講談社学術文庫作品一覧

松下村塾
松下村塾
著:古川 薫
講談社学術文庫
開塾にあたって松陰は「天下を奮発震動」させる人材が輩出すると予言した。松下村塾――それはわずか一年余の指導で、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文らの俊才を生み出した幕末の奇跡である。物置小屋を改造した粗末な塾舎では何があり、二十八歳の青年は塾生たちに何を教えたのか。塾の成立から閉鎖までを徹底検証、松陰の感化力と謎の私塾の全貌。(講談社学術文庫) 開塾にあたって松陰は「天下を奮発震動」させる人材が輩出すると予言した。松下村塾――それはわずか一年余の指導で、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文らの俊才を生み出した幕末の奇跡である。物置小屋を改造した粗末な塾舎では何があり、二十八歳の青年は塾生たちに何を教えたのか。塾の成立から閉鎖までを徹底検証、松陰の感化力と謎の私塾の全貌。
電子あり
生きがい喪失の悩み
生きがい喪失の悩み
著:ヴィクトール.E・フランクル,訳:中村 友太郎
講談社学術文庫
ナチスの強制収容所での体験を記した『夜と霧』で知られる精神科医が、みずから創始した心理療法「ロゴテラピー」について語った講義・講演録。フランクルが看破した20世紀後半の深刻な病は、我々が抱える「底知れない無意味感」によって引き起こされている。それは、フロイトのいう「性的欲求不満」とも、アドラーのいう「劣等感」とも違う「実存的真空」と呼ぶべきものだという。巻末解説は明治大学教授の諸富祥彦氏。 ナチスの強制収容所での体験を記した世界的ベストセラー『夜と霧』で知られる心理学者で精神科医が、みずから創始した心理療法「ロゴテラピー」について語った講義・講演録。 どの時代にもそれなりの神経症があり、またどの時代もそれなりの精神療法を必要としている――と語るフランクルが看破した20世紀後半の深刻な病は、我々が抱える「底知れない無意味感」によって引き起こされている。それは、フロイトのいう「性的欲求不満」とも、アドラーのいう「劣等感」とも違う「実存的真空」と呼ぶべきものだという。 「生きることの意味」の模索によって、それを克服しようとする「ロゴテラピー」とはいかなるものか。「逆説的志向」「反省除去」「意味への意志」「実存的欲求不満」など、主要な概念を解説しながら、実際の症例を交えて語る。 明治大学教授の諸富祥彦氏が巻末解説を執筆。 〔原本:1982年、エンデルレ書店刊。 原著:Das Leiden am sinnlosen Leben,1977〕
ハイデガー 存在の歴史
ハイデガー 存在の歴史
著:高田 珠樹
講談社学術文庫
存在が荒々しく立ち現れると同時に隠蔽され忘却されていった古代ギリシャ以来、存在把握は劇的に変動し、現在、忘却の彼方に明滅するものとしてのみ存在は現前する──。存在論の歴史を解体・破壊し、根源的な存在の経験を取り戻すべく構想された『存在と時間』の成立過程を追い、「在る」ことを捉えようとした、ハイデガーの思想の精髄に迫る。(講談社学術文庫) 存在が荒々しく立ち現れると同時に隠蔽され忘却されていった古代ギリシャ以来、存在把握は劇的に変動し、現在、忘却の彼方に明滅するものとしてのみ存在は現前する──。存在論の歴史を解体・破壊し、根源的な存在の経験を取り戻すべく構想された『存在と時間』の成立過程を追い、「在る」ことを捉えようとした、ハイデガーの思想の精髄に迫る。
電子あり
三国志演義 (二)
三国志演義 (二)
訳:井波 律子
講談社学術文庫
西暦220年、後漢王朝の崩壊後、群雄割拠の時代の中から魏、蜀、呉の三つ巴の戦いへと発展した。その約1000年後。複数の「三国志」の物語や資料を整理・編纂し、フィクショナルな物語世界を構築してたのが、本書『三国志演義』です。中国文学に精通した訳者が、血沸き肉躍る、波乱万丈の物語を、背景となっている時代や思想にも目配りしたうえで、生き生きとした文体で翻訳した決定版です。(講談社学術文庫) 西暦220年、後漢王朝の崩壊により乱世が到来。やがて、その中から魏、蜀、呉の三国が生まれ、三つ巴の戦いへと発展していった「三国時代」は、陳寿による『三国志』(3世紀末)や『新全相三国志平話』(元の至治年間に刊行とされる)、芝居などの民間芸能の世界で、連綿と語られ続けてきました。そして、「三国時代」から約1000年後。いくつもの「三国志」の物語や資料を整理・編纂し、フィクショナルな物語世界を構築して、現在知られる「三国志」物語のイメージを確立したとされるのが、羅貫中の白話(口語)長篇小説『三国志演義』です。 本書は、中国文学に精通した訳者が、その血沸き肉躍る、波乱万丈の物語を、背景となっている時代や思想にも目配りしたうえで、生き生きとした文体で翻訳しました。 全120話中、第2巻は、第31回から第60回までを収録。大スター諸葛亮の登場となります。劉備と諸葛亮の出会いは「三顧の礼」を、もってようやく実現する。長坂の戦い、赤壁の戦い、虚々実々の頭脳戦、劉備の蜀攻略などなど。読みどころ満載、『演義』の前半のクライマックス。
電子あり
三国志演義 (一)
三国志演義 (一)
訳:井波 律子
講談社学術文庫
西暦220年、後漢王朝の崩壊後、群雄割拠の時代の中から魏、蜀、呉の三つ巴の戦いへと発展した。その約1000年後。複数の「三国志」の物語や資料を整理・編纂し、フィクショナルな物語世界を構築してたのが、本書『三国志演義』です。中国文学に精通した訳者が、血沸き肉躍る、波乱万丈の物語を、背景となっている時代や思想にも目配りしたうえで、生き生きとした文体で翻訳した決定版です。 西暦220年、後漢王朝の崩壊により乱世が到来。やがて、その中から魏、蜀、呉の三国が生まれ、三つ巴の戦いへと発展していった「三国時代」は、陳寿による『三国志』(3世紀末)や『新全相三国志平話』(元の至治年間に刊行とされる)、芝居などの民間芸能の世界で、連綿と語られ続けてきました。そして、「三国時代」から約1000年後。いくつもの「三国志」の物語や資料を整理・編纂し、フィクショナルな物語世界を構築して、現在知られる「三国志」物語のイメージを確立したとされるのが、羅貫中の白話(口語)長篇小説『三国志演義』です。 本書は、中国文学に精通した訳者が、その血沸き肉躍る、波乱万丈の物語を、背景となっている時代や思想にも目配りしたうえで、生き生きとした文体で翻訳しました。 全120話中、第1巻は、「黄巾の乱」の勃発による後漢王朝の危機到来から官渡の戦いまでの第30回分を収録。桃園で義兄弟の誓いを結ぶ劉備、関羽、張飛をはじめ、曹操や呂布、孫堅・孫策・孫権ら主要メンバーが登場し、群雄割拠の乱世の様相が描かれます。
電子あり
相対性理論の一世紀
相対性理論の一世紀
著:広瀬 立成
講談社学術文庫
「ニュートンよ許したまえ……」。二世紀以上にわたり絶対的権威として君臨してきたニュートン力学の常識を根底から覆したアインシュタイン。そのきっかけは、少年時代の「光を、光の速さで追いかけたらどうなるだろう」という疑問だった。「力の統一」「宇宙のしくみ」など現代物理学の起源となった研究はいかに生まれたか。最先端の物理学にまで影響を及ぼす相対性理論の本質を、わかりやすく解説する。(講談社学術文庫) 「ニュートンよ許したまえ……」。二世紀以上にわたり絶対的権威として君臨してきたニュートン力学の常識を根底から覆したアインシュタイン。そのきっかけは、少年時代の「光を、光の速さで追いかけたらどうなるだろう」という疑問だった。 「力の統一」「宇宙のしくみ」など現代物理学の起源となった研究はいかに生まれたか。最先端の物理学にまで大きな影響を及ぼす相対性理論の本質を、豊富なエピソードを交え、わかりやすく解説する。
電子あり
古代エジプト 失われた世界の解読
古代エジプト 失われた世界の解読
著:笈川 博一
講談社学術文庫
ヒエログリフ(神聖文字)、スフィンクス、死者の書…。本書一冊で古代エジプトがわかる、概説書の決定版。どのような国土にどのような人々が、どのように暮らしていたのか。紀元前三〇〇〇年あたりからアレクサンドロス大王に征服されるまでの二七〇〇年余り、三十一王朝の歴史をひもとき、数少ない資料を丹念に解読し、その宗教、死生観、言語と文字、文化などを概観する。 ヒエログリフ(神聖文字)、スフィンクス、死者の書…。 本書一冊で古代エジプトがわかる、概説書の決定版。 どのような国土にどのような人々が、どのように暮らしていたのか。紀元前三〇〇〇年あたりからアレクサンドロス大王に征服されるまでの二七〇〇年余り、三十一王朝の歴史をひもとき、数少ない資料を丹念に解読し、その宗教、死生観、言語と文字、文化などを概観する。
電子あり
日本探検
日本探検
著:梅棹 忠夫
講談社学術文庫
これぞ、梅棹の学問のありかたの神髄! 「なんにもしらないことはよいことだ。自分の足であるき、自分の目でみて、その経験から、自由にかんがえを発展させることができるからだ。知識はあるきながらえられる。歩きながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながらあるく。これは、いちばんよい勉強の方法だと、わたしはかんがえている」(「福山誠之館」より) (講談社学術文庫) 梅棹忠夫こそは、戦後日本に屹立する知の巨人です。若き日に『モゴール族探検記』『文明の生態史観』『知的生産の技術』をひもといた人は多いのではないでしょうか。しかし、ここにもう一冊、あまり知られていないスゴイ本があります。それが本書『日本探検』です。 1955年のカラコルム・ヒンズークシ学術探検、1957年の第一次東南アジア探検から1961年の第二次東南アジア探検までの数年間、梅棹には一見「小休止」ともみえる時期があります。しかし、そんなことはありません。この期間にも彼の知的関心はやむことなく、その視線は「日本」に向いていました。それまでの探検で培った比較文明的、巨視的手法でみずからの生まれた社会を対象化したのです。 1959年に『中央公論』誌上ではじまった連載は7回にわたり、そのうちの4回分が翌年に単行本となりました(著作集では第5回の「事務革命」[大阪本町]を除くものが収録され、新たに著者自身による解説的な新稿が付されています。今回の文庫はそれに基づきます)。このあと梅棹は国立民族学博物館の設立という大事業に乗り出していくわけですが、「日本探検」は梅棹学が生態学から文明学、情報学へとフィールドを拡げていくうえでの転換点であったと位置づけられます。 本書の冒頭にはこう記されています。 「なんにもしらないことはよいことだ。自分の足であるき、自分の目でみて、その経験から、自由にかんがえを発展させることができるからだ。知識はあるきながらえられる。歩きながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながらあるく。これは、いちばんよい勉強の方法だと、わたしはかんがえている」 これぞ、梅棹の学問のありかたの神髄といえましょう。今回、初の文庫化で多くの読者の手に届くことを願います。
電子あり
英文収録 日本の覚醒
英文収録 日本の覚醒
著:岡倉 天心,訳:夏野 広
講談社学術文庫
日本における民族意識の目覚めの過程を歴史的に論じ、東洋、ことに日本が育んできた思想や文化の特質・独自性を威風堂々たる英文で述べる。翻訳もその香りをよく伝える。日露戦争の当時に米国で刊行された本書には、西欧近代文明への懐疑を投げかける深く鋭いまなざしが貫かれ、「近代」を超えうる「アジアの原理」の提示を試みる。(講談社学術文庫) 生涯を日本美術に捧げ、著作が多く残る天心が、生前に刊行した単行本は、意外にも本著の前の『東洋の理想』、後の『茶の本』と併せて英文三部作と呼ばれる著作のみである。両書はともに学術文庫のロングセラーであり、残る本著も、本名のOkakura-Kakuzo名で書かれた原著の英文とともに収録することとした。 日本における民族意識の目覚めの過程を歴史的に論じ、東洋、ことに日本が育んできた思想や文化の特質・独自性を威風堂々たる英文で述べる。日露戦争の当時に米国で刊行された本書には、西欧近代文明への懐疑を投げかける深く鋭いまなざしが貫かれ、「近代」を超えうる「アジアの原理」の提示を試みる。 「友愛の熱情がたかまり、世界の協力が実現されたとして、そのとき、それは何を目的とするのであろうか? …富をえようと競って、真の個性はそこなわれ、幸福と満足は、たえずつのってゆく渇望の犠牲にされている。…中世の迷信から解放されたことを誇っているが、富の偶像崇拝にかわっただけのことではないのか? 」
証言その時々
証言その時々
著:大岡 昇平
講談社学術文庫
「私はひとりになった。静かに涙が溢れて来た……祖国は敗けてしまったのだ。偉大であった明治の先人達の仕事を三代目が台無しにしてしまったのである」――収容所で敗戦の報に接した著者が見た戦争、そして戦後日本の姿とは。数々の戦争文学を残した作家が綴る、帰還兵への思い、六〇年安保、チェルノブイリ原発事故への眼差しなど戦争をめぐる証言。(講談社学術文庫) 「私はひとりになった。静かに涙が溢れて来た……祖国は敗けてしまったのだ。偉大であった明治の先人達の仕事を三代目が台無しにしてしまったのである」――収容所で敗戦の報に接した著者が見た戦争、そして戦後日本の姿とは。数々の戦争文学を残した作家が綴る、帰還兵への思い、六〇年安保、チェルノブイリ原発事故への眼差しなど戦争をめぐる証言。
電子あり
民話の世界
民話の世界
著:松谷 みよ子
講談社学術文庫
赤神と黒神、福の神と貧乏神、つつじのむすめ、小泉小太郎、そして龍の子太郎……。語り継いできた祖先たちの生きた歴史世界にとどまらず、それまで聞き手であったわれわれが新たに語り手となりゆくことで広がる世界とは――。戦後児童文学における開拓者であるだけではなく、長く民話の採録・再話に取り組んだ著者が描き出す、民衆の〈語り〉とその豊穣の世界。 赤神と黒神、福の神と貧乏神、つつじのむすめ、小泉小太郎、そして龍の子太郎……。 語り継いできた祖先たちの生きた歴史世界にとどまらず、それまで聞き手であったわれわれが新たに語り手となりゆくことで広がる世界とは――。 戦後児童文学における開拓者であるだけではなく、長く民話の採録・再話に取り組んだ著者が描き出す、民衆の〈語り〉とその豊穣の世界。
東京語の歴史
東京語の歴史
著:杉本 つとむ
講談社学術文庫
東訛りから江戸弁、そして東京語へ。その言葉は後に、人為的な「標準語」と、生活に根差した東京「方言」との間を揺れつづけなければならなかった。古代の東国方言のあり方、近世江戸弁が政治の中心地ゆえに日本各地ことばと融合し江戸語を形成するさま、そして標準語を整備される過程で生きた言葉の多くを犠牲にする東京語。その歴史を源内、西鶴はじめ豊富な資料で描き出す。(講談社学術文庫)  東訛りから江戸弁、そして東京語へ。その言葉は後に、人為的な「標準語」と、生活に根差した東京「方言」との間を揺れつづけなければならなかった。  古代の東国方言のあり方、近世江戸弁が政治の中心地ゆえに日本各地ことばと融合し江戸語を形成するさま、そして標準語を整備される過程で生きた言葉の多くを犠牲にする東京語。  その歴史を源内、西鶴をはじめ豊富な資料を駆使して描き出す。
電子あり
恐竜の骨をよむ 古脊椎動物学の世界
恐竜の骨をよむ 古脊椎動物学の世界
著:犬塚 則久
講談社学術文庫
太古の地上を闊歩した恐竜たち。近年の発見や研究の飛躍的な進捗は、従来の恐竜像を次々と書き換えている。地中から発掘されるバラバラの骨から、見る者を圧倒する巨大な骨格はどのようにして復元され、生時の姿を推定することが可能になるのか。本書は、比較解剖学、機能形態学を駆使して現生の脊椎動物類と比較検証し、恐竜の運動能力や生活のさまを明らかにする。最新の知見にもとづき、「復元」の視点から描き出す恐竜の実像。
電子あり
神曲 天国篇
神曲 天国篇
著:ダンテ・アリギエリ,訳・解説:原 基晶
講談社学術文庫
『神曲』には、訳の古さ、原典の曖昧さ、訳語選択の問題など、それぞれに難点がある。しかし本訳は評価の高いペトロツキ版(1968年刊)を訳出の軸として、原典に忠実でありながら、平明な訳文を実現。訳注は、当該の見開き内に収め、読み易く編集。訳注、各歌解説には、世界的ダンテ学者として名高い故ジョルジョ・パドアンに師事した訳者が、『神曲』研究の最先端の成果を盛り込んだ。ダンテ『神曲』の訳本の決定版です。 イタリアの生んだ最高の詩人ダンテが14世紀初めに著した『神曲』は「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の3篇からなり、さらに各篇は33歌からなりますが、「地獄篇」冒頭に置かれた三篇の全体の序歌を加えれば、合計100歌となります。詩型は三行一連で全体では1万4233行におよび、文学、美術、現実の政治等に多大な影響を与えた、キリスト教文学の最高峰とされる叙事詩です。 主題は生身の存在であるダンテが、地獄、煉獄、天国の三界、すなわち彼岸の世界を遍歴した末に、ついには神との出会いを果たすというところにあり、歴史的事実を死後の世界に投影した詩を通じて、人類に正しい道を指し示そうとした作品です。 『神曲』には主だったものだけを挙げても、すでに山川丙三郎(岩波書店)、平川祐弘(河出書房)、寿岳文章(集英社)らによる邦訳がありますが、あるものは翻訳の底本が不分明であったり、訳文が現代の読者には難解すぎたり、文章の流れに重きを置きすぎるがために原典に忠実でなかったり、キリスト教世界を描くのに仏教用語を多用して違和感を与えたりと、それぞれに難点がある。これらを克服するために、本訳ではテクストの安定性や信頼性で評価の高いペトロツキ版(1968年刊)を訳出の軸として、原典に忠実でありながら、平明な表現を心がけました。加えて読者の便宜を考慮し、訳注は可能な限り、当該の見開き内に収めました。訳注、各歌解説には、世界的ダンテ学者として名高い故ジョルジョ・パドアンに師事した訳者、『神曲』研究の最先端の成果を盛り込んでいます。 ダンテ『神曲』の訳本の決定版です。
電子あり
生物学の歴史
生物学の歴史
著:アイザック・アシモフ,訳:太田 次郎
講談社学術文庫
SF作家として知られるアシモフは、ボストン大学医学部の教授も務め、多くの科学啓蒙書も著した。古代ギリシャに始まる生物学は、博物学や医術、遺伝学や化学のあいだで揺れ動き、20世紀になってようやく、自然科学の一分野として体系がまとまり大きな進歩をとげた。この長く複雑な生物学の歩みを、アシモフは極めて平易に興味深く描き出す。人類は生命の謎にいかに取り組んできたか。いま最も熱い学問分野への恰好の入門書。 『われはロボット』『黒後家蜘蛛の会』などのSF作品やミステリーで世界中に読者をもつアイザック・アシモフは、作家であると同時に、ボストン大学医学部の教授を務め、生化学の研究者として多くの一般向け科学啓蒙書も著している。 本書は、アメリカの自然史博物館が出版したAmerican Museum Science Books という叢書の1冊として刊行された。 生物学は、生命についての関心から始まり、古代より長い歴史を持つが、博物学や医術、遺伝学や化学のあいだで揺れ動き、自然科学の一分野として体系がまとまり大きな進歩をとげたのは、20世紀に入ってからだった。特に20世紀後半の分子レベルで生命現象を捉える研究は日進月歩である。 こうした、長く、広範、複雑な生物学の歩みを、一人の著者が簡潔にまとめあげるのは至難の業だが、アシモフの博学と文才はそれをなんなくこなしている。 生命と非生命の境目はなにか。人類は生命の謎にいかに取り組んできたか。いま最も熱い学問分野の基礎知識を整理した、恰好の生物学入門書。 〔原本:『生物学小史』(「アシモフ選集」生物編1)、1969年、共立出版刊。 原著:A Short History of Biology, 1964〕
「国史」の誕生 ミカドの国の歴史学
「国史」の誕生 ミカドの国の歴史学
著:関 幸彦
講談社学術文庫
近代日本の歴史学は、江戸期の漢学の流れと、国学・水戸学の流れ、そこに洋学が結合し、摩擦しながら、「新しい日本の自画像」を描くべく成立した。鎖国下の平賀源内や荻生徂徠、明治期の福沢諭吉、森鴎外らの歴史観、ドイツから来日したリースの働きなどから、「国史」誕生の経過を描く。さらに、久米邦武筆禍事件、南北朝正閏論争など、「天皇制」との軋轢のなかで近代歴史学が挫折し、鍛えられていく過程をたどる。 日本の近代歴史学の成立事情とその背景のドラマを、おもな歴史学上の事件と人物を中心に描き出す。 明治時代とは、江戸期の知的遺産と、急速に流入した西欧の学問が出会った時代だった。歴史学に関していえば、江戸期以来の漢学、特に朱子学の流れと、国学・水戸学の流れ、そこに洋学が結合し、あるいは摩擦を起こしながら、「新しい日本の自画像」を描くべく、「歴史学」が成立し、さらに「国体史観」を形成していったのである。 本書では、鎖国下の平賀源内や林羅山、荻生徂徠らの歴史認識から、明治期の福沢諭吉、森鴎外らの歴史観、実証史学の移植に寄与したドイツの歴史家・リースの働きなどをみながら、「国史」誕生の経過をたどる。 さらに、久米邦武筆禍事件、喜田貞吉と南北朝正閏論争など、「天皇制」との軋轢のなかで近代歴史学が挫折し、あるいは鍛えられていく過程をみていく。 日本の歴史学の成り立ちをあらためて整理し、現代も問われ続けている、「国家」と「歴史研究」との緊張関係という問題を考察する手掛かりとなる好著。 〔原本:『ミカドの国の歴史学』新人物往来社 1994年刊〕
電子あり
俳句と川柳
俳句と川柳
著:復本 一郎
講談社学術文庫
俳句も川柳も、同じ17音の文芸。季語や切字の有無だけでは区別がつかない。「風景を詠むと俳句、笑いを詠むと川柳」なのか。しかし、笑いを詠む俳句もあれば、風景を詠む川柳もある。本書では、まず連歌の発句・平句、狂句、前句付など、俳句と川柳のルーツを探る。また、新旧の名句を鑑賞し、また俳人や川柳作家の創作観を紹介しながら、それぞれの本質を探る。観賞にも創作にも必読の書。 俳句も川柳も、同じ十七音の文芸。季語や切字の有無だけでは区別がつかない。「風景を詠むと俳句、笑いを詠むと川柳」なのか。しかし、笑いを詠む俳句もあれば、風景を詠む川柳もある。本書では、まず連歌の発句・平句、狂句、前句付など、俳句と川柳のルーツを探る。また、新旧の名句を鑑賞し、また俳人や川柳作家の創作観を紹介しながら、それぞれの本質を探る。鑑賞にも創作にも必読の書。
電子あり
お金の改革論
お金の改革論
著:ジョン.メイナード・ケインズ,訳:山形 浩生
講談社学術文庫
インフレは投資家に対し不公正で、デフレは借り手に不公正。 ケインズの代表作を、わかりやすい訳で読む! 第一次世界大戦後、世界中で起きた急激な物価水準変動に対し、ケインズは何を考えたか。 物価安定か、為替の安定か。金本位制をどうとらえるか。 「邪悪な現実」と格闘するケインズの思考が、ここにはのこされている。 [本書の価値とぼくたちにとっての意義―訳者から]  まず本書で重要なのは、インフレとデフレの相対的な被害についての明示だろう。1990年代からの20年以上にわたり、日本経済はデフレに苦しんできた。2013年に日本銀行が黒田東彦総裁の指揮下で2パーセントのインフレ目標政策をはっきり採用し、そのために大規模緩和(黒田総裁は「量的・質的金融緩和(QQE)」と呼んでいるが、あまり名称としては普及していない)を行ったことで、執筆時点ではようやくデフレの時代が終わりつつあるようだ。だが、デフレが有害だという認識が浸透するにはあまりに時間がかかりすぎた。デフレは物価が安くなるんだからいいものなんだ、という「よいデフレ」論を、高名な経済学者を含む多くの「有識者」なる人々が言いつのっていた。本書に書かれた認識―デフレは生産者に負担を与え、生産活動を控えさせ、人々を失業に追いやり、喜ぶのは既得権益を持った金持ちばかり―がもっと浸透していれば。  ここは重要なポイントだ。インフレやデフレは、実体経済に影響を与える。そして本書は、その仕組みについても簡潔に指摘している。お金の市場の状況が実体経済に影響を与え、持続的な失業を引き起こすこともある―これはケインズ『一般理論』の肝だ。本書は『一般理論』ほどきちんと定式化してはいないものの、それにつながる明確な認識がすでにある。 (中略)  むろん、本書は管理通貨制度の夜明けに書かれたものだし、現在の中央銀行や金融当局ははるかに高度な理論もあり、考えるべき内容もきわめて多い。だがこの基本的な知見は、未だにかわらないものであるはずだ。  もちろん、もっと歴史的な文書として本書を読むこともできる。金本位制や、いわば「強い通貨」を主張する人々の変な議論は、現在でもいろんなところで見かけるものだ。それを見て、人間の進歩のなさを嘆く/おもしろがることもできる。さらに本書は、ケインズの一、二を争う名言が出てくる本でもある。「長期的には、われわれみんな死んでいる」というもの。経済学者は目先の問題―たとえば失業に対して、長期的にはそれが解決される、と言いたがる。できることは何もないとか、「自然に」任せるべきだとも言う。でも手をこまねいてそんなものを待つだけでは、経済学者も金融当局も存在価値がない。いまできることを考え、実行しよう!
電子あり
神曲 煉獄篇
神曲 煉獄篇
著:ダンテ・アリギエリ,訳・解説:原 基晶
講談社学術文庫
『神曲』には、訳の古さ、原典の曖昧さ、訳語選択の問題など、それぞれに難点がある。しかし本訳は評価の高いペトロツキ版(1968年刊)を訳出の軸として、原典に忠実でありながら、平明な訳文を実現。訳注は、当該の見開き内に収め、読み易く編集。訳注、各歌解説には、世界的ダンテ学者として名高い故ジョルジョ・パドアンに師事した訳者が、『神曲』研究の最先端の成果を盛り込んだ。ダンテ『神曲』の訳本の決定版です。 イタリアの生んだ最高の詩人ダンテが14世紀初めに著した『神曲』は「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の3篇からなり、さらに各篇は33歌からなりますが、「地獄篇」冒頭に置かれた三篇の全体の序歌を加えれば、合計100歌となります。詩型は三行一連で全体では1万4233行におよび、文学、美術、現実の政治等に多大な影響を与えた、キリスト教文学の最高峰とされる叙事詩です。 主題は生身の存在であるダンテが、地獄、煉獄、天国の三界、すなわち彼岸の世界を遍歴した末に、ついには神との出会いを果たすというところにあり、歴史的事実を死後の世界に投影した詩を通じて、人類に正しい道を指し示そうとした作品です。 『神曲』には主だったものだけを挙げても、すでに山川丙三郎(岩波書店)、平川祐弘(河出書房)、寿岳文章(集英社)らによる邦訳がありますが、あるものは翻訳の底本が不分明であったり、訳文が現代の読者には難解すぎたり、文章の流れに重きを置きすぎるがために原典に忠実でなかったり、キリスト教世界を描くのに仏教用語を多用して違和感を与えたりと、それぞれに難点がある。これらを克服するために、本訳ではテクストの安定性や信頼性で評価の高いペトロツキ版(1968年刊)を訳出の軸として、原典に忠実でありながら、平明な表現を心がけました。加えて読者の便宜を考慮し、訳注は可能な限り、当該の見開き内に収めました。訳注、各歌解説には、世界的ダンテ学者として名高い故ジョルジョ・パドアンに師事した訳者、『神曲』研究の最先端の成果を盛り込んでいます。 ダンテ『神曲』の訳本の決定版です。
電子あり
神曲 地獄篇
神曲 地獄篇
著:ダンテ・アリギエリ,訳・解説:原 基晶
講談社学術文庫
『神曲』には、訳の古さ、原典の曖昧さ、訳語選択の問題など、それぞれに難点がある。しかし本訳は評価の高いペトロツキ版(1968年刊)を訳出の軸として、原典に忠実でありながら、平明な訳文を実現。訳注は、当該の見開き内に収め、読み易く編集。訳注、各歌解説には、世界的ダンテ学者として名高い故ジョルジョ・パドアンに師事した訳者が、『神曲』研究の最先端の成果を盛り込んだ。ダンテ『神曲』の訳本の決定版です。 イタリアの生んだ最高の詩人ダンテが14世紀初めに著した『神曲』は「地獄篇」「煉獄篇」「天国篇」の3篇からなり、さらに各篇は33歌からなりますが、「地獄篇」冒頭に置かれた三篇の全体の序歌を加えれば、合計100歌となります。詩型は三行一連で全体では1万4233行におよび、文学、美術、現実の政治等に多大な影響を与えた、キリスト教文学の最高峰とされる叙事詩です。 主題は生身の存在であるダンテが、地獄、煉獄、天国の三界、すなわち彼岸の世界を遍歴した末に、ついには神との出会いを果たすというところにあり、歴史的事実を死後の世界に投影した詩を通じて、人類に正しい道を指し示そうとした作品です。 『神曲』には主だったものだけを挙げても、すでに山川丙三郎(岩波書店)、平川祐弘(河出書房)、寿岳文章(集英社)らによる邦訳がありますが、あるものは翻訳の底本が不分明であったり、訳文が現代の読者には難解すぎたり、文章の流れに重きを置きすぎるがために原典に忠実でなかったり、キリスト教世界を描くのに仏教用語を多用して違和感を与えたりと、それぞれに難点がある。これらを克服するために、本訳ではテクストの安定性や信頼性で評価の高いペトロツキ版(1968年刊)を訳出の軸として、原典に忠実でありながら、平明な表現を心がけました。加えて読者の便宜を考慮し、訳注は可能な限り、当該の見開き内に収めました。訳注、各歌解説には、世界的ダンテ学者として名高い故ジョルジョ・パドアンに師事した訳者、『神曲』研究の最先端の成果を盛り込んでいます。 ダンテ『神曲』の訳本の決定版です。
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