講談社学術文庫作品一覧
西洋哲学物語(上)
講談社学術文庫
西洋哲学の歴史を人物中心に語る古典的名著プラトンからデュ-イまで,代表的な哲学者の生きざまを描きながら思想の概要と正鵠を得た批評で綴る.西洋哲学の流れを興味深く読みつつ理解しうる画期的入門書
本居宣長 済世の医心
講談社学術文庫
文学と医学の総合者としての宣長像を解明.国学者本居宣長は,同時に秀れた小児科医でもあった.本書は,その半生に亙る日本古道の研究と実地医療の経験を重ねて医の哲学の成就に至る人間宣長の実像を描く

不機嫌の時代 不機嫌からの精神史的考察
講談社学術文庫
日本の近代文学者を広く襲い、その内面を覆った影のひとつに“不機嫌”という気分があった。生きることにまつわる苦痛、不安、鬱屈(うつくつ)等々の、とらえどころのないもやもやした雰囲気を、鴎外、漱石、荷風、直哉らの作品を通し、これを「人間生活の根本的な状態」という特別な意味をこめて独創的に把握した。近代的な自我形成の歴史の流れのなかで、不機嫌を20世紀の人間学のきわめて重要な概念として細密に描きわけた長篇文芸評論。

東洋の理想
講談社学術文庫
西洋の先進文明が怒濤のように我が国に押しよせてきた明治近代黎明期に、当時の知性の代表者のひとり岡倉天心は敢然と東洋の素晴らしさを主張した。有名な「アジアは一つ」の文章から起こし、インドに発する仏教、中国における儒教等に言及しながら、それらの宗教がいかに日本の美術と融合し発展し新たな伝統文化を生成したかを論じる。「我々の歴史の中に我々の新生の泉がある」とする本書は日本文化の本質を再認識させる名著である。

徒然草を読む
講談社学術文庫
『徒然草』の読み方にはいろいろある。それがこの類を絶した随筆の幅であり、懐の深さである。『徒然草』はただ一つのことを切言していると私は思う。「先途なき生」と。人生は有限であり、しかも明日知れぬいのちではないか。ここから兼好の唱導する生き方の極意は、「ただいまの一念」、これである。死までの切迫したこの世の生の時間を、時間そのものとなることによって生き切ろうと、兼好は訴えたのである。(著者「まえがき」より)
河童のコスモロジー ―石田英一郎の思想と学問―
講談社学術文庫
文化人類学の眼で捉えた河童の世界とは……庶民の日常生活になじみ深い水辺のトリックスタ-《河童》.その河童を世界的視野で捉え,構造論的コスモロジ-の一歩を記した石田英一郎の学問と業績を解説する

参禅入門
講談社学術文庫
禅には理論や思想なども必要であるが、“体験の宗教”であるから実践的には直接正師につくことが第一であり、書物ならば体験にもとづく手びき書こそ最も重要であろう。本書は、ある禅界消息通の師家(しけ)が、私のすすめる禅の本を列挙した、その筆頭に掲げられたもので、著者自らの「修道の記録」が理路整然と体系化され、先達の書物に照らしながら、参禅の方法と心構えが懇切丁寧かつ具体的に記された最良の指南書といえる。(「解説」より)
相対性理論の誕生 ―コペルニクスからアインシュタインまで
講談社学術文庫
相対性理論とは何か,もっとも著名な啓蒙書長年基礎的な科学読物のモデルと見なされてきた本書は,自然科学分野でも難解とされる相対性理論を平易に解説するためコペルニクスから説き起こした画期的な書.

民間暦
講談社学術文庫
民間に古くから伝えられてきた行事の多くは、地方によってその方法を異にし、雑多な様相を呈しているが、その底には各地共通の原則が見られる。本書は、そのような行事のひとつひとつを自らの足でつぶさに探し求め、地域の特異性を考慮しながら、それらを体系化することによって日本人一般のものの考え方、労働の仕方を浮き彫りにしたものである。常民の暮らしの折り目をなす暦の意義を詳述した、宮本民俗学の代表作の1つといえよう。
現代の学としての経営学
講談社学術文庫
激動する経済状況の中での組織と経営を追求ともすれば利潤追求・労務管理の学とされる経営学を,個人の疎外や抑圧を伴わない「人間の学」として考察し,経営実態の調査を踏まえて,ありうべき姿を提言する
国語の将来
講談社学術文庫
今日の国語使用の現状批判と方向を鋭く示唆国語をわれわれの精神生活の基本とする立場から日本語の特質と変化の様態を論じ,特に今日までの国語教育の実態を批判的に検討し将来のあり得べき姿を提言する.

悲しき南回帰線(下)
講談社学術文庫
上巻のカドゥヴェオ族に続き、下巻ではボロロ族、ナムビクワラ族などの社会構造を解明しながら、著者は民族学者としての自己から自己への対話を進めていく。そこには、日没が終りで始まりである熱帯を象徴する円環が構成の中にも思考の中にも張りめぐらされ、著者自身が象徴の輪の中に組み入れられていく課程が告白されている。親族の理論、神話の論理、原始的分類の理論の三つの主要課題を持つレヴィ=ストロースの必読の代表作。

悲しき南回帰線(上)
講談社学術文庫
1949年、構造主義の原点をなす「親族の基本構造」によって注目をあびたレヴィ=ストロースは、その後サン・パウロ大学教授としてブラジルに滞在。その間、文化人類学者としての限りなき自己追求と、無であるが故にあまりにも悲しき熱帯の様相を交叉させながら、カドゥヴェオ族など四つの部族調査をおこない、その成果を本書『悲しき南回帰線』において見事に結実させた。世界の文化人類学界に一大転機をもたらした不朽の名著。
日本仏教思想論序説
講談社学術文庫
日本仏教の原質を分析・解明した宗教思想論釈迦や親鸞等の偉大なカリスマは,いかにして独自の宗教意識を経験したか.神秘と禁欲及び象徴の二大テ-マのもとに,豊富な事例を巧みに織りこみながら究明する
女の風土記
講談社学術文庫
民俗学者の視点で選びぬいた伝承の女性史.神に愛されたが故に不幸な死をとげた巫女や高貴で美しい女の悲惨な末路など,神話や伝説から拾集した六十余篇の物語を通して,底辺の女たちの生への願望を描く.
川と湖の生態学
講談社学術文庫
アユ等を主役にした身近な生態学への入門書食物連鎖,なわばり,群れを中心に,陸封された琵琶湖アユから進化をさぐり,哲学としての生態学へせまる.豊富な調査と入念な思考の上に構築された必読の概論書

禅と日本文化
講談社学術文庫
そもそも<禅>とは何か。禅はどのように日本人の心と文化に影響を及ぼしたのか。そしてその今日的課題とは何か。「禅と日本文化」は、わが国の禅仏教学の権威がこれら禅のもつ基本的テーゼを明快に説き明かすとともに、禅からの<現代>への問いかけとして、幾度となく繰り返して読む価値のある、きわめて濃密な内容と問題提起を含んでいる。このほか、「純禅の道を求めて――白隠・隠元・道元」と「無字のあとさき」の二編を収録。
文庫の整理学
講談社学術文庫
文庫の豊かな世界を開く必携のガイドブックかつて教養書として受取られていた文庫も,最近は質量ともに著しい変化をきたしている.今どんな文庫が出ているのか,文庫はどう読めばいいのか等,懇切に解説.
銀河と地獄
講談社学術文庫
日本文学の中のロマン主義の流れをたどる.単なる作家論でなく,十数人の作品を通して幻想と現実の微妙な関わりを鋭く見つめ,特に柳田国男などを文学として取り上げて文学と民俗学の接触を果敢に試みた.

西欧の衝撃と日本
講談社学術文庫
近代日本の歴史は、西洋文明の衝撃の下で東アジアの一文明が示した対応の記録であるから、その2つの世界の間で相互作用的に起った事件を観察・分析し、そして大世界史の流れの中へ日本の歴史を組みこもうとした……。西洋の多圧と対応の関係の中で展開された近代日本の歴史に焦点をしぼり、シンボリカルな忠実や人物をとり上げて比較文化史的なアプローチを試みた、西洋史や日本史の枠を越えた広角の視野に立つ新しい歴史書である。