講談社学術文庫作品一覧
三韓昔がたり
講談社学術文庫
三国時代の朝鮮半島の歴史を語る幻の名著.朝鮮に伝わる「三国史記」「三国遺事」をもとに,新羅,高句麗,百済の三国の興亡を英雄伝説などの形で分り易く説く.古代朝鮮の歴史を知る上に欠かせぬ必読の書

ケプラーの夢
講談社学術文庫
月の上から見ると地球は太陽を中心にまわっている――本書は、天動説が主流の17世紀に、ケプラーが太陽中心の地動説に基づいて書いた史上初の近代科学的「月旅行物語」である。主人公は、精霊の力を借りて月にたどりつき、地球では経験したことのない天文・気象現象、地形、生物に遭遇する。未知の世界に想像の力で挑むという精神は、ジュール・ベルヌ、H・G・ウェルズらに受けつがれ、彼らの宇宙旅行物語に多大な影響を与えた。
鍛治屋の母
講談社学術文庫
鍛冶伝承の脈絡を追求した画期的な中世論.中世の鬼神,英雄の伝説や物語の中に,共通の主題の枠組が隠されていることに注目し,物語の構造の原型が鍛冶屋など漂泊の徒と深い繋りがあることを解明した好著
真善美 日本人
講談社学術文庫
大正デモクラシーの巨頭がつづる日本人論.日本人とは何か,日く,その特能を伸べ,その欠を補い真極り,善極り,美極るところの円満幸福の世界に進むべき理想を述べた,今なお新しい啓蒙的民族論の傑作.
古代知識階級の形成
講談社学術文庫
古典を通して日本人の精神の根源を問う名著神との対決を欠いた精神の破綻に近代日本の悲劇を見据えた著者は,古典への関心を深め,記紀の中に神人分離の自覚と混乱をよみとり,日本人の精神史の主題に迫る
家訓
講談社学術文庫
永世を願う親心から発した家訓の真髄21編子孫と家と家業の永続繁栄を願う心から発した家訓の命は,まだ現代に息づいている.ここに先人の訓戒の好模範,実物二十一編を収めて,生きた英知の条々を偲ぶ.
マルクス主義を超えて
講談社学術文庫
憤激する道徳家マルクスの栄光と挫折を説くマルクスが愛情を込めて思索した共産主義社会の潔癖さを認めつつも,真に人間的な社会の実現の限界が神の存在の否定にあることを力説した良心的マルクス批判の書
絵とかたち
講談社学術文庫
文学者の鋭い視力がとらえた現代芸術家論.画家の心奥に秘められた造型表現の核とは何か.それぞれの作品が放つ固有の意味を解明しながら,「西欧絵画と日本」という課題に新たな警告を投げかけた美術評論
同行二人
講談社学術文庫
現代の語り部の第一人者が綴る「よむ遍路」数多いご詠歌の中で「西国巡礼」を最も高く評価する著者が,みずからの遊行に即して仏教のこころを格調高く説く.霊場参りの真の基本を知るための格好の案内書.

法句経
講談社学術文庫
『法句経』は、お経の中の「論語」にたとえられる釈尊の人生訓をしるしたお経で、宗教革新の意気に燃え、人間平等の人格主義を貫く青年釈尊のラジカルな思想を、珠玉の詩句423編に謳いあげた真理の詞華集である。本書は、その仏教信仰、仏教理解を通して、真に自分のからだで詠みこんだ訳者・友松圓締師の、いのちのリズムとでもいうべきものが漂っており、半世紀の長きにわたって人々の心を潤してきた。古今最高の名訳である。

日本国憲法
講談社学術文庫
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し……の前文で始まる「日本国憲法」。本書はこの新憲法に「大日本帝国憲法」「英訳日本国憲法」等の関係資料を添えて構成した日本国民必携の書。

塩の道
講談社学術文庫
生活学の先駆者として生涯を貫いた著者最晩年の貴重な話――「塩の道」、「日本人と食べもの」、「暮らしの形と美」の3点を収録した。日本人の生きる姿を庶民の中に求め、村から村へと歩きつづけた著者の厖大な見聞と体験がここにはある。日本文化の基層にあるものは一色ではなく、いくつかの系譜を異にするものの複合と重なりである、という独自の史観が随所に読み取れる本書は、宮本民俗学の体系を知るための最良の手引きとなるだろう。
ロシア士官の見た徳川日本
講談社学術文庫
日本及び日本人を世界に紹介した歴史的名著第一部ゴロウニンの手記は当時の日本の民情を知る貴重な史料であり,第二部リコルドの手記に登場する高田屋嘉兵衛の高潔な人格は典型的日本人を描いた最高傑作.

明治十年 丁丑公論・瘠我慢の説
講談社学術文庫
近代日本の代表的な思想家福沢諭吉は、本書「丁丑公論」において西南戦争の賊軍の首魁であった西郷隆盛を、西郷の行動は横暴に対する抵抗であったと弁護し、明治新政府を痛烈に批判した。また「瘠我慢の説」において、明治維新の際、徳川幕府側に在って歴史的な役割を演じた勝海舟と榎本武揚の2人をとりあげ、その挙措と出所進退を批判した。福沢諭吉の思想のバックボーンをなす抵抗精神と自由独立の精神を知る上に不可欠の書。

宮沢賢治 こころの軌跡
講談社学術文庫
パトグラフィ(病跡学)とは天才の生涯と創造の過程を精神病理学的に解明する学問領域をいう。著者は精神科医としての知識を基に、伝記的事実の綿密な検討と作品との深い語りあいによって、短い生涯に多彩な変容をとげた天才賢治の精神力動、そのかげとひかりの生命的存在を追体験しようと試みる。逝ける妹とし子の「ふたりの世界」、「銀河鉄道」の始点と終着駅の追究は、従来の宮沢賢治論に新たな視座を加えたものといえよう。
翻訳と批評
講談社学術文庫
翻訳の質を高める為の創造的翻訳への提言書翻訳は創造的な仕事であり,その質を高める批評を盛んにすることを主張する著者は,本書において直訳の迷妄を論破し,芸術としての翻訳,翻訳批評を言挙げする.

詩・ことば・人間
講談社学術文庫
自分が言葉を所有している、と考えるから、われわれは言葉から締め出されてしまうのだ。そうではなくて、人間は言葉に所有されているのだと考えたほうが、事態に忠実な、現実的な考え方なのである。人間は、常住言葉によって所有されているからこそ、事物を見てただちに何ごとかを感じることができるのだ……。 いいかえれば、われわれの中に言葉があるが、そのわれわれは、言葉の中に包まれているのである。(著者「まえがき」より)

新訂 女官通解
講談社学術文庫
万人待望久して“幻の名著”の復活! 平安時代の歴史・文学を理解するには女官の知識が不可欠である。本書は宮廷および斎宮・斎院などで活躍した全女官について、著者がその該博豊富な法制史の知識のうえに、漢文・国文の古典をも博引傍証しながら、その沿革と実態を明確に論述した、画期的な力作である。初版刊行以来数十年を閲するもなお本書を凌ぐ女官の網羅的な解説書は著されておらず、本書の文庫化は正に学界の痛快事である。
白きアンガラ河
講談社学術文庫
シベリア抑留者による捕虜収容所の人間記録敗戦でソ連の捕虜収容所に送られた元日本兵の集団が,飢えと寒さに苦しみながら,古いイデオロギーを捨てて民主運動にめざめていく過程を生生しく描いた体験記.

古代朝鮮と日本仏教
講談社学術文庫
これまでの日本の仏教史研究者の多くは、朝鮮仏教の役割やその歴史的評価について、ほとんど無視してきたと思う。しかし、古代の日本仏教と朝鮮仏教との関わりからすれば、中国仏教よりも朝鮮仏教のほうが、より緊密であった。飛鳥仏教の形成に直接関与し、かつ最も重要な役割を果たしたのは朝鮮仏教であったと思う。仏教を東アジア世界の共通の宗教・思想・芸術・文化として考究する視点も必要なのではないか。(「まえがき」より)