講談社学術文庫作品一覧
寝覚(上)
講談社学術文庫
平安後期を飾る源氏物語に次ぐ王朝文学の粋姉君の婚約者に垣間見られて契った姫君の揺れ動く心理を描く.姫君の懐妊,出産によって起る家族間の亀裂と葛藤.その中で尚断ち切れぬ男への思慕は募るのだった

仏教の根底にあるもの
講談社学術文庫
仏教の根底という発想が浮んだのは、いつごろだったろうか。大学に入って仏教の講義を聞いたときにさかのぼるように思う。親鸞の生き方には多少のなじみはあったが、仏教に触れたのは大学で初めてだった。それ以来何10年、仏教各派の領域に踏みこみ、さまざまな試行錯誤をかさねて、還暦近くなってやっとブッダの目覚めに出会ったのである。形なきいのちが顕わになってくる、と。仏教の根底がほのかに見えはじめてきたのである。(著者)

スモール イズ ビューティフル
講談社学術文庫
1973年、シューマッハーが本書で警告した石油危機はたちまち現実のものとなり、本書は一躍世界のベストセラーに、そして彼は“現代の予言者”となった。現代文明の根底にある物質至上主義と科学技術の巨大信仰を痛撃しながら、体制を越えた産業社会の病根を抉ったその内容から、いまや「スモール・イズ・ビューティフル」は真に新しい人間社会への道を探る人びとの合い言葉になっている。現代の知的革新の名著、待望の新訳成る!
■NHK Eテレ「ズームバック×オチアイ」新春スペシャルにて、
落合陽一さんが2021年に読むべき1冊として推薦されました。
【目次】
1 現代世界
1.生産の問題
2.平和と永続性
3.経済学の役割
4.仏教経済学
5.規模の問題
2 資源
1.教育――最大の資源
2.正しい土地利用
3.工業資源
4.原子力――救いか呪いか
5.人間の顔をもった技術
3 第三世界
1.開発
2.中間技術の開発を必要とする社会・経済問題
3.200万の農村
4.インドの失業問題
4 組織と所有権
1.未来予言の機械?
2.大規模組織の理論
3.社会主義
4.所有権
5.新しい所有の形態
結び
シューマッハーの人と思想
年譜
人類の創世紀
講談社学術文庫
人類誕生のドラマを実地踏査をふまえ詳述.さまざまな知能を獲得して人類が誕生した過程,また人間が農業をはじめるまでの詳しい道程を石器など道具類の進歩を中心に古代文明の遺跡調査の成果からたどる.
日本法律史話
講談社学術文庫
『日本法制史』の著者が易しく語る法律譚.日本古典の中に姿を没していた小咄が,いかに我々の先祖の法律生活を律していたかが,改めて顧みられる.古典読解の知識が法律史の側から開眼させられる随筆集.
ゲーテ物語
講談社学術文庫
ゲ-テを読み,理解するための万人必読の書「若きウェルテルの悩み」や「ファウスト」など,数々の名作を遺したゲ-テ.その一生を斯界の権威がやさしく語りながら,ゲ-テの人となりと時代を浮彫りにする

仏教伝来と古代日本
講談社学術文庫
日本の古代国家建設に仏教はどんな影響を与えたのか。本書において著者は、王権を目指して伝来した仏教が、日本における国家仏教として成立するまでの課程や、律令国家と仏教との関係、神道と仏教との相違点等を概観して、宗教が天皇政治の本質に深く係っていたことを強調する。同時に、その後の日本仏教の歴史をみると、国家・政権の側から仏教を必要とすることはなく、古代の終焉はまた国家仏教の終焉でもあった、と結論づける。
西洋哲学物語(下)
講談社学術文庫
主要な哲学者の思想が平易に語られた名著.ギリシアに始まる脈々たる哲学思想の流れを,代表的な哲学者のエピソ-ドを混え適確に跡づける.下巻では,カント,ニ-チェから現代アメリカ哲学にまで触れる.
西洋哲学物語(上)
講談社学術文庫
西洋哲学の歴史を人物中心に語る古典的名著プラトンからデュ-イまで,代表的な哲学者の生きざまを描きながら思想の概要と正鵠を得た批評で綴る.西洋哲学の流れを興味深く読みつつ理解しうる画期的入門書
本居宣長 済世の医心
講談社学術文庫
文学と医学の総合者としての宣長像を解明.国学者本居宣長は,同時に秀れた小児科医でもあった.本書は,その半生に亙る日本古道の研究と実地医療の経験を重ねて医の哲学の成就に至る人間宣長の実像を描く

不機嫌の時代 不機嫌からの精神史的考察
講談社学術文庫
日本の近代文学者を広く襲い、その内面を覆った影のひとつに“不機嫌”という気分があった。生きることにまつわる苦痛、不安、鬱屈(うつくつ)等々の、とらえどころのないもやもやした雰囲気を、鴎外、漱石、荷風、直哉らの作品を通し、これを「人間生活の根本的な状態」という特別な意味をこめて独創的に把握した。近代的な自我形成の歴史の流れのなかで、不機嫌を20世紀の人間学のきわめて重要な概念として細密に描きわけた長篇文芸評論。

東洋の理想
講談社学術文庫
西洋の先進文明が怒濤のように我が国に押しよせてきた明治近代黎明期に、当時の知性の代表者のひとり岡倉天心は敢然と東洋の素晴らしさを主張した。有名な「アジアは一つ」の文章から起こし、インドに発する仏教、中国における儒教等に言及しながら、それらの宗教がいかに日本の美術と融合し発展し新たな伝統文化を生成したかを論じる。「我々の歴史の中に我々の新生の泉がある」とする本書は日本文化の本質を再認識させる名著である。

徒然草を読む
講談社学術文庫
『徒然草』の読み方にはいろいろある。それがこの類を絶した随筆の幅であり、懐の深さである。『徒然草』はただ一つのことを切言していると私は思う。「先途なき生」と。人生は有限であり、しかも明日知れぬいのちではないか。ここから兼好の唱導する生き方の極意は、「ただいまの一念」、これである。死までの切迫したこの世の生の時間を、時間そのものとなることによって生き切ろうと、兼好は訴えたのである。(著者「まえがき」より)
河童のコスモロジー ―石田英一郎の思想と学問―
講談社学術文庫
文化人類学の眼で捉えた河童の世界とは……庶民の日常生活になじみ深い水辺のトリックスタ-《河童》.その河童を世界的視野で捉え,構造論的コスモロジ-の一歩を記した石田英一郎の学問と業績を解説する

参禅入門
講談社学術文庫
禅には理論や思想なども必要であるが、“体験の宗教”であるから実践的には直接正師につくことが第一であり、書物ならば体験にもとづく手びき書こそ最も重要であろう。本書は、ある禅界消息通の師家(しけ)が、私のすすめる禅の本を列挙した、その筆頭に掲げられたもので、著者自らの「修道の記録」が理路整然と体系化され、先達の書物に照らしながら、参禅の方法と心構えが懇切丁寧かつ具体的に記された最良の指南書といえる。(「解説」より)
相対性理論の誕生 ―コペルニクスからアインシュタインまで
講談社学術文庫
相対性理論とは何か,もっとも著名な啓蒙書長年基礎的な科学読物のモデルと見なされてきた本書は,自然科学分野でも難解とされる相対性理論を平易に解説するためコペルニクスから説き起こした画期的な書.

民間暦
講談社学術文庫
民間に古くから伝えられてきた行事の多くは、地方によってその方法を異にし、雑多な様相を呈しているが、その底には各地共通の原則が見られる。本書は、そのような行事のひとつひとつを自らの足でつぶさに探し求め、地域の特異性を考慮しながら、それらを体系化することによって日本人一般のものの考え方、労働の仕方を浮き彫りにしたものである。常民の暮らしの折り目をなす暦の意義を詳述した、宮本民俗学の代表作の1つといえよう。
現代の学としての経営学
講談社学術文庫
激動する経済状況の中での組織と経営を追求ともすれば利潤追求・労務管理の学とされる経営学を,個人の疎外や抑圧を伴わない「人間の学」として考察し,経営実態の調査を踏まえて,ありうべき姿を提言する
国語の将来
講談社学術文庫
今日の国語使用の現状批判と方向を鋭く示唆国語をわれわれの精神生活の基本とする立場から日本語の特質と変化の様態を論じ,特に今日までの国語教育の実態を批判的に検討し将来のあり得べき姿を提言する.

悲しき南回帰線(下)
講談社学術文庫
上巻のカドゥヴェオ族に続き、下巻ではボロロ族、ナムビクワラ族などの社会構造を解明しながら、著者は民族学者としての自己から自己への対話を進めていく。そこには、日没が終りで始まりである熱帯を象徴する円環が構成の中にも思考の中にも張りめぐらされ、著者自身が象徴の輪の中に組み入れられていく課程が告白されている。親族の理論、神話の論理、原始的分類の理論の三つの主要課題を持つレヴィ=ストロースの必読の代表作。