。新羅において祀った祖神廟(そしんびょう)を神社・神宮の原形とみるなど、日本の神々のふるさとを遙か古代朝鮮に見いだした、著者ならではの労作といえよう。
工場日記
講談社学術文庫
労働体験を生存の考察に深めた形而上的日記工場労働者の内側に身を置き,隷属と屈辱に耐え,人間の根源的不幸の「悲惨」を嘗め尽すヴェイユ.頭痛と疲労の中で綴られた魂の呻きにも似た苦痛と怒りの証言.
古典の知恵袋
講談社学術文庫
時代を超えて生きる東西の処世の知恵に学ぶ東西の著名な説話・寓話文学の古典的作例の中から『イソップ寓話集』を始め,クニッゲの『交際術』や鴎外の『知恵袋』など,処世術についての代表的な書物を紹介