講談社学術文庫作品一覧

悲しき南回帰線(上)
講談社学術文庫
1949年、構造主義の原点をなす「親族の基本構造」によって注目をあびたレヴィ=ストロースは、その後サン・パウロ大学教授としてブラジルに滞在。その間、文化人類学者としての限りなき自己追求と、無であるが故にあまりにも悲しき熱帯の様相を交叉させながら、カドゥヴェオ族など四つの部族調査をおこない、その成果を本書『悲しき南回帰線』において見事に結実させた。世界の文化人類学界に一大転機をもたらした不朽の名著。
日本仏教思想論序説
講談社学術文庫
日本仏教の原質を分析・解明した宗教思想論釈迦や親鸞等の偉大なカリスマは,いかにして独自の宗教意識を経験したか.神秘と禁欲及び象徴の二大テ-マのもとに,豊富な事例を巧みに織りこみながら究明する
女の風土記
講談社学術文庫
民俗学者の視点で選びぬいた伝承の女性史.神に愛されたが故に不幸な死をとげた巫女や高貴で美しい女の悲惨な末路など,神話や伝説から拾集した六十余篇の物語を通して,底辺の女たちの生への願望を描く.
川と湖の生態学
講談社学術文庫
アユ等を主役にした身近な生態学への入門書食物連鎖,なわばり,群れを中心に,陸封された琵琶湖アユから進化をさぐり,哲学としての生態学へせまる.豊富な調査と入念な思考の上に構築された必読の概論書

禅と日本文化
講談社学術文庫
そもそも<禅>とは何か。禅はどのように日本人の心と文化に影響を及ぼしたのか。そしてその今日的課題とは何か。「禅と日本文化」は、わが国の禅仏教学の権威がこれら禅のもつ基本的テーゼを明快に説き明かすとともに、禅からの<現代>への問いかけとして、幾度となく繰り返して読む価値のある、きわめて濃密な内容と問題提起を含んでいる。このほか、「純禅の道を求めて――白隠・隠元・道元」と「無字のあとさき」の二編を収録。
文庫の整理学
講談社学術文庫
文庫の豊かな世界を開く必携のガイドブックかつて教養書として受取られていた文庫も,最近は質量ともに著しい変化をきたしている.今どんな文庫が出ているのか,文庫はどう読めばいいのか等,懇切に解説.
銀河と地獄
講談社学術文庫
日本文学の中のロマン主義の流れをたどる.単なる作家論でなく,十数人の作品を通して幻想と現実の微妙な関わりを鋭く見つめ,特に柳田国男などを文学として取り上げて文学と民俗学の接触を果敢に試みた.

西欧の衝撃と日本
講談社学術文庫
近代日本の歴史は、西洋文明の衝撃の下で東アジアの一文明が示した対応の記録であるから、その2つの世界の間で相互作用的に起った事件を観察・分析し、そして大世界史の流れの中へ日本の歴史を組みこもうとした……。西洋の多圧と対応の関係の中で展開された近代日本の歴史に焦点をしぼり、シンボリカルな忠実や人物をとり上げて比較文化史的なアプローチを試みた、西洋史や日本史の枠を越えた広角の視野に立つ新しい歴史書である。
若き哲学徒の手記
講談社学術文庫
青春の告白を刻みこんだ哲学徒の感動の手記昭和十六年,気比丸沈没事故で悲運の死を遂げた京大生弘津正二.本書は彼の,学問と人生を問い,思索し,そしてなお一片の理想に生きようとした青春の記録である

日本古代史と朝鮮
講談社学術文庫
「日本古代史は、朝鮮との関係史である」とは、古代史研究家・金達寿の主張しつづけてきたことばである。本書は、地名や古墳・神社などを手がかりに日本各地に現存する古代朝鮮遺跡の発掘に執念を燃やしてきた著者がこれらの事実と、記・紀などに残された高句麗・百済・新羅系渡来人の足跡をはじめ、豊富な文献資料などから「帰化人史観」によってゆがめられた歴史記述を痛烈に批判し、真の日本古代史への道を開示したものである。

美の本体
講談社学術文庫
岸田劉生は、『麗子五歳之像』に始まる娘麗子を主題とした一連の「麗子像」を描いて、まさに一世を風靡、当時の洋画壇に衝撃的な影響を与え、今なお観る人を魅了してやまない。美とは何か、青年劉生の緻密な美への志向は、実践家の立場からあくなき美(芸術)への探求を開始し、後期印象派、古典派から、終には写実に転じ「内なる美」を唱導していく。本書は、不滅な天才画家ゆえに、孤独な闘いを強いられた劉生にして初めて展開し得た芸術論。

和泉式部日記(下)全訳注
講談社学術文庫
敦道親王の物忌(ものいみ)先で、和泉式部は2人の初めての心安まるのどかな逢瀬を持った。それは彼女に「このまま宮邸に上がってしまいたい」と思わせるほどの幸福な体験であった。しかし、唯一の頼みである宮は、時に死や出家をほのめかして、かえって彼女を悲しませる。が、2人のはげしい愛は、すべてに勝った。一夜、宮はみずから迎えに来て、彼女を宮邸に伴う。北の方の怒りは、夫婦の破局を早め、翌年春、北の方は宮邸を去って行った。
終戦秘史
講談社学術文庫
八月十五日をめぐって歴史はどう動いたのか和平か,抗戦か!?終戦時,内閣の国務大臣兼情報局総裁として,また玉音放送に立会った一人として動乱の渦中にあった著者が,無血終戦の真相を生ま生ましく語る
詩歌ことはじめ
講談社学術文庫
歴史の流れに立って詩歌の心と魅力を説く.詩歌の道を行く者は,和歌・俳諧・漢詩・歌謡・現代詩など,何にでも取り組む気慨をもつべきではないか.日本詩歌の新しい常識づくりを目指した画期的な詩論集.
政治文化論
講談社学術文庫
日本の政治現象を支配する文化の型とは何かむら社会こそ日本社会の本質と捉え,被害者意識,閉鎖性,派閥根性など,日本人の政治行動のヒズミを明白に指摘する.日本の政治学の新しい領域を開拓した好著.

日本法制史(下)
講談社学術文庫
法制史とは“国民の法律生活の歴史の解明”だとの学的認識に立って論述された『日本法制史』の下巻には、「融合法時代中期(国法時代)」、「融合法時代後期(定書時代)」の2編を収録。戦国諸家の法制から説き進め、織豊二氏の法制、次いで徳川家康の諸国大名に対する3箇条の誓詞に始まる江戸幕府270年の法制史は、封建制度下における階級制度、身分制度の細部におよぶ考証によって、国民の生活史実を厳粛に論じた名編である。

昭和の精神史
講談社学術文庫
『昭和の精神史』が、雑誌「心」に連載(昭和30年8月-12月)された時は、「10年の後に――あれは何だったのだろう」という表題がついていた。このやや破格な感じがないでもない表題は、これら一連の文章を執筆された頃の先生の心境をむしろ率直に伝えているかと思う。「どうしてああいうふしぎな戦争になったのだろう?」この胸に納めておきたい苦しい疑問を何とか解こうとして一応の解答を纒められたのが本書である。(解説より)
日本の民俗学
講談社学術文庫
日本の民俗学の歴史と現状を詳細に解説する歴史研究における民俗学の位置づけや,民俗学的視点からの歴史像に関心を抱く著者が,多様な展開を示している日本の民俗学を概観し,今後の課題を提示した好著.
古代史を彩る女人像
講談社学術文庫
古代史家の確かな視点から捉えた女人の世界女帝の世紀といわれた七~八世紀は橘三千代等,後宮に仕える女官の地位も上昇した.皇位をめぐる皇族・貴族間の暗闘の中を生きる女人達を浮彫りにした女性文化史

和泉式部日記(中)全訳注
講談社学術文庫
初めての宮邸泊まりの後、一気に燃え立つかに見えた2人の愛は、思いがけない誤解や中傷などのために、いく度も危機にさらされた。しかし、この試練を超えて、宮の愛はますます深まっていった。2人の恋の初めの頃、あれほど用心深く、理性的な面を見せていた宮が、昼間も訪れるようになり、やがては、甘え心さえ見せるほど和泉に心を開いていった。そうした愛の深まりの中で、和泉の宮邸入りの話も、だんだん煮つまってゆく。