講談社学術文庫作品一覧
木簡学入門
講談社学術文庫
木簡学とは何か,を初めて体系化した入門書木簡にはどのような種類があり,何が書かれているのか,発堀と研究の歴史の理論編と,新出土の木簡を素材に中国古代史の世界を浮び上らせる応用編の二部で構成.

日本の文章
講談社学術文庫
本書は、英文学・英語教育に精通する著者が、外国語と日本語の文章を対等に比較・客観視して、日本語のあるべき真の姿を解明したもので、学者的直感と見識が随所に読みとれる。とくに、言葉は幼いときの基礎がいかに大切であるかを説く著者の筆鋒が、折にふれて国語教育への鋭い言及となって現れる。教育者のためばかりでなく、言葉や文章に関心のある一般読者のために、日本語の根本的な問題を考察した画期的な文章論といえよう。

平家物語(六)
講談社学術文庫
治承5年正月には、その仁徳を仰がれた高倉院が崩御され、その生前の挿話と、小督との悲恋が語られる。東国では、頼朝についで木曽義仲が挙兵し、さらに九州・四国からも平家に背く在地の武士の動きが飛脚によって伝えられ、平家の危機が切迫したとき、一門を領導してきた巨星、清盛がはげしい熱病に冒され死んでいく。悪行の人といわれた清盛も、数々の善政をしていたことが、その出生の事情とともに挿話として語られていく。
「あそび」の哲学
講談社学術文庫
「あそび」とは何か,を問う随筆風人生論.「快楽こそ幸福に生きることの出発点であり,また到達点である」というエピクロスの言を基調にして,レジャ-現象の実態を突き,真の「あそび」を追究した好著.
私の経験と考え方
講談社学術文庫
実業界の雄が自ら語る”生きた学問”の書.「学問と現場の技術を結びつけて優秀な若い人材を育てる」藤原流人間学は,ビジネスの場はもとより工業大学設立に及んだ.行動する学問として多くの示唆に富む.
外から見た近代日本
講談社学術文庫
斯界の第一人者が放つ画期的な比較文明論.日米両国間でほぼ同時代に起こった明治維新と南北戦争を比較することにより,近代日本の歴史に新たな光をあて,日本人の真の意味での自己確立の緊要さをえがく.

古事記(下)
講談社学術文庫
本下巻は、上巻の神話や中巻の神意による初代天皇の誕生、支配権の拡張展開とは異なり、きわめて人の世の色彩が濃い。天皇の妻問いや皇位継承をめぐる反乱、皇子たちの殺害、有力氏族の抵抗・滅亡という波乱万丈の朝廷内部の様相や支配者としての天皇像が鮮明に描かれている。天皇の恋愛、皇后の嫉妬、争闘、謀略の物語はいずれも透明で明るく、素朴な古代人の美しい人間性が生き生きと溢れている。
今鏡(下)
講談社学術文庫
下巻は中巻の藤原氏列伝に代る源氏の列伝.平安後期,政治世界において重要な位置を占め始めた新興武家源氏出身の大臣,その他皇子たちなど登場人物に対する著者の鋭い歴史的考証は一大特色.

沢木興道聞き書き
講談社学術文庫
沢木興道老師の言葉には寸毫の虚飾もごまかしもない。ここには老師の清らかに、真実に、徹底して生きぬいた一人の禅者の珠玉の言葉がちりばめられてある。仏教学や禅学を知らなくても、人生をいかに生きようかということを考えたことのある人に対して、本書は必ず何かを与えてくれる。簡単な一つの言葉が無限の重みをもって読者の心に迫るであろう。そこにこそ本書の大いなる価値があると、私は固く信ずるものである。(解説より)
西洋の事情と思想
講談社学術文庫
”太平洋の架け橋”新渡戸が基本思想を語る世界の中で日本人はどう生きるべきなのか.世界人としての日本人の覚悟を情熱をこめて説く著者の姿には,真の国際人を育てる多くの示唆がこもっている.
今鏡(中)
講談社学術文庫
新・学問のすすめ アウトサイダーの世界
講談社学術文庫
辛辣な留学懐疑論にはじまり、著者の面目躍如たる英語教育論、師弟関係をめぐる問題など身近な話題を糸口に、独創的な英文学者である著者ならではの豊かな教養世界が浮かび上がる。一見エキセントリックな異端の装いをこらしつつも、その主張は正鵠を射た均衡感覚に支えられている。風通しのよいユーモアに満ちた極上の知的随筆!(解説・佐伯彰一)

俳句
講談社学術文庫
カンナはいつも「燃え」、「一つ」だけ枝に残った柿はきまって「夕陽」に照らされ、妻は「若く」、母は「小さい」――だれでも初めて俳句に手を出すとまず口をついて出てくるのが、こうしたきまり文句。初心者はこの紋切型表現と手を切らなければ、「四合目」から上に登ることはできないと阿部しょう人は説く。初心俳句の最も根深い欠陥をこれほど具体的に解明した本は他に例を見ず入門書としてこれは独創というに値する。(解説より)

近世日本国民史 桜田事変
講談社学術文庫
春雪舞う、芝愛宕山上に会合したる水薩脱藩浪士、三々五五時刻を見計らい下山、大老の襲撃の機を窺う。時に万延元年三月三日。この日上巳を賀すべく井伊直弼に登らんとして桜田門外に来るや、彼の義盟十八士、降りしきる雪を衝いて行列を襲う。満目白皚々の積雪原を血に染めたる一瞬の激闘は終り、大獄の元凶斃れ、佐幕の諸侯驚愕し、その方嚮に迷い、天下の志士その志を得、ここに明治維新遂行の序幕は上がったのであった。
春雪舞う、芝愛宕山上に会合したる水薩脱藩浪士、三々五五時刻を見計らい下山、大老の襲撃の機を窺う。時に万延元年三月三日午前九時。この日上巳を賀すべく井伊直弼に登らんとして桜田門外に来るや、彼の義盟十八士、降りしきる雪を衝いて行列を襲う。満目白皚々の積雪原を血に染めたる一瞬の激闘は終り、大獄の元凶斃れ、佐幕の諸侯驚愕し、その方嚮に迷い、天下の志士その志を得、ここに明治維新遂行の序幕は上がったのであった。
今鏡(上)
講談社学術文庫

共同研究 パル判決書(下)
講談社学術文庫
東京裁判とは何だったのか。豊かな学識と平和を祈念する人類愛に基づいた『パル判決書』は、東京裁判の多数派判決を正面から論駁した記念碑的名著である。本書はさらに多角的解説を付した刮目の書である。

共同研究 パル判決書(上)
講談社学術文庫
東京裁判とは何だったのか。豊かな学識と平和を祈念する人類愛に基づいた『パル判決書』は、東京裁判の多数派判決を正面から論駁した記念碑的名著である。本書はさらに多角的解説を付した刮目の書である。

今昔物語集(九)
講談社学術文庫
『今昔物語集』(9)──巻十──は震旦(中国)の世俗説話を収める。秦の始皇帝に始まり、漢の高祖、唐の玄宗など有名な歴史的人物がめまぐるしく登場。はるか異国に嫁がされる美妃王昭君の悲劇、絶世の愛妃楊貴妃の最期、偉大なる思想家孔子・荘子、養由・李広など勝れた武人の著名逸話が前半に並ぶ。以下巻末までは、無名の男・女、天狗、名医、学者、管絃の名手、盗人、老婆、酒飲み等々の話が多種多彩に展開し、豊かな人間像を描く。

天台思想入門
講談社学術文庫

近世日本国民史 安政の大獄 後篇
講談社学術文庫
島津齊彬逝きて以来、天下の大名、起って敢然井伊と抗衡せんとする者一人だになく、安政六年井伊の位置は天下無敵を驕り、その探偵政治による志士狩りは燎原の火となりて広がるも、諸藩みな拱手して形態を観望、自藩より犠牲者を出すに至る。即ち、藩では西郷を遠島に、長では吉田松陰を江戸に護送、越は藩の長城たる橋本左内を幕史の犠牲に供す。かくて草莽崛起を説く松陰の処刑をもって惨刑酷法を極めたるは粛清は終焉を告ぐ。
島津齊彬逝きて以来、天下の大名、起って敢然井伊と抗衡せんとする者一人だになく、安政六年井伊の位置は天下無敵を驕り、その探偵政治による志士狩りは燎原の火となりて広がるも、諸藩みな拱手して形態を観望、自藩より犠牲者を出すに至る。即ち、藩では西郷隆盛を遠島に、長では吉田松陰を江戸に護送、越は藩の長城たる橋本左内を幕史の犠牲に供す。かくて草莽崛起を説く松陰の処刑をもって惨刑酷法を極めたるは粛清は終焉を告ぐ。