講談社学術文庫作品一覧

今昔物語集(八)
今昔物語集(八)
その他:国東 文麿
講談社学術文庫
『今昔物語集』(8)──巻九──は震旦(中国)の孝子談と、人が現世でなした行為が冥々の死後の世界でかならず報いを受ける因果応報談とを収める。老母の好物の筍を雪の中から堀り求める孟宗の話、母の杖に打たれながら老いて力弱くなった母の衰えに涙を流す伯瑜(はくゆ)の話などのほか、古来広く知られる説話が続く。平安期から中世にかけての一般的仏教倫理である「孝」また「因果応報」を人々の日常行為の中で平易に教訓づけようとしている。
近世日本国民史 安政の大獄 中篇
近世日本国民史 安政の大獄 中篇
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
安政五年九月、老中間部詮勝入洛参内に及び、攘夷鎖国の方針に対し、「只今争端を開き候ては容易ならざるの御一大事」との諸大名の建議を逆手に執り、条約調印の止むを得ざる事情を「御氷解」し、「鎖国の良法」引戻しを俟つとの事実上の勅許を得るや、俄然、井伊直弼武断強行策を命ず。間部らは飢狼の群羊に闖入するが如く、正義派に対し讒講誣曲の言説を逞しうし公卿衆を威嚇、辞官、落飾を迫り、維新史空前の大獄へ突入した。 安政五年九月中頃、老中間部詮勝入洛参内に及び、攘夷鎖国の方針に対し、「只今争端を開き候ては容易ならざるの御一大事」との諸大名の建議を逆手に執り、条約調印の止むを得ざる事情を「御氷解」し、「鎖国の良法」引戻しを俟つとの事実上の勅許を得るや、俄然、井伊直弼武断強行策を命ず。間部らは飢狼の群羊に闖入するが如く、正義派に対し讒講誣曲の言説を逞しうし公卿衆を威嚇、辞官、落飾を迫り、維新史空前の大獄へ突入した。
電子あり
今昔物語集(七)
今昔物語集(七)
その他:国東 文麿
講談社学術文庫
『今昔物語集』(7)は、(6)に続いて仏教教典の霊験談が数多く記される。「法華経」を読む僧の声を聞いていた鳩の雛が死後、人間に生れ代ることができた話、羅刹女(女の食人鬼)にたぶらかされ食われそうになった僧が経を誦して難をのがれた話、地獄に落ちて灰のように焼けただれた罪人が「法華経」書写によって救われる話など興味深い説話が続出する。1話ごとに明確な分析と、深い解明を付して、読解にゆき届いた手引きを与えている。
新訂 官職要解
新訂 官職要解
著:和田 英松,著:所 功
講談社学術文庫
平安時代を中心に上代から中近世に至る我が国全官職の官名・職掌を漢籍や有職書によって説明するだけでなく、当時の日記・古文書・物語・和歌を縦横に駆使してその実態を具体的に例証した不朽の名著。
クラシック音楽鑑賞事典
クラシック音楽鑑賞事典
著:神保 ケイ一郎
講談社学術文庫
曲名や作曲者を知らなくても、誰にとっても忘れられないメロディーがあるはずだ。本書は、人々の心に生きつづける名曲の数々をさらに印象深いものとする魅力的な鑑賞事典である。「カルメン」や「アルルの女」の1場、「月光」の曲ができるまでのエピソード、楽聖たちの恋愛が音楽へ昇華する様など、古典から現代音楽まで、作曲者と作品を網羅したハンディな1冊は、クラシック音楽愛好家必携の書といえよう。世界の名曲100選等を付す。
近世日本国民史 安政の大獄 前篇
近世日本国民史 安政の大獄 前篇
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
井伊大老の水・尾・越藩主に対する措置は、専断調印に劣らぬ刺戟を至尊に与え、遂に「賜勅水戸」の緊迫事態を招く。直弼その出処は齊昭にありと猜定、京都の気勢を挫く第一着手として水戸を圧迫。次いで京都不逞の徒を退治せんとする刹那九條関白の辞職の報に接し驚愕、直ちに酒井所司代の赴任を急がせ、奸賊の手先召捕りを間部老中に訓令、上洛を促す。かくして梅田雲濱捕縛を皮切りに暗雲惨憺たる一大悲劇は開始された。 井伊大老の水・尾・越藩主に対する措置は、専断調印に劣らぬ刺戟を至尊に与え、遂に「賜勅水戸」の緊迫事態を招く。直弼その出処は齊昭にありと猜定、京都の気勢を挫く第一着手として水戸を圧迫。次いで京都不逞の徒を退治せんとする刹那九條関白の辞職の報に接し驚愕、直ちに酒井所司代の赴任を急がせ、奸賊の手先召捕りを間部老中に訓令、上洛を促す。かくして九月七日の梅田雲濱捕縛を皮切りに暗雲惨憺たる一大悲劇は開始された。
電子あり
百人一首
百人一首
訳:有吉 保
講談社学術文庫
我が国の古典中、古来最も広く親しまれた作品百首に明快な訳注と深い鑑賞の手引を施す。一首一首の背景にある出典、詠歌の場や状況、作者の心情にふれ、さらに現存最古の諸古注を示した特色ある力作。
今昔物語集(六)
今昔物語集(六)
その他:国東 文麿
講談社学術文庫
『今昔物語集』(6)は震旦(中国)の説話を収める。震旦仏教の起源を語る説語、諸仏像(釈迦像・弥陀像など)および諸経典(華厳経・阿含経など)の霊験説話である。これらは仏法王法相依思想(仏教と国家権力とがたがいに助けあって、ともに栄えるという思想)のもとに人々の教養と生き方の指針を与えるために作りあげられた。達磨(だるま)の中国布教の話、『西遊記』に名高い玄奘三蔵の天竺(インド)求法の旅の話など興味深く盛り込まれる。
明治・大正・昭和政界秘史
明治・大正・昭和政界秘史
著:若槻 礼次郎
講談社学術文庫
近世日本国民史 井伊直弼
近世日本国民史 井伊直弼
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
安政五年四月二十三日、継嗣問題切迫の瀬戸際、疾雷耳を掩うに及ばぬ迅速をもって井伊直弼大老に就任。主眼は水戸派退治・反一橋派であり、勢い紀州派と不可分に絡む日米修好通商条約の幕府責任調印を断行。違勅面責のため登城したる慶喜・齊昭・慶恕・慶永らを罰する決意を固め、五年六月二十五日慶福継嗣を発表。七月四日将軍家定危篤、五日急遽面詰登城組の処分裁決を発表。七月六日家定死去。時局は暗転緊迫の度を加え来った。
電子あり
増鏡(下)
増鏡(下)
訳:井上 宗雄
講談社学術文庫
増鏡(中)
増鏡(中)
訳:井上 宗雄
講談社学術文庫
近世日本国民史 松平定信時代
近世日本国民史 松平定信時代
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
時艱にして偉人を憶う。田沼時代の悪政改革の気運が、松平定信を推薦し、老中主座に就かしめ、彼を刺戟し、旧来の陋習を一新せしめた。が、彼は眇乎たる時代の一偶像にあらず。ひとたび相位に坐るや、かかる時勢を促進し、壊廃せんとする幕政を緊粛し、世にいう「寛政改革」を断行。次いで異学禁制を発し国内の思想統一を図る一方、尊号問題において、朝幕勢力の権衡を賭け、崩壊寸前の幕威を維持し、徳川政権中興の業を達成した。
電子あり
近世日本国民史 田沼時代
近世日本国民史 田沼時代
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
世にいう「田沼時代」とは、田沼意次が側用人ないし老中として実権を握っていた明和四年から失墜する天明六年に至る十九年間をさす。本書は、この間の幕政腐敗の因を賄賂の問屋意次の執政によるとしつつも、彼のオランダ癖が期せずして蘭学の恢弘を促し、前野良澤・杉田玄白・大槻玄澤らを輩出、山師平賀源内の活躍を助長、さらに工藤平助による北方脅威論に及ぶなど、時代を歴史の流れの中で据え開国気運の胚胎の必然を説く。 世にいう「田沼時代」とは、田沼意次が側用人ないし老中として実権を握っていた明和四年から失墜する天明六年に至る十九年間をさす。本書は、この間の幕政腐敗の因を賄賂の問屋意次の執政によるとしつつも、彼のオランダ癖が期せずして蘭学の恢弘を促し、前野良澤・杉田玄白・大槻玄澤ら蘭学者を輩出、山師平賀源内の活躍を助長、さらに工藤平助による北方脅威論に及ぶなど、時代を歴史の流れの中で据え開国気運の胚胎の必然を説く。
電子あり
土佐日記
土佐日記
著:紀 貫之,訳:品川 和子
講談社学術文庫
論文のレトリック
論文のレトリック
著:沢田 昭夫
講談社学術文庫
本書は、論文を書くことはレトリックの問題であるという視点から、構造的な論文構成の戦略論と、でき上がるまでのプロセスをレトリックとして重視しつつ論文の具体的なまとめ方を教授した書き下ろし。
日本童話宝石集(二)日本の神話と十大昔話
日本童話宝石集(二)日本の神話と十大昔話
著:楠山 正雄
講談社学術文庫
記紀神話にもとづく、神と人間の交流の中に生まれた不思議なロマンを秘めた物語の数々は、日本人のこころの基層で息づいている。十大昔話は、誰もが一度は聞き、子供たちにも語り伝えたい心暖まる日本昔話代表作を厳選して収録している。本書のお話しは、すべて読みやすい形で、著者・楠山正雄が再話したものである。日本人のこころのふるさとがここにある。
近世日本国民史 徳川幕府思想篇
近世日本国民史 徳川幕府思想篇
著:徳富 蘇峰
講談社学術文庫
山崎闇齋・山鹿素行・熊澤蕃山らは共に元禄以前における徳川時代の思想界の代表者であり、その立論に異同あるも国家的自覚心の鼓吹者となった。加うるに水戸史学は、彼らの高尚、空遠なる理論よりも実行可能性を追究、宗教的熱血を帯びるに至った。本篇は、かく朱子学と史学の濫觴が、一川を左岸と右岸に沿って流れ、維新の大河氾濫に至るを望見しつつ、日本固有思想が国民間に醗酵し、凝結したかを物語る名篇。 山崎闇齋・山鹿素行・熊澤蕃山らは共に元禄以前における徳川時代の思想界の代表者であり、その立論に異同あるも国家的自覚心の鼓吹者となった。加うるに徳川光国を開山とする水戸史学は、彼らの高尚、空遠なる理論よりも実行可能性を追究、宗教的熱血を帯びるに至った。本篇は、かく朱子学と史学の濫觴が、一川を左岸と右岸に沿って流れ、維新の大河氾濫に至るを望見しつつ、日本固有思想が国民間に醗酵し、凝結したかを物語る名篇。
電子あり
中庸
中庸
その他:宇野 哲人
講談社学術文庫
人間の本性は天が授けたもので、それを”誠”で表し、「誠とは天の道なり、これを誠にするのは人の道なり」という倫理道徳の主眼を、首尾一貫、渾然たる哲学体系にまで高め得た、儒教第一の経典の注釈書。
大学
大学
訳:宇野 哲人
講談社学術文庫
修己治人、すなわち自己を修練してはじめてよく人を治め得る、とする儒教の政治目的を最もよく組織的に論述した経典。修身・斉家・治国・平天下は真の学問の習得を志す者の熟読玩味すべき哲理である。