講談社学術文庫作品一覧
若き哲学徒の手記
講談社学術文庫
青春の告白を刻みこんだ哲学徒の感動の手記昭和十六年,気比丸沈没事故で悲運の死を遂げた京大生弘津正二.本書は彼の,学問と人生を問い,思索し,そしてなお一片の理想に生きようとした青春の記録である

日本古代史と朝鮮
講談社学術文庫
「日本古代史は、朝鮮との関係史である」とは、古代史研究家・金達寿の主張しつづけてきたことばである。本書は、地名や古墳・神社などを手がかりに日本各地に現存する古代朝鮮遺跡の発掘に執念を燃やしてきた著者がこれらの事実と、記・紀などに残された高句麗・百済・新羅系渡来人の足跡をはじめ、豊富な文献資料などから「帰化人史観」によってゆがめられた歴史記述を痛烈に批判し、真の日本古代史への道を開示したものである。

美の本体
講談社学術文庫
岸田劉生は、『麗子五歳之像』に始まる娘麗子を主題とした一連の「麗子像」を描いて、まさに一世を風靡、当時の洋画壇に衝撃的な影響を与え、今なお観る人を魅了してやまない。美とは何か、青年劉生の緻密な美への志向は、実践家の立場からあくなき美(芸術)への探求を開始し、後期印象派、古典派から、終には写実に転じ「内なる美」を唱導していく。本書は、不滅な天才画家ゆえに、孤独な闘いを強いられた劉生にして初めて展開し得た芸術論。

和泉式部日記(下)全訳注
講談社学術文庫
敦道親王の物忌(ものいみ)先で、和泉式部は2人の初めての心安まるのどかな逢瀬を持った。それは彼女に「このまま宮邸に上がってしまいたい」と思わせるほどの幸福な体験であった。しかし、唯一の頼みである宮は、時に死や出家をほのめかして、かえって彼女を悲しませる。が、2人のはげしい愛は、すべてに勝った。一夜、宮はみずから迎えに来て、彼女を宮邸に伴う。北の方の怒りは、夫婦の破局を早め、翌年春、北の方は宮邸を去って行った。
終戦秘史
講談社学術文庫
八月十五日をめぐって歴史はどう動いたのか和平か,抗戦か!?終戦時,内閣の国務大臣兼情報局総裁として,また玉音放送に立会った一人として動乱の渦中にあった著者が,無血終戦の真相を生ま生ましく語る
詩歌ことはじめ
講談社学術文庫
歴史の流れに立って詩歌の心と魅力を説く.詩歌の道を行く者は,和歌・俳諧・漢詩・歌謡・現代詩など,何にでも取り組む気慨をもつべきではないか.日本詩歌の新しい常識づくりを目指した画期的な詩論集.
政治文化論
講談社学術文庫
日本の政治現象を支配する文化の型とは何かむら社会こそ日本社会の本質と捉え,被害者意識,閉鎖性,派閥根性など,日本人の政治行動のヒズミを明白に指摘する.日本の政治学の新しい領域を開拓した好著.

日本法制史(下)
講談社学術文庫
法制史とは“国民の法律生活の歴史の解明”だとの学的認識に立って論述された『日本法制史』の下巻には、「融合法時代中期(国法時代)」、「融合法時代後期(定書時代)」の2編を収録。戦国諸家の法制から説き進め、織豊二氏の法制、次いで徳川家康の諸国大名に対する3箇条の誓詞に始まる江戸幕府270年の法制史は、封建制度下における階級制度、身分制度の細部におよぶ考証によって、国民の生活史実を厳粛に論じた名編である。

昭和の精神史
講談社学術文庫
『昭和の精神史』が、雑誌「心」に連載(昭和30年8月-12月)された時は、「10年の後に――あれは何だったのだろう」という表題がついていた。このやや破格な感じがないでもない表題は、これら一連の文章を執筆された頃の先生の心境をむしろ率直に伝えているかと思う。「どうしてああいうふしぎな戦争になったのだろう?」この胸に納めておきたい苦しい疑問を何とか解こうとして一応の解答を纒められたのが本書である。(解説より)
日本の民俗学
講談社学術文庫
日本の民俗学の歴史と現状を詳細に解説する歴史研究における民俗学の位置づけや,民俗学的視点からの歴史像に関心を抱く著者が,多様な展開を示している日本の民俗学を概観し,今後の課題を提示した好著.
古代史を彩る女人像
講談社学術文庫
古代史家の確かな視点から捉えた女人の世界女帝の世紀といわれた七~八世紀は橘三千代等,後宮に仕える女官の地位も上昇した.皇位をめぐる皇族・貴族間の暗闘の中を生きる女人達を浮彫りにした女性文化史

和泉式部日記(中)全訳注
講談社学術文庫
初めての宮邸泊まりの後、一気に燃え立つかに見えた2人の愛は、思いがけない誤解や中傷などのために、いく度も危機にさらされた。しかし、この試練を超えて、宮の愛はますます深まっていった。2人の恋の初めの頃、あれほど用心深く、理性的な面を見せていた宮が、昼間も訪れるようになり、やがては、甘え心さえ見せるほど和泉に心を開いていった。そうした愛の深まりの中で、和泉の宮邸入りの話も、だんだん煮つまってゆく。

日本法制史(上)
講談社学術文庫
本書の構造は、第1編総論と第2編以下の著者独自の法制史上の時代区分による「固有法時代」「支那継受法時代」「融合法時代」とから成っている。即ち上巻に収めた総論は優れた史学概論であり、第2編以下はそれぞれに総説、行政組織、経済社会制度等々の章を立て、それらを社会科学の大きな体系の中で論じつつ、各時代の実生活を浮かび上がらせるまで徹底考証されているため、どの時代からでも読ませる内容は他の追随を許さない。
複製芸術論
講談社学術文庫
複製とオリジナルのもつ芸術性を解明する.旧来のオリジナル芸術の優位性に対して,例えば映画・音楽などの複製芸術の独自の価値を主張し,複製時代における新たな大衆思想を解く鍵として注目された好著.

神の慰めの書
講談社学術文庫
私が本書の訳に従事したのは30歳代から40歳代の初めにかけてである。80歳をこえた今日までの40年間を通じて、エックハルトは私を鼓舞激励している。たとえば、「神は私よりも私に近く在(いま)す」。人間は幸福を求め、美を求め、宝を求めて遠路を行く。しかし、比類を絶したものはむしろ近くに、あまりにも近くにある。エックハルトの言葉は年とともにますます輝き、新鮮さを加える。(訳者“「学術文庫」のためのあとがき”より抜粋)
英語の辞書の話
講談社学術文庫
英語の辞書の魅力と使い方をたのしく語る.英米文学の教授で優れた翻訳家として知られる著者が,ウェブスターをはじめ様々な英語の辞書の魅力と特徴をエピソードを交えやさしく解説した興味尽きない好著.
三韓昔がたり
講談社学術文庫
三国時代の朝鮮半島の歴史を語る幻の名著.朝鮮に伝わる「三国史記」「三国遺事」をもとに,新羅,高句麗,百済の三国の興亡を英雄伝説などの形で分り易く説く.古代朝鮮の歴史を知る上に欠かせぬ必読の書

ケプラーの夢
講談社学術文庫
月の上から見ると地球は太陽を中心にまわっている――本書は、天動説が主流の17世紀に、ケプラーが太陽中心の地動説に基づいて書いた史上初の近代科学的「月旅行物語」である。主人公は、精霊の力を借りて月にたどりつき、地球では経験したことのない天文・気象現象、地形、生物に遭遇する。未知の世界に想像の力で挑むという精神は、ジュール・ベルヌ、H・G・ウェルズらに受けつがれ、彼らの宇宙旅行物語に多大な影響を与えた。
鍛治屋の母
講談社学術文庫
鍛冶伝承の脈絡を追求した画期的な中世論.中世の鬼神,英雄の伝説や物語の中に,共通の主題の枠組が隠されていることに注目し,物語の構造の原型が鍛冶屋など漂泊の徒と深い繋りがあることを解明した好著
真善美 日本人
講談社学術文庫
大正デモクラシーの巨頭がつづる日本人論.日本人とは何か,日く,その特能を伸べ,その欠を補い真極り,善極り,美極るところの円満幸福の世界に進むべき理想を述べた,今なお新しい啓蒙的民族論の傑作.